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2006年6月30日 (金)

改革者の責任

 今週は、仕事が立て込んでいてブログを書く時間がなかなか取れません。

 それでも、最近、いくつかのロースクールの学生さんと話しをしたり、大量合格時代に対する不安を抱える弁護士さん達と話しをしたりする機会があり、新司法試験制度の良い点と矛盾点について生の声を聞くことができました。

 ここで、司法試験制度について何か語ると角が立つので、具体的な話はしませんが、そうした話の中で、受験生からベテラン弁護士に至るまで、急激な変化への戸惑いがあるのがよく分かりました。
 
 私は、丸5年間、商法・会社法の改正等に携わり、どんな些細な制度変更でも、人々の生活に大きな影響をもたらすことや、制度が良くなるか悪くなるかにかかわらず、制度が変わること自体に大きな抵抗があることを痛感しています。

 ぶっちゃけて言えば、大きな改正を担当すれば、膨大な仕事と徹夜の嵐に押しつぶされそうになるわけですから、何か要望をされても、表面だけ「検討します」と言って何もしないのが一番楽です。仕事が少ないからって、給料が減るわけじゃありませんしね。もろ、公務員根性です(笑)。

 でも、既存の制度が完全であるはずもなく、沢山の矛盾を抱えて、その矛盾が時代の変化によって、もはや無視できないところまで来ているのならば
「大変だけど、改正しないと仕方ないよね。」
と思って働いてしまうのも、また真実。

 公務員の仕事の中には、
「予算を取ったから、あまり必要ないけど、予算消化のために働く」とか、
「仕事が減ると、自分の組織の人員が減らされるから、表面的な仕事を作って働くとか、
「上から改革しろと言われたから、何でもいいから制度を変えなくてはいけなくなったので、働く」とか
マイナス方向を向いた仕事もあるのではないかと予想するのですが、公務員になってからの14年間、幸いにしてそのような仕事にはあたりませんでした。
 
 そういう意味で、私の公務員生活は、現在のところ、大変充実したものであり、同期の弁護士と比べて、給料が半分以下ということだけ我慢しておけば、何の不満もありません。

 ただ、あるニーズを満たすために良い制度を作ったとしても、制度を変えることは、必然的に、誰かに負担をかけることになります。
 ですから、
 制度を変えた人間は、責任もって、その制度がうまく動き出すようにフォローする責任がある
と思うのです。
むしろ、改革というのは
 「変えて半分仕事が終わり、変えた部分の問題点を修正して残り半分の仕事が終わる」
というようなものではないでしょうか。

 これは、会社法であっても、司法試験制度改革であっても、裁判員制度であっても、同じことであり、改革に携わった人は、改革をフォローし、まずい点があれば、随時修正をしていく責任を負っているのではないでしょうか。
 公務員としての責任というより、誇りをもって仕事をした者の責任として。

 改革をした人も歳を取り、また、公務員には転勤という限界もありますが、何歳になろうと、どんなに立場が変わろうとも、自分たちが作った制度については、当初予想してなかった矛盾が生じていないかを検証し続け、何らかの形で誤りを正すよう努力するのが、職業人としての使命だと思います。そして、その際、
「あいつが、俺が想定していたのと違うことをしたのだから、あいつが修正すべきだ」
と言って、他の共同作業者のせいにせずに、制度の矛盾をすべて自分の問題として捉えていかないと、責任の押し付け合いに終始することになります。

 ですから、私は、私が担当した部分かどうか、法務省かそれ以外の官庁の問題か等そういうことはおかまないなく、会社法の矛盾・誤りを指摘いただくのを歓迎していますし、このブログや色々なところから飛んでくる質問を答えながら、会社法や省令の修正が必要かどうかを常に仲間達と検証し、問題があれば、随時、修正しています。
 どのようにしたら不都合に関する情報が取得できるか、どのようにしたら、こちらの情報を会社法を利用する人たちに効果的に伝えることができるか。
 手探りの中で、このブログを含め、いろいろな方法をトライしてきました。
 本当は、Windows XP の修正パッチのように、修正すべき点が生じたら、自動的にウィンドウが開いて「法務省にこの問題点を報告しますか?」とか、「法務省にアクセスして、最新の会社法をダウンロードしますか?」なんて聞いてくれるような仕組みがあれば便利なのですが(笑)。

 司法試験制度改革についても、大きな改革ですから、いろいろな矛盾が出てきています。
 でも、人が作った制度なのだから、矛盾が生ずるのは当然です。
 大事なのは、その矛盾をどう解消していくかであり、私は、司法試験制度改革を推し進めてきた人たちが、きっと矛盾を見過ごさず、随時、よりよい制度へと改変していくものと信じています。

 ただ、そうは言っても、目の前にいる受験生が、一人でも、改革の犠牲になっては困りますから、そのような事態が生じないように、司法試験制度改革をした人だけではなく、改革とは何の関係もない私も、日夜、「何か受験生のお役に立てるようなことができないか」と、頭をひねっています。
 私ができるような、何か良いアイデアがあれば、教えてくださいね。


(質問コーナー)
Q1
459条1項に従い剰余金の配当等を取締役会で決定できるとする定款規定による自己株式の市場取得については、株懇モデルと法務省の解説が一致していないように見えるのですが?
 千問のQ207では、「剰余金の配当等を取締役会が決定する旨の定款の定めがある場合における株主全員から譲渡しの申込みを受ける手続きによる取得」とあり、「立案担当者による新会社法の解説」P.38の図も同じです。この記載ですと、公開買付は可能でも市場買付けはできないように読めます。
 一方、株懇モデルや商事法務における解説によりますと、459条1項の定款規定により、市場買付けは当然に可能としており、実際にこれに従った決議もあります。
 法務省の解説は、剰余金の配当等であるから、株主平等が掛かっているという理解でしょうか?よろしくお願いします。
Posted by 蓑虫 at 2006年06月29日 07:31
A1
会社法459条1項1号は、160条1項の規定による決定をする場合以外の場合における156条1項の決定を役会が行うことができることになっています。
市場取得は、156条1項の決定により行いますから、459条1項の定款の定めによっても、取締役会で決することができます。
 千問Q207の表は、459条1項(会計監査人設置会社で一定の場合に限られる)より要件が軽い165条2項の定めで役会決議にすることができるので、そちらのみ書いていますが、459条1項の定めでも役会決議にすることは可能です。

Q2
取締役をABCとする非取締役会設置会社(各自代表会社)が取締役会を設置する旨の定款変更決議をした場合において,その後の取締役会決議でAのみが代表取締役として選定されたときは,BCは,明示的な辞職又は解職がなくとも,代表権を失うことになると理解しています(民事局HP会社法の施行に伴う商業登記記録例について(依命通知)70頁)。
この理解が正しいものとして,BCが代表権を失うのは,①定款変更時でしょうか,それとも②代表取締役Aの就任時と考えるべきでしょうか。
私としては,①の時点,すなわちABCが会社代表機関から取締役会の一構成員に過ぎない存在に成り下がった時点と考えていますが,これだとAについて退任登記が不要であるとする前掲登記記録例と整合しないように思われます。
実際にはあまり問題は生じないかもしれませんが,登記上はBCの退任日付を明示しなければならず,①と②とで日付があいたケースで結論が出せないでいます。どうかご教示ください。
Posted by sara at 2006年06月29日 09:42
A2
非取締役会設置会社が、役会を置く旨の定めをした場合、定款にその定めを置いた時点で代表取締役を退任しますが(定款変更日が退任日付になります)、代表取締役が欠けた状態になりますので、それらの者は、代表取締役としての権利義務を有します。
 その後、取締役会で代表取締役を選定すると、代表取締役として選定された者以外の取締役は、代表取締役としての権利義務がなくなります。
 そうすると、代表取締役として選定された者も、重任の登記が必要だと考えることもできますが、通常は、代表取締役としての権利義務を一貫して有していることから、登記については特に変更しなくてよいこととされています。
 
Q3
第三者割当の方式による新株発行の意義とはどのようなものでしょうか?
Posted by クセルクセス at 2006年06月29日 19:18
A3
株式を発行する場合に、株主がお金を沢山持っているときは、株主割り当てをしてもいいですが、株主以外の人(又は株主のうちの一部だけ)がお金を持っていて、その会社の株主になりたいと思っているならば、その人に株式を割り当ててもよい、これが第三者割当ですね。

Q4
実は、5月決算会社の株主総会が迫り、議事を作成しようと思っているのですが、
「剰余金の処分」議案の必要性について困っていることがあります。
「剰余金について何もしない会社」は上記処分議案を付議しなくてもいいのでしょ
うか?
このような場合において、旧商法下の利益処分案(損失処理案)では、
当期未処分利益 100,000円
次期繰越利益  100,000円
(損失の場合も同様)
と書いていましたが、このように議案をつけることで
「会社は剰余金には手をつけませんよ」
ということを株主に訴えておいたほうが良いのでしょうか。
Posted by ミスター920 at 2006年06月29日 22:05
A4
剰余金の処分をしないならば、剰余金の処分議案は出せません。

改革者の責任

 今週は、仕事が立て込んでいてブログを書く時間がなかなか取れません。

 それでも、最近、いくつかのロースクールの学生さんと話しをしたり、大量合格時代に対する不安を抱える弁護士さん達と話しをしたりする機会があり、新司法試験制度の良い点と矛盾点について生の声を聞くことができました。

 ここで、司法試験制度について何か語ると角が立つので、具体的な話はしませんが、そうした話の中で、受験生からベテラン弁護士に至るまで、急激な変化への戸惑いがあるのがよく分かりました。
 
 私は、丸5年間、商法・会社法の改正等に携わり、どんな些細な制度変更でも、人々の生活に大きな影響をもたらすことや、制度が良くなるか悪くなるかにかかわらず、制度が変わること自体に大きな抵抗があることを痛感しています。

 ぶっちゃけて言えば、大きな改正を担当すれば、膨大な仕事と徹夜の嵐に押しつぶされそうになるわけですから、何か要望をされても、表面だけ「検討します」と言って何もしないのが一番楽です。仕事が少ないからって、給料が減るわけじゃありませんしね。もろ、公務員根性です(笑)。

 でも、既存の制度が完全であるはずもなく、沢山の矛盾を抱えて、その矛盾が時代の変化によって、もはや無視できないところまで来ているのならば
「大変だけど、改正しないと仕方ないよね。」
と思って働いてしまうのも、また真実。

 公務員の仕事の中には、
「予算を取ったから、あまり必要ないけど、予算消化のために働く」とか、
「仕事が減ると、自分の組織の人員が減らされるから、表面的な仕事を作って働くとか、
「上から改革しろと言われたから、何でもいいから制度を変えなくてはいけなくなったので、働く」とか
マイナス方向を向いた仕事もあるのではないかと予想するのですが、公務員になってからの14年間、幸いにしてそのような仕事にはあたりませんでした。
 
 そういう意味で、私の公務員生活は、現在のところ、大変充実したものであり、同期の弁護士と比べて、給料が半分以下ということだけ我慢しておけば、何の不満もありません。

 ただ、あるニーズを満たすために良い制度を作ったとしても、制度を変えることは、必然的に、誰かに負担をかけることになります。
 ですから、
 制度を変えた人間は、責任もって、その制度がうまく動き出すようにフォローする責任がある
と思うのです。
むしろ、改革というのは
 「変えて半分仕事が終わり、変えた部分の問題点を修正して残り半分の仕事が終わる」
というようなものではないでしょうか。

 これは、会社法であっても、司法試験制度改革であっても、裁判員制度であっても、同じことであり、改革に携わった人は、改革をフォローし、まずい点があれば、随時修正をしていく責任を負っているのではないでしょうか。
 公務員としての責任というより、誇りをもって仕事をした者の責任として。

 改革をした人も歳を取り、また、公務員には転勤という限界もありますが、何歳になろうと、どんなに立場が変わろうとも、自分たちが作った制度については、当初予想してなかった矛盾が生じていないかを検証し続け、何らかの形で誤りを正すよう努力するのが、職業人としての使命だと思います。そして、その際、
「あいつが、俺が想定していたのと違うことをしたのだから、あいつが修正すべきだ」
と言って、他の共同作業者のせいにせずに、制度の矛盾をすべて自分の問題として捉えていかないと、責任の押し付け合いに終始することになります。

 ですから、私は、私が担当した部分かどうか、法務省かそれ以外の官庁の問題か等そういうことはおかまないなく、会社法の矛盾・誤りを指摘いただくのを歓迎していますし、このブログや色々なところから飛んでくる質問を答えながら、会社法や省令の修正が必要かどうかを常に仲間達と検証し、問題があれば、随時、修正しています。
 どのようにしたら不都合に関する情報が取得できるか、どのようにしたら、こちらの情報を会社法を利用する人たちに効果的に伝えることができるか。
 手探りの中で、このブログを含め、いろいろな方法をトライしてきました。
 本当は、Windows XP の修正パッチのように、修正すべき点が生じたら、自動的にウィンドウが開いて「法務省にこの問題点を報告しますか?」とか、「法務省にアクセスして、最新の会社法をダウンロードしますか?」なんて聞いてくれるような仕組みがあれば便利なのですが(笑)。

 司法試験制度改革についても、大きな改革ですから、いろいろな矛盾が出てきています。
 でも、人が作った制度なのだから、矛盾が生ずるのは当然です。
 大事なのは、その矛盾をどう解消していくかであり、私は、司法試験制度改革を推し進めてきた人たちが、きっと矛盾を見過ごさず、随時、よりよい制度へと改変していくものと信じています。

 ただ、そうは言っても、目の前にいる受験生が、一人でも、改革の犠牲になっては困りますから、そのような事態が生じないように、司法試験制度改革をした人だけではなく、改革とは何の関係もない私も、日夜、「何か受験生のお役に立てるようなことができないか」と、頭をひねっています。
 私ができるような、何か良いアイデアがあれば、教えてくださいね。


(質問コーナー)
Q1
459条1項に従い剰余金の配当等を取締役会で決定できるとする定款規定による自己株式の市場取得については、株懇モデルと法務省の解説が一致していないように見えるのですが?
 千問のQ207では、「剰余金の配当等を取締役会が決定する旨の定款の定めがある場合における株主全員から譲渡しの申込みを受ける手続きによる取得」とあり、「立案担当者による新会社法の解説」P.38の図も同じです。この記載ですと、公開買付は可能でも市場買付けはできないように読めます。
 一方、株懇モデルや商事法務における解説によりますと、459条1項の定款規定により、市場買付けは当然に可能としており、実際にこれに従った決議もあります。
 法務省の解説は、剰余金の配当等であるから、株主平等が掛かっているという理解でしょうか?よろしくお願いします。
Posted by 蓑虫 at 2006年06月29日 07:31
A1
会社法459条1項1号は、160条1項の規定による決定をする場合以外の場合における156条1項の決定を役会が行うことができることになっています。
市場取得は、156条1項の決定により行いますから、459条1項の定款の定めによっても、取締役会で決することができます。
 千問Q207の表は、459条1項(会計監査人設置会社で一定の場合に限られる)より要件が軽い165条2項の定めで役会決議にすることができるので、そちらのみ書いていますが、459条1項の定めでも役会決議にすることは可能です。

Q2
取締役をABCとする非取締役会設置会社(各自代表会社)が取締役会を設置する旨の定款変更決議をした場合において,その後の取締役会決議でAのみが代表取締役として選定されたときは,BCは,明示的な辞職又は解職がなくとも,代表権を失うことになると理解しています(民事局HP会社法の施行に伴う商業登記記録例について(依命通知)70頁)。
この理解が正しいものとして,BCが代表権を失うのは,①定款変更時でしょうか,それとも②代表取締役Aの就任時と考えるべきでしょうか。
私としては,①の時点,すなわちABCが会社代表機関から取締役会の一構成員に過ぎない存在に成り下がった時点と考えていますが,これだとAについて退任登記が不要であるとする前掲登記記録例と整合しないように思われます。
実際にはあまり問題は生じないかもしれませんが,登記上はBCの退任日付を明示しなければならず,①と②とで日付があいたケースで結論が出せないでいます。どうかご教示ください。
Posted by sara at 2006年06月29日 09:42
A2
非取締役会設置会社が、役会を置く旨の定めをした場合、定款にその定めを置いた時点で代表取締役を退任しますが(定款変更日が退任日付になります)、代表取締役が欠けた状態になりますので、それらの者は、代表取締役としての権利義務を有します。
 その後、取締役会で代表取締役を選定すると、代表取締役として選定された者以外の取締役は、代表取締役としての権利義務がなくなります。
 そうすると、代表取締役として選定された者も、重任の登記が必要だと考えることもできますが、通常は、代表取締役としての権利義務を一貫して有していることから、登記については特に変更しなくてよいこととされています。
 
Q3
第三者割当の方式による新株発行の意義とはどのようなものでしょうか?
Posted by クセルクセス at 2006年06月29日 19:18
A3
株式を発行する場合に、株主がお金を沢山持っているときは、株主割り当てをしてもいいですが、株主以外の人(又は株主のうちの一部だけ)がお金を持っていて、その会社の株主になりたいと思っているならば、その人に株式を割り当ててもよい、これが第三者割当ですね。

Q4
実は、5月決算会社の株主総会が迫り、議事を作成しようと思っているのですが、
「剰余金の処分」議案の必要性について困っていることがあります。
「剰余金について何もしない会社」は上記処分議案を付議しなくてもいいのでしょ
うか?
このような場合において、旧商法下の利益処分案(損失処理案)では、
当期未処分利益 100,000円
次期繰越利益  100,000円
(損失の場合も同様)
と書いていましたが、このように議案をつけることで
「会社は剰余金には手をつけませんよ」
ということを株主に訴えておいたほうが良いのでしょうか。
Posted by ミスター920 at 2006年06月29日 22:05
A4
剰余金の処分をしないならば、剰余金の処分議案は出せません。

2006年6月29日 (木)

新設会社の本店所在場所

 新設型組織再編の手続きは、旧法では、通常の設立手続との関係がよく分からなかったのですが、会社法では
 原則として、設立手続の規定が適用されるが、組織再編の特殊性から、一部適用除外規定を置く
という整理をしています(千問Q951)。

 ところが、実際に条文を読んでみると、新設型組織再編で、適用除外された規定で実現されている行為を、発起人の代わりに誰がやるんだ?と疑問が沸く部分があり、例えば、設立時代表取締役については、千問Q952で解答しているところです。

 これとよく似た問題について、「こまった」さんから、次のような質問がありました。

「共同新設会社分割の分割計画について質問します。
会社法763条では、分割計画で本店所在地を定めなければならないと規定していますが、本店所在場所の決定は求めていません。これは、普通の会社設立の場合に、本店所在場所は定款に規定するのではなく、発起人が決議するというのに対応しているのだと理解しています。
ところが、新設分割では発起人がいません。そのため、分割計画で規定しないと、分割設立会社の本店所在場所が決められないため、設立登記ができません。新設分割の場合には、本店所在場所が、法令に記載のない隠し必要的記載事項になっているのでしょうか。それとも、こういう場合には、設立時取締役(無理?)とか分割会社(分割計画の作成者)の代表取締役が発起人に代わって分割設立会社の本店所在場所を決定することができると解釈するべきでしょうか。」

 通常の設立手続においては、定款では本店所在「地」を決め、本店所在「場所」は、原則として発起人の過半数で決めます。
 これに対し、新設分割には、適用除外規定により、設立事務を行う権限を有する発起人がいないので、その方法を採ることができません。
 しかし、発起人の規定を除外がしているのは、発起人の代わりに分割会社が設立事務を行うからであり、本店所在場所の決定も、分割会社が行うことになります。
 
 では、分割会社は、どのようにして本店所在場所を決定するのでしょうか?

 分割会社が、新設会社の設立事務として定めるべきことは、分割計画によって決定されるのが通常ですから、本店所在場所も、分割計画によって定めることができます。

 また、一般的に、定款によって本店所在場所を定めることも許容されていますから、分割契約によって定める定款の内容として、本店所在場所を定めることもできます。

 さらに、本店所在場所自体は、分割計画の必要的記載事項でも、定款の必要的記載事項でもないので、例えば、共同新設分割の場合には、分割会社全部の合意によって、本店所在場所を定めることもできます。
 なお、発起人の場合には、過半数で決めることができるのですが、共同新設分割の場合、各分割会社に不測の事態を生じさせないようにするため、分割会社全部の合意によって定めなければならないものと解されますので、その点は注意してください。

 以上のような方法により、新設会社の設立登記をすることは可能ですので、ご安心ください。

 それから、「設立時取締役」は、通常の設立手続きでも、設立手続の調査以外のことはやれないので、新設分割の場合も、本店所在場所を決定することはできません。

(質問コーナー)
Q1
当社は定時株主総会で社外取締役を選任しました。責任限度の契約締結はありませんし、当社は委員会設置会社ではありませんし、特別取締役の選定もありません。
社外取締役の登記申請をしようとしたところ、司法書士が「社外取締役、社外監査役ともに会社法911条の各号に該当しない場合には登記できない」と連絡してきました。地元の法務局が本省に確認した結果だそうです。
千問の道標や最近のブログでのご説明から「この場合の社外取締役の登記は義務ではない。つまり会社が登記しようとすれば登記できる。」と理解していました。そうではなく「登記できない。」ということでしょうか。
Posted by 悩める法務部員 at 2006年06月28日 01:05
A1
商業登記は、基本的に、任意に登記することはできないというルールがあります。
したがって、社外取締役を要件とする法的効果が何もない会社が、社外取締役を任意に登記することはできません。

Q2
株式の譲渡制限に関する規定について質問させてください。
創立総会で全部の株式の内容として当該規定を設定した場合、会社法73条に規定がない以上、設立時株主は設立時発行株式の引受けに係る意思表示を取り消すことはできないのでしょうか。もしできないのであれば、種類創立総会においてある種類の株式について設定した場合には取り消すことができる旨の会社法100条との趣旨の違いをお教え下さい。よろしくお願い致します。
Posted by W at 2006年06月28日 20:38
A2
条文がない以上、譲渡制限を規定した場合でも、意思表示を取り消すことはできません。
本来、取り消すことができていいと思いますが、そこは大人の事情でそういうことになっているものであり、会社法100条との趣旨の違いと言われても、違いという違いはありません。

Q3
①定款に設立時発行株式総数も発起人引受株式数も載せないで良いなら、発起設立か募集設立かは定款作成後に決めることも可能なのでしょうか?
②設立時発行株式の払込金額が発起人と引受人(複数回募集した場合は回数ごとの引受人間でも)とで異なっても構わないのでしょうか?
③設立時に資本準備金を計上しない場合、32条1項3号の「成立後の株式会社の資本金及び資本準備金の額に関する事項」というのは特に決定する必要はなく、結果的に払い込まれた金額を資本金として計上すれば足りるのでしょうか?
法務省HP上で公開されている申請書例の添付書類を眺めるとどこにも記載がないものですから。
Posted by chigmog at 2006年06月28日 20:53
A3
①発起設立か、募集設立かを定款作成後に決めることもできます。
②58条3項が、募集ごとの均等を要請していることからすれば、募集ごとに払込金額が異なることは許容されていると思います。ただし、不合理な差別的取扱いをすれば、発起人の引受人に対する損害賠償責任の問題は生じうるでしょう。
③ 32条1項は「定めようとするとき」の規定ですから、定めなくてもよいです。

Q4
 今日は,登記による悪意擬制(908条1項)と表見代表取締役(354条)の関係について(『100問』281頁),お伺いします。
 本問は,代表取締役としての登記がないAが,「常務取締役」との肩書きを附されていた事案なのですが,このように,代表取締役としての登記がない場合について,908条1項と354条の優先関係というのが問題になるのでしょうか?
 『100問』には,「取引の相手方は登記簿を見れば行為者の代表権の有無を知りうるはず」とあるのですが,代表取締役としての登記がない場合に,その者に代表権がないということを公示しているというのは,908条1項の文言から離れているような気がするのですが。
Posted by ボン at 2006年06月28日 21:01
A4
908条1項前段は、「登記すべき事項は、登記の後でなければ、これをもって善意の第三者に対抗することができない」と規定しています。ご指摘の箇所は、Aが、代表取締役として登記されていない場合についての答えですので、Aが代表取締役であるということについての悪意擬制は生じません。
 しかし会社には必ず代表取締役がいるので、例えば、「代表取締役 葉玉匡美」という登記がされているはずであり、908条1項によれば、相手方乙は「代表取締役は葉玉匡美である」ということについての悪意擬制が生じます。
 問題は、この悪意擬制をどのように評価するかです。
 「葉玉が代表取締役であることと、Aが代表取締役であることは、両立することができる事実であるから、当該悪意擬制は、表見代表取締役の正否とは、全く無関係である」という論理もありうると思いますし、ボンさんは、そのようなお考えなのかもしれません。
 これに対し、「この会社の代表取締役は葉玉だけだという悪意擬制が生ずるから、その反面で代表取締役として登記もされていないAが代表取締役ではないということについても悪意が擬制される(又はその事実が推認される)」という論理もあります。
 そこで、そのような論理を前提とした場合であっても、表見代表取締役との関係では、908条1項は適用されない、ということを明らかにするために、100問は、その論点を書いています。

新設会社の本店所在場所

 新設型組織再編の手続きは、旧法では、通常の設立手続との関係がよく分からなかったのですが、会社法では
 原則として、設立手続の規定が適用されるが、組織再編の特殊性から、一部適用除外規定を置く
という整理をしています(千問Q951)。

 ところが、実際に条文を読んでみると、新設型組織再編で、適用除外された規定で実現されている行為を、発起人の代わりに誰がやるんだ?と疑問が沸く部分があり、例えば、設立時代表取締役については、千問Q952で解答しているところです。

 これとよく似た問題について、「こまった」さんから、次のような質問がありました。

「共同新設会社分割の分割計画について質問します。
会社法763条では、分割計画で本店所在地を定めなければならないと規定していますが、本店所在場所の決定は求めていません。これは、普通の会社設立の場合に、本店所在場所は定款に規定するのではなく、発起人が決議するというのに対応しているのだと理解しています。
ところが、新設分割では発起人がいません。そのため、分割計画で規定しないと、分割設立会社の本店所在場所が決められないため、設立登記ができません。新設分割の場合には、本店所在場所が、法令に記載のない隠し必要的記載事項になっているのでしょうか。それとも、こういう場合には、設立時取締役(無理?)とか分割会社(分割計画の作成者)の代表取締役が発起人に代わって分割設立会社の本店所在場所を決定することができると解釈するべきでしょうか。」

 通常の設立手続においては、定款では本店所在「地」を決め、本店所在「場所」は、原則として発起人の過半数で決めます。
 これに対し、新設分割には、適用除外規定により、設立事務を行う権限を有する発起人がいないので、その方法を採ることができません。
 しかし、発起人の規定を除外がしているのは、発起人の代わりに分割会社が設立事務を行うからであり、本店所在場所の決定も、分割会社が行うことになります。
 
 では、分割会社は、どのようにして本店所在場所を決定するのでしょうか?

 分割会社が、新設会社の設立事務として定めるべきことは、分割計画によって決定されるのが通常ですから、本店所在場所も、分割計画によって定めることができます。

 また、一般的に、定款によって本店所在場所を定めることも許容されていますから、分割契約によって定める定款の内容として、本店所在場所を定めることもできます。

 さらに、本店所在場所自体は、分割計画の必要的記載事項でも、定款の必要的記載事項でもないので、例えば、共同新設分割の場合には、分割会社全部の合意によって、本店所在場所を定めることもできます。
 なお、発起人の場合には、過半数で決めることができるのですが、共同新設分割の場合、各分割会社に不測の事態を生じさせないようにするため、分割会社全部の合意によって定めなければならないものと解されますので、その点は注意してください。

 以上のような方法により、新設会社の設立登記をすることは可能ですので、ご安心ください。

 それから、「設立時取締役」は、通常の設立手続きでも、設立手続の調査以外のことはやれないので、新設分割の場合も、本店所在場所を決定することはできません。

(質問コーナー)
Q1
当社は定時株主総会で社外取締役を選任しました。責任限度の契約締結はありませんし、当社は委員会設置会社ではありませんし、特別取締役の選定もありません。
社外取締役の登記申請をしようとしたところ、司法書士が「社外取締役、社外監査役ともに会社法911条の各号に該当しない場合には登記できない」と連絡してきました。地元の法務局が本省に確認した結果だそうです。
千問の道標や最近のブログでのご説明から「この場合の社外取締役の登記は義務ではない。つまり会社が登記しようとすれば登記できる。」と理解していました。そうではなく「登記できない。」ということでしょうか。
Posted by 悩める法務部員 at 2006年06月28日 01:05
A1
商業登記は、基本的に、任意に登記することはできないというルールがあります。
したがって、社外取締役を要件とする法的効果が何もない会社が、社外取締役を任意に登記することはできません。

Q2
株式の譲渡制限に関する規定について質問させてください。
創立総会で全部の株式の内容として当該規定を設定した場合、会社法73条に規定がない以上、設立時株主は設立時発行株式の引受けに係る意思表示を取り消すことはできないのでしょうか。もしできないのであれば、種類創立総会においてある種類の株式について設定した場合には取り消すことができる旨の会社法100条との趣旨の違いをお教え下さい。よろしくお願い致します。
Posted by W at 2006年06月28日 20:38
A2
条文がない以上、譲渡制限を規定した場合でも、意思表示を取り消すことはできません。
本来、取り消すことができていいと思いますが、そこは大人の事情でそういうことになっているものであり、会社法100条との趣旨の違いと言われても、違いという違いはありません。

Q3
①定款に設立時発行株式総数も発起人引受株式数も載せないで良いなら、発起設立か募集設立かは定款作成後に決めることも可能なのでしょうか?
②設立時発行株式の払込金額が発起人と引受人(複数回募集した場合は回数ごとの引受人間でも)とで異なっても構わないのでしょうか?
③設立時に資本準備金を計上しない場合、32条1項3号の「成立後の株式会社の資本金及び資本準備金の額に関する事項」というのは特に決定する必要はなく、結果的に払い込まれた金額を資本金として計上すれば足りるのでしょうか?
法務省HP上で公開されている申請書例の添付書類を眺めるとどこにも記載がないものですから。
Posted by chigmog at 2006年06月28日 20:53
A3
①発起設立か、募集設立かを定款作成後に決めることもできます。
②58条3項が、募集ごとの均等を要請していることからすれば、募集ごとに払込金額が異なることは許容されていると思います。ただし、不合理な差別的取扱いをすれば、発起人の引受人に対する損害賠償責任の問題は生じうるでしょう。
③ 32条1項は「定めようとするとき」の規定ですから、定めなくてもよいです。

Q4
 今日は,登記による悪意擬制(908条1項)と表見代表取締役(354条)の関係について(『100問』281頁),お伺いします。
 本問は,代表取締役としての登記がないAが,「常務取締役」との肩書きを附されていた事案なのですが,このように,代表取締役としての登記がない場合について,908条1項と354条の優先関係というのが問題になるのでしょうか?
 『100問』には,「取引の相手方は登記簿を見れば行為者の代表権の有無を知りうるはず」とあるのですが,代表取締役としての登記がない場合に,その者に代表権がないということを公示しているというのは,908条1項の文言から離れているような気がするのですが。
Posted by ボン at 2006年06月28日 21:01
A4
908条1項前段は、「登記すべき事項は、登記の後でなければ、これをもって善意の第三者に対抗することができない」と規定しています。ご指摘の箇所は、Aが、代表取締役として登記されていない場合についての答えですので、Aが代表取締役であるということについての悪意擬制は生じません。
 しかし会社には必ず代表取締役がいるので、例えば、「代表取締役 葉玉匡美」という登記がされているはずであり、908条1項によれば、相手方乙は「代表取締役は葉玉匡美である」ということについての悪意擬制が生じます。
 問題は、この悪意擬制をどのように評価するかです。
 「葉玉が代表取締役であることと、Aが代表取締役であることは、両立することができる事実であるから、当該悪意擬制は、表見代表取締役の正否とは、全く無関係である」という論理もありうると思いますし、ボンさんは、そのようなお考えなのかもしれません。
 これに対し、「この会社の代表取締役は葉玉だけだという悪意擬制が生ずるから、その反面で代表取締役として登記もされていないAが代表取締役ではないということについても悪意が擬制される(又はその事実が推認される)」という論理もあります。
 そこで、そのような論理を前提とした場合であっても、表見代表取締役との関係では、908条1項は適用されない、ということを明らかにするために、100問は、その論点を書いています。

2006年6月27日 (火)

金太郎飴

  法学徒さんから、新司法試験(論文)に向けての「法的思考力の身に付け方」について記事を書いてくださいというご依頼がありました。

 「法的思考力の身につけ方」を教えてくれと言われれば
  「会社法100問の末尾に書かれている勉強法をやれよ。」
と,冷たく突き放すのが一番簡単です(笑)。

 また、このブログでも、「論文試験は、問いを見つける試験である」という話もしたと思います。

 法学徒さんの言うように、「一部の科目を除いて新司法試験では、受験者がおよそ講義では説明を受けたことのないような法律を出題して受験者の「知識」ではなく「思考力」を問う傾向」があるわけですが、新司法試験に限らず、旧司法試験だって思考力を問う問題は沢山ありました。
 私は、口癖のように「司法試験には、必ず3割は知らない問題が出る」と言うのは、経験上,暗記だけで乗り切れるほど旧試験は甘くないということを分かっていただくためです。

 実務に出れば、見たこともないような事件、見たこともないような法律を担当することが、しょっちゅうあります。
 私なんか、予備校講師後約10年経った後、見たこともないような姿に変わり果てた商法の立案担当のグループに放り込まれたという悲惨な経歴があります(笑)。きっと、次の会社法担当者となる検事が来たら、同じ感想をもつことでしょう。その検事にとっては大惨事といっていいかもしれませんが。

しかし,それでも何とかするのが法曹というものであり,こうした初見の問題に対応できる能力を持つ者を選抜するために,旧試験も新試験も,現場における法的思考力を試し続けけているのだと思います。

 ところで,法的思考力とは、オウムと、キリンと、サイの力のことです(笑)。

 それで、そうした理解を前提に
 「試験中に法的思考力を発揮するために、どのような訓練をしたらよいか」
という話をします。

 法的思考力を身につけるにはいろいろな方法がありますが,「試験中に」という要件が加わることにより
1 時間が短時間に限定される
2 資料が六法に限定される
3 複数の科目について同一時期に試験が実施される
4 少数の試験委員が採点する
という特殊事情が生じます。

 本当の意味で、受験生に法的思考力があるかどうかを調べるというのであれば、学者の先生が論文を書くのと同じように、又は、最高裁判所の裁判官が憲法判断を書くのと同じように、限られたテーマについて,十分な時間を与え、自由に資料を利用させ、他の人と意見交換をさせた上で、論文を書かせ、幅広い層の専門家からその論文を評価させるべきでしょう。

 しかし、新司法試験は、その高邁な思想とは裏腹に、やっぱり「試験」なのであり、その思想を曲げざるを得ない試験特有の制約を受けざるをえません。
 これは、試験を実施する方も、受ける方も、教育する方も、意識しなければならないことであり、どんなにロースクールの授業が素晴らしかろうと、新司法試験の問題が考えさせる問題になろうとも,新司法試験の答案が、佐藤幸治先生の論文のように素晴らしいものになることは絶対にありえません。

 また,勘違いをした人が、「予備校教育は、お手本を覚えさせる暗記教育であり、そこからは金太郎飴答案しか出てこない」という批判をすることがありますが,適切な初等科法学教育が成功した場合,丸覚えを強制するかどうかにかかわらず,受験生の答案は,必ず「金太郎飴答案」になります。

 「金太郎飴答案」とは,どの受験生の答案を見ても,同じようなことが同じような表現で書かれていることを揶揄する表現ですが,実務に出ればすぐわかるとおり,世の中には,「金太郎飴判決」「金太郎飴論告」「金太郎飴弁論」「金太郎飴準備書面」が溢れており,それは,判決・論告・弁論・準備書面等の品質を一定限度以下に落とさないという意味では,それほど悪いことではありません。

 金太郎飴答案になるような教育を施すことが馬鹿げているというのであれば、研修所でやる要件事実教育は、馬鹿の局地みたいなものです。
 また、判決の起案の手引も馬鹿げているし、起訴状や論告、準備書面、判決等について、過去の類似事例のものを調べて、それを下敷きに書類を作成しするというのも,本当に馬鹿げたことをやっているということになります。

 ついでにいうと,学者が書いた本や論文なども,知ってか知らずか,他の先生が書いた本や論文の表現をそのまま自分の表現として使っているものもあり,そういう本や論文も,金太郎飴基本書,金太郎飴論文として,揶揄の対象となるのでしょう。実際,私は、金太郎飴答案と受験生を批判する方のある本を読んだところ、その本の記載の中に,その方の先生の基本書の表現を丸写しした部分があり、唖然としたことがありました。

 ただ,私が言いたいことは,「金太郎飴」が駄目だということではありません。

 毎年1000人〜3000人も合格するような試験で,その合格者のすべてが,すべての問題で,オリジナルな考えを述べることなど期待する方がおかしいのであって,それぞれの科目で,上位5%程度の受験生が素晴らしいオリジナルな表現を使うかも知れませんが,残りの合格レベルの答案は,必ず「金太郎飴」になると思います。
 合格者の答案が金太郎飴にならない場合があるとすれば,それは,何の法的知識もない受験生だけに受験させ,法的には極めて低いレベルで合格者が生まれる場合だけです。

 金太郎飴が基本的なことについて人並みのことが書かれている答案だとすれば,普通の受験生は,金太郎飴になることを恐れる必要はなく,むしろ,どんな科目,どんな問題でも,最低,金太郎飴くらいは書ける実力を身につける必要があります。
 また,教える方も,「金太郎飴憎し」で基本的なことをきちんと表現できる訓練をおろそかにするような教育をしないようにきをつけなければいけません。

 前にも言いましたが,過去の知恵・過去の資料を引用することは、馬鹿なことではありません。むしろ、重要な過去の知恵・過去の資料を,きちんと理解して、覚えることは、法律家としての最低限の能力なのです。
 じっくりと判例を読み、いろいろな資料を調べ、オリジナリティーあふれる判例評釈を書くことは、有益な点もありますが、合格レベルのある人に、1年間そればかりやれと命じて、本当にそれをやらせると、「試験」という環境の中で法的思考力を発揮する能力は鈍り、合格が危うくなるだろうというのが、私の率直な感想です。

 その一方で、受験生が忘れてはいけないことは、すべてを「丸暗記」することは不可能であるだけでなく、応用力が身に付かないという意味で害が多いということです。
 覚えるべき知識を絞り込み、それを繰り返し検証することで、知識の確実度が増します。
 丸暗記は非効率であるだけでなく,不確実です。

 また,絞り込んだ知識を、自分の身の丈にあった表現に加工して,いつでも自分の引き出しから出せるようにしておくことも大事です。自分の表現ならば,現場でひねりのきいた問題が出されても,自分なりにその表現を変化させることができます。

 こうした基本的なスタンスを前提に,限られた条件の中で法的思考力を発揮するため必要なことは
1 限られた時間の中で、事例分析と、その論証を行う能力を身につける。そのためには、
(1)沢山の事例問題の答案構成をすることにより、自分なりの事例分析チャートを確立しておく。
(2)事例に、条文の文言を一つ一つ当てはめるクセをつけておく。
(3)自分の意見を短く書ききることができるように、自分の論証パターンを確立しておく。
(4)典型的な論点については、キーワード、結論を確実に書けるように訓練しておく。
(5)見たことのない論点について、条文の趣旨から条文の文言を解釈するというくせをつけておく。

2 限られた資料(六法)を最大限に活用するため、条文を引いてくる力を身につけ、条文を見れば、その趣旨を説明できるようにする。

3 すべての科目について,バランスよく,かつ,統一的な方法でマスターしていく

4 どんな試験委員に当たっても評価が割れないようにするため、最終的にどんな結論を採ろうとも、判例・通説を理解していることを示す。そのために,判例・通説をしっかりと理解する。

という当たり前のことをやりましょう。

会社法100問は,以上の教育哲学に基づき
1 緻密に問題を分析する
2 どんなささないな論点でも条文からゼロベースで論ずる
3 キーワードを強調する
4 条文の趣旨を詳しく書く
5 会社法での変更点を除き,判例・通説の結論を採る
という発想で長大な答案を書いています。

(質問コーナー)
Q1
大会社であるか否かの判断における「最終の事業年度に係る貸借対照表」(会社法第2条第6号イ)と会社法第2条第24号に規定する「最終の事業年度」に係る貸借対照表とは微妙に異なるように思われます。後者では、会社法第439条前段に規定する場合には、第436条第3項の取締役会の承認を受けると、定時株主総会に報告される前であっても当該貸借対照表が「最終の事業年度に係る貸借対照表」となると解されるからです。有価証券報告書提出会社において、会社法第439条前段に規定する場合に、第436条第3項の取締役会の承認を受けた後、有価証券報告書を提出するまでの間に、合併公告等を行う際に、この「最終の事業年度」(会社法施行規則第199条、同第2条第3項第9号イ)の判断を誤って公告を行っていると思われる例があるのですが・・。
Posted by 内藤卓 at 2006年06月25日 23:56
A1
内藤さんのおっしゃるように、2条6号と2条24号の定義を見ていただければ、役会の承認で貸借対照表を確定する場合には、報告時を基準とするか、承認時を基準とするかという違いはあります。貸借対照表の確定自体は、439条前段の場合には、役会の承認時ですが、大会社になるかどうかは、定時総会で判断しないと、期の途中で会計監査人設置義務が生じたりすることになってしまいますから、そのような定義が置かれています。

Q2
取得条項付種類株式の対価として株式を交付する際に、その交付は財源規制が適用されるのでしょうか?
166条を見てて、107条2項2号ロ〜ホには株式が上げられていないと思うのですが。。
Posted by はんなり at 2006年06月26日 00:36
A2
会社が、自己の株式を交付しても、資産が流出することはないので、財源規制は用意されていません。新株発行のときに財源規制がかからないのと同じです。

Q3
会社法427条の責任限定契約について確認させてください。
427条2項に規定する「当該契約は、将来に向かってその効力を失う。」とは、責任限定契約を締結していた社外監査役が退任後に代表訴訟を提起された場合、その原因となる事由が社外監査役在任中の事象にある場合は責任限定契約の効力が及び、社外監査役の地位を失ったのち(346条1項の場合は、退任事由が発生し、後任者が選任されるまでの期間を含む。)の事由の場合は効力が及ばないとの解釈で問題ないでしょうか。(何の疑いもなく、このように解釈するものだと思っていたのですが、限定契約に「社外監査役について、監査役の退任事由が生じたときは、本契約は将来に向かってその効力を失う。」との規定を記載したところ、上記のようには読めないと言われる監査役が出てきましたもので。。)
Posted by 日本語は難しい at 2006年06月26日 09:51
A3
おっしゃるとおりです。
社外性を失う前の責任については、責任限定契約の効力は及んでいます。

Q4
役員の責任限定をする場合の、最低責任限度額における退職慰労金等の取扱いについてご教授願います。
会社法施行規則113条2号は、役員の退職慰労金等の額をその職についていた年数で除すことが原則となっているようですが、同号ロの括弧書では、次に定める数がその年数を超える場合には当該数で除すことになるとされています。とすると、例えば10年間代表取締役であったものが、この間報酬を一切受けることなく、6000万円の退職慰労金等のみを受けた場合には、6000万円÷6=1000万円が会社法425条1項1号の法務省令で定める額となると考えます。これに会社法425条1項1号イに規定された「6」を乗じて、最低責任限度額は6000万円になると思います。これに対して、旧商法では、266条7項2号(及び同条17項)で6000万円か6000万円÷10×6=3600万円の低いほうになりますので、責任限度額は3600万円となると思います。
商事法務1761号21頁では、実質的な規律の内容は商法と変わるところがないと解説されていますが、最低責任限度額が6000万円となるか3600万円となるかでは、規定の内容が大きく変わってしまっているとおもいます。私の会社法施行規則の解釈どの部分が誤っているのでしょうか?ご教授願います。
Posted by 法務課員 at 2006年06月26日 16:05
A4
代表取締役の在職を例にとると、施行規則113条2号ロは
 原則 在職年数
 例外 次に定める数(6)> 在職年数 の場合には、6
ですよね。
 在職年数が10年の場合、例外要件である「6 > 在職年数」を充たしませんので、原則である「10」になります。ここに法務課員さんの勘違いがあるようです。
 したがって、6000万円÷10×6=3600万円で現行法と同じですね。

Q5
自己株式を取得できる場合について、「155条で12号まであげて」、「13号(その他)を施行規則で8つ」、と2つに分けたのは、何か理由のようなものがあるのでしょうか?印刷すると1頁で収まるので、長いからではないのだなとおもいますが…
Posted by 江崎一恵 at 2006年06月26日 18:30
A5
法律上、必ず自己株式の取得を認めるべき場合(例えば、旧商法でも認められていた自己株式の取得や制度上当然に自己株式の取得を認めざるを得ない場合)については、法律で規定し、そうでないものは省令で規定しています。

Q6
363条1項1号で「業務を執行する取締役として選定されたもの」は「受諾すること」が必要なのでしょうか?
改正前は「指名され,受諾したもの」となっていたと思います。ご教示賜りたくお願い申し上げます。
Posted by 短答式が終わってもうすぐ48歳 at 2006年06月26日 18:49
A6
取締役として当初締結した委任契約の内容から変化が生ずる場合には、受諾は必要です。

Q7
事業譲渡の際の株主総会と反対株主の株式買取請求の関係ですが、
 一説①株主総会
   ②その後20日間
   ③効力発生日
が必要なのか(旧商法245条ノ3はそう読めます)、
 二説①事業譲渡等をする旨の通知
   ②株主総会
   ③効力発生日 
で、①と③の間に20日間あれば足りるのか
Posted by 手続奴隷 at 2006年06月27日 01:16
A7
 後者です。通知を総会の後にしてもいいですが。千問Q892

Q8
会社分割の効力発生日の変更にかかる公告の有無についてご教授ください。
会社法第789条第2項・第799条第2項により、吸収分割の分割公告においては分割の効力発生日は、公告の必須事項ではなくなっているところ、効力発生日を公告していなかった会社でも、それを変更する決議をおこなった場合においては、会社法第790条第2項の「変更後の効力発生日」についての公告義務が生じることとなると思うのですが、いかがでしょうか?
当初は、元々効力発生日の公告をしていない会社にあっては、不要ではないかと思っていたのですが、第790条1項によって、分割期日の変更は業務執行機関の決定と代表者間の合意で足りる(代表者へ決定の委任も可)となっており、効力発生日の変更のための株主総会決議は要しないものとされていることと、効力発生日が利害関係人に大きな影響を与えることへの配慮のため、第790条2項の定めがなされたとの解釈でよろしいでしょうか?
Posted by 法務部員1 at 2006年06月27日 02:03

A8
効力発生日の変更は、債権者保護手続の対象となる債権者のためだけではなく、分割会社の債権者がどちらの会社に債権を請求すべきかにも影響しますし,分割会社や承継会社の株主・債務者に対する告知の意味もありますから,公告を要求しているものです。

Q9
当社では、取引先から社外監査役を出してくれるよう依頼されており、これに対して当社執行役員をその任に充てることとしました。ところでその報酬ですが、世間一般の社外役員としては平均的でしょうが、それが単純に当該執行役員の収入に上乗せされると大変大きな副収入となります。
このため、その報酬は会社に振り込んでもらい、当該執行役員には執行役員報酬のみ支払う(要は会社が社外監査役報酬を受け取る)こととしたいと考えます。
このような取扱は会社としても好ましいものと考えているわけではありませんが、無報酬にすることは相手方から「株主から責任を持って任に当たっていない等と批判されかねないので」と断られており、一方本人に支給するのも上述のとおり、他の執行役員・従業員との関連で取れない選択肢です。
この上でご相談は、このような取扱には法的にどのような問題が生じるでしょうか?
○会社収入は不当利得か?
○当該執行役員が相手方会社で423条の責任を負わされたとき、(本人が賠償するにせよ)その分を実質報酬取得者である会社がその損害を補填することは可能か?等です。
Posted by カシワ at 2006年06月27日 09:15
A9
 会社は,社外監査役ではありませんから,社外監査役報酬を受け取ることはできません。
 しかし,報酬を振り込んだ取引先と会社との間に「報酬相当額の金銭」を支払う旨の約束がされているのでしょうから,どのような行為に対する対価なのかという点によって契約の性質は異なるものの,不当利得にはならないものと思います。
 自社の使用人が出向先の社外監査役として任務懈怠責任を負った場合に,会社が,使用人に対して賠償額相当の金銭を支払うということは,少なくとも使用人に対する報酬の支払いとしてはできるでしょうね。
 税の問題を含め,もう少し法的な詰めをして実行した方がよいと思いますが,それは弁護士さんと相談すべきことだと思います。

Q10
 定款の絶対的記載事項についてです。法27条に定められている5つの事項は、会社設立のときだけでなく、常に絶対的に記載を要する事項だという理解は、誤りでしょうか?(というのは、発起人氏名などが記載されていない現行の定款をしばしば目にするからです。)
Posted by semi初学者 at 2006年06月27日 15:58
A10
 定款の記載事項には,効力を有するルールを記載するものと,事実を記載することにより,その事実を要件とする法的効果を生じさせるためのものとあります。
 争いはありますが,前者は,ルールとしての効力が完全に失われた場合には,定款としての効力も失われ(例えば,商法の改正により,その定めの効力が失われた場合),後者は,その事実を要件とする法的効果が消滅する等その事実を記載することについて法的意味が完全に失われた場合には,やはり定款の記載事項ではなくなると考えるのではないかと思います。
 発起人の氏名や変態設立事項について記載されていない定款は,そういう考え方をベースに記載を削除したのではないかと思います。

Q11
取得条項付種類株式について質問させてください。
取得条項付株式の一部を取得する場合又は会社が別に定めた日を取得事由としている場合は、取得条項付株式の株主(及び質権者、以下同じ)に通知又は公告が必要です(168・169)。この通知又は公告は効力発生日の2週間前までに必要(170)とのことですが、当該通知又は公告期間は通知を受ける取得条項付株式の株主全員の同意があれば短縮することは可能でしょうか。通知を受ける権利を有する者全員の同意があれば短縮できるように思えるのですがいかがでしょう。
Posted by こっこ at 2006年06月27日 18:15
A11
 通知・公告の省略問題は,デリケートな問題であり,原則としてはできないものだと考えた方が安全です。

金太郎飴

  法学徒さんから、新司法試験(論文)に向けての「法的思考力の身に付け方」について記事を書いてくださいというご依頼がありました。

 「法的思考力の身につけ方」を教えてくれと言われれば
  「会社法100問の末尾に書かれている勉強法をやれよ。」
と,冷たく突き放すのが一番簡単です(笑)。

 また、このブログでも、「論文試験は、問いを見つける試験である」という話もしたと思います。

 法学徒さんの言うように、「一部の科目を除いて新司法試験では、受験者がおよそ講義では説明を受けたことのないような法律を出題して受験者の「知識」ではなく「思考力」を問う傾向」があるわけですが、新司法試験に限らず、旧司法試験だって思考力を問う問題は沢山ありました。
 私は、口癖のように「司法試験には、必ず3割は知らない問題が出る」と言うのは、経験上,暗記だけで乗り切れるほど旧試験は甘くないということを分かっていただくためです。

 実務に出れば、見たこともないような事件、見たこともないような法律を担当することが、しょっちゅうあります。
 私なんか、予備校講師後約10年経った後、見たこともないような姿に変わり果てた商法の立案担当のグループに放り込まれたという悲惨な経歴があります(笑)。きっと、次の会社法担当者となる検事が来たら、同じ感想をもつことでしょう。その検事にとっては大惨事といっていいかもしれませんが。

しかし,それでも何とかするのが法曹というものであり,こうした初見の問題に対応できる能力を持つ者を選抜するために,旧試験も新試験も,現場における法的思考力を試し続けけているのだと思います。

 ところで,法的思考力とは、オウムと、キリンと、サイの力のことです(笑)。

 それで、そうした理解を前提に
 「試験中に法的思考力を発揮するために、どのような訓練をしたらよいか」
という話をします。

 法的思考力を身につけるにはいろいろな方法がありますが,「試験中に」という要件が加わることにより
1 時間が短時間に限定される
2 資料が六法に限定される
3 複数の科目について同一時期に試験が実施される
4 少数の試験委員が採点する
という特殊事情が生じます。

 本当の意味で、受験生に法的思考力があるかどうかを調べるというのであれば、学者の先生が論文を書くのと同じように、又は、最高裁判所の裁判官が憲法判断を書くのと同じように、限られたテーマについて,十分な時間を与え、自由に資料を利用させ、他の人と意見交換をさせた上で、論文を書かせ、幅広い層の専門家からその論文を評価させるべきでしょう。

 しかし、新司法試験は、その高邁な思想とは裏腹に、やっぱり「試験」なのであり、その思想を曲げざるを得ない試験特有の制約を受けざるをえません。
 これは、試験を実施する方も、受ける方も、教育する方も、意識しなければならないことであり、どんなにロースクールの授業が素晴らしかろうと、新司法試験の問題が考えさせる問題になろうとも,新司法試験の答案が、佐藤幸治先生の論文のように素晴らしいものになることは絶対にありえません。

 また,勘違いをした人が、「予備校教育は、お手本を覚えさせる暗記教育であり、そこからは金太郎飴答案しか出てこない」という批判をすることがありますが,適切な初等科法学教育が成功した場合,丸覚えを強制するかどうかにかかわらず,受験生の答案は,必ず「金太郎飴答案」になります。

 「金太郎飴答案」とは,どの受験生の答案を見ても,同じようなことが同じような表現で書かれていることを揶揄する表現ですが,実務に出ればすぐわかるとおり,世の中には,「金太郎飴判決」「金太郎飴論告」「金太郎飴弁論」「金太郎飴準備書面」が溢れており,それは,判決・論告・弁論・準備書面等の品質を一定限度以下に落とさないという意味では,それほど悪いことではありません。

 金太郎飴答案になるような教育を施すことが馬鹿げているというのであれば、研修所でやる要件事実教育は、馬鹿の局地みたいなものです。
 また、判決の起案の手引も馬鹿げているし、起訴状や論告、準備書面、判決等について、過去の類似事例のものを調べて、それを下敷きに書類を作成しするというのも,本当に馬鹿げたことをやっているということになります。

 ついでにいうと,学者が書いた本や論文なども,知ってか知らずか,他の先生が書いた本や論文の表現をそのまま自分の表現として使っているものもあり,そういう本や論文も,金太郎飴基本書,金太郎飴論文として,揶揄の対象となるのでしょう。実際,私は、金太郎飴答案と受験生を批判する方のある本を読んだところ、その本の記載の中に,その方の先生の基本書の表現を丸写しした部分があり、唖然としたことがありました。

 ただ,私が言いたいことは,「金太郎飴」が駄目だということではありません。

 毎年1000人〜3000人も合格するような試験で,その合格者のすべてが,すべての問題で,オリジナルな考えを述べることなど期待する方がおかしいのであって,それぞれの科目で,上位5%程度の受験生が素晴らしいオリジナルな表現を使うかも知れませんが,残りの合格レベルの答案は,必ず「金太郎飴」になると思います。
 合格者の答案が金太郎飴にならない場合があるとすれば,それは,何の法的知識もない受験生だけに受験させ,法的には極めて低いレベルで合格者が生まれる場合だけです。

 金太郎飴が基本的なことについて人並みのことが書かれている答案だとすれば,普通の受験生は,金太郎飴になることを恐れる必要はなく,むしろ,どんな科目,どんな問題でも,最低,金太郎飴くらいは書ける実力を身につける必要があります。
 また,教える方も,「金太郎飴憎し」で基本的なことをきちんと表現できる訓練をおろそかにするような教育をしないようにきをつけなければいけません。

 前にも言いましたが,過去の知恵・過去の資料を引用することは、馬鹿なことではありません。むしろ、重要な過去の知恵・過去の資料を,きちんと理解して、覚えることは、法律家としての最低限の能力なのです。
 じっくりと判例を読み、いろいろな資料を調べ、オリジナリティーあふれる判例評釈を書くことは、有益な点もありますが、合格レベルのある人に、1年間そればかりやれと命じて、本当にそれをやらせると、「試験」という環境の中で法的思考力を発揮する能力は鈍り、合格が危うくなるだろうというのが、私の率直な感想です。

 その一方で、受験生が忘れてはいけないことは、すべてを「丸暗記」することは不可能であるだけでなく、応用力が身に付かないという意味で害が多いということです。
 覚えるべき知識を絞り込み、それを繰り返し検証することで、知識の確実度が増します。
 丸暗記は非効率であるだけでなく,不確実です。

 また,絞り込んだ知識を、自分の身の丈にあった表現に加工して,いつでも自分の引き出しから出せるようにしておくことも大事です。自分の表現ならば,現場でひねりのきいた問題が出されても,自分なりにその表現を変化させることができます。

 こうした基本的なスタンスを前提に,限られた条件の中で法的思考力を発揮するため必要なことは
1 限られた時間の中で、事例分析と、その論証を行う能力を身につける。そのためには、
(1)沢山の事例問題の答案構成をすることにより、自分なりの事例分析チャートを確立しておく。
(2)事例に、条文の文言を一つ一つ当てはめるクセをつけておく。
(3)自分の意見を短く書ききることができるように、自分の論証パターンを確立しておく。
(4)典型的な論点については、キーワード、結論を確実に書けるように訓練しておく。
(5)見たことのない論点について、条文の趣旨から条文の文言を解釈するというくせをつけておく。

2 限られた資料(六法)を最大限に活用するため、条文を引いてくる力を身につけ、条文を見れば、その趣旨を説明できるようにする。

3 すべての科目について,バランスよく,かつ,統一的な方法でマスターしていく

4 どんな試験委員に当たっても評価が割れないようにするため、最終的にどんな結論を採ろうとも、判例・通説を理解していることを示す。そのために,判例・通説をしっかりと理解する。

という当たり前のことをやりましょう。

会社法100問は,以上の教育哲学に基づき
1 緻密に問題を分析する
2 どんなささないな論点でも条文からゼロベースで論ずる
3 キーワードを強調する
4 条文の趣旨を詳しく書く
5 会社法での変更点を除き,判例・通説の結論を採る
という発想で長大な答案を書いています。

(質問コーナー)
Q1
大会社であるか否かの判断における「最終の事業年度に係る貸借対照表」(会社法第2条第6号イ)と会社法第2条第24号に規定する「最終の事業年度」に係る貸借対照表とは微妙に異なるように思われます。後者では、会社法第439条前段に規定する場合には、第436条第3項の取締役会の承認を受けると、定時株主総会に報告される前であっても当該貸借対照表が「最終の事業年度に係る貸借対照表」となると解されるからです。有価証券報告書提出会社において、会社法第439条前段に規定する場合に、第436条第3項の取締役会の承認を受けた後、有価証券報告書を提出するまでの間に、合併公告等を行う際に、この「最終の事業年度」(会社法施行規則第199条、同第2条第3項第9号イ)の判断を誤って公告を行っていると思われる例があるのですが・・。
Posted by 内藤卓 at 2006年06月25日 23:56
A1
内藤さんのおっしゃるように、2条6号と2条24号の定義を見ていただければ、役会の承認で貸借対照表を確定する場合には、報告時を基準とするか、承認時を基準とするかという違いはあります。貸借対照表の確定自体は、439条前段の場合には、役会の承認時ですが、大会社になるかどうかは、定時総会で判断しないと、期の途中で会計監査人設置義務が生じたりすることになってしまいますから、そのような定義が置かれています。

Q2
取得条項付種類株式の対価として株式を交付する際に、その交付は財源規制が適用されるのでしょうか?
166条を見てて、107条2項2号ロ〜ホには株式が上げられていないと思うのですが。。
Posted by はんなり at 2006年06月26日 00:36
A2
会社が、自己の株式を交付しても、資産が流出することはないので、財源規制は用意されていません。新株発行のときに財源規制がかからないのと同じです。

Q3
会社法427条の責任限定契約について確認させてください。
427条2項に規定する「当該契約は、将来に向かってその効力を失う。」とは、責任限定契約を締結していた社外監査役が退任後に代表訴訟を提起された場合、その原因となる事由が社外監査役在任中の事象にある場合は責任限定契約の効力が及び、社外監査役の地位を失ったのち(346条1項の場合は、退任事由が発生し、後任者が選任されるまでの期間を含む。)の事由の場合は効力が及ばないとの解釈で問題ないでしょうか。(何の疑いもなく、このように解釈するものだと思っていたのですが、限定契約に「社外監査役について、監査役の退任事由が生じたときは、本契約は将来に向かってその効力を失う。」との規定を記載したところ、上記のようには読めないと言われる監査役が出てきましたもので。。)
Posted by 日本語は難しい at 2006年06月26日 09:51
A3
おっしゃるとおりです。
社外性を失う前の責任については、責任限定契約の効力は及んでいます。

Q4
役員の責任限定をする場合の、最低責任限度額における退職慰労金等の取扱いについてご教授願います。
会社法施行規則113条2号は、役員の退職慰労金等の額をその職についていた年数で除すことが原則となっているようですが、同号ロの括弧書では、次に定める数がその年数を超える場合には当該数で除すことになるとされています。とすると、例えば10年間代表取締役であったものが、この間報酬を一切受けることなく、6000万円の退職慰労金等のみを受けた場合には、6000万円÷6=1000万円が会社法425条1項1号の法務省令で定める額となると考えます。これに会社法425条1項1号イに規定された「6」を乗じて、最低責任限度額は6000万円になると思います。これに対して、旧商法では、266条7項2号(及び同条17項)で6000万円か6000万円÷10×6=3600万円の低いほうになりますので、責任限度額は3600万円となると思います。
商事法務1761号21頁では、実質的な規律の内容は商法と変わるところがないと解説されていますが、最低責任限度額が6000万円となるか3600万円となるかでは、規定の内容が大きく変わってしまっているとおもいます。私の会社法施行規則の解釈どの部分が誤っているのでしょうか?ご教授願います。
Posted by 法務課員 at 2006年06月26日 16:05
A4
代表取締役の在職を例にとると、施行規則113条2号ロは
 原則 在職年数
 例外 次に定める数(6)> 在職年数 の場合には、6
ですよね。
 在職年数が10年の場合、例外要件である「6 > 在職年数」を充たしませんので、原則である「10」になります。ここに法務課員さんの勘違いがあるようです。
 したがって、6000万円÷10×6=3600万円で現行法と同じですね。

Q5
自己株式を取得できる場合について、「155条で12号まであげて」、「13号(その他)を施行規則で8つ」、と2つに分けたのは、何か理由のようなものがあるのでしょうか?印刷すると1頁で収まるので、長いからではないのだなとおもいますが…
Posted by 江崎一恵 at 2006年06月26日 18:30
A5
法律上、必ず自己株式の取得を認めるべき場合(例えば、旧商法でも認められていた自己株式の取得や制度上当然に自己株式の取得を認めざるを得ない場合)については、法律で規定し、そうでないものは省令で規定しています。

Q6
363条1項1号で「業務を執行する取締役として選定されたもの」は「受諾すること」が必要なのでしょうか?
改正前は「指名され,受諾したもの」となっていたと思います。ご教示賜りたくお願い申し上げます。
Posted by 短答式が終わってもうすぐ48歳 at 2006年06月26日 18:49
A6
取締役として当初締結した委任契約の内容から変化が生ずる場合には、受諾は必要です。

Q7
事業譲渡の際の株主総会と反対株主の株式買取請求の関係ですが、
 一説①株主総会
   ②その後20日間
   ③効力発生日
が必要なのか(旧商法245条ノ3はそう読めます)、
 二説①事業譲渡等をする旨の通知
   ②株主総会
   ③効力発生日 
で、①と③の間に20日間あれば足りるのか
Posted by 手続奴隷 at 2006年06月27日 01:16
A7
 後者です。通知を総会の後にしてもいいですが。千問Q892

Q8
会社分割の効力発生日の変更にかかる公告の有無についてご教授ください。
会社法第789条第2項・第799条第2項により、吸収分割の分割公告においては分割の効力発生日は、公告の必須事項ではなくなっているところ、効力発生日を公告していなかった会社でも、それを変更する決議をおこなった場合においては、会社法第790条第2項の「変更後の効力発生日」についての公告義務が生じることとなると思うのですが、いかがでしょうか?
当初は、元々効力発生日の公告をしていない会社にあっては、不要ではないかと思っていたのですが、第790条1項によって、分割期日の変更は業務執行機関の決定と代表者間の合意で足りる(代表者へ決定の委任も可)となっており、効力発生日の変更のための株主総会決議は要しないものとされていることと、効力発生日が利害関係人に大きな影響を与えることへの配慮のため、第790条2項の定めがなされたとの解釈でよろしいでしょうか?
Posted by 法務部員1 at 2006年06月27日 02:03

A8
効力発生日の変更は、債権者保護手続の対象となる債権者のためだけではなく、分割会社の債権者がどちらの会社に債権を請求すべきかにも影響しますし,分割会社や承継会社の株主・債務者に対する告知の意味もありますから,公告を要求しているものです。

Q9
当社では、取引先から社外監査役を出してくれるよう依頼されており、これに対して当社執行役員をその任に充てることとしました。ところでその報酬ですが、世間一般の社外役員としては平均的でしょうが、それが単純に当該執行役員の収入に上乗せされると大変大きな副収入となります。
このため、その報酬は会社に振り込んでもらい、当該執行役員には執行役員報酬のみ支払う(要は会社が社外監査役報酬を受け取る)こととしたいと考えます。
このような取扱は会社としても好ましいものと考えているわけではありませんが、無報酬にすることは相手方から「株主から責任を持って任に当たっていない等と批判されかねないので」と断られており、一方本人に支給するのも上述のとおり、他の執行役員・従業員との関連で取れない選択肢です。
この上でご相談は、このような取扱には法的にどのような問題が生じるでしょうか?
○会社収入は不当利得か?
○当該執行役員が相手方会社で423条の責任を負わされたとき、(本人が賠償するにせよ)その分を実質報酬取得者である会社がその損害を補填することは可能か?等です。
Posted by カシワ at 2006年06月27日 09:15
A9
 会社は,社外監査役ではありませんから,社外監査役報酬を受け取ることはできません。
 しかし,報酬を振り込んだ取引先と会社との間に「報酬相当額の金銭」を支払う旨の約束がされているのでしょうから,どのような行為に対する対価なのかという点によって契約の性質は異なるものの,不当利得にはならないものと思います。
 自社の使用人が出向先の社外監査役として任務懈怠責任を負った場合に,会社が,使用人に対して賠償額相当の金銭を支払うということは,少なくとも使用人に対する報酬の支払いとしてはできるでしょうね。
 税の問題を含め,もう少し法的な詰めをして実行した方がよいと思いますが,それは弁護士さんと相談すべきことだと思います。

Q10
 定款の絶対的記載事項についてです。法27条に定められている5つの事項は、会社設立のときだけでなく、常に絶対的に記載を要する事項だという理解は、誤りでしょうか?(というのは、発起人氏名などが記載されていない現行の定款をしばしば目にするからです。)
Posted by semi初学者 at 2006年06月27日 15:58
A10
 定款の記載事項には,効力を有するルールを記載するものと,事実を記載することにより,その事実を要件とする法的効果を生じさせるためのものとあります。
 争いはありますが,前者は,ルールとしての効力が完全に失われた場合には,定款としての効力も失われ(例えば,商法の改正により,その定めの効力が失われた場合),後者は,その事実を要件とする法的効果が消滅する等その事実を記載することについて法的意味が完全に失われた場合には,やはり定款の記載事項ではなくなると考えるのではないかと思います。
 発起人の氏名や変態設立事項について記載されていない定款は,そういう考え方をベースに記載を削除したのではないかと思います。

Q11
取得条項付種類株式について質問させてください。
取得条項付株式の一部を取得する場合又は会社が別に定めた日を取得事由としている場合は、取得条項付株式の株主(及び質権者、以下同じ)に通知又は公告が必要です(168・169)。この通知又は公告は効力発生日の2週間前までに必要(170)とのことですが、当該通知又は公告期間は通知を受ける取得条項付株式の株主全員の同意があれば短縮することは可能でしょうか。通知を受ける権利を有する者全員の同意があれば短縮できるように思えるのですがいかがでしょう。
Posted by こっこ at 2006年06月27日 18:15
A11
 通知・公告の省略問題は,デリケートな問題であり,原則としてはできないものだと考えた方が安全です。

2006年6月25日 (日)

所有と経営の分離(2)

「にちゃんのばか」さんから次のような質問をいただきました。

「会社法は、鈴木会社法みたいな所有と経営の分離などの原則が無くなって、必要性と許容性による解釈の余地がなくなり、必要性だけで問題が生じたら改正するだけの、ワケわからない実体法ではないかという議論がでました。すなわち、資本維持充実の原則は放棄されたり、法を貫く原理は消滅したのですか。」

 所有と経営の分離については
http://app.blog.livedoor.jp/masami_hadama/tb.cgi/50055547
を見ていただければよいのですが,会社法の原則としてしっかりと息づいています。

 教えていただいた,2ちゃんねるの議論は,支離滅裂なところがあって,なかなかとらえどころのない話なのですが,あえて,まとめれば
「所有と経営の分離を(神田、弥永のように)基本原則だとしたら、 大規模・公開会社が原則的な形態となる、と考えるのが自然だわな。」
という意見が正しいかどうかが,ポイントのようですね。

 この意見は「所有と経営の分離」の意義をどのように捉えるか,という点をあいまいにしているという点が最大の難点です。

 仮に「所有と経営の分離」を,旧商法や会社法と同様,「業務執行者が出資者である必要はない」という原則だとしましょう。
 これを前提に,その意見を検証すると
 「業務執行者が出資者である必要はない,ということにすると,大規模・公開会社が原則的な形態となると考えるのが自然だよな。」
という論理が正しいかどうかが争点になります。

 まず,「小規模会社や非公開会社が,「業務執行者が出資者である必要はない」という原則を取ることはおかしいか」というと,全然そんなことはないですよね。

 例えば,公務員である私が,500万円持っているとして,投資能力のある町下君という友人が,株式投資を目的とする非公開の株式会社を作ると聞いて,それに500万円を出資したら,私も,経営に参加しなければならないのでしょうか?小規模・非公開会社ならば,出資者は経営をしなければならないというルールは,不合理です。

 また,大規模会社が,会社分割して,小規模会社を10社設立し,自分は持株会社になったとしましょう(当然,子会社は非公開にします)。小規模非公開会社にするときは,当該大規模会社そのものが法人取締役として経営しなければならないのでしょうか?子会社ごとに,経営能力の高い人を取締役にして業務執行をさせればよいと思いますが。

 違う側面から検証してみましょう。
 「業務執行者が出資者である必要はないという原則を取るためには,大規模・公開会社である必要があるか?」
 答えは,いうまでもなく,NOですね。もし,そうなら,旧商法も会社法もおかしいことになってしまいます。

 このように所有と経営の分離と,大規模か小規模かは,公開か非公開かは論理的な関係になく,「所有と経営の分離を原則とすれば,大規模・公開会社が原則とするのが自然」という考えは,不自然です。

 「大規模・公開会社を運営するためには,所有と経営の分離を進めるのが合理的である」
というのならば分かりますし,それは,会社法でも,明文で実現されているルールですが,その話を漠然と「大規模公開会社=所有と経営の分離,小規模or 非公開会社=所有と経営の一致」と捉えた瞬間に,それは不合理な世界に突入することになるのです。
 
 結局,「大規模・公開会社を原則とするのが自然」という考えは,「所有と経営の分離」とはどのような規範であるかということについて,十分な理解をしていないか,極端な理解をしているか,どちらかだと思います。

 会社法においては,株式会社の必要的機関として,株主総会と取締役を置かなければならないこととされ,かつ,取締役は株主でなくてもよいとされている。
 これが,所有と経営の分離の最も本質的な部分であり,株式会社に共通する原則です。

 それをベースにして,所有と経営の分離の程度を制度的にどれだけ進めていくのか,それを強制するのが妥当か,というのが,分析的で合理的なアプローチだと思います。
 
 また,2ちゃんねるには,会社法が,大規模・公開会社が原則であり,小規模・閉鎖会社は例外的な形態となるという趣旨の記述がありましたが,もし,大規模・公開会社が原則であるとするならば,委員会設置会社か,監査役会・会計監査人設置会社を原則としなければなりませんが,旧商法ですら,そんな原則を取っていません。
 別に,委員会設置会社を原則にして,委員会を置かなくてよい場合を例外として定めていく法制を取ることも理論的には可能ですが(笑),会社法が,それをやっていたら,世間の人は
 「なんじゃこりゃ・・・・・・」
と言っていたのではないでしょうか。

 旧商法は,実際には,非常に数が少ない「中会社」を原則としていたわけですが,法制審議会において,株式会社と有限会社の統合等が決められたのは,世界に名だたるソニーやホンダでも,最初は小さな町工場から始まったという現実を直視し,小規模会社から大規模会社にいたるまで,その成長に併せて,シームレスに,その規模に応じたガバナンスを構築できるような株式会社制度にするためです。

 そうした株式会社の成長に対応できないような理論は,どこかの王様が最初から大規模公開会社を作ることだけを念頭に置いた非現実的な理論であり,少なくとも,才能と努力によって企業を成長させる自由を認める日本国憲法とは,あまり整合しないように思います(笑)。

 それから,資本充実の原則は,
http://app.blog.livedoor.jp/masami_hadama/tb.cgi/50055552
を見てもわかるとおり,形を変えて,より徹底した形で「充実資本金の原則」として生きています。
 形を変えたところをとらえて,資本充実の原則を放棄したと言ってもよいですが,それは言葉の問題です。

 私が,この点に関する議論を聞いていて,不思議なのは,「資本充実の原則が大事であるという人ほど,資本金が充実しない状態を許容するような法制を容認している」という矛盾です。
 また,法制審議会において,発行価額ではなく,「払込価額」を資本金のベースにするということが答申されたことを忘れたかのような議論がされることも七不思議の一つ。

 会社法に対する批判が出て,それを議論することは非常に重要で,議論が出れば出るほど,担当者としても嬉しい限りなのですが,会社法を読んで,「原則がない」,「理論的でない」という人がいるとすれば,驚愕を禁じ得ないところであり,「これまでのドグマを理論的に昇華しているのを理解していないだけではないかなあ」と思います。
 とにかく,「・・・の原則」というのは何かを定義して,その法的効果を明らかにして見ること,これが議論の出発点です。

 もちろん,心の底では,「原則も理論もないものが,○○○○局をパスしてくれるなら,それが一番楽なんだけど」と思っていることは,こんなブログの場では書けません(笑)。

(質問コーナー)
Q1
 本日(6月24日)のQ2の社外取締役の登記について、条文上は、定款に責任限定契約の定めを置いた以上、すべての社外取締役につき社外の登記をするようにしか読めないのですが、葉玉先生のように、責任限定契約を締結しないという理由で社外の登記をしない場合に、裁判所で過料に課せられることはないのでしょうか。
 もし、社外の登記をするかしないかは自己責任だというお答えならば、心配なので、登記をしようかと思いますが、どうしたらいいでしょうか。
Posted by M at 2006年06月24日 16:35
A1
 裁判の独立は憲法上保障されており,会社法の理解が足りない裁判官が自己の判断で会社法の解釈をする自由もあるので,過料が課されないということを,私が断言することはできません。
 ただ,今回,社外取締役の登記について改正した趣旨は,法律上,社外取締役であることを公示する必要がない場合には,公示を不要とするためです。
 社外取締役の登記の申請をするのは,自由ですが,厳格に審査する登記官にあたると,補正を命じられる可能性もあるかもしれません。

Q2
私も昨日のコメントのMさんと同じく、定款に社外取締役の責任限定の定めをおいた場合は、社外取締役として選任した者全ての社外取締役の登記をしないといけないと思っていたので混乱しております。「6月24日のQ2」等からしますと、どの社外取締役と責任限定契約を締結するか決まっていない場合は、責任限定契約に関する登記だけして、社外取締役の登記は一切しなくても良い、ということでしょうか?
また上記の通りとすると、社外取締役Aと責任限定契約を締結すると具体的に決めたタイミングで初めて、Aの社外取締役の登記をすることになりますが、その際の添付書類は取締役会議事録でしょうか?そうだとしますと、責任限定契約の登記と同時に行う社外取締役の登記では添付書類は特に無いと思っていたのですが、取締役会議事録が必要となる気がします。
Posted by HOME at 2006年06月25日 02:53
A2
誰も責任限定契約を締結しないのならば,責任限定契約の定めのみ登記する場合もあるでしょう。
添付書類は,調整マターなので,今日は,お答えできません。

Q3
初めまして。このブログで会社法、処世術やギャグについて勉強させて頂いています。
 社外取締役について、客観的に要件が備わっていれば、登記の有無や、会社が作成する事業報告等資料への表示の有無にかかわらず、社外取締役である。ということは理解できましたが、その登記・参考書類への開示について以下の点を確認させて下さい。
①社外取締役の存在が法律上の要件とされている制度を、会社が採用する場合、登記は必要ですが、それらの制度を採用することなく、会社が作成する資料に社外取締役である旨表示するだけなら、登記する必要はない。
②それらの制度を採用することなく、会社が作成する資料に社外取締役である旨表示する予定もないのなら、客観的に要件が備わっていても、参考書類に社外取締役候補者としての開示を行う必要はない。
Posted by 勉強しなかった法学部卒業生 at 2006年06月24日 17:53
Q3
① 社外取締役を要件とする制度を一切採用しないならば,登記は不要です。
② 社外取締役候補者の要件に該当しない場合をおっしゃっているようですので,当然,社外取締役候補者としての開示は必要ありません。

Q4
新株予約権発行についての質問です。
募集事項の決定が取締役会に委任されている場合に、実際に取締役会で募集事項を決定したときは、株主に対し、特段通知等をせず、割当て手続をすすめてよいと考えてよろしいでしょうか?
旧商法では取締役会で決定した後公示手続きがありましたが、会社法では、新株予約権の内容等かつて公示していた事項は株主総会で決めるので、あとは適宜取締役会で発行すればよいということなのでしょうか。
また、株主総会で決める「募集新株予約権の内容」は236条の内容すべてと考えてよろしいでしょうか?
上場会社の開示情報を見ると、すべての事項を決定せず、後は取締役会に委任するとなっているところがあるので。
Posted by ぺんぎん at 2006年06月24日 17:59
A4
 質問の前提を確認したいのですが,公開会社のことを前提にしているのでしょうか。
そうだとすれば,240条2項の通知又は有価証券届出書で,株主は新株予約権の内容を認識することができますよね?
 公開会社の有利発行又は非公開会社の場合には,238条で新株予約権の内容の全ての事項を株主総会で決定することが原則ですが,239条にあるとおり,取締役会に委任することができます。
 この場合でも,上場会社の場合には,有価証券届出書による開示がされますし,上場会社ではない場合にも,株主総会は,取締役会に対する委任の範囲や決定方法を限定することもできますから,特に通知・公告は用意されていません。

所有と経営の分離(2)

「にちゃんのばか」さんから次のような質問をいただきました。

「会社法は、鈴木会社法みたいな所有と経営の分離などの原則が無くなって、必要性と許容性による解釈の余地がなくなり、必要性だけで問題が生じたら改正するだけの、ワケわからない実体法ではないかという議論がでました。すなわち、資本維持充実の原則は放棄されたり、法を貫く原理は消滅したのですか。」

 所有と経営の分離については
http://app.blog.livedoor.jp/masami_hadama/tb.cgi/50055547
を見ていただければよいのですが,会社法の原則としてしっかりと息づいています。

 教えていただいた,2ちゃんねるの議論は,支離滅裂なところがあって,なかなかとらえどころのない話なのですが,あえて,まとめれば
「所有と経営の分離を(神田、弥永のように)基本原則だとしたら、 大規模・公開会社が原則的な形態となる、と考えるのが自然だわな。」
という意見が正しいかどうかが,ポイントのようですね。

 この意見は「所有と経営の分離」の意義をどのように捉えるか,という点をあいまいにしているという点が最大の難点です。

 仮に「所有と経営の分離」を,旧商法や会社法と同様,「業務執行者が出資者である必要はない」という原則だとしましょう。
 これを前提に,その意見を検証すると
 「業務執行者が出資者である必要はない,ということにすると,大規模・公開会社が原則的な形態となると考えるのが自然だよな。」
という論理が正しいかどうかが争点になります。

 まず,「小規模会社や非公開会社が,「業務執行者が出資者である必要はない」という原則を取ることはおかしいか」というと,全然そんなことはないですよね。

 例えば,公務員である私が,500万円持っているとして,投資能力のある町下君という友人が,株式投資を目的とする非公開の株式会社を作ると聞いて,それに500万円を出資したら,私も,経営に参加しなければならないのでしょうか?小規模・非公開会社ならば,出資者は経営をしなければならないというルールは,不合理です。

 また,大規模会社が,会社分割して,小規模会社を10社設立し,自分は持株会社になったとしましょう(当然,子会社は非公開にします)。小規模非公開会社にするときは,当該大規模会社そのものが法人取締役として経営しなければならないのでしょうか?子会社ごとに,経営能力の高い人を取締役にして業務執行をさせればよいと思いますが。

 違う側面から検証してみましょう。
 「業務執行者が出資者である必要はないという原則を取るためには,大規模・公開会社である必要があるか?」
 答えは,いうまでもなく,NOですね。もし,そうなら,旧商法も会社法もおかしいことになってしまいます。

 このように所有と経営の分離と,大規模か小規模かは,公開か非公開かは論理的な関係になく,「所有と経営の分離を原則とすれば,大規模・公開会社が原則とするのが自然」という考えは,不自然です。

 「大規模・公開会社を運営するためには,所有と経営の分離を進めるのが合理的である」
というのならば分かりますし,それは,会社法でも,明文で実現されているルールですが,その話を漠然と「大規模公開会社=所有と経営の分離,小規模or 非公開会社=所有と経営の一致」と捉えた瞬間に,それは不合理な世界に突入することになるのです。
 
 結局,「大規模・公開会社を原則とするのが自然」という考えは,「所有と経営の分離」とはどのような規範であるかということについて,十分な理解をしていないか,極端な理解をしているか,どちらかだと思います。

 会社法においては,株式会社の必要的機関として,株主総会と取締役を置かなければならないこととされ,かつ,取締役は株主でなくてもよいとされている。
 これが,所有と経営の分離の最も本質的な部分であり,株式会社に共通する原則です。

 それをベースにして,所有と経営の分離の程度を制度的にどれだけ進めていくのか,それを強制するのが妥当か,というのが,分析的で合理的なアプローチだと思います。
 
 また,2ちゃんねるには,会社法が,大規模・公開会社が原則であり,小規模・閉鎖会社は例外的な形態となるという趣旨の記述がありましたが,もし,大規模・公開会社が原則であるとするならば,委員会設置会社か,監査役会・会計監査人設置会社を原則としなければなりませんが,旧商法ですら,そんな原則を取っていません。
 別に,委員会設置会社を原則にして,委員会を置かなくてよい場合を例外として定めていく法制を取ることも理論的には可能ですが(笑),会社法が,それをやっていたら,世間の人は
 「なんじゃこりゃ・・・・・・」
と言っていたのではないでしょうか。

 旧商法は,実際には,非常に数が少ない「中会社」を原則としていたわけですが,法制審議会において,株式会社と有限会社の統合等が決められたのは,世界に名だたるソニーやホンダでも,最初は小さな町工場から始まったという現実を直視し,小規模会社から大規模会社にいたるまで,その成長に併せて,シームレスに,その規模に応じたガバナンスを構築できるような株式会社制度にするためです。

 そうした株式会社の成長に対応できないような理論は,どこかの王様が最初から大規模公開会社を作ることだけを念頭に置いた非現実的な理論であり,少なくとも,才能と努力によって企業を成長させる自由を認める日本国憲法とは,あまり整合しないように思います(笑)。

 それから,資本充実の原則は,
http://app.blog.livedoor.jp/masami_hadama/tb.cgi/50055552
を見てもわかるとおり,形を変えて,より徹底した形で「充実資本金の原則」として生きています。
 形を変えたところをとらえて,資本充実の原則を放棄したと言ってもよいですが,それは言葉の問題です。

 私が,この点に関する議論を聞いていて,不思議なのは,「資本充実の原則が大事であるという人ほど,資本金が充実しない状態を許容するような法制を容認している」という矛盾です。
 また,法制審議会において,発行価額ではなく,「払込価額」を資本金のベースにするということが答申されたことを忘れたかのような議論がされることも七不思議の一つ。

 会社法に対する批判が出て,それを議論することは非常に重要で,議論が出れば出るほど,担当者としても嬉しい限りなのですが,会社法を読んで,「原則がない」,「理論的でない」という人がいるとすれば,驚愕を禁じ得ないところであり,「これまでのドグマを理論的に昇華しているのを理解していないだけではないかなあ」と思います。
 とにかく,「・・・の原則」というのは何かを定義して,その法的効果を明らかにして見ること,これが議論の出発点です。

 もちろん,心の底では,「原則も理論もないものが,○○○○局をパスしてくれるなら,それが一番楽なんだけど」と思っていることは,こんなブログの場では書けません(笑)。

(質問コーナー)
Q1
 本日(6月24日)のQ2の社外取締役の登記について、条文上は、定款に責任限定契約の定めを置いた以上、すべての社外取締役につき社外の登記をするようにしか読めないのですが、葉玉先生のように、責任限定契約を締結しないという理由で社外の登記をしない場合に、裁判所で過料に課せられることはないのでしょうか。
 もし、社外の登記をするかしないかは自己責任だというお答えならば、心配なので、登記をしようかと思いますが、どうしたらいいでしょうか。
Posted by M at 2006年06月24日 16:35
A1
 裁判の独立は憲法上保障されており,会社法の理解が足りない裁判官が自己の判断で会社法の解釈をする自由もあるので,過料が課されないということを,私が断言することはできません。
 ただ,今回,社外取締役の登記について改正した趣旨は,法律上,社外取締役であることを公示する必要がない場合には,公示を不要とするためです。
 社外取締役の登記の申請をするのは,自由ですが,厳格に審査する登記官にあたると,補正を命じられる可能性もあるかもしれません。

Q2
私も昨日のコメントのMさんと同じく、定款に社外取締役の責任限定の定めをおいた場合は、社外取締役として選任した者全ての社外取締役の登記をしないといけないと思っていたので混乱しております。「6月24日のQ2」等からしますと、どの社外取締役と責任限定契約を締結するか決まっていない場合は、責任限定契約に関する登記だけして、社外取締役の登記は一切しなくても良い、ということでしょうか?
また上記の通りとすると、社外取締役Aと責任限定契約を締結すると具体的に決めたタイミングで初めて、Aの社外取締役の登記をすることになりますが、その際の添付書類は取締役会議事録でしょうか?そうだとしますと、責任限定契約の登記と同時に行う社外取締役の登記では添付書類は特に無いと思っていたのですが、取締役会議事録が必要となる気がします。
Posted by HOME at 2006年06月25日 02:53
A2
誰も責任限定契約を締結しないのならば,責任限定契約の定めのみ登記する場合もあるでしょう。
添付書類は,調整マターなので,今日は,お答えできません。

Q3
初めまして。このブログで会社法、処世術やギャグについて勉強させて頂いています。
 社外取締役について、客観的に要件が備わっていれば、登記の有無や、会社が作成する事業報告等資料への表示の有無にかかわらず、社外取締役である。ということは理解できましたが、その登記・参考書類への開示について以下の点を確認させて下さい。
①社外取締役の存在が法律上の要件とされている制度を、会社が採用する場合、登記は必要ですが、それらの制度を採用することなく、会社が作成する資料に社外取締役である旨表示するだけなら、登記する必要はない。
②それらの制度を採用することなく、会社が作成する資料に社外取締役である旨表示する予定もないのなら、客観的に要件が備わっていても、参考書類に社外取締役候補者としての開示を行う必要はない。
Posted by 勉強しなかった法学部卒業生 at 2006年06月24日 17:53
Q3
① 社外取締役を要件とする制度を一切採用しないならば,登記は不要です。
② 社外取締役候補者の要件に該当しない場合をおっしゃっているようですので,当然,社外取締役候補者としての開示は必要ありません。

Q4
新株予約権発行についての質問です。
募集事項の決定が取締役会に委任されている場合に、実際に取締役会で募集事項を決定したときは、株主に対し、特段通知等をせず、割当て手続をすすめてよいと考えてよろしいでしょうか?
旧商法では取締役会で決定した後公示手続きがありましたが、会社法では、新株予約権の内容等かつて公示していた事項は株主総会で決めるので、あとは適宜取締役会で発行すればよいということなのでしょうか。
また、株主総会で決める「募集新株予約権の内容」は236条の内容すべてと考えてよろしいでしょうか?
上場会社の開示情報を見ると、すべての事項を決定せず、後は取締役会に委任するとなっているところがあるので。
Posted by ぺんぎん at 2006年06月24日 17:59
A4
 質問の前提を確認したいのですが,公開会社のことを前提にしているのでしょうか。
そうだとすれば,240条2項の通知又は有価証券届出書で,株主は新株予約権の内容を認識することができますよね?
 公開会社の有利発行又は非公開会社の場合には,238条で新株予約権の内容の全ての事項を株主総会で決定することが原則ですが,239条にあるとおり,取締役会に委任することができます。
 この場合でも,上場会社の場合には,有価証券届出書による開示がされますし,上場会社ではない場合にも,株主総会は,取締役会に対する委任の範囲や決定方法を限定することもできますから,特に通知・公告は用意されていません。

2006年6月24日 (土)

千問 図表目次

今日は抜け殻で頭がうまく働かないので、機械的作業をしたくなりました。
それで、千問の道標 図表目次を作ってみました。
適当な大きさで印刷して、千問に張ると便利だと思います。

1.図表1−1 設立手続 3
2.図表1−2 定款と登記の記載事項 9
3.図表1−3 商号の保護手段 14
4.図表1−4 設立時代表取締役の選定方法 40
5.図表2−1 株式に関する定款の記載事項・登記事項 51
6.図表2−2 種類株式の追加・内容の変更に関する決議 57
7.図表2−3 株主の投下資本回収に関する権利 109
8.図表2−4 株主の株主総会に関する権利 111
9.図表2−5 取締役の不正行為に対応するための株主の権利 112
10.図表2−6 株主の会社の有する情報を取得するための権利 114
11.図表2−7 株式等の譲渡制限 137
12.図表2−8 株式の移転要件 138
13.図表2−9 自己株式の合意取得 155
14.図表2−10 募集事項の決定・割当て 196
15.図表2−11 自己株式の処分手続 211
16.図表3−1 払込期日までに払込みが行われない場合の処理 235
17.図表4−1 株主総会の決議事項・決議要件 362
18.図表4−2 機関の設置が義務づけられる場合 268
19.図表4−3 株式会社の機関構成 269
20.図表4−4 機関変更と任期の関係 272
21.図表4−5 機関に関する定款と登記との関係 274
22.図表4−6 公開会社と非公開会社の規律の違い 276
23.図表4−7 代表者と使用人の権限等 321
24.図表4−8 代表者と使用人の義務と責任 322
25.図表4−9 取締役の責任 344
26.図表4−10 取締役の責任免除制度 345
27.図表4−11 取締役会手続の省略 367
28.図表4−12 会計参与等の責任 393
29.図表4−13 役員等の兼任禁止規定 398
30.図表5−1 定時株主総会において株主へ提供される書面 433
31.図表5−2 総会招集手続の省略 487
32.図表8−1 資本金等の額の増減 537
33.図表8−2 株式数と資本 538
34.図表11−1 株式会社・合同会社・有限責任事業組合の差異 562
35.図表11−2 持分会社の資本金・資本剰余金・利益剰余金の概要 592
36.図表12−1 社債管理者と私募 641
37.図表14−1 吸収型組織再編の流れ 665
38.図表14−2 組織再編行為と会計処理 726
39.図表16−1 株式会社関係の訴訟事件 746
40.図表16−2 持分会社関係の訴訟事件 748
41.図表16−3 組織変更・組織再編行為の訴訟要件 751
42.図表16−4 許可申立事件 752
43.図表16−5 その他の商事非訟事件 754

千問 図表目次

今日は抜け殻で頭がうまく働かないので、機械的作業をしたくなりました。
それで、千問の道標 図表目次を作ってみました。
適当な大きさで印刷して、千問に張ると便利だと思います。

1.図表1−1 設立手続 3
2.図表1−2 定款と登記の記載事項 9
3.図表1−3 商号の保護手段 14
4.図表1−4 設立時代表取締役の選定方法 40
5.図表2−1 株式に関する定款の記載事項・登記事項 51
6.図表2−2 種類株式の追加・内容の変更に関する決議 57
7.図表2−3 株主の投下資本回収に関する権利 109
8.図表2−4 株主の株主総会に関する権利 111
9.図表2−5 取締役の不正行為に対応するための株主の権利 112
10.図表2−6 株主の会社の有する情報を取得するための権利 114
11.図表2−7 株式等の譲渡制限 137
12.図表2−8 株式の移転要件 138
13.図表2−9 自己株式の合意取得 155
14.図表2−10 募集事項の決定・割当て 196
15.図表2−11 自己株式の処分手続 211
16.図表3−1 払込期日までに払込みが行われない場合の処理 235
17.図表4−1 株主総会の決議事項・決議要件 362
18.図表4−2 機関の設置が義務づけられる場合 268
19.図表4−3 株式会社の機関構成 269
20.図表4−4 機関変更と任期の関係 272
21.図表4−5 機関に関する定款と登記との関係 274
22.図表4−6 公開会社と非公開会社の規律の違い 276
23.図表4−7 代表者と使用人の権限等 321
24.図表4−8 代表者と使用人の義務と責任 322
25.図表4−9 取締役の責任 344
26.図表4−10 取締役の責任免除制度 345
27.図表4−11 取締役会手続の省略 367
28.図表4−12 会計参与等の責任 393
29.図表4−13 役員等の兼任禁止規定 398
30.図表5−1 定時株主総会において株主へ提供される書面 433
31.図表5−2 総会招集手続の省略 487
32.図表8−1 資本金等の額の増減 537
33.図表8−2 株式数と資本 538
34.図表11−1 株式会社・合同会社・有限責任事業組合の差異 562
35.図表11−2 持分会社の資本金・資本剰余金・利益剰余金の概要 592
36.図表12−1 社債管理者と私募 641
37.図表14−1 吸収型組織再編の流れ 665
38.図表14−2 組織再編行為と会計処理 726
39.図表16−1 株式会社関係の訴訟事件 746
40.図表16−2 持分会社関係の訴訟事件 748
41.図表16−3 組織変更・組織再編行為の訴訟要件 751
42.図表16−4 許可申立事件 752
43.図表16−5 その他の商事非訟事件 754

早起きで三文の得をしたかった・・。

 今日、早起きをしました。
 午前4時台は目がランランとしていました。
 しかし、午前5時台になったとたん、急に意識が遠くなりそうになりました。
 時間が少なくなるにつれ、択一試験を受けているときに、「やばい、あと10分しかないのに、5問も残っている。」という記憶が走馬燈のようによみがえりました。

 午前6時からは、抜け殻のようになり、法務省に出勤したところ、H検事も抜け殻でした。
 でも、H検事は
「ああ、玉田の悪口をいって悪かった。今日のゴールはすごかった。サントスの厳しいパスをよく入れた。ブログを訂正しておいてください。でも、4年後は佐藤の時代です。」
と言い放ち、現在は、次の日本代表監督の選考に入っております。
 これからしばらくは、H検事が、会社法の省令で、日本代表監督を選ばないように、目を光らせる必要があります(笑)。

 ところで、昨日・一昨日と
  「株主総会議事録の作成者」
について解答いたしましたが、本日、あることがきっかけで、もう少し、いろいろな場面を想定して、すこし結論を変えるべきではないかと気づきました。
 ということで、来週の前半くらいまでに、関係部署とも調整いたしますので、前回の回答は、しばらく保留いたします。
 決まったら、詳しくご説明しますので、しばしのお待ちを。

 なお、今の時点で、法務局に「ブログにこう書いてありました」などとお問い合わせをしないようにお願いします。
 法務局も、かつてないほどの申請・相談の量なので、対応に負われているところです。いろいろと応援も出しているのですが、なにせ半端な量ではないので、どうしても、お答えが遅延しているようです。
 ですから、登記に必要な場合ならともかく、興味本位で法務局に「ブログに、こう書いてあるが、できるのでしょうか」という質問をされると、いよいよ事務が停滞してしまいます(このブログは、今、1日約7000人から8000人の訪問者がいますので、ブログで採り上げられた質問と同じ質問が、翌日、多数来るようです)。
 あまり、そのようなことが続きますと、登記に関係する質問について答えにくくなってしまうので、そこらへんは是非ご理解いただきたいと思います。


(質問コーナー)
Q1
<質問:大会社における計算書類等の提出先について>
大会社に関しての事例です。
決算後第1回の取締役会で計算書類等の提出を決議しますが、
【商法】
商法特例法第12条①により「監査役会に提出」となっているのに対し、
【会社法】
 商法特例法がなくなり、会社法第436条のみの規定となるため、「監査役に提出」
と改めるべきなのでしょうか?
(会社法下では、取締役会で決議して提出する義務はありませんが、会社法362条に定める重要な業務執行と考えて決議します。)
Posted by くにを at 2006年06月22日 23:16
A1
監査役は独任性なので、監査役が受領することになっています(計算規則155条)。ですから、監査役に提出とした方が正確でしょうね。
ちなみに、委員会設置会社だと、監査委員会が受領します。

Q2
社外取締役の登記の件ですが、6/22日のQ9を見ますと、
会社法上、社外取締役の要件を充たす場合は、全て登記事項というように理解できますが正しいでしょうか。
要件を充たしても、会社側が社外取締役と認めていなければ登記の必要は無いと理解していましたが。お願い申し上げます。
Posted by ジーコ・ブラジル at 2006年06月22日 23:35
A2
違います。答えをよく読んでください。千問Q409に詳しく書かれています。

Q3
 ある上場会社の定時株主総会で、別途積立金を取り崩し当期純利益の10倍以上の配当を行っていることについて、株主から、配当はその期の利益の範囲内で行うべきではないかという質問がありました。
 配当可能利益の限度内であればよいことだし、この会社は安定的配当のために別途積立金を使っているのだと思います。それに、上場している当該親会社単体ではそれほど利益はあがっていませんでしたが、連結ベースでは十分な利益があがっているので、何ら問題は無いと思います。
ただこの質問でふと考えたのですが、同族会社の大株主である社長が、他の株主に配当したくないために、将来の事業用資金として必要かもしれないからといって別途積立金に一旦利益を積立て、その他の株主が株を譲渡するのを待って配当した場合、その譲渡した株主は、話が違うと言いたくなるのではないかと思うのです。元株主は、社長に対して幾らかでも金銭を求めることはできないのでしょうか。それも踏まえて譲渡価格を算定すべきだったよね、ということかもしれませんが。
Posted by とんちんかん? at 2006年06月23日 16:14
A3
 会社法が「利益」の配当と呼ばず、「剰余金」の配当と呼ぶのは、まさに、1事業年度の利益だけではなく、これまでの利益等の積み重ねである剰余金を配当するからです。
 株式を取得した人は、当然、剰余金がどれだけあるかを含めて、株価を決定しているので、それで問題はないはずです。
 少数株主で、剰余金の配当の決議をすることができないのは仕方がありません。これは、剰余金の配当だけの問題ではなく、大株主がウンと言わないと、どうにもできないのが資本多数決ですから。会社に剰余金が沢山あるのだから、その分、高く株式を譲渡してくださいということです。
 ちなみに、旧商法は、「利益」配当と呼んでいましたが、実質は剰余金の配当でした。

Q4
 株主総会参考書類のWEB開示について質問させて頂きます。
 会社法施行規則94条1項1号で「議案」をWEB開示できない旨がありますが、この「議案」はどの範囲までを含むのでしょうか。
 例えば「取締役3名選任の件」だけを株主総会参考書類に記載すれば、会社法施行規則74条1項1号の「候補者の名前」等はWEBで開示すれば良いということでしょうか。
 また、WEB開示できないとすれば、線引きはどこですればよいと考えればよいのでしょうか。
Posted by どんまい at 2006年06月23日 17:28
A4
 「取締役3名選任の件」は、「議題」です。
 候補者の氏名が「議案」です。
 線引きは、議案ごとに、実務が確立しているのではないかと思いますが、議決権行使書面で○×を付ける欄は、議案ごとにつくらなければならないので、それを見て具体的にイメージしたらどうでしょうか。

Q5
単元未満株式の買取により取得した自己株式について、市場での売却はできなくなったのですか。
179条が削除されていますが、関係があるのでしょうか。
Posted by mro at 2006年06月23日 18:39
A5
株式の市場売却は、インサイダーのおそれがあるということで、国会で削除されました。

Q6
2006年06月16日のQ&A中のさとじゅんさんの質問、葉玉先生の解答と関連するのではないかと思いますが、いわゆる予備校が出版している論文試験の過去問集は
・1時間で書ける内容ではない
・問題に答えていない(余計な部分がある)
ものが見受けられる。
という話を聞くのですが、その判断がつきかねることと、それと同じようなものであれ、異なったものを書いたにせよ、最終的な自分の解答に対する自信が持てません。
かといって、その過去問集に頼らずに勉強を進めることにも、不安を覚えてしまいます。
その、もやもやした思いの先に、見えるものがあると信じてこのまま突き進むことが正しい道なのでしょうか。
Posted by あと4時間、でも規則正しい生活重視 at 2006年06月23日
Q6
 前にブログで書いたとおり、論文試験は、何が問かを見つけ、その問に自分の考えを述べる試験です。
 また、その考えを、どのように評価されるかは、どんな実力者にも分かりません。おそらく、試験委員の先生だって、自分で1時間で答えを書いてみた時に自分の解答に自信を持つことはないと思います。
 ところで、あなたは、論文試験の過去問集に何を求めているのでしょうか?
 1時間で書けなくても、結構。
 1時間で書けない量のものを、1時間で書くために、何を削るか、これを考えて、自分でまとめることが重要なのです。
 余計なことが書いてあっても、結構。
 同じ問題がそのまま2度出ることは、まずありません。解答例から、ちょっとだけずれた、その余計なところが出るかもしれません。自分が1時間で書くときに、それを削ればよいだけ。それを削るか削らないかを真剣に考えるから勉強になるんです。
 そして、書くべきところを削ったから、不正解だとかあるのではなく、そこを削った分、他のところをきちんと書いたら、点数はもっと上がるかもしれません。
 私は、答案を書くときに、完全解を追求するようにしていますが、すべての加点要素を答案に書いたら、絶対、答案用紙に入りません。
 それを前提に、どのように必要な要素をまとめるかも試験のうちです。
 詳しくは、会社法100問の末尾にある「勉強法」を良く読んでください。

早起きで三文の得をしたかった・・。

 今日、早起きをしました。
 午前4時台は目がランランとしていました。
 しかし、午前5時台になったとたん、急に意識が遠くなりそうになりました。
 時間が少なくなるにつれ、択一試験を受けているときに、「やばい、あと10分しかないのに、5問も残っている。」という記憶が走馬燈のようによみがえりました。

 午前6時からは、抜け殻のようになり、法務省に出勤したところ、H検事も抜け殻でした。
 でも、H検事は
「ああ、玉田の悪口をいって悪かった。今日のゴールはすごかった。サントスの厳しいパスをよく入れた。ブログを訂正しておいてください。でも、4年後は佐藤の時代です。」
と言い放ち、現在は、次の日本代表監督の選考に入っております。
 これからしばらくは、H検事が、会社法の省令で、日本代表監督を選ばないように、目を光らせる必要があります(笑)。

 ところで、昨日・一昨日と
  「株主総会議事録の作成者」
について解答いたしましたが、本日、あることがきっかけで、もう少し、いろいろな場面を想定して、すこし結論を変えるべきではないかと気づきました。
 ということで、来週の前半くらいまでに、関係部署とも調整いたしますので、前回の回答は、しばらく保留いたします。
 決まったら、詳しくご説明しますので、しばしのお待ちを。

 なお、今の時点で、法務局に「ブログにこう書いてありました」などとお問い合わせをしないようにお願いします。
 法務局も、かつてないほどの申請・相談の量なので、対応に負われているところです。いろいろと応援も出しているのですが、なにせ半端な量ではないので、どうしても、お答えが遅延しているようです。
 ですから、登記に必要な場合ならともかく、興味本位で法務局に「ブログに、こう書いてあるが、できるのでしょうか」という質問をされると、いよいよ事務が停滞してしまいます(このブログは、今、1日約7000人から8000人の訪問者がいますので、ブログで採り上げられた質問と同じ質問が、翌日、多数来るようです)。
 あまり、そのようなことが続きますと、登記に関係する質問について答えにくくなってしまうので、そこらへんは是非ご理解いただきたいと思います。


(質問コーナー)
Q1
<質問:大会社における計算書類等の提出先について>
大会社に関しての事例です。
決算後第1回の取締役会で計算書類等の提出を決議しますが、
【商法】
商法特例法第12条①により「監査役会に提出」となっているのに対し、
【会社法】
 商法特例法がなくなり、会社法第436条のみの規定となるため、「監査役に提出」
と改めるべきなのでしょうか?
(会社法下では、取締役会で決議して提出する義務はありませんが、会社法362条に定める重要な業務執行と考えて決議します。)
Posted by くにを at 2006年06月22日 23:16
A1
監査役は独任性なので、監査役が受領することになっています(計算規則155条)。ですから、監査役に提出とした方が正確でしょうね。
ちなみに、委員会設置会社だと、監査委員会が受領します。

Q2
社外取締役の登記の件ですが、6/22日のQ9を見ますと、
会社法上、社外取締役の要件を充たす場合は、全て登記事項というように理解できますが正しいでしょうか。
要件を充たしても、会社側が社外取締役と認めていなければ登記の必要は無いと理解していましたが。お願い申し上げます。
Posted by ジーコ・ブラジル at 2006年06月22日 23:35
A2
違います。答えをよく読んでください。千問Q409に詳しく書かれています。

Q3
 ある上場会社の定時株主総会で、別途積立金を取り崩し当期純利益の10倍以上の配当を行っていることについて、株主から、配当はその期の利益の範囲内で行うべきではないかという質問がありました。
 配当可能利益の限度内であればよいことだし、この会社は安定的配当のために別途積立金を使っているのだと思います。それに、上場している当該親会社単体ではそれほど利益はあがっていませんでしたが、連結ベースでは十分な利益があがっているので、何ら問題は無いと思います。
ただこの質問でふと考えたのですが、同族会社の大株主である社長が、他の株主に配当したくないために、将来の事業用資金として必要かもしれないからといって別途積立金に一旦利益を積立て、その他の株主が株を譲渡するのを待って配当した場合、その譲渡した株主は、話が違うと言いたくなるのではないかと思うのです。元株主は、社長に対して幾らかでも金銭を求めることはできないのでしょうか。それも踏まえて譲渡価格を算定すべきだったよね、ということかもしれませんが。
Posted by とんちんかん? at 2006年06月23日 16:14
A3
 会社法が「利益」の配当と呼ばず、「剰余金」の配当と呼ぶのは、まさに、1事業年度の利益だけではなく、これまでの利益等の積み重ねである剰余金を配当するからです。
 株式を取得した人は、当然、剰余金がどれだけあるかを含めて、株価を決定しているので、それで問題はないはずです。
 少数株主で、剰余金の配当の決議をすることができないのは仕方がありません。これは、剰余金の配当だけの問題ではなく、大株主がウンと言わないと、どうにもできないのが資本多数決ですから。会社に剰余金が沢山あるのだから、その分、高く株式を譲渡してくださいということです。
 ちなみに、旧商法は、「利益」配当と呼んでいましたが、実質は剰余金の配当でした。

Q4
 株主総会参考書類のWEB開示について質問させて頂きます。
 会社法施行規則94条1項1号で「議案」をWEB開示できない旨がありますが、この「議案」はどの範囲までを含むのでしょうか。
 例えば「取締役3名選任の件」だけを株主総会参考書類に記載すれば、会社法施行規則74条1項1号の「候補者の名前」等はWEBで開示すれば良いということでしょうか。
 また、WEB開示できないとすれば、線引きはどこですればよいと考えればよいのでしょうか。
Posted by どんまい at 2006年06月23日 17:28
A4
 「取締役3名選任の件」は、「議題」です。
 候補者の氏名が「議案」です。
 線引きは、議案ごとに、実務が確立しているのではないかと思いますが、議決権行使書面で○×を付ける欄は、議案ごとにつくらなければならないので、それを見て具体的にイメージしたらどうでしょうか。

Q5
単元未満株式の買取により取得した自己株式について、市場での売却はできなくなったのですか。
179条が削除されていますが、関係があるのでしょうか。
Posted by mro at 2006年06月23日 18:39
A5
株式の市場売却は、インサイダーのおそれがあるということで、国会で削除されました。

Q6
2006年06月16日のQ&A中のさとじゅんさんの質問、葉玉先生の解答と関連するのではないかと思いますが、いわゆる予備校が出版している論文試験の過去問集は
・1時間で書ける内容ではない
・問題に答えていない(余計な部分がある)
ものが見受けられる。
という話を聞くのですが、その判断がつきかねることと、それと同じようなものであれ、異なったものを書いたにせよ、最終的な自分の解答に対する自信が持てません。
かといって、その過去問集に頼らずに勉強を進めることにも、不安を覚えてしまいます。
その、もやもやした思いの先に、見えるものがあると信じてこのまま突き進むことが正しい道なのでしょうか。
Posted by あと4時間、でも規則正しい生活重視 at 2006年06月23日
Q6
 前にブログで書いたとおり、論文試験は、何が問かを見つけ、その問に自分の考えを述べる試験です。
 また、その考えを、どのように評価されるかは、どんな実力者にも分かりません。おそらく、試験委員の先生だって、自分で1時間で答えを書いてみた時に自分の解答に自信を持つことはないと思います。
 ところで、あなたは、論文試験の過去問集に何を求めているのでしょうか?
 1時間で書けなくても、結構。
 1時間で書けない量のものを、1時間で書くために、何を削るか、これを考えて、自分でまとめることが重要なのです。
 余計なことが書いてあっても、結構。
 同じ問題がそのまま2度出ることは、まずありません。解答例から、ちょっとだけずれた、その余計なところが出るかもしれません。自分が1時間で書くときに、それを削ればよいだけ。それを削るか削らないかを真剣に考えるから勉強になるんです。
 そして、書くべきところを削ったから、不正解だとかあるのではなく、そこを削った分、他のところをきちんと書いたら、点数はもっと上がるかもしれません。
 私は、答案を書くときに、完全解を追求するようにしていますが、すべての加点要素を答案に書いたら、絶対、答案用紙に入りません。
 それを前提に、どのように必要な要素をまとめるかも試験のうちです。
 詳しくは、会社法100問の末尾にある「勉強法」を良く読んでください。

2006年6月22日 (木)

一時会計監査人の選任時期

 本日は、どうしても早く寝る必要があるので、一時会計監査人の選任について簡潔にお話しします。

 このブログでは、かなり前から、某監査法人の欠格事由問題について、いろいろなご質問を頂き、
 監査役会が、一時会計監査人を、欠格事由が生ずる前に選ぶことはできない。
ということも、何度か、お知らせしたところです。

 その理由は、
① 一時会計監査人の選任は、非常時の制度であり、会計監査人が欠けて始めて監査役会に選任権限が生ずる。
② 会社法は、一般的に役員等の予選を認めているわけではなく、会計監査人については、予選が認められていないこととのバランス。
③ 裁判所に対する、一時取締役の選任の申立ては、取締役が欠けない限り、することができない。この処理と、一時会計監査人の選任を区別する合理的理由はない。
④ 役員の予選については、予選決議の有効期間等を法務省令で定めて限定的にしているのに、何の制約もなく、一時会計監査人の予選を認めるわけにはいかない。
⑤ 欠格事由が生ずる前に、監査役会を開催したいというのならば、会計監査人に辞職してもらい、その日に監査役会を開催すればよい。
⑥ 会計監査人が欠けた期間があったとしても、即座に違法になるわけではないから、欠けた後に、監査役会を開催すれば足りる。どうしても、1日も会計監査人不在をやりたくないというのであれば、⑤の方法を採ればよい。
ということにあります。

このブログを注意深く読んでくださっている会社さんは、大丈夫だと思いますが、新聞報道などによれば、一時会計監査人を既に監査役会で選任した会社も沢山あるそうです。

7月の声も聞こえてきたので、そうした会社さんのために、もう一度念押しをしますと、その監査役会の決議は無効であり、おそらく、その決議では、一時会計監査人の登記ができません。

ですから、うっかり監査役会で既に一時会計監査人を選任してしまった会社さんは、申し訳ありませんが、⑤か、⑥で、もう一度、監査役会をやってください。

本日は、混乱防止のためのお知らせでした。

(質問コーナー)
Q1
株主総会議事録作成者についてですが、新取締役だけが作成者になれるということですと、現取締役全員が総会終結と同時に退任して交代というケースで、新取締役が総会には誰も出席していない時に(普通はあり得ないでしょうが)総会の内容に責任を負えない者が作成者ということになってもよいのでしょうか…?
会社法で押印義務がなくなったため、その議事録内容の真正担保の意味合いで、議事録作成者の氏名が必要となったと思っていましたので旧商法の押印義務者と同様に「取締役としてその総会に出席していた者」が作成者となると考えてたのですが、先生のご回答では退任取締役は作成者にはなれないということですね。
Posted by 万年補助者 at 2006年06月22日 11:12
A1
退任取締役は作成者にはなれません。
議事録の作成者は、従来は、議長説と、新代表取締役説があったと思いますが、法文上、新しい取締役(代表取締役でなくてもよい)ということになりました。
理由は、議事録の作成は、株主総会の終了後に行われるということ、さらに、例えば、株主総会で取締役を全員解任した場合において、解任された取締役が自分が解任された決議について議事録を作成しなければならない(逆に言うと、新取締役は議事録を作成できない)というのは、まずいからです。
出席した取締役がいないということは、通常考えられませんが、出席していなければ、内容を調査の上、作成してください。

Q2
株主総会で解散決議を行い、外部の人を清算人に選任した場合、総会議事録の作成者はだれにすべきですか?
Posted by 会社を解散した者 at 2006年06月22日 15:35
A2
清算人です。内容が分からなければ、調査の上作成してください。

Q3
会社法の本のご紹介をいただきましたが、会社法に対応した税務、会計の本としてよいものがあればご紹介いただけないでしょうか。
A3
すいません。薦められるほど読んでいません。

Q4
会社法398条(定時株主総会における会計監査人の意見の陳述)についてお聞きします。
1項では「会計監査人が監査役と意見を異にするとき」とあり、3項では監査役会設置会社について、「『監査役』とあるのは、「監査役会又は監査役」』と読み替えるとあります。
3項は特に必要ないのではないかと思うのですが、この規定の趣旨をお聞かせ願えればと思います。
Posted by K at 2006年06月22日 16:56
A4
監査役会設置会社においては、各監査役が監査報告を作成し、その後、監査役会が監査報告を作成しますので、監査役会における監査報告において会計監査人との意見が食い違う場合等を想定したものです。監査役会の意見と監査役の一人の意見が食い違う場合もありますね。

Q5
自己株式の処分にあたって、募集株式の発行手続によるかぎり、割当てを受ける者には公開買付規制は適用されないという理解でよろしいでしょうか。
Posted by かし at 2006年06月22日 17:36
A5
公開買付規制が適用されるかどうは、証券取引法の問題で、私が答えると角が立つので、答えは差し控えさせていただきますが、公開買付とは何かを調べてみてください。

Q6
<質問>
定時株主総会において会計監査人の出席を求める決議があったときは、会計監査人は定時株主総会に出席して意見を述べなければならない(398条2項)とありますが、345条の辞任した者に該当しない場合には、株主総会の召集に関する事項の通知に係る規制が働かないと思います。
辞任していない会計監査人は株主総会の招集に関する議題(出席を求める旨)を把握することができるとは思いますが、原則としては、398条2項により会計監査人は株主総会に出席する必要があるという理解でよろしいでしょうか。
A6
398条2項の決議があれば、出席義務が生じます。普通、そういう場面だと、予め会計監査人も議場にいると思いますが。

Q7
 会社法100問24問目の解説の三3の段落(132頁)で,「平成19年度以降に発行する株式に対して行う剰余金の配当を,それまでに発行した株式に対して行う剰余金の配当の2分の1とする」定款変更について,「剰余金の配当について異なる定めをした種類株式(108条1項1号)を発行すること」を定めたものだとすれば,当該変更も許されるという記述はわかるのですが,その後の「及び既存の株式については,発行可能種類株式総数を当該種類の発行株式の総数まで減少すること(114条1項)」という追加的に記載されていることが,何を意味しているのか分かりません。
 後段の定めは不可欠のものなのでしょうか?
Posted by ボン at 2006年06月22日 20:03
A7
 24問は、平成19年度以降に発行する株式の全てについて、剰余金の配当を2分の1にするという問題ですから、既存の株式が、平成19年度以降に発行されてしまっては、問題文の要請を満たせないわけです。ですから、既存の株式についての発行可能種類株式総数を減らして、これ以上、既存の株式と同一種類の株式を発行できなくすることが必要なので、後段の定めが必要です。

Q8
移行登記と監査役権限拡大について質問させて下さい。
①特例有限会社も監査役の権限を業務監査まで拡大することは可能で、その場合でも任期満了退任しないのは間違いないことをまず確認させて下さい。
②移行登記と同時に監査役権限拡大する場合は、任期満了退任するのでしょうか?
よろしくお願いします。
Posted by chigmog at 2006年06月21日 15:13
A8
①そのとおりです。特例有限会社は、任期の規定が適用除外になっているので、業務監査権限まで拡大しても、任期は終了しません。
②普通は、監査役の権限拡大をして、移行するんじゃないんでしょうか?
 監査役の権限拡大は、定款変更と同時に効力が生じ、株式会社への移行は、登記時に効力が生ずるので、「同時に」効力を生じさせるためには、監査役の権限拡大を「登記時とする」という停止条件をつけなければいけないはずです。
 
Q9
葉玉先生、ロースクール生に「てれびくん」を与えた場合、ボウケンピンクに萌え〜となる者は一定数いるのではないでしょうか。ボウケンピンクは8年ほど前におはスタでおはガールをやっていたことですし。「おはジェンヌぅ」とやっていました。
Posted by CCC at 2006年06月22日 17:47
A9
今回のボウケンジャーは、記念作品だけあって、いずれも美男美女ぞろいですよね。
不幸な事故がありましたが・・。

一時会計監査人の選任時期

 本日は、どうしても早く寝る必要があるので、一時会計監査人の選任について簡潔にお話しします。

 このブログでは、かなり前から、某監査法人の欠格事由問題について、いろいろなご質問を頂き、
 監査役会が、一時会計監査人を、欠格事由が生ずる前に選ぶことはできない。
ということも、何度か、お知らせしたところです。

 その理由は、
① 一時会計監査人の選任は、非常時の制度であり、会計監査人が欠けて始めて監査役会に選任権限が生ずる。
② 会社法は、一般的に役員等の予選を認めているわけではなく、会計監査人については、予選が認められていないこととのバランス。
③ 裁判所に対する、一時取締役の選任の申立ては、取締役が欠けない限り、することができない。この処理と、一時会計監査人の選任を区別する合理的理由はない。
④ 役員の予選については、予選決議の有効期間等を法務省令で定めて限定的にしているのに、何の制約もなく、一時会計監査人の予選を認めるわけにはいかない。
⑤ 欠格事由が生ずる前に、監査役会を開催したいというのならば、会計監査人に辞職してもらい、その日に監査役会を開催すればよい。
⑥ 会計監査人が欠けた期間があったとしても、即座に違法になるわけではないから、欠けた後に、監査役会を開催すれば足りる。どうしても、1日も会計監査人不在をやりたくないというのであれば、⑤の方法を採ればよい。
ということにあります。

このブログを注意深く読んでくださっている会社さんは、大丈夫だと思いますが、新聞報道などによれば、一時会計監査人を既に監査役会で選任した会社も沢山あるそうです。

7月の声も聞こえてきたので、そうした会社さんのために、もう一度念押しをしますと、その監査役会の決議は無効であり、おそらく、その決議では、一時会計監査人の登記ができません。

ですから、うっかり監査役会で既に一時会計監査人を選任してしまった会社さんは、申し訳ありませんが、⑤か、⑥で、もう一度、監査役会をやってください。

本日は、混乱防止のためのお知らせでした。

(質問コーナー)
Q1
株主総会議事録作成者についてですが、新取締役だけが作成者になれるということですと、現取締役全員が総会終結と同時に退任して交代というケースで、新取締役が総会には誰も出席していない時に(普通はあり得ないでしょうが)総会の内容に責任を負えない者が作成者ということになってもよいのでしょうか…?
会社法で押印義務がなくなったため、その議事録内容の真正担保の意味合いで、議事録作成者の氏名が必要となったと思っていましたので旧商法の押印義務者と同様に「取締役としてその総会に出席していた者」が作成者となると考えてたのですが、先生のご回答では退任取締役は作成者にはなれないということですね。
Posted by 万年補助者 at 2006年06月22日 11:12
A1
退任取締役は作成者にはなれません。
議事録の作成者は、従来は、議長説と、新代表取締役説があったと思いますが、法文上、新しい取締役(代表取締役でなくてもよい)ということになりました。
理由は、議事録の作成は、株主総会の終了後に行われるということ、さらに、例えば、株主総会で取締役を全員解任した場合において、解任された取締役が自分が解任された決議について議事録を作成しなければならない(逆に言うと、新取締役は議事録を作成できない)というのは、まずいからです。
出席した取締役がいないということは、通常考えられませんが、出席していなければ、内容を調査の上、作成してください。

Q2
株主総会で解散決議を行い、外部の人を清算人に選任した場合、総会議事録の作成者はだれにすべきですか?
Posted by 会社を解散した者 at 2006年06月22日 15:35
A2
清算人です。内容が分からなければ、調査の上作成してください。

Q3
会社法の本のご紹介をいただきましたが、会社法に対応した税務、会計の本としてよいものがあればご紹介いただけないでしょうか。
A3
すいません。薦められるほど読んでいません。

Q4
会社法398条(定時株主総会における会計監査人の意見の陳述)についてお聞きします。
1項では「会計監査人が監査役と意見を異にするとき」とあり、3項では監査役会設置会社について、「『監査役』とあるのは、「監査役会又は監査役」』と読み替えるとあります。
3項は特に必要ないのではないかと思うのですが、この規定の趣旨をお聞かせ願えればと思います。
Posted by K at 2006年06月22日 16:56
A4
監査役会設置会社においては、各監査役が監査報告を作成し、その後、監査役会が監査報告を作成しますので、監査役会における監査報告において会計監査人との意見が食い違う場合等を想定したものです。監査役会の意見と監査役の一人の意見が食い違う場合もありますね。

Q5
自己株式の処分にあたって、募集株式の発行手続によるかぎり、割当てを受ける者には公開買付規制は適用されないという理解でよろしいでしょうか。
Posted by かし at 2006年06月22日 17:36
A5
公開買付規制が適用されるかどうは、証券取引法の問題で、私が答えると角が立つので、答えは差し控えさせていただきますが、公開買付とは何かを調べてみてください。

Q6
<質問>
定時株主総会において会計監査人の出席を求める決議があったときは、会計監査人は定時株主総会に出席して意見を述べなければならない(398条2項)とありますが、345条の辞任した者に該当しない場合には、株主総会の召集に関する事項の通知に係る規制が働かないと思います。
辞任していない会計監査人は株主総会の招集に関する議題(出席を求める旨)を把握することができるとは思いますが、原則としては、398条2項により会計監査人は株主総会に出席する必要があるという理解でよろしいでしょうか。
A6
398条2項の決議があれば、出席義務が生じます。普通、そういう場面だと、予め会計監査人も議場にいると思いますが。

Q7
 会社法100問24問目の解説の三3の段落(132頁)で,「平成19年度以降に発行する株式に対して行う剰余金の配当を,それまでに発行した株式に対して行う剰余金の配当の2分の1とする」定款変更について,「剰余金の配当について異なる定めをした種類株式(108条1項1号)を発行すること」を定めたものだとすれば,当該変更も許されるという記述はわかるのですが,その後の「及び既存の株式については,発行可能種類株式総数を当該種類の発行株式の総数まで減少すること(114条1項)」という追加的に記載されていることが,何を意味しているのか分かりません。
 後段の定めは不可欠のものなのでしょうか?
Posted by ボン at 2006年06月22日 20:03
A7
 24問は、平成19年度以降に発行する株式の全てについて、剰余金の配当を2分の1にするという問題ですから、既存の株式が、平成19年度以降に発行されてしまっては、問題文の要請を満たせないわけです。ですから、既存の株式についての発行可能種類株式総数を減らして、これ以上、既存の株式と同一種類の株式を発行できなくすることが必要なので、後段の定めが必要です。

Q8
移行登記と監査役権限拡大について質問させて下さい。
①特例有限会社も監査役の権限を業務監査まで拡大することは可能で、その場合でも任期満了退任しないのは間違いないことをまず確認させて下さい。
②移行登記と同時に監査役権限拡大する場合は、任期満了退任するのでしょうか?
よろしくお願いします。
Posted by chigmog at 2006年06月21日 15:13
A8
①そのとおりです。特例有限会社は、任期の規定が適用除外になっているので、業務監査権限まで拡大しても、任期は終了しません。
②普通は、監査役の権限拡大をして、移行するんじゃないんでしょうか?
 監査役の権限拡大は、定款変更と同時に効力が生じ、株式会社への移行は、登記時に効力が生ずるので、「同時に」効力を生じさせるためには、監査役の権限拡大を「登記時とする」という停止条件をつけなければいけないはずです。
 
Q9
葉玉先生、ロースクール生に「てれびくん」を与えた場合、ボウケンピンクに萌え〜となる者は一定数いるのではないでしょうか。ボウケンピンクは8年ほど前におはスタでおはガールをやっていたことですし。「おはジェンヌぅ」とやっていました。
Posted by CCC at 2006年06月22日 17:47
A9
今回のボウケンジャーは、記念作品だけあって、いずれも美男美女ぞろいですよね。
不幸な事故がありましたが・・。

会社法の本

 会社法について、学者・実務家の色々な本が出回ってきたので、なるべく読んでいるのですが、それぞれ読者層の設定が違うので、いくら読んでも飽きません。

 本を書く上で読者層をどこに設定するかは、ロースクールで、どんな学生に教えるのかと同じくらい重要です。

 幼稚園の年長さんに「小学1年生」を読ませると、背伸びをしながらも興味をもって読みますが、「ダビンチ・コード」なんかには目もくれません。
 逆も真なりで、ロースクール生に「テレビくん」を与えても、普通はあまり喜ばれません。幼稚園児の少女モデルに「萌え〜」という危ない人は若干いるかもしれませんが(笑)。

 ですから、知り合いから「会社法の勉強をしたいんだけど、何か良い本ないかな」と聞かれたときには、本の内容より先に、その人の会社法の理解の程度・興味のある領域の方が気になります。

 特に、会社法の知識が全くない人については、「この人は、会社法をどの程度までマスターする気があるのか」というところが一番の関心事。また、その人が会社法の勉強にどの程度の時間をかけることができるかも大事です。

 ちなみに、私は、普通、初学者には、会社法100問や千問の道標は薦めません。

 会社法100問は、「受験生の合格に役立つ本」であると同時に、「実務家が会社法の解釈について調べる本」を作るという、欲張った想定をしていたので、会社法を何も知らない初学者には歯ごたえがありすぎるでしょう。厚いから読むのに時間がかかるし(ただし、新司法試験の問題を見る限り、「自分で考えさせる」問題が多く、会社法100問が、徹底的に考えて、その長い長い思考過程を論証にしていくというスタイルを採ったのは、結果的には、正解だったなあと思います)。
 千問は、実務サイドのニーズを満たしつつ、ロースクール生などが会社法の知識を整理し、分からないところをすぐに調べられるミニ辞典としての機能を持たせようとして企画した本で、これまた初学者が興味本位でおもしろく読む本ではありません。

 それで、私が、初学者に何を薦めるかというと、やっぱり
 会社法入門(岩波新書) 神田先生
が定番です。
 ただし、会社法入門は、一般人向けなので、会社法を本気で勉強するならば、もうちょっと違う切り口の本が必要です。
 それで、最近、初学者用に最適だと思っているのは
 ビジュアル 株式会社の基本  柴田和史先生
です。

 柴田先生の本は、見開き2頁の左が解説・右が図表という形式で統一されていて、薄いのによくまとまっています。
 解釈論等は少ないし、これだけで足りるというほど、司法試験は甘くないですが、初学者にとって重要なことは、「手を広げすぎず、基本的なところを確実にマスターすること」なので、その目的には十分だと思います。
 「薄い」というと、ネガティブな印象かもしれませんが、情報の取捨選択能力がない時期に読む本としては、情報が適切に絞り込まれているということが最大のポイントなんです。
 私なら、この本の図表をもとにノートを作り、それに、いろいろな解釈論を付け足していきますね。

 柴田先生の本から一歩進んだ勉強をしていくと、神田先生、宮島先生、弥永先生、近藤先生などなど、きら星のような基本書が沢山あります。
 どれが、お勧めかは、その人の求めるものによって違うので、なんとも言いようがありませんが、神田先生の簡にして要を得た解説は、誰にでも勧められますし、宮島先生のわかりやすい解説・民法とのリンクも好きです。近藤先生の本は、会社法の本の中にビジネスの臨場感があり面白いし、私は、個人的に何かを調べるときには、リサーチ能力に定評のある弥永先生の本をよく使います。

 前田先生と江頭先生の基本書が出てくれば、私は、多分、お二方の基本書を一番よく読むことになると思いますが、いかんせん、まだ出版されておらず、この場でお薦めできないのが残念です。

 それから、各種予備校の本も一通り目を通しましたが、ここで何かをおすすめすると角が立つので、それはやめておきましょう。
 読んでいる最中、思わぬ予備校本で、「おっ、これは俺が18年前に開発した図表だ。」という驚きがあったのですが(その図表は、むちゃくちゃオリジナリティーが高いので、私以外の人が同じことを考えたとは考えがたいんです。)、別に著作権を主張するつもりはないのでご安心を。

 実務家の書いたものでは、西村ときわの武井先生の著書は、それぞれマニアックで好きなんです。ただ、読んでいると「武井先生が、そういう手でくるなら、僕ならこういくかなあ」なんて考え始めてしまい、あまり早く読み進めないのが難点です。注も多いし(笑)。

(質問コーナー)
Q1
 登記簿上、譲渡制限のない会社で小会社の監査役は会社法施行に伴い任期満了退任となりますが(会336.4.3、会389.1、整備53)、新たに株式譲渡制限規定の設定の登記をすることにより、監査役の重任登記を省略することはできないでしょうか?
A1
登記は、中間省略はできません。

Q2
会社法施行規則72条3項6号には、株主総会議事録の記載事項として「議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名」が規定されています。
たとえば、総会で取締役が全員退任し、新たに別の取締役が新任された会社において、この「議事録の作成に係る職務を行った取締役」とは、退任した取締役でしょうか。それとも、新任された取締役でしょうか。
A2
総会の後に議事録を作成するのですから、新取締役しか作成できないと思います。

Q3
T&Aマスターでは「非公開会社のように公正価値が算定困難な場合には」361条1項2号を利用することも可能であるとされていますが、これは2号の使用を公正価値の算定ができない場合に限定する趣旨ではないということでしょうか。商事法務1744号102頁では、ストックオプションは報酬のうち額が確定しているもので、かつ、金銭で無いものと整理することとしているとされ、株主総会において具体的な額及び内容を決議しなければならないとされていることとの関係をどのように理解すればよろしいのでしょうか。
ストックオプションの付与の議案については①1号と2号のいずれを利用しても構わず、どちらを選択するかは取締役の経営判断であり、最終的には株主総会で株主が判断することになる(かかる決議の無効の訴えが認められるかは取締役がどの程度情報提供をきちんとしたかということに帰結する)、②2号は公正価値の算定ができず、1号が利用できない場合に限定される、という2つの考え方(1号と2号を並存的に考えるか、2号は1号の予備的なものとして考えるか)が可能であると思います。1号と2号のどちらを選択するかということが経営判断であるとしても、両者の関係が並存的なものであるか予備的なものであるかによって経営判断が法律上許容できるものであったかということを判断する際に影響を与える可能性を否定することはできないと考えます。
なお、②の予備的な関係であると整理した場合、千問の方では、公正価値が0円の場合は上限を0円として決議する旨の記載がありますので、公認会計士等から公正価値は算定できない旨の確認書等を取得することになるのでしょうか。
Posted by S at 2006年06月21日 11:11
A3
①です。でも、無効の訴えというより、取消の訴えかなあ。
公正価値の証明をどの程度やるかは、オウンリスクです。
別に公認会計士じゃなくても、公正価値を算定することはできるでしょう。

Q4
A,Bという2種類の株式を発行している場合に、A株だけ募集株式の発行を行う場合ですが。
①A,B株両方とも譲渡制限が付いている場合:非公開会社
(ア)A,B株主による株主総会(200条1項)
(イ)A株主による種類株主総会(200条4項)
(ウ)取締役会による募集事項の決定
②Aは譲渡制限つきだが、Bは譲渡制限なしの場合:公開会社
(ア)A株主による種類株主総会(199条4項)
(イ)取締役会による募集事項の決定(201条1項、199条2項)
条文だと①の場合は募集事項の決定を取締役会に委任できるが②の場合は委任できないと読め(201条1項による200条の不適用)同じ譲渡制限付株式を発行するのに②の方が要件が厳しいような気がするのですが。また、①だと1年間は株主総会の承認の範囲内で何度も発行できるのに、②だと発行の度に株主総会を開催しないといけないのでしょうか。
Posted by ポケット at 2006年06月21日 11:34
A4
誤解があるようです。
1 ①のウは一体なんでしょう? 割当ての決定? もしそうなら、②でも必要。
2 ②は、株主総会を開催する必要はないし、実際に②には、株主総会って書いてないですよね。

Q5
葉玉先生こんにちは。基準日について質問致します。
1.株式分割においては基準日を定めなければならないとされているのに対し,株式の無償割当や株主割当による募集株式の発行においては,基準日を定めても定めなくてもよいとされています。なぜ,このような違いがでるのですか?
2.基準日を定めずに株式の無償割当や株主割当による募集株式の発行をした場合,株式又は株式の割当てを受ける権利はいつの時点の株主に与えられるのですか(株主を確定する日はいつですか)?
Posted by 小太郎 at 2006年06月21日 14:16
A5
そもそも割当てには、理論的には、基準日を定める必要はないんです(普通は、定めますが)。それで、基準日は任意になっています。
同じように株式分割にも、理論的には、基準日を定める必要はないんですが、基準日なしにいきなり株式分割をされると、上場株式についての保振制度や株券の電子化のもとでは、対応が難しいんです(効力発生日までに、証券会社に株式分割の内容を通知して、効力発生日に一斉に分割した結果を記録する必要があるので)。それで、実務に配慮して基準日を設けています。

Q6
千問の道標Q196で「株主名簿記載事項証明書の記名押印」について確認をお願いします。
株主名簿管理人を置いている場合、会社で発行しなければならないことになると思います。
これまで、株式に関する事務は、名義書換代理人が行い、当社は行わないこととしてます。
株主名簿管理人が株主名簿記載事項を証明出来ないのなら、何をやってもらっているか、わかりません。
特則は、設けられないのでしょうか。
Posted by ひろし at 2006年06月21日 16:07
A6
ひろしさんの会社は、株券を発行するときに、代表取締役ではなく、株主名簿管理人が署名していますか? 違いますよね。
株主名簿記載事項証明書は、株券不発行の会社において、株主であることを証明する極めて重要な書面で、株券発行会社でいえば、株券と同じほど重要なものです。代表取締役が全責任をもって、その者が株主であることを証明してください。
特則が設けられることはありません。仮に特則を設けるとすれば、株主名簿管理人がミスって虚偽の記載をしたら、代表取締役が個人で任務懈怠責任を負うという制度設計にでもしないといけないんだろうなあ。

Q7
「代表取締役の氏名及び住所」は設立登記事項とされています(911条3項14号)。この「住所」なのですが、代表取締役社長が転居したことにより現住所が変更となった場合には、変更登記の手続をとらなければならないのだと認識しています(915条1項)。ところが世の中には困った人がおり、代表取締役社長の新住所を登記簿を閲覧・謄写することによって調べた上で実際に訪ねていく、さらには付きまとう可能性があり、セキュリティの関係上、真正面から変更登記をすることが果たしてよいのだろうかと考える事案に直面しています。このようなリスクを回避するために変更登記をしないということは認められるでしょうか。もし認められないということであれば、このような事案の場合は、つきまとわれないような強面の人に代表取締役社長を変更する又は代表取締役を置かない(取締役社長にする)等によるしかないでしょうか。
Posted by SMOKY at 2006年06月21日 17:34
A7
代表取締役の住所が変更したら、変更登記をしなければいけません。
また、代表取締役のない株式会社はありません。
代表者の住所を公示することは、現在の法人法制の基本的な枠組みであり、訴訟における送達場所の確保という点からも、過料を課すためにも、必要であるとされています。

Q8
【一般的な監査役会設置会社を前提として】
1) 社外監査役候補者≠社外監査役
2) 社外監査役候補者=規2条3項8号イ+ロの両方を充足することが必要
なお、ロでは、「法335条3項の社外監査役であるものとする予定があるもの」が要件の1つとなっている。
3) 法335条3項の規定:監査役会設置会社の監査役は「半数以上は社外監査役でなければならない」とされる
=この規定中「社外監査役」の定義は法2条16号にて捉えるとの理解でOKですか?そうすると、
ア)甲社では新任監査役としてA、B、C、Dの4名を選任することを予定
イ)4名全員が 法2条16号(←昨日はここを規則と間違って書込してしまいました)に定める社外監査役の要件に該当するが
ウ)Dについては、事業報告等にこれを表示する予定もなく、責任限定契約を締結する予定もない
=この場合に、法335条3項の社外監査役とする予定がないものとして、Dを社外監査役候補者としなくてもOKですか? あくまでも法2条16号の要件該当=社外監査役とすることになるのでしょうか?
Posted by greenlemondrop at 2006年06月21日 21:01
A8
Dは、施行規則2条3項8号ロの要件を欠くので、社外監査役候補者ではありません。

Q9
個人的には、 社外監査役候補者・社外取締役候補者−株主の承認でランクアップ→社外監査役・社外取締役 と捉えていたのですが、規則で規定される候補者の定義のほうが、法で定める社外役員の定義より広く見えるんです。
千問の道標 Q409に「社外候補者として選任されなかった者も客観的に社外取締役に該当する者は社外取締役の登記が必要」とありますが、規則に基づき、社外候補者としなかったものであっても、会社法上は、社外取締役・社外監査役となるものが存在するとの理解でよいのでしょうか?
また、「責任限定契約を締結するのならば、その対象者を社外監査役として登記してください。」とご回答頂いていますが、会社法911条3項18号によると、監査役会設置会社では契約有無に関わらず社外監査役全員登記することになるとの理解でよいのでしょうか?
Posted by greenlemondrop at 2006年06月21日 21:02
A9
社外候補者にするかどうかにかかわらず、客観的に法2条15号16号に該当すれば、社外取締役・社外監査役になります。
911条3項18号は、契約を締結したかどうかにかかわらず、最低限の員数の社外監査役については登記義務が生じるという趣旨の規定であり、必ずしも社外監査役全員を登記する必要はありません。

Q10
会社法による、機関設計の自由化なのですが、定款に定めることによって、会社の規模に関わらないで色んな機関を設置できるので
1)機関設計を変更する定款議案が総会で承認
(EX:会計監査人非設置→設置会社に変更)
2)期限・条件を付さない場合、決議時点で定款変更の効力発生
3)定款変更を行うのと同一の総会にて新しい機関設計に見合う承認を行うことが必須(EXでは、定款変更承認→会計監査人設置を上程)
という理解でよいでしょうか? そうなるんだろうなと思いつつ、期中に会社の機関設計が変わることに違和感があったりしています。
Posted by greenlemondrop at 2006年06月21日 22:18
A10
3の「新しい機関設計に見合う承認」というのは、なんでしょうか?
会計監査人を置く旨の定款の変更の決議と、会計監査人の選任の決議をすればいいと思うのですが?
ちなみに、定款変更は、「承認」するのではなく、総会で定めるものです。

会社法の本

 会社法について、学者・実務家の色々な本が出回ってきたので、なるべく読んでいるのですが、それぞれ読者層の設定が違うので、いくら読んでも飽きません。

 本を書く上で読者層をどこに設定するかは、ロースクールで、どんな学生に教えるのかと同じくらい重要です。

 幼稚園の年長さんに「小学1年生」を読ませると、背伸びをしながらも興味をもって読みますが、「ダビンチ・コード」なんかには目もくれません。
 逆も真なりで、ロースクール生に「テレビくん」を与えても、普通はあまり喜ばれません。幼稚園児の少女モデルに「萌え〜」という危ない人は若干いるかもしれませんが(笑)。

 ですから、知り合いから「会社法の勉強をしたいんだけど、何か良い本ないかな」と聞かれたときには、本の内容より先に、その人の会社法の理解の程度・興味のある領域の方が気になります。

 特に、会社法の知識が全くない人については、「この人は、会社法をどの程度までマスターする気があるのか」というところが一番の関心事。また、その人が会社法の勉強にどの程度の時間をかけることができるかも大事です。

 ちなみに、私は、普通、初学者には、会社法100問や千問の道標は薦めません。

 会社法100問は、「受験生の合格に役立つ本」であると同時に、「実務家が会社法の解釈について調べる本」を作るという、欲張った想定をしていたので、会社法を何も知らない初学者には歯ごたえがありすぎるでしょう。厚いから読むのに時間がかかるし(ただし、新司法試験の問題を見る限り、「自分で考えさせる」問題が多く、会社法100問が、徹底的に考えて、その長い長い思考過程を論証にしていくというスタイルを採ったのは、結果的には、正解だったなあと思います)。
 千問は、実務サイドのニーズを満たしつつ、ロースクール生などが会社法の知識を整理し、分からないところをすぐに調べられるミニ辞典としての機能を持たせようとして企画した本で、これまた初学者が興味本位でおもしろく読む本ではありません。

 それで、私が、初学者に何を薦めるかというと、やっぱり
 会社法入門(岩波新書) 神田先生
が定番です。
 ただし、会社法入門は、一般人向けなので、会社法を本気で勉強するならば、もうちょっと違う切り口の本が必要です。
 それで、最近、初学者用に最適だと思っているのは
 ビジュアル 株式会社の基本  柴田和史先生
です。

 柴田先生の本は、見開き2頁の左が解説・右が図表という形式で統一されていて、薄いのによくまとまっています。
 解釈論等は少ないし、これだけで足りるというほど、司法試験は甘くないですが、初学者にとって重要なことは、「手を広げすぎず、基本的なところを確実にマスターすること」なので、その目的には十分だと思います。
 「薄い」というと、ネガティブな印象かもしれませんが、情報の取捨選択能力がない時期に読む本としては、情報が適切に絞り込まれているということが最大のポイントなんです。
 私なら、この本の図表をもとにノートを作り、それに、いろいろな解釈論を付け足していきますね。

 柴田先生の本から一歩進んだ勉強をしていくと、神田先生、宮島先生、弥永先生、近藤先生などなど、きら星のような基本書が沢山あります。
 どれが、お勧めかは、その人の求めるものによって違うので、なんとも言いようがありませんが、神田先生の簡にして要を得た解説は、誰にでも勧められますし、宮島先生のわかりやすい解説・民法とのリンクも好きです。近藤先生の本は、会社法の本の中にビジネスの臨場感があり面白いし、私は、個人的に何かを調べるときには、リサーチ能力に定評のある弥永先生の本をよく使います。

 前田先生と江頭先生の基本書が出てくれば、私は、多分、お二方の基本書を一番よく読むことになると思いますが、いかんせん、まだ出版されておらず、この場でお薦めできないのが残念です。

 それから、各種予備校の本も一通り目を通しましたが、ここで何かをおすすめすると角が立つので、それはやめておきましょう。
 読んでいる最中、思わぬ予備校本で、「おっ、これは俺が18年前に開発した図表だ。」という驚きがあったのですが(その図表は、むちゃくちゃオリジナリティーが高いので、私以外の人が同じことを考えたとは考えがたいんです。)、別に著作権を主張するつもりはないのでご安心を。

 実務家の書いたものでは、西村ときわの武井先生の著書は、それぞれマニアックで好きなんです。ただ、読んでいると「武井先生が、そういう手でくるなら、僕ならこういくかなあ」なんて考え始めてしまい、あまり早く読み進めないのが難点です。注も多いし(笑)。

(質問コーナー)
Q1
 登記簿上、譲渡制限のない会社で小会社の監査役は会社法施行に伴い任期満了退任となりますが(会336.4.3、会389.1、整備53)、新たに株式譲渡制限規定の設定の登記をすることにより、監査役の重任登記を省略することはできないでしょうか?
A1
登記は、中間省略はできません。

Q2
会社法施行規則72条3項6号には、株主総会議事録の記載事項として「議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名」が規定されています。
たとえば、総会で取締役が全員退任し、新たに別の取締役が新任された会社において、この「議事録の作成に係る職務を行った取締役」とは、退任した取締役でしょうか。それとも、新任された取締役でしょうか。
A2
総会の後に議事録を作成するのですから、新取締役しか作成できないと思います。

Q3
T&Aマスターでは「非公開会社のように公正価値が算定困難な場合には」361条1項2号を利用することも可能であるとされていますが、これは2号の使用を公正価値の算定ができない場合に限定する趣旨ではないということでしょうか。商事法務1744号102頁では、ストックオプションは報酬のうち額が確定しているもので、かつ、金銭で無いものと整理することとしているとされ、株主総会において具体的な額及び内容を決議しなければならないとされていることとの関係をどのように理解すればよろしいのでしょうか。
ストックオプションの付与の議案については①1号と2号のいずれを利用しても構わず、どちらを選択するかは取締役の経営判断であり、最終的には株主総会で株主が判断することになる(かかる決議の無効の訴えが認められるかは取締役がどの程度情報提供をきちんとしたかということに帰結する)、②2号は公正価値の算定ができず、1号が利用できない場合に限定される、という2つの考え方(1号と2号を並存的に考えるか、2号は1号の予備的なものとして考えるか)が可能であると思います。1号と2号のどちらを選択するかということが経営判断であるとしても、両者の関係が並存的なものであるか予備的なものであるかによって経営判断が法律上許容できるものであったかということを判断する際に影響を与える可能性を否定することはできないと考えます。
なお、②の予備的な関係であると整理した場合、千問の方では、公正価値が0円の場合は上限を0円として決議する旨の記載がありますので、公認会計士等から公正価値は算定できない旨の確認書等を取得することになるのでしょうか。
Posted by S at 2006年06月21日 11:11
A3
①です。でも、無効の訴えというより、取消の訴えかなあ。
公正価値の証明をどの程度やるかは、オウンリスクです。
別に公認会計士じゃなくても、公正価値を算定することはできるでしょう。

Q4
A,Bという2種類の株式を発行している場合に、A株だけ募集株式の発行を行う場合ですが。
①A,B株両方とも譲渡制限が付いている場合:非公開会社
(ア)A,B株主による株主総会(200条1項)
(イ)A株主による種類株主総会(200条4項)
(ウ)取締役会による募集事項の決定
②Aは譲渡制限つきだが、Bは譲渡制限なしの場合:公開会社
(ア)A株主による種類株主総会(199条4項)
(イ)取締役会による募集事項の決定(201条1項、199条2項)
条文だと①の場合は募集事項の決定を取締役会に委任できるが②の場合は委任できないと読め(201条1項による200条の不適用)同じ譲渡制限付株式を発行するのに②の方が要件が厳しいような気がするのですが。また、①だと1年間は株主総会の承認の範囲内で何度も発行できるのに、②だと発行の度に株主総会を開催しないといけないのでしょうか。
Posted by ポケット at 2006年06月21日 11:34
A4
誤解があるようです。
1 ①のウは一体なんでしょう? 割当ての決定? もしそうなら、②でも必要。
2 ②は、株主総会を開催する必要はないし、実際に②には、株主総会って書いてないですよね。

Q5
葉玉先生こんにちは。基準日について質問致します。
1.株式分割においては基準日を定めなければならないとされているのに対し,株式の無償割当や株主割当による募集株式の発行においては,基準日を定めても定めなくてもよいとされています。なぜ,このような違いがでるのですか?
2.基準日を定めずに株式の無償割当や株主割当による募集株式の発行をした場合,株式又は株式の割当てを受ける権利はいつの時点の株主に与えられるのですか(株主を確定する日はいつですか)?
Posted by 小太郎 at 2006年06月21日 14:16
A5
そもそも割当てには、理論的には、基準日を定める必要はないんです(普通は、定めますが)。それで、基準日は任意になっています。
同じように株式分割にも、理論的には、基準日を定める必要はないんですが、基準日なしにいきなり株式分割をされると、上場株式についての保振制度や株券の電子化のもとでは、対応が難しいんです(効力発生日までに、証券会社に株式分割の内容を通知して、効力発生日に一斉に分割した結果を記録する必要があるので)。それで、実務に配慮して基準日を設けています。

Q6
千問の道標Q196で「株主名簿記載事項証明書の記名押印」について確認をお願いします。
株主名簿管理人を置いている場合、会社で発行しなければならないことになると思います。
これまで、株式に関する事務は、名義書換代理人が行い、当社は行わないこととしてます。
株主名簿管理人が株主名簿記載事項を証明出来ないのなら、何をやってもらっているか、わかりません。
特則は、設けられないのでしょうか。
Posted by ひろし at 2006年06月21日 16:07
A6
ひろしさんの会社は、株券を発行するときに、代表取締役ではなく、株主名簿管理人が署名していますか? 違いますよね。
株主名簿記載事項証明書は、株券不発行の会社において、株主であることを証明する極めて重要な書面で、株券発行会社でいえば、株券と同じほど重要なものです。代表取締役が全責任をもって、その者が株主であることを証明してください。
特則が設けられることはありません。仮に特則を設けるとすれば、株主名簿管理人がミスって虚偽の記載をしたら、代表取締役が個人で任務懈怠責任を負うという制度設計にでもしないといけないんだろうなあ。

Q7
「代表取締役の氏名及び住所」は設立登記事項とされています(911条3項14号)。この「住所」なのですが、代表取締役社長が転居したことにより現住所が変更となった場合には、変更登記の手続をとらなければならないのだと認識しています(915条1項)。ところが世の中には困った人がおり、代表取締役社長の新住所を登記簿を閲覧・謄写することによって調べた上で実際に訪ねていく、さらには付きまとう可能性があり、セキュリティの関係上、真正面から変更登記をすることが果たしてよいのだろうかと考える事案に直面しています。このようなリスクを回避するために変更登記をしないということは認められるでしょうか。もし認められないということであれば、このような事案の場合は、つきまとわれないような強面の人に代表取締役社長を変更する又は代表取締役を置かない(取締役社長にする)等によるしかないでしょうか。
Posted by SMOKY at 2006年06月21日 17:34
A7
代表取締役の住所が変更したら、変更登記をしなければいけません。
また、代表取締役のない株式会社はありません。
代表者の住所を公示することは、現在の法人法制の基本的な枠組みであり、訴訟における送達場所の確保という点からも、過料を課すためにも、必要であるとされています。

Q8
【一般的な監査役会設置会社を前提として】
1) 社外監査役候補者≠社外監査役
2) 社外監査役候補者=規2条3項8号イ+ロの両方を充足することが必要
なお、ロでは、「法335条3項の社外監査役であるものとする予定があるもの」が要件の1つとなっている。
3) 法335条3項の規定:監査役会設置会社の監査役は「半数以上は社外監査役でなければならない」とされる
=この規定中「社外監査役」の定義は法2条16号にて捉えるとの理解でOKですか?そうすると、
ア)甲社では新任監査役としてA、B、C、Dの4名を選任することを予定
イ)4名全員が 法2条16号(←昨日はここを規則と間違って書込してしまいました)に定める社外監査役の要件に該当するが
ウ)Dについては、事業報告等にこれを表示する予定もなく、責任限定契約を締結する予定もない
=この場合に、法335条3項の社外監査役とする予定がないものとして、Dを社外監査役候補者としなくてもOKですか? あくまでも法2条16号の要件該当=社外監査役とすることになるのでしょうか?
Posted by greenlemondrop at 2006年06月21日 21:01
A8
Dは、施行規則2条3項8号ロの要件を欠くので、社外監査役候補者ではありません。

Q9
個人的には、 社外監査役候補者・社外取締役候補者−株主の承認でランクアップ→社外監査役・社外取締役 と捉えていたのですが、規則で規定される候補者の定義のほうが、法で定める社外役員の定義より広く見えるんです。
千問の道標 Q409に「社外候補者として選任されなかった者も客観的に社外取締役に該当する者は社外取締役の登記が必要」とありますが、規則に基づき、社外候補者としなかったものであっても、会社法上は、社外取締役・社外監査役となるものが存在するとの理解でよいのでしょうか?
また、「責任限定契約を締結するのならば、その対象者を社外監査役として登記してください。」とご回答頂いていますが、会社法911条3項18号によると、監査役会設置会社では契約有無に関わらず社外監査役全員登記することになるとの理解でよいのでしょうか?
Posted by greenlemondrop at 2006年06月21日 21:02
A9
社外候補者にするかどうかにかかわらず、客観的に法2条15号16号に該当すれば、社外取締役・社外監査役になります。
911条3項18号は、契約を締結したかどうかにかかわらず、最低限の員数の社外監査役については登記義務が生じるという趣旨の規定であり、必ずしも社外監査役全員を登記する必要はありません。

Q10
会社法による、機関設計の自由化なのですが、定款に定めることによって、会社の規模に関わらないで色んな機関を設置できるので
1)機関設計を変更する定款議案が総会で承認
(EX:会計監査人非設置→設置会社に変更)
2)期限・条件を付さない場合、決議時点で定款変更の効力発生
3)定款変更を行うのと同一の総会にて新しい機関設計に見合う承認を行うことが必須(EXでは、定款変更承認→会計監査人設置を上程)
という理解でよいでしょうか? そうなるんだろうなと思いつつ、期中に会社の機関設計が変わることに違和感があったりしています。
Posted by greenlemondrop at 2006年06月21日 22:18
A10
3の「新しい機関設計に見合う承認」というのは、なんでしょうか?
会計監査人を置く旨の定款の変更の決議と、会計監査人の選任の決議をすればいいと思うのですが?
ちなみに、定款変更は、「承認」するのではなく、総会で定めるものです。

2006年6月20日 (火)

電子債権

 本日は、法制審議会電子債権部会において、午後1時から午後7時まで、6時間にわたり審議があったため、心身ともに消耗しました。普通、審議会って2〜3時間ですが、この部会は別格。

 体力的にもきついのですが、内容も、債権総論と手形法を足して2倍複雑にしたような話しで、頭がウニになります。

 でも、知的好奇心は大満足です。
 電子債権は、柔軟性と法的安定性を両立させる工夫満載。
 使い方を知らなければ、せいぜい手形の代替物ですが、使いこなせれば、低コストで有利な資金調達手段をいろいろと開発できます。
 
 どこかの新聞社が「電子商取引によって生じた債権を管理する」みたいな記事を書いてましたが、実際は、全然違います。

 民間の管理機関のコンピューターで、原因関係から切り離された無因の債権の発生・移転などを管理させ、流通の管理や善意者保護について、当事者の意思で様々なオプションを付与することを認める。

電子債権とは、一言で言えば、そんな感じのものです。

 世界に例のない画期的な法律の立案に携わり、あれこれ知恵を絞るのは、本当に面白い。部会に参加されている先生方も、各界のエースばかりで、本当に勉強になります。

 夏ころには、中間試案が出せるといいなあと思っていますが、金融関係法に興味ある方は、ぜひ中間試案を読んでみてください。

 というわけで、今日は、頭が電子化しているので、会社法は、質問やっつけモードでいきます。

(質問コーナー)
Q1
昨日のA6-質問3(監査役設置会社の定義について)
Posted by df at 2006年06月20日 01:18
A1
要するに、「会計監査限定の定めがある会社でも、取締役会設置会社だと、監査役を置かなければならない会社として監査役設置会社になるから、おかしい」という質問でしょうか?
仮にそういう質問であれば、監査役を置かなければならない会社というのは、置かなければならないのに、置いていない会社のことだと読んでください。監査役を置いた上で、会計監査限定の定めを置いたら、取締役会設置会社でも、監査役設置会社にはなりません。
質問の意味を取り違えていたら、もう一度質問してください。

Q2
会社法370条の「同意の意思表示」については、371条1項に基づき、10年間本店に備え置く必要がありますが、「同意の意思表示」が、電子メールによりなされた場合、その電磁的記録を紙に印刷して10年間本店に備え置けば、その電磁的記録を消去しても許される(371条1項に違反しない)のでしょうか?
Posted by みひろ at 2006年06月20日 07:07
A2
電磁的記録で同意したものを、書面で備え置くのは、難しいですね。
でも、メールを印刷した書面で同意したということであれば、その書面を備え置けばいいです(笑)。分かりますでしょうか?

Q3.
利益相反取引について教えてください。
Q取締役兼務の場合、利益相反取引(直接取引)を行なうにあたり、取締役下記の承認を要する場合を図示すればどのようになりますか。
     甲会社          乙会社
C1.○代取A 取B 取C  ○代取A 取B 取C
…………………………………………
上記のうち、「取締役下記の承認を要する場合」とあるのは、「取締役会の承認……」の間違いです。また、表は、Qに対する回答(A)です(「A」の記載が抜けておりました)。
もしこれで意味が通じましたら、ご回答よろしくお願い申し上げます。お手数をかけて大変申し訳ありません。
Posted by パパ at 2006年06月20日 08:53
A3
すいません。他人の書いた表って、よく分からないので答えようがありません。

Q4
会社法200条1項と4項についてですが、例えば①普通株式②A種株式(優先配当・累積型)③B種株式(優先配当・非累積型)という3種類の株式を発行していて(①〜③のすべてが譲渡制限株式です)、自己株式として会社が所有している普通株式及びA種株式を処分(第三者に売却)する場合には、
(ア)株主全員(普通株主+A種株主+B種株主)による株主総会
(イ)普通株主のみによる普通株主種類株主総会
(ウ)A種株主のみによるA種株主種類株主総会
の3つの株主総会を開催しないといけないということなのでしょうか?
それで(ア)(イ)の総会では無事承認されたが、(ウ)の総会では否決された場合、普通株式は処分(売却)できるがA種株式は処分(売却)できない、という理解でよろしいのでしょうか?
Posted by ポケット at 2006年06月20日 16:10
A4
そのとおりです。

Q5
葉玉先生こんばんは、先日「社外監査役の選任」について質問された方がいたようなので、おそがけな上,かなり重複しますが、便乗させて下さい。 よろしくお願いします。
1)甲会社は監査役会設置会社
→法335条3項により半数以上は社外監査役であることが要求
2)監査役はA、B、C、Dの4名
3)4名中4名全員が 規2条3項8号(ロ)の要件に該当
の場合、
A)半数以上を社外とすればよいのでA,B,Cのみを社外監査役とすることでよいのでしょうか?
B)それとも、法335条3項に記載されている社外監査役は法2条16号の規定に該当するものとして考え、4名全員を社外とするのでしょうか?
また、根本的な話ですが、規則と法で要件に違いがあるのはなぜですか?
Posted by greenlemondrop at 2006年06月20日 21:27
A6
4名とも2条3項8号ロだけではなく、イの要件も充たしていることが前提ですよね。
その4名は、全員、社外監査役候補者に該当します。したがって、選任については、全員を社外監査役候補者として、開示・選任してください。また、4名とも責任限定契約を締結するのならば、4名とも登記してください。
 規則と法で社外監査役の要件は同じです。社外監査役と、社外監査役候補者・社外役員を混同されているのだと思います。

Q7
自己名義株式とはなんでしょうか。
A7
自己株式のことでしょうか? 自己株式ならば、株式会社が、自らの株式を保有している場合における当該株式のことです。

Q8
剰余金配当の請求期間を除斥期間3年と定款で規定することは、民法167債権の消滅時効10年との関係をどのように整理して考えればいいのでしょうか。
A8
そうですねえ。定款で定める除斥期間は、世界の七不思議なので(笑)、よく分かりません。

Q9
 多くの上場企業で、有価証券報告書を提出しているにもかかわらず、株主総会後の貸借対照表・損益計算書を日刊紙に公告しておりますが、これはなぜでしょうか?
Posted by ぺーぺー社員 at 2006年06月20日 22:38
A9
5月以降に日経新聞に貸借対照表等を載せたとすれば、それは、株主向けのサービスで、会社法上の意味はありません。
 ところで、ふと思い出したのですが、公告方法についての東証の規則は、今どうなっているんでしょう?

電子債権

 本日は、法制審議会電子債権部会において、午後1時から午後7時まで、6時間にわたり審議があったため、心身ともに消耗しました。普通、審議会って2〜3時間ですが、この部会は別格。

 体力的にもきついのですが、内容も、債権総論と手形法を足して2倍複雑にしたような話しで、頭がウニになります。

 でも、知的好奇心は大満足です。
 電子債権は、柔軟性と法的安定性を両立させる工夫満載。
 使い方を知らなければ、せいぜい手形の代替物ですが、使いこなせれば、低コストで有利な資金調達手段をいろいろと開発できます。
 
 どこかの新聞社が「電子商取引によって生じた債権を管理する」みたいな記事を書いてましたが、実際は、全然違います。

 民間の管理機関のコンピューターで、原因関係から切り離された無因の債権の発生・移転などを管理させ、流通の管理や善意者保護について、当事者の意思で様々なオプションを付与することを認める。

電子債権とは、一言で言えば、そんな感じのものです。

 世界に例のない画期的な法律の立案に携わり、あれこれ知恵を絞るのは、本当に面白い。部会に参加されている先生方も、各界のエースばかりで、本当に勉強になります。

 夏ころには、中間試案が出せるといいなあと思っていますが、金融関係法に興味ある方は、ぜひ中間試案を読んでみてください。

 というわけで、今日は、頭が電子化しているので、会社法は、質問やっつけモードでいきます。

(質問コーナー)
Q1
昨日のA6-質問3(監査役設置会社の定義について)
Posted by df at 2006年06月20日 01:18
A1
要するに、「会計監査限定の定めがある会社でも、取締役会設置会社だと、監査役を置かなければならない会社として監査役設置会社になるから、おかしい」という質問でしょうか?
仮にそういう質問であれば、監査役を置かなければならない会社というのは、置かなければならないのに、置いていない会社のことだと読んでください。監査役を置いた上で、会計監査限定の定めを置いたら、取締役会設置会社でも、監査役設置会社にはなりません。
質問の意味を取り違えていたら、もう一度質問してください。

Q2
会社法370条の「同意の意思表示」については、371条1項に基づき、10年間本店に備え置く必要がありますが、「同意の意思表示」が、電子メールによりなされた場合、その電磁的記録を紙に印刷して10年間本店に備え置けば、その電磁的記録を消去しても許される(371条1項に違反しない)のでしょうか?
Posted by みひろ at 2006年06月20日 07:07
A2
電磁的記録で同意したものを、書面で備え置くのは、難しいですね。
でも、メールを印刷した書面で同意したということであれば、その書面を備え置けばいいです(笑)。分かりますでしょうか?

Q3.
利益相反取引について教えてください。
Q取締役兼務の場合、利益相反取引(直接取引)を行なうにあたり、取締役下記の承認を要する場合を図示すればどのようになりますか。
     甲会社          乙会社
C1.○代取A 取B 取C  ○代取A 取B 取C
…………………………………………
上記のうち、「取締役下記の承認を要する場合」とあるのは、「取締役会の承認……」の間違いです。また、表は、Qに対する回答(A)です(「A」の記載が抜けておりました)。
もしこれで意味が通じましたら、ご回答よろしくお願い申し上げます。お手数をかけて大変申し訳ありません。
Posted by パパ at 2006年06月20日 08:53
A3
すいません。他人の書いた表って、よく分からないので答えようがありません。

Q4
会社法200条1項と4項についてですが、例えば①普通株式②A種株式(優先配当・累積型)③B種株式(優先配当・非累積型)という3種類の株式を発行していて(①〜③のすべてが譲渡制限株式です)、自己株式として会社が所有している普通株式及びA種株式を処分(第三者に売却)する場合には、
(ア)株主全員(普通株主+A種株主+B種株主)による株主総会
(イ)普通株主のみによる普通株主種類株主総会
(ウ)A種株主のみによるA種株主種類株主総会
の3つの株主総会を開催しないといけないということなのでしょうか?
それで(ア)(イ)の総会では無事承認されたが、(ウ)の総会では否決された場合、普通株式は処分(売却)できるがA種株式は処分(売却)できない、という理解でよろしいのでしょうか?
Posted by ポケット at 2006年06月20日 16:10
A4
そのとおりです。

Q5
葉玉先生こんばんは、先日「社外監査役の選任」について質問された方がいたようなので、おそがけな上,かなり重複しますが、便乗させて下さい。 よろしくお願いします。
1)甲会社は監査役会設置会社
→法335条3項により半数以上は社外監査役であることが要求
2)監査役はA、B、C、Dの4名
3)4名中4名全員が 規2条3項8号(ロ)の要件に該当
の場合、
A)半数以上を社外とすればよいのでA,B,Cのみを社外監査役とすることでよいのでしょうか?
B)それとも、法335条3項に記載されている社外監査役は法2条16号の規定に該当するものとして考え、4名全員を社外とするのでしょうか?
また、根本的な話ですが、規則と法で要件に違いがあるのはなぜですか?
Posted by greenlemondrop at 2006年06月20日 21:27
A6
4名とも2条3項8号ロだけではなく、イの要件も充たしていることが前提ですよね。
その4名は、全員、社外監査役候補者に該当します。したがって、選任については、全員を社外監査役候補者として、開示・選任してください。また、4名とも責任限定契約を締結するのならば、4名とも登記してください。
 規則と法で社外監査役の要件は同じです。社外監査役と、社外監査役候補者・社外役員を混同されているのだと思います。

Q7
自己名義株式とはなんでしょうか。
A7
自己株式のことでしょうか? 自己株式ならば、株式会社が、自らの株式を保有している場合における当該株式のことです。

Q8
剰余金配当の請求期間を除斥期間3年と定款で規定することは、民法167債権の消滅時効10年との関係をどのように整理して考えればいいのでしょうか。
A8
そうですねえ。定款で定める除斥期間は、世界の七不思議なので(笑)、よく分かりません。

Q9
 多くの上場企業で、有価証券報告書を提出しているにもかかわらず、株主総会後の貸借対照表・損益計算書を日刊紙に公告しておりますが、これはなぜでしょうか?
Posted by ぺーぺー社員 at 2006年06月20日 22:38
A9
5月以降に日経新聞に貸借対照表等を載せたとすれば、それは、株主向けのサービスで、会社法上の意味はありません。
 ところで、ふと思い出したのですが、公告方法についての東証の規則は、今どうなっているんでしょう?

貸株・譲渡担保・失念株主

「受験生の皆さんは、ワールドカップなんか見るな」と忠告した私は、本当に先見の明があったようです。私は、昨日の敗戦、いや、敗戦に等しい引き分けのため、現在、作業効率が95%ほど減退しています。

 会社法グループを陰で操っているH検事は、サンフレッチェ・フリークであるため、今日は一日中「なんで、あの××××××××柳沢×××を代表に入れて、佐藤を落としたんだ。玉田なんか××××××××××××××なのに。なぜ佐藤じゃないんだ。」ということで頭がいっぱいで、作業効率が98%ほど減退しているように見えます。(6/20 H検事の検閲により,伏せ字になりました。)

 現在、会社法グループは、愛国心にやや欠けるところのある1名を除き、かなり意気消沈しているところであり、昨年がワールドカップだったら、会社法の成立は危うかったなと思うほどです(笑)。何はともあれ、次の試合は、朝4時。試合前日のブログ更新は、極めて期待薄ですので、予めご了承ください

 さて、株式の取引と株主としての権利の帰属に関連して、3人の方から質問を受けました。

silverさん
「株式の質権設定と、貸し株の違いを教えてください。」
去年商法Gさん
「100問では、A(譲渡人)B(譲受人)で配当等をBに引き渡すための合意があれば、Bは新株発行時の株価と払込金額の差額分をAに請求できるとありますが、かかる合意がなければ、Bは請求できないということになりますよね。この場合、Aが二重の利得を得ることになりますが、それはBが名義書換を行わなかった以上仕方ないということでしょうか。」

ボンさん
「江頭先生の教科書にあったのですが,株主が出捐なしに得たものについては,失念株主の名簿上の株主に対する不当利得返還請求を認めるのが,判例の立場だと思います(最判昭和37年4月20日参照)。それとも,この昭和37年最高裁判決は,配当等の事例について一般化することはできないというお立場なのでしょうか?」

 この3つの質問は、違うことを聞いているようで、本質的には、同じことが聞かれているように感じます。一言で言えば、
 株主名簿上の株主が会社から受け取ったものが誰に帰属するかは、原則として、当事者間の意思表示に基づいて決まる
ということです。

まずsilverさんの質問にある、貸株と質権設定の違いですが
 貸株は、株式の消費貸借契約であり、当該株式は、借主に帰属する。
 質権設定は、株式に対する質権を設定することであり、質権者は、当該株式の株主になるわけではない。
という大きな違いがあります。

 貸株の場合に、議決権を行使することができるかどうかは、消費貸借契約の内容によって異なり、名義書換をしないことを約定していれば、議決権も、配当請求権も行使できませんし、そうでなければ、名義書換をすることにより、株主としての権利を行使することができます。
 いわゆる空売りをしたいときには、議決権や配当請求権等どうでもいいので、「そんな権利はいらないから、賃料(貸株料)を安くしてね」というような約束をするわけです。
 このように貸株の場合、当事者間における剰余金の配当の帰属は当事者間の約定で決まります。

 次に、質権者は、株主でないので、議決権を行使することができないのは当然のことですが、会社から、剰余金の配当等を受け取りたければ、登録質にする必要があります。
 略式質は、剰余金の配当等について差押えて、担保権の実行手続きをすることができるだけです。
 この場面でも、剰余金の配当等を誰に帰属させるかは、質権設定者と質権者との合意で決まり、それを株主名簿に反映させれば、会社との関係でも質権者が会社から剰余金の配当を受け取ることができるようになるのです。

 次に、去年商法Gさんの質問。
 譲渡人と譲受人との間で、配当等の帰属について特約がない場合、譲渡人が「二重の利得を得ることになりますが、それは譲受人が名義書換を行わなかった以上仕方ないということでしょうか。」ということですが、「二重の利得」になっているかどうかは、当事者にしか分かりません。
 株式を移転する契約には様々なものがあり、貸株もあれば、譲渡担保もあれば、売買契約もあります。
 貸株については、既に述べたとおりですし、譲渡人と譲受人の間の契約が略式譲渡担保契約だった場合には、配当金等はすべて譲渡人に帰属するというのが当事者の意思であり、譲受人が二重の利得を得たということにはなりません。
 売買契約であっても、株式の割当を受ける権利が譲渡人に帰属することを織り込んで、売買代金を安く定めたのならば、二重の利得にはならないでしょう。

 このように契約関係にある二当事者間で、配当等の権利の帰属させるかについては、「不当利得」を持ち出す前に、契約の意思解釈で決着をつけるのが普通でしょう。
 これが100問の立場です。
 従来の議論は、失念株主が配当金等を取得できるということを前提に様々な理論構成が考えられているのですが、貸株や譲渡担保など現実に生じている事象と、失念株主の問題を理論的統一的に説明するためには、所詮「当事者間の意思解釈」の問題なのだということが前提になければならないとに思います。

ボンさんからの質問にある「株主が出捐なしに得たものについては,失念株主の名簿上の株主に対する不当利得返還請求を認める」ということも、全く同じで、当事者の意思を事例ごとに検討すべき話だと思います。
 名義株主と、現在の株券の所持人との間に、直接の契約関係がない場合には、不当利得構成もありうると思いますが、そのような場合でも、どのような要件(対会社対抗要件か、第三者対抗要件か、権利移転要件か)を充たした場合に、名義株主に対する不当利得返還請求を認めるのかについては、慎重な検討を要します。

 昔と違って、株券不発行会社では、「権利は移転したが、第三者に対抗できない株主」というものが存在しており、「株式を取得したから配当も当然もらえるはずだ」という牧歌的な解釈論は通用しないと思います。

 また、上場株式については、譲受人は、譲渡人が誰か知らないままに買い、しかも、クリアリングがされて、売った人の保有する株券が、買った人に交付されるという保障もないのですから、譲受人は、「名義書換をしない限り、配当等は受け取れない。」ということを覚悟して株式を買っているはずなのです。
 そうした実態を無視して、常に「株式を取得した者は、名義株主に配当金等の引き渡しを求めることができる」と考えるのは、あまり現実的な解釈論ではないでしょう。
 すべては、当事者の意思から出発するべきだと思うのですが、いかがでしょうか。

(質問コーナー)
Q1
新株予約権についてご教示下さい。ストックオプションを有償発行する場合で、払込金額を割当日の公正価値とすることを想定しています。公正価値を二項モデルにより算出する場合、払込金額の算定方法(238条1項3号)は、二項モデルを使用して算出される割当日現在の公正価値、という内容で足りるのでしょうか。詳細は分かりませんが、二項モデルでは、割当日になれば一義的に価値が算出されるような算式を表示できないそうです。238条1項3号は「算式表示」ではなく「算定方法」と規定しており、「算定方法」の内容として、二項モデルのような株式オプションの合理的な価額の見積りに広く受け入れられている算定技法であれば足り、割当日に一義的に額が算出されるような内容(算式表示)まで求められないと考えてよいのかという問題だと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
Posted by 美容院 at 2006年06月18日 06:11
A1
算式表示でなくても、割当日において、特定のデータを前提にすれば、払込金額が客観的に算定されるという方法であれば、大丈夫です。
Q2
①そもそも何のために特定取締役という制度ができたのでしょうか?
特定取締役を選任するには、取締役会の決議が必要ですか?
その場合、取締役会規則にその旨(取締役会決議事項として)記載するべきですか?
②株券の記載事項から「株主の氏名」が外れたのはなぜですか?
Posted by nakabilly at 2006年06月18日 12:23
A2
① 取締役が複数いる場合に、監査報告の内容の通知を受ける役目の人を決め、その人にさえ通知すれば、他の取締役に通知しなくてもよいとした方が手続きが楽だからです。
 特定取締役は、取締役会の決議で定める必要はありません。千問Q622
②千問Q302を参照してください。

Q3
利益相反取引について教えてください。
商事法務の「取締役ガイドブック」に以下のような記載があります。(会社法対応版のP71)
Q取締役兼務の場合、利益相反取引(直接取引)を行なうにあたり、取締役下記の承認を要する場合を図示すればどのようになりますか。
     甲会社          乙会社
C1.○代取A 取B 取C  ○代取A 取B 取C
C2.代取A ○取B 取C  ○取A  代取B 取C
C3.代取A  取B 取C  ○取A  取B 代取D
C4.代取A  取B 取C   取B  取C 代取D
(C1〜C4のCは「ケース」
○印はその会社の取締役会で承認を要する取締役
 代取:代表取締役 取:取締役)
これが何を言っているのか、解説いただけないでしょうか?
あまりに曖昧な質問で恐縮ですが、もしお答えしにくいということでしたら、例えば①C2・C3で代取Aがなぜ承認を得なくていいのか(いずれも利益相反取引にならないのかと疑問に思うのですが、代取には利益相反取引が許されているのか??)②(代取ではない)取締役というのは、業務執行取締役かそうでない取締役か社外取締役かで違いはないのか等について教えていただけると幸甚に存知ます。
Posted by パパ at 2006年06月18日 13:53
A3
すいません。私が書いた本ではないので、何を言っているのか分かりません。
手元に取締役ハンドブックがないので、文脈も分かりません。

Q4
株主総会の議長は、株主でなくてもなれるのですか?
多くの株式会社の定款には、「総会の議長は社長が行う」旨の定めがあると聞きます。
一方で、多くの株式会社の社長は、インサイダー取引防止のために自社株を持たないとも聞きます。
よって、株主以外でも議長になれるのですか?
会社法315条では、議長に強力な権限を与えているように読めますが、このような強力な権限を持つ議長が、株を持っていないということは、株を保有する総会出席者に対し、説得力をもって議事進行をなすことができるのかという疑問が浮かびました。
Posted by ニート三郎 at 2006年06月18日 16:00
A4
議長が株主である必要はありません。
議長に説得力があるかどうかは、法的には何の意味もありません。

Q5
さて、小会社⇒中会社で監査役に任期が満了する場合、任期満了扱いの346条により監査役も権利義務(業務監査権限まで拡大していることになりますよね?)を有するということで、すぐさま違法状態にはならないということかと思います。
<質問>この違法状態になるかならないかの目安(期間)はどのくらいでしょうか。(具体的には12月決算の定時総会(翌年2月を予定)まで待ってよいでしょうか。)
Posted by df at 2006年06月19日 13:03
A5
目安はありません。
なお権利義務を有する前監査役がいるかどうかにかかわらず、監査役の選任義務は生じているので、遅滞なく、選任してください。ただし、各会社の具体的事情によって、選任の手続きを「怠った」と評価される時期が異なるので、2月の定時総会まで引っぱってよいどうかを答えることはできません。

Q6
監査役設置会社は、(2条9号)
(1)監査役を置く株式会社(その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがあるものを除く)
又は
(2)会社法の規定により監査役を置かなければならない株式会社
<質問2>(2)は、具体的には、327条(取締役会は監査役を置かなければならない)を指しているのでしょうか。
<質問3>(1)と対照的に、(2)の監査役は、389条による定款の定めがある監査役は含まないのでしょうか。
A6
質問2 327条2項3項の場合です。
質問3 会計監査限定監査役を置かなければならないという規定はありませんので、質問の意味がよく分かりません。

Q7
今朝の日経新聞に「取締役会決議にメール・・・」という記事が載っていましたが、これ、いいんでしょうか。
施行規則を見る限りでは、会社法370条の「電磁的記録」には電子メールは含まれないと思います。電子メールは別の概念の「電磁的方法」ではないでしょうか。
気になってインターネットで検索したところ、メールで取締役会決議ができるとするサイトがたくさんありました。
Posted by me at 2006年06月19日 18:35
A7
おっしゃるようにメールは、電磁的方法ですが、メールをすると、メールを受領したパソコンのハードディスクに電磁的記録が作成されます。370条の電磁的記録は、電子署名は不要ですから、普通にメールをして電磁的記録が作成されれば、370条を適用することができます。

Q8
会社法における「決議」と「議決」の概念についてお教え下さい。旧商法では、特別利害関係取締役の取締役会決議における議決権行使について、特別利害関係を有する取締役は「決議ニ参加スルヲ得ズ」とされていましたが、会社法369条2項では、「議決に加わることができない」とされています。会社法において、「決議」と「議決」はどのように整理されているのでしょうか。また、会社法369条2項の解釈は、旧商法260条の2の従来の解釈と同様の解釈で良いのでしょうか。
Posted by MM at 2006年06月19日 19:33
A8
過去の用例に基づく整理です。解釈は、変わらないでしょう。

Q9
ロースクール制度について、一般的に言っても国家の試験制度というものは公平性・開放性・平等性等が要求されると思いますが、葉玉先生はどんな風にご覧になっていますか?
Posted by kyousuke at 2006年06月19日 21:46
A9
私は、目の前に不公平・非開放・不平等な試験制度があった場合、「この試験制度を作った人はバカだ」と判断しますが、「こんなバカに、俺が負けるはずはない」と思い、それを楽々突破します(笑)。一般に不公平・非開放・不平等な試験は、特定の種類の人間を受かりやすくためものであり、その試験のツボにはまると簡単に合格できます。

追伸
strangecpaさん。このブログの目次などを利用されるのは、ご自由にどうぞ。
そういえば、最近、mさんのブログの更新が止まっていますね。
ちょっと心配です。

貸株・譲渡担保・失念株主

「受験生の皆さんは、ワールドカップなんか見るな」と忠告した私は、本当に先見の明があったようです。私は、昨日の敗戦、いや、敗戦に等しい引き分けのため、現在、作業効率が95%ほど減退しています。

 会社法グループを陰で操っているH検事は、サンフレッチェ・フリークであるため、今日は一日中「なんで、あの××××××××柳沢×××を代表に入れて、佐藤を落としたんだ。玉田なんか××××××××××××××なのに。なぜ佐藤じゃないんだ。」ということで頭がいっぱいで、作業効率が98%ほど減退しているように見えます。(6/20 H検事の検閲により,伏せ字になりました。)

 現在、会社法グループは、愛国心にやや欠けるところのある1名を除き、かなり意気消沈しているところであり、昨年がワールドカップだったら、会社法の成立は危うかったなと思うほどです(笑)。何はともあれ、次の試合は、朝4時。試合前日のブログ更新は、極めて期待薄ですので、予めご了承ください

 さて、株式の取引と株主としての権利の帰属に関連して、3人の方から質問を受けました。

silverさん
「株式の質権設定と、貸し株の違いを教えてください。」
去年商法Gさん
「100問では、A(譲渡人)B(譲受人)で配当等をBに引き渡すための合意があれば、Bは新株発行時の株価と払込金額の差額分をAに請求できるとありますが、かかる合意がなければ、Bは請求できないということになりますよね。この場合、Aが二重の利得を得ることになりますが、それはBが名義書換を行わなかった以上仕方ないということでしょうか。」

ボンさん
「江頭先生の教科書にあったのですが,株主が出捐なしに得たものについては,失念株主の名簿上の株主に対する不当利得返還請求を認めるのが,判例の立場だと思います(最判昭和37年4月20日参照)。それとも,この昭和37年最高裁判決は,配当等の事例について一般化することはできないというお立場なのでしょうか?」

 この3つの質問は、違うことを聞いているようで、本質的には、同じことが聞かれているように感じます。一言で言えば、
 株主名簿上の株主が会社から受け取ったものが誰に帰属するかは、原則として、当事者間の意思表示に基づいて決まる
ということです。

まずsilverさんの質問にある、貸株と質権設定の違いですが
 貸株は、株式の消費貸借契約であり、当該株式は、借主に帰属する。
 質権設定は、株式に対する質権を設定することであり、質権者は、当該株式の株主になるわけではない。
という大きな違いがあります。

 貸株の場合に、議決権を行使することができるかどうかは、消費貸借契約の内容によって異なり、名義書換をしないことを約定していれば、議決権も、配当請求権も行使できませんし、そうでなければ、名義書換をすることにより、株主としての権利を行使することができます。
 いわゆる空売りをしたいときには、議決権や配当請求権等どうでもいいので、「そんな権利はいらないから、賃料(貸株料)を安くしてね」というような約束をするわけです。
 このように貸株の場合、当事者間における剰余金の配当の帰属は当事者間の約定で決まります。

 次に、質権者は、株主でないので、議決権を行使することができないのは当然のことですが、会社から、剰余金の配当等を受け取りたければ、登録質にする必要があります。
 略式質は、剰余金の配当等について差押えて、担保権の実行手続きをすることができるだけです。
 この場面でも、剰余金の配当等を誰に帰属させるかは、質権設定者と質権者との合意で決まり、それを株主名簿に反映させれば、会社との関係でも質権者が会社から剰余金の配当を受け取ることができるようになるのです。

 次に、去年商法Gさんの質問。
 譲渡人と譲受人との間で、配当等の帰属について特約がない場合、譲渡人が「二重の利得を得ることになりますが、それは譲受人が名義書換を行わなかった以上仕方ないということでしょうか。」ということですが、「二重の利得」になっているかどうかは、当事者にしか分かりません。
 株式を移転する契約には様々なものがあり、貸株もあれば、譲渡担保もあれば、売買契約もあります。
 貸株については、既に述べたとおりですし、譲渡人と譲受人の間の契約が略式譲渡担保契約だった場合には、配当金等はすべて譲渡人に帰属するというのが当事者の意思であり、譲受人が二重の利得を得たということにはなりません。
 売買契約であっても、株式の割当を受ける権利が譲渡人に帰属することを織り込んで、売買代金を安く定めたのならば、二重の利得にはならないでしょう。

 このように契約関係にある二当事者間で、配当等の権利の帰属させるかについては、「不当利得」を持ち出す前に、契約の意思解釈で決着をつけるのが普通でしょう。
 これが100問の立場です。
 従来の議論は、失念株主が配当金等を取得できるということを前提に様々な理論構成が考えられているのですが、貸株や譲渡担保など現実に生じている事象と、失念株主の問題を理論的統一的に説明するためには、所詮「当事者間の意思解釈」の問題なのだということが前提になければならないとに思います。

ボンさんからの質問にある「株主が出捐なしに得たものについては,失念株主の名簿上の株主に対する不当利得返還請求を認める」ということも、全く同じで、当事者の意思を事例ごとに検討すべき話だと思います。
 名義株主と、現在の株券の所持人との間に、直接の契約関係がない場合には、不当利得構成もありうると思いますが、そのような場合でも、どのような要件(対会社対抗要件か、第三者対抗要件か、権利移転要件か)を充たした場合に、名義株主に対する不当利得返還請求を認めるのかについては、慎重な検討を要します。

 昔と違って、株券不発行会社では、「権利は移転したが、第三者に対抗できない株主」というものが存在しており、「株式を取得したから配当も当然もらえるはずだ」という牧歌的な解釈論は通用しないと思います。

 また、上場株式については、譲受人は、譲渡人が誰か知らないままに買い、しかも、クリアリングがされて、売った人の保有する株券が、買った人に交付されるという保障もないのですから、譲受人は、「名義書換をしない限り、配当等は受け取れない。」ということを覚悟して株式を買っているはずなのです。
 そうした実態を無視して、常に「株式を取得した者は、名義株主に配当金等の引き渡しを求めることができる」と考えるのは、あまり現実的な解釈論ではないでしょう。
 すべては、当事者の意思から出発するべきだと思うのですが、いかがでしょうか。

(質問コーナー)
Q1
新株予約権についてご教示下さい。ストックオプションを有償発行する場合で、払込金額を割当日の公正価値とすることを想定しています。公正価値を二項モデルにより算出する場合、払込金額の算定方法(238条1項3号)は、二項モデルを使用して算出される割当日現在の公正価値、という内容で足りるのでしょうか。詳細は分かりませんが、二項モデルでは、割当日になれば一義的に価値が算出されるような算式を表示できないそうです。238条1項3号は「算式表示」ではなく「算定方法」と規定しており、「算定方法」の内容として、二項モデルのような株式オプションの合理的な価額の見積りに広く受け入れられている算定技法であれば足り、割当日に一義的に額が算出されるような内容(算式表示)まで求められないと考えてよいのかという問題だと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
Posted by 美容院 at 2006年06月18日 06:11
A1
算式表示でなくても、割当日において、特定のデータを前提にすれば、払込金額が客観的に算定されるという方法であれば、大丈夫です。
Q2
①そもそも何のために特定取締役という制度ができたのでしょうか?
特定取締役を選任するには、取締役会の決議が必要ですか?
その場合、取締役会規則にその旨(取締役会決議事項として)記載するべきですか?
②株券の記載事項から「株主の氏名」が外れたのはなぜですか?
Posted by nakabilly at 2006年06月18日 12:23
A2
① 取締役が複数いる場合に、監査報告の内容の通知を受ける役目の人を決め、その人にさえ通知すれば、他の取締役に通知しなくてもよいとした方が手続きが楽だからです。
 特定取締役は、取締役会の決議で定める必要はありません。千問Q622
②千問Q302を参照してください。

Q3
利益相反取引について教えてください。
商事法務の「取締役ガイドブック」に以下のような記載があります。(会社法対応版のP71)
Q取締役兼務の場合、利益相反取引(直接取引)を行なうにあたり、取締役下記の承認を要する場合を図示すればどのようになりますか。
     甲会社          乙会社
C1.○代取A 取B 取C  ○代取A 取B 取C
C2.代取A ○取B 取C  ○取A  代取B 取C
C3.代取A  取B 取C  ○取A  取B 代取D
C4.代取A  取B 取C   取B  取C 代取D
(C1〜C4のCは「ケース」
○印はその会社の取締役会で承認を要する取締役
 代取:代表取締役 取:取締役)
これが何を言っているのか、解説いただけないでしょうか?
あまりに曖昧な質問で恐縮ですが、もしお答えしにくいということでしたら、例えば①C2・C3で代取Aがなぜ承認を得なくていいのか(いずれも利益相反取引にならないのかと疑問に思うのですが、代取には利益相反取引が許されているのか??)②(代取ではない)取締役というのは、業務執行取締役かそうでない取締役か社外取締役かで違いはないのか等について教えていただけると幸甚に存知ます。
Posted by パパ at 2006年06月18日 13:53
A3
すいません。私が書いた本ではないので、何を言っているのか分かりません。
手元に取締役ハンドブックがないので、文脈も分かりません。

Q4
株主総会の議長は、株主でなくてもなれるのですか?
多くの株式会社の定款には、「総会の議長は社長が行う」旨の定めがあると聞きます。
一方で、多くの株式会社の社長は、インサイダー取引防止のために自社株を持たないとも聞きます。
よって、株主以外でも議長になれるのですか?
会社法315条では、議長に強力な権限を与えているように読めますが、このような強力な権限を持つ議長が、株を持っていないということは、株を保有する総会出席者に対し、説得力をもって議事進行をなすことができるのかという疑問が浮かびました。
Posted by ニート三郎 at 2006年06月18日 16:00
A4
議長が株主である必要はありません。
議長に説得力があるかどうかは、法的には何の意味もありません。

Q5
さて、小会社⇒中会社で監査役に任期が満了する場合、任期満了扱いの346条により監査役も権利義務(業務監査権限まで拡大していることになりますよね?)を有するということで、すぐさま違法状態にはならないということかと思います。
<質問>この違法状態になるかならないかの目安(期間)はどのくらいでしょうか。(具体的には12月決算の定時総会(翌年2月を予定)まで待ってよいでしょうか。)
Posted by df at 2006年06月19日 13:03
A5
目安はありません。
なお権利義務を有する前監査役がいるかどうかにかかわらず、監査役の選任義務は生じているので、遅滞なく、選任してください。ただし、各会社の具体的事情によって、選任の手続きを「怠った」と評価される時期が異なるので、2月の定時総会まで引っぱってよいどうかを答えることはできません。

Q6
監査役設置会社は、(2条9号)
(1)監査役を置く株式会社(その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがあるものを除く)
又は
(2)会社法の規定により監査役を置かなければならない株式会社
<質問2>(2)は、具体的には、327条(取締役会は監査役を置かなければならない)を指しているのでしょうか。
<質問3>(1)と対照的に、(2)の監査役は、389条による定款の定めがある監査役は含まないのでしょうか。
A6
質問2 327条2項3項の場合です。
質問3 会計監査限定監査役を置かなければならないという規定はありませんので、質問の意味がよく分かりません。

Q7
今朝の日経新聞に「取締役会決議にメール・・・」という記事が載っていましたが、これ、いいんでしょうか。
施行規則を見る限りでは、会社法370条の「電磁的記録」には電子メールは含まれないと思います。電子メールは別の概念の「電磁的方法」ではないでしょうか。
気になってインターネットで検索したところ、メールで取締役会決議ができるとするサイトがたくさんありました。
Posted by me at 2006年06月19日 18:35
A7
おっしゃるようにメールは、電磁的方法ですが、メールをすると、メールを受領したパソコンのハードディスクに電磁的記録が作成されます。370条の電磁的記録は、電子署名は不要ですから、普通にメールをして電磁的記録が作成されれば、370条を適用することができます。

Q8
会社法における「決議」と「議決」の概念についてお教え下さい。旧商法では、特別利害関係取締役の取締役会決議における議決権行使について、特別利害関係を有する取締役は「決議ニ参加スルヲ得ズ」とされていましたが、会社法369条2項では、「議決に加わることができない」とされています。会社法において、「決議」と「議決」はどのように整理されているのでしょうか。また、会社法369条2項の解釈は、旧商法260条の2の従来の解釈と同様の解釈で良いのでしょうか。
Posted by MM at 2006年06月19日 19:33
A8
過去の用例に基づく整理です。解釈は、変わらないでしょう。

Q9
ロースクール制度について、一般的に言っても国家の試験制度というものは公平性・開放性・平等性等が要求されると思いますが、葉玉先生はどんな風にご覧になっていますか?
Posted by kyousuke at 2006年06月19日 21:46
A9
私は、目の前に不公平・非開放・不平等な試験制度があった場合、「この試験制度を作った人はバカだ」と判断しますが、「こんなバカに、俺が負けるはずはない」と思い、それを楽々突破します(笑)。一般に不公平・非開放・不平等な試験は、特定の種類の人間を受かりやすくためものであり、その試験のツボにはまると簡単に合格できます。

追伸
strangecpaさん。このブログの目次などを利用されるのは、ご自由にどうぞ。
そういえば、最近、mさんのブログの更新が止まっていますね。
ちょっと心配です。

2006年6月17日 (土)

快復しました。

 昨日は、体調不良でご心配かけましたが、本日は、それなりに元気になりました。
 私の体調不良は、前日に会社法グループでタイ料理の店に行き、トムヤムクン・スープを気管に入れてしまい、涙が止まらず、死ぬほど苦しかったことが原因ではないかと推測していますが(笑)、睡眠をよく取った結果、快復したので、単なる寝不足であったという虞もあります。
 みなさん(特に論文試験を控えている受験生さん)も、食事と睡眠には気をつけましょう。

 追伸 ココペリさんがご推奨のミルミルは、高校時代から愛飲しているものです。ただし、私がミルミルが好きだと子供に言ったら、笑われたので、こっそり飲んでいます。
 

(質問コーナー)
Q1
来年の事業報告書で開示すべき役員報酬は、総会終了後から期末までの間に在任している役員に対する報酬ということで、総会終了時に退任した役員に支払った報酬については開示義務がなくなったとのことでした。
そうすると、退任役員に支払われる退職慰労金は、事業報告書では開示されないことになりますが、それでよろしいのでしょうか。会社法上作成義務のある他の書類で開示義務が課せられているのでしょうか?
総会の想定問答を考えていて、ふと疑問に思いましたので(これまでは、退職慰労金については来年の営業報告書で開示されます、といった回答だったため)ご教示願います。
Posted by 参事官室によく電話する人 at 2006年06月15日 16:04
A1

Q2
新株予約権の取締役への報酬としての付与に関して1点教えていただけませんでしょうか。T&Aマスターの161号6頁では、非公開会社のように信頼できる方法により価格を算定できない場合に限り361条1項2号、3号を利用できるとされています。これに対して千問の314頁では確定額の上限を設けない場合には361条1項2号、3号の決議が必要となるとされております。これは、T&Aの方は2号を利用することができるのが新株予約権の価値を算定できない場合に限定され、非公開会社でも公正価値の算定が可能であれば1号を利用しなければならないとされているのに対し、千問の方では会社において確定額の上限を定めないと判断した場合には2号を利用でき、公正価値の算定が可能である場合でも、会社の判断によって2号を利用できるようと読めます。両者で2号が利用できる場合について見解の相違があるように読めるのですが、いかがでしょうか。宜しくお願いいたします。
Posted by S at 2006年06月15日 17:52
A2
T&Aを確認しましたが、「非公開会社のように信頼できる方法により価格を算定できない場合に限り、361条1項2号、3号を利用できる」という表現は用いていませんでした。非公開会社のように公正価値が算定困難な場合には、2号3号でやることができるという趣旨の記載のはずです。1号3号でやるのか、2号3号でやるのかは、会社の判断次第です。

Q3
先生、ありがとうございます。
すみません、A3について、少々混乱しておりまして、追加で教えてください。
小会社特例を受ける会社が会社法施行前に資本が一億を越えていた場合には、整備法53条による定款の変更はなく、整備法76条やらによる定款の変更がある。従前の監査役に関しては小会社特例により権限が会計監査に限定されていた訳で会計監査に限定する旨の定款に定めがあった訳ではないと思いますが、その場合にも会社法施行日の整備法76条やらによる定款の変更が、会社法336条4項3号の”監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めを廃止する定款の変更”に該当する・・・ということなのでしょうか。
Posted by df at 2006年06月16日 01:44
A3
76条2項は、委員会設置会社以外はみな適用されます。
施行時において小会社特例規定の適用を受ける中会社は、中会社なので53条の適用はありません。
その結果、施行までは会計監査限定のみの監査役が業務監査権限のある監査役になります。
 dfさんのおっしゃるように、施行前には、会計監査限定の定めがあったわけではありませんが、小会社特例規定の適用により会計監査限定の定めがある場合と同様の状態で施行日を迎え、76条2項のみが適用されることにより、会計監査限定の定めのない監査役を置く旨の定款変更がされている(監査役の責任の加重が生じている)ことから、336条4項3号に該当すると考えています。

Q4
例えば、会社法施行後に株主総会決議に基づき定款を変更したが、整備法でみなされている部分について変更するのを失念していたとします。
(例えば名義書換代理人⇒株主名簿管理人への用語変更を失念していた等)
?その会社の定款は違法状態になるのでしょうか。
?それともみなされている部分は適法に存続するのでしょうか。
Posted by df at 2006年06月16日 01:44
A4
定款は、定款変更手続することなく、整備法により、変更されているので、違法状態はありません。当然、その定めは効力を有しています。
整備法によってみなされた定款の定めについて、書面としての定款を整備法のとおりに書き直すことは、定款変更ではないので、その手続きも不要です。

Q5
質問事項
私からの質問は、「取締役の報酬」についてです。
端的に質問させていただくと、
取締役の報酬について、本人の同意なく、株主総会の決議をもって、任期途中の職掌変更により著しく減額することは可能なのか?
Posted by ニート三郎 at 2006年06月16日 01:46
A5
できません。100問論点<575>を見てください。

Q6
代表取締役の選定決議に関し、下記のような決議が可能か否か等につき質問させて下さい。
1)甲社は取締役会設置会社である。
2)甲社では、今般代表取締役を改選を予定している。
3)改選されるの代表取締役はA・Bの2名
4)但し、Aの選定に付帯して、その任期を就任承諾の日〜本年9月末日までと限定する決議を行うことを考えている

→4)のような付帯決議の可否
→4)のような付帯決議が可能であるとすれば、その際の代表取締役の退任事由(登記原因)
A6
個人的には、当該附則は、代表取締役の停止期限付解職決議をしているように見えますが、登記原因と言われると、調整マターですね。

Q7
100のNo.34(会試昭和60年改)の解答例では、「株式会社は株主名簿に記載または記録された者を株主として取り扱えば免責される」効力(手形40条3項類推適用)を『確定的』効力と記述していますね。
旧商法の教科書を見ると、この効力は一般的に免責的効力と定義され、確定的効力とは、「株主名簿上に記載されているものだけを株主として固定する効力(権利創設効)」という別の効力として論じられていると思います。
そして、株主名簿が会社の事務処理の便宜を図ったものという従来の通説からすれば、かかる確定的効力は認められないとするのが一般的であったようです。
今回の会社法制定にあたり、この『名義書換えの確定的効力』は定義が変わったのでしょうか。
Posted by 葉山マリーナ漁業組合 at 2006年06月16日 16:02
A7
 確定的効力というのは、講学上の概念であり、条文をどのように説明するかというだけの話なので、定義が変わったという話ではありません。
 権利創設効を認めるかどうかは、古くから争いのある話で、株主名簿は対抗要件にすぎないので、そんなものはないというのが通説です。
 34は、免責的効力という意味で、確定的効力を使っていますが、気になるのであれば、免責的効力という言葉をお使いください。大事なのは、確定的効力の前に書かれている説明部分です。

Q8
「百問」P317の(3)で代表者の職務執行停止及び職務代行者選任の仮処分(民事保全法23条2項)とあります。
会社法352条では民事保全法56条に規定する仮処分により・・・とあるのですが、同条は仮処分等の登記の嘱託とあるので、「百問」に載ってる条文の方が正しいと思うのですが、法律が間違っているわけもないと思うので困っています。会社法352条はなぜ民事保全法23条2項に規定する仮処分により・・・となっていないのでしょうか?
Posted by 地方ロー生 at 2006年06月16日 16:23
A8
民事保全法23条2項は、仮の地位を定める仮処分を行う一般的根拠となる規定なのですが、会社法ができる前から様々な調整が行われた結果、職務代行者の選任の仮処分を引くときは、「民事保全法56条に規定する」と表現することになっているのです。詳しくは、民事保全法の本を見てください。

Q9
「百問」P365の2(二)の4行目、株主が、配当により受領した金銭等の帳簿価額に相当する金銭を支払う義務を負うことが規定されている。(461条1項)とありますが、462条ではないでしょうか?
Posted by 地方ロー生 at 2006年06月16日 18:23
Q10
そうですね。461条1項に加えて、462条1項を書く方が直接的だと思います。

Q10
葉玉先生、千問の道標Q396に社外取締役の選任に関するQ&Aがありますが社外監査役の選任について質問いたします。
施2条3項8号(イ)の要件に該当した上で(ロ)法335条3項(監査役会設置会社の監査役)に該当すれば社外監査役候補者になります。(施2条3項8号)
ここで、「監査役候補者が社外監査役の要件を満たす場合であっても、会社の側で特に社外監査役として何らかの効果を生じさせる意思がなければ、必ずしも当該者を社外監査役候補者とする選任議案を提出する必要はない。」という解釈は正しいでしょうか。
司法書士で「監査役候補者が社外監査役の要件を満たす場合は必ず社外監査役候補者としなければならない。(会社の意思がはたらく余地はない。)」と指導される方がいらっしゃるので質問する次第です。
Posted by 悩める法務部員 at 2006年06月16日 18:35
A10
その司法書士の指導は間違いです。
ロの要件を満たさなければ、社外監査役候補者とする必要がありませんし、社外監査役として登記する必要もありません。

Q11
『千問の道標』ようやく、今朝入手いたしました。
(1)図表リストを、目次のあとに入れてください。使い勝手が、今以上によくなります。
(2)P.163のQ218のA部分の「157条1項の規定よる」は「157条1項の規定による」の校正ミスではないですか。
(3)Q23のAの①を「定款の認証の手数料」とすべきだと考えますが、いかがでしょうか。また、Q35のAについても、同様と考えますが。
A11
(1) 実は、私も、欲しいなと思っていたところです。でも、ちょっと無理かも。
(2) ご指摘ありがとうございます。
(3) 確かに、①は、印紙税だけでなく、定款の認証手数料を加えるべきですね。法律に例示している方をあげるのを忘れていました。

Q12
Q100のA1について確認させてください。
3行目の「次の数の合計数を超えてはならないこととしている。」は「超えていなけければならない」の誤りでしょうか。
Posted by 会社法好き at 2006年06月15日 12:08
A12
おしゃるとおりです。114条2項の条文と主語を入れ替えたのに、述語をそのままにしたミスです。下の算式が、正解です。

Q13
来年の事業報告書で開示すべき役員報酬は、総会終了後から期末までの間に在任している役員に対する報酬ということで、総会終了時に退任した役員に支払った報酬については開示義務がなくなったとのことでした。
そうすると、退任役員に支払われる退職慰労金は、事業報告書では開示されないことになりますが、それでよろしいのでしょうか。会社法上作成義務のある他の書類で開示義務が課せられているのでしょうか?
総会の想定問答を考えていて、ふと疑問に思いましたので(これまでは、退職慰労金については来年の営業報告書で開示されます、といった回答だったため)ご教示願います。
Posted by 参事官室によく電話する人 at 2006年06月15日 16:04
A13
 この時期に、その質問に答えるのは、大きな影響がありそうなので、今の段階では答えられませんが、何らかの形で事業報告に書くべきです。

快復しました。

 昨日は、体調不良でご心配かけましたが、本日は、それなりに元気になりました。
 私の体調不良は、前日に会社法グループでタイ料理の店に行き、トムヤムクン・スープを気管に入れてしまい、涙が止まらず、死ぬほど苦しかったことが原因ではないかと推測していますが(笑)、睡眠をよく取った結果、快復したので、単なる寝不足であったという虞もあります。
 みなさん(特に論文試験を控えている受験生さん)も、食事と睡眠には気をつけましょう。

 追伸 ココペリさんがご推奨のミルミルは、高校時代から愛飲しているものです。ただし、私がミルミルが好きだと子供に言ったら、笑われたので、こっそり飲んでいます。
 

(質問コーナー)
Q1
来年の事業報告書で開示すべき役員報酬は、総会終了後から期末までの間に在任している役員に対する報酬ということで、総会終了時に退任した役員に支払った報酬については開示義務がなくなったとのことでした。
そうすると、退任役員に支払われる退職慰労金は、事業報告書では開示されないことになりますが、それでよろしいのでしょうか。会社法上作成義務のある他の書類で開示義務が課せられているのでしょうか?
総会の想定問答を考えていて、ふと疑問に思いましたので(これまでは、退職慰労金については来年の営業報告書で開示されます、といった回答だったため)ご教示願います。
Posted by 参事官室によく電話する人 at 2006年06月15日 16:04
A1

Q2
新株予約権の取締役への報酬としての付与に関して1点教えていただけませんでしょうか。T&Aマスターの161号6頁では、非公開会社のように信頼できる方法により価格を算定できない場合に限り361条1項2号、3号を利用できるとされています。これに対して千問の314頁では確定額の上限を設けない場合には361条1項2号、3号の決議が必要となるとされております。これは、T&Aの方は2号を利用することができるのが新株予約権の価値を算定できない場合に限定され、非公開会社でも公正価値の算定が可能であれば1号を利用しなければならないとされているのに対し、千問の方では会社において確定額の上限を定めないと判断した場合には2号を利用でき、公正価値の算定が可能である場合でも、会社の判断によって2号を利用できるようと読めます。両者で2号が利用できる場合について見解の相違があるように読めるのですが、いかがでしょうか。宜しくお願いいたします。
Posted by S at 2006年06月15日 17:52
A2
T&Aを確認しましたが、「非公開会社のように信頼できる方法により価格を算定できない場合に限り、361条1項2号、3号を利用できる」という表現は用いていませんでした。非公開会社のように公正価値が算定困難な場合には、2号3号でやることができるという趣旨の記載のはずです。1号3号でやるのか、2号3号でやるのかは、会社の判断次第です。

Q3
先生、ありがとうございます。
すみません、A3について、少々混乱しておりまして、追加で教えてください。
小会社特例を受ける会社が会社法施行前に資本が一億を越えていた場合には、整備法53条による定款の変更はなく、整備法76条やらによる定款の変更がある。従前の監査役に関しては小会社特例により権限が会計監査に限定されていた訳で会計監査に限定する旨の定款に定めがあった訳ではないと思いますが、その場合にも会社法施行日の整備法76条やらによる定款の変更が、会社法336条4項3号の”監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めを廃止する定款の変更”に該当する・・・ということなのでしょうか。
Posted by df at 2006年06月16日 01:44
A3
76条2項は、委員会設置会社以外はみな適用されます。
施行時において小会社特例規定の適用を受ける中会社は、中会社なので53条の適用はありません。
その結果、施行までは会計監査限定のみの監査役が業務監査権限のある監査役になります。
 dfさんのおっしゃるように、施行前には、会計監査限定の定めがあったわけではありませんが、小会社特例規定の適用により会計監査限定の定めがある場合と同様の状態で施行日を迎え、76条2項のみが適用されることにより、会計監査限定の定めのない監査役を置く旨の定款変更がされている(監査役の責任の加重が生じている)ことから、336条4項3号に該当すると考えています。

Q4
例えば、会社法施行後に株主総会決議に基づき定款を変更したが、整備法でみなされている部分について変更するのを失念していたとします。
(例えば名義書換代理人⇒株主名簿管理人への用語変更を失念していた等)
?その会社の定款は違法状態になるのでしょうか。
?それともみなされている部分は適法に存続するのでしょうか。
Posted by df at 2006年06月16日 01:44
A4
定款は、定款変更手続することなく、整備法により、変更されているので、違法状態はありません。当然、その定めは効力を有しています。
整備法によってみなされた定款の定めについて、書面としての定款を整備法のとおりに書き直すことは、定款変更ではないので、その手続きも不要です。

Q5
質問事項
私からの質問は、「取締役の報酬」についてです。
端的に質問させていただくと、
取締役の報酬について、本人の同意なく、株主総会の決議をもって、任期途中の職掌変更により著しく減額することは可能なのか?
Posted by ニート三郎 at 2006年06月16日 01:46
A5
できません。100問論点<575>を見てください。

Q6
代表取締役の選定決議に関し、下記のような決議が可能か否か等につき質問させて下さい。
1)甲社は取締役会設置会社である。
2)甲社では、今般代表取締役を改選を予定している。
3)改選されるの代表取締役はA・Bの2名
4)但し、Aの選定に付帯して、その任期を就任承諾の日〜本年9月末日までと限定する決議を行うことを考えている

→4)のような付帯決議の可否
→4)のような付帯決議が可能であるとすれば、その際の代表取締役の退任事由(登記原因)
A6
個人的には、当該附則は、代表取締役の停止期限付解職決議をしているように見えますが、登記原因と言われると、調整マターですね。

Q7
100のNo.34(会試昭和60年改)の解答例では、「株式会社は株主名簿に記載または記録された者を株主として取り扱えば免責される」効力(手形40条3項類推適用)を『確定的』効力と記述していますね。
旧商法の教科書を見ると、この効力は一般的に免責的効力と定義され、確定的効力とは、「株主名簿上に記載されているものだけを株主として固定する効力(権利創設効)」という別の効力として論じられていると思います。
そして、株主名簿が会社の事務処理の便宜を図ったものという従来の通説からすれば、かかる確定的効力は認められないとするのが一般的であったようです。
今回の会社法制定にあたり、この『名義書換えの確定的効力』は定義が変わったのでしょうか。
Posted by 葉山マリーナ漁業組合 at 2006年06月16日 16:02
A7
 確定的効力というのは、講学上の概念であり、条文をどのように説明するかというだけの話なので、定義が変わったという話ではありません。
 権利創設効を認めるかどうかは、古くから争いのある話で、株主名簿は対抗要件にすぎないので、そんなものはないというのが通説です。
 34は、免責的効力という意味で、確定的効力を使っていますが、気になるのであれば、免責的効力という言葉をお使いください。大事なのは、確定的効力の前に書かれている説明部分です。

Q8
「百問」P317の(3)で代表者の職務執行停止及び職務代行者選任の仮処分(民事保全法23条2項)とあります。
会社法352条では民事保全法56条に規定する仮処分により・・・とあるのですが、同条は仮処分等の登記の嘱託とあるので、「百問」に載ってる条文の方が正しいと思うのですが、法律が間違っているわけもないと思うので困っています。会社法352条はなぜ民事保全法23条2項に規定する仮処分により・・・となっていないのでしょうか?
Posted by 地方ロー生 at 2006年06月16日 16:23
A8
民事保全法23条2項は、仮の地位を定める仮処分を行う一般的根拠となる規定なのですが、会社法ができる前から様々な調整が行われた結果、職務代行者の選任の仮処分を引くときは、「民事保全法56条に規定する」と表現することになっているのです。詳しくは、民事保全法の本を見てください。

Q9
「百問」P365の2(二)の4行目、株主が、配当により受領した金銭等の帳簿価額に相当する金銭を支払う義務を負うことが規定されている。(461条1項)とありますが、462条ではないでしょうか?
Posted by 地方ロー生 at 2006年06月16日 18:23
Q10
そうですね。461条1項に加えて、462条1項を書く方が直接的だと思います。

Q10
葉玉先生、千問の道標Q396に社外取締役の選任に関するQ&Aがありますが社外監査役の選任について質問いたします。
施2条3項8号(イ)の要件に該当した上で(ロ)法335条3項(監査役会設置会社の監査役)に該当すれば社外監査役候補者になります。(施2条3項8号)
ここで、「監査役候補者が社外監査役の要件を満たす場合であっても、会社の側で特に社外監査役として何らかの効果を生じさせる意思がなければ、必ずしも当該者を社外監査役候補者とする選任議案を提出する必要はない。」という解釈は正しいでしょうか。
司法書士で「監査役候補者が社外監査役の要件を満たす場合は必ず社外監査役候補者としなければならない。(会社の意思がはたらく余地はない。)」と指導される方がいらっしゃるので質問する次第です。
Posted by 悩める法務部員 at 2006年06月16日 18:35
A10
その司法書士の指導は間違いです。
ロの要件を満たさなければ、社外監査役候補者とする必要がありませんし、社外監査役として登記する必要もありません。

Q11
『千問の道標』ようやく、今朝入手いたしました。
(1)図表リストを、目次のあとに入れてください。使い勝手が、今以上によくなります。
(2)P.163のQ218のA部分の「157条1項の規定よる」は「157条1項の規定による」の校正ミスではないですか。
(3)Q23のAの①を「定款の認証の手数料」とすべきだと考えますが、いかがでしょうか。また、Q35のAについても、同様と考えますが。
A11
(1) 実は、私も、欲しいなと思っていたところです。でも、ちょっと無理かも。
(2) ご指摘ありがとうございます。
(3) 確かに、①は、印紙税だけでなく、定款の認証手数料を加えるべきですね。法律に例示している方をあげるのを忘れていました。

Q12
Q100のA1について確認させてください。
3行目の「次の数の合計数を超えてはならないこととしている。」は「超えていなけければならない」の誤りでしょうか。
Posted by 会社法好き at 2006年06月15日 12:08
A12
おしゃるとおりです。114条2項の条文と主語を入れ替えたのに、述語をそのままにしたミスです。下の算式が、正解です。

Q13
来年の事業報告書で開示すべき役員報酬は、総会終了後から期末までの間に在任している役員に対する報酬ということで、総会終了時に退任した役員に支払った報酬については開示義務がなくなったとのことでした。
そうすると、退任役員に支払われる退職慰労金は、事業報告書では開示されないことになりますが、それでよろしいのでしょうか。会社法上作成義務のある他の書類で開示義務が課せられているのでしょうか?
総会の想定問答を考えていて、ふと疑問に思いましたので(これまでは、退職慰労金については来年の営業報告書で開示されます、といった回答だったため)ご教示願います。
Posted by 参事官室によく電話する人 at 2006年06月15日 16:04
A13
 この時期に、その質問に答えるのは、大きな影響がありそうなので、今の段階では答えられませんが、何らかの形で事業報告に書くべきです。

2006年6月16日 (金)

やや調子悪いです。

 今日は、最近の疲れが出たのか、体調不良で一日寝てました。
 しかし、夜やるべきことがあり、それはやり遂げたんですが、精魂尽き果ててしまいました。ですから、今日は質問をやっつけるだけにします。
 千問についての質問もいくつか頂いたのですが、手元に千問がないので、明日確認の上、お答えします。

(質問コーナー)
Q1
旧商法時代からの小会社の監査役に業務監査権を付与することを考えています。
この場合,会社法336条4項3号の適用があり,定款変更の効力発生時に現監査役は退任するため,監査役の選任議案を総会に出す必要があると思われます。
定款変更は,その議案が総会で承認された時に効力が生しますから,定款変更決議から監査役選任決議までのタイムラグが生じることを避けるためには,定款変更のうち,業務監査権限付与に関する規定だけは,効力発生を総会終了後とすべきかと思いますが,この理解でよろしいでしょうか?
Posted by 実務者はつらいよ at 2006年06月15日 09:14
A1
そうですね。厳密にタイムラグを作りたくなければ、それでよいと思います。

Q2
新株予約権の取得−消却と消滅の関係につきお伺いします。
旧商法下で発行した新株予約権の消却の条件として「新株予約権者が権利行使の条件を満たさず新株予約権の全部または一部を行使できなくなった場合には、取締役会の決議をもって当該新株予約権者の有する新株予約権を無償で消却する。」と定めております。これは経過措置政令第13条により、新株予約権の取得条項とみなされており、会社法第236条第1項第7号イに該当するものと考えます。
会社法第275条第1項により、会社法第236条第1項第7号イの事由が生じた日に、当該新株予約権を取得します。
一方で、会社法第287条には、「新株予約権者がその有する新株予約権を行使することができなくなったときは、当該新株予約権は、消滅する。」とされております。
同じ引き金で適用され得るどちらの条文を優先させることになるのか悩んでおります。
会社法第275条第1項が優先されるのであれば、「条件成立により取得してしまうのだから、当該新株予約権者が有する消滅すべき新株予約権は存在しない。」でしょうし、
会社法第287条が優先されるのであれば、「条件成立により当然に消滅してしまうのだから、なくなったものを取得することはできない。」と読むのでしょう。
また、蛇足ですが、会社法第280条第6項で「株式会社は、自己新株予約権を行使することができない。」とされていますが、自己新株予約権を有する株式会社は、会社法第287条の「新株予約権者」にはあたらないのですね。
似たようなQ&Aはありましたが(5月26日ご回答、6月8日ご回答)、もう一度ご教示いただけないでしょうか。どうぞよろしくお願いいたします。
Posted by Junior Comptroller at 2006年06月15日 13:25
A2
あらゆる人が行使条件を満たさない状況になったら、消却をすることなく、消滅します。
Aさんは、行使条件を満たすことはできなくなったが、Bさんが取得したら行使条件を満たす場合があるという場合には、消滅はしません。
消滅したものは取得することはできませんから、あえて言えば、287条で消滅するかどうかが優先するのですが、「行使できなくなったとき」ということの意味を正確に判断するのが大事です。
A3
Q.整備法76条や、53条の定款のみなし規定は、336条4項の”定款の変更”に該当するのでしょうか。

<質問の理由>
4/12のQA12や4/22のQA3及び、「会社法施行前後の法律問題」でいう監査役の任期の満了が
・会社法336条に基づくものか、
・その立法趣旨を踏まえた解釈によるものなのか
を伺いたくご質問させていただいた次第です。
Posted by df at 2006年06月15日 13:58
A3
みなし定款変更規定による定款の変更も336条4項の「定款の変更」に該当します。

Q4
整備法98条1項の「発行の決議」は、譲渡制限会社の旧商法280の5の2及び同280の27の決議を含まないのでしょうか。(有利発行のための株主総会決議が含まれることは「会社法施行前後の法律問題」に明記されているのですが)
Posted by sk at 2006年06月15日 18:39
A4
旧商法280条の5の2等が行われた場合も整備法98条1項の適用があると思います。

Q5
当社の会計監査人は中央青山なのですが、今年6月の総会において、中央青山を会計監査人として自動的に再任し、(7月1日からの資格喪失を経て)9月1日に中央青山を正式な会計監査人として予め選任しておく予定です。そして7月1日以降、一時会計監査人を選任するのですが、9月1日に中央青山が復活したときの一時会計監査人の扱いはどうなるのでしょうか。
旧商法では、一会計監査人を選任した次の株主総会の時に正式の会計監査人が選任されると、一時会計監査人は自動的に退任となる内容となっていました。
このようにみると、株主総会で、一定の時期になったときに中央青山を再選することを予め決議した場合、その時期がきたら一時会計監査人は自動的に退任となるように思われます。
ですが、登記においては、一時会計監査人を選任した場合も登記する必要があるとのことです。
さて、その場合、一時会計監査人が退任することとなってもやはり退任の登記が必要になるのでしょうか。
A5
問題意識がつかめませんが、一時会計監査人が選任されたとき、及び退任したとは、どちらも登記が必要です。

Q6
A社は株主のB社の製品を仕入れ、卸売り、販売業務をする会社。A社は株主のB社の所有する土地で営業を行っています。当該土地を使用するにあたり、土地賃貸借契約をB社と結んだが、賃貸料に係る条項がない。B社は土地賃貸料について、値上げを希望。また、新たにB社で代表取締役を務めているXさんがA社の取締役として選任される予定。
そこで、
①XさんがA社の平取締役となった場合、利益相反取引が成立するか?
②その場合、
a)その根拠となる条文は、会社法の条文は何条か。
b)取締役会に賃料値上げに係る議案を設け、承認を得る必要性は発生するか。根拠条文は。また、決議方法は会社法や取締役会規則の決議方法に従うのか。
c)承認の場合、賃貸借契約は新たに結ぶ必要はあるか。
A6
 問題の中の、主語が省かれている部分が多く、やや意味が取りにくいです。
 ①は、XがA社の平取締役になること自体は、取引じゃないですよね。取締役就任前に締結された契約が、事後的に利益相反取引になったりもしません。
 とすると、XがA社の平取締役になった後に、A社とB社代表取締役Xが締結する契約が利益相反取引になるかという問題でしょうか。A社の平取締役であるXは、B社という第三者のために代表取締役として、A社と契約をするのですから、A社との関係で利益相反取引になりますね(365、356)。
 A社も、B社も、業務執行の決定ですから、契約について取締役会の決議を得るのが原則です。A社は、利益相反取引ですから、A社は取締役会の専決事項、B社は、取締役に委任することもできるのが通常でしょう。
 決議方法についての質問は、意味が分かりません。
 承認の場合、賃貸借契約は新たに結ぶ必要があるかというのも、意味が分かりません。取締役会の決議は内部の意思決定の問題、賃貸借契約は、A社とB社の契約問題ですから、契約内容を変更する以上、新たな契約が必要でしょう。

Q7 
 改訂版を早く出したいといわれると、自分が勉強しているこの部分がまさにその改定をしたい部分なのではないかという恐れを抱くことがあります。具体的に、なくなる箇所があるのであれば、先に教えていただきたいです。
 また、勉強の姿勢に関しての質問なのですが、いわゆる予備校本にはウソが紛れ込んでいるという話をよく聞きます。どのように見分けて勉強をしていけばいいのでしょうか。
Posted by さとじゅん at 2006年06月15日 21:05
A7
 法律の世界で、完全主義は、よくありません。
 会社法100問の中で、理解して無駄になることはありませんから、心配せずに、まず目の前のものを理解しましょう。
 予備校本に限らず、どんな本にもウソ・間違いはあります。
 ある程度信頼できる教科書を見つけたら、ウソかどうか気にせず、全面的に信じて理解に努めましょう。
実力もないのに、自分でウソを見分けるようとするのは、無駄な努力です。しかも、疑いながら本を読むと、吸収スピードが落ちますので、よくありません。
 そして、その本をもとに、択一や論文で自分の知識をアウトプットすること。それにより、本の中のウソが分かってきます。そのとき修正すれば十分です。
 どうせ試験で100点取れるわけではないし、全部が全部完璧に覚えることができるわけでもないので、信頼性の高いという評判の本であれば、全面的に信頼して勉強しましょう。

2006年6月15日 (木)

子会社の計算による利益供与

 昨日のQ12で利益供与について質問をされた「旧商法から来た男さん」から、利益供与をした取締役の責任について、さらに質問をもらいました。

『「子会社の計算」による利益供与と親会社の取締役の責任につき、回答をいただきましてありがとうございました。再質問をお願いします。①葉玉先生が、子会社の計算が導入された平成12年の商法改正当時の考え方を採らないことのポイントとなる考え方を教えてください。②新・会社法100問と千問の考え方からは、子会社の計算のときは、利益を供与した子会社の取締役は、その親会社に対し支払義務を負う(120条4項)と同時に当該子会社に対しても任務懈怠責任を負う(423条1項)ことになりそうなのですが、利益を供与した子会社の取締役の責任はどう考えられているのでしょうか。宜しくお願いします。
Posted by at 2006年06月14日 15:44』

 株主に対する利益供与についての責任は、千問のQ173に詳しく書いていますが、その部分は、立案過程を含め、かなり検討した上で、解釈を整理しました。

 利益供与の責任は、いわゆる総会屋対策の一つです。

 一番典型的な例は、株式会社が、自己の株主に、自己の財産を供与するパターンなのですが、会社の会計帳簿に記録しなければならないようなお金を総会屋さんに供与するとまずいので、いろいろな手法で作った裏金(帳簿に載らないお金)を総会屋さんに渡すことが多いと思います。

 ここら辺は、検事の血が騒ぐところで、裏金の作り方をしゃべらせたら、3時間くらい楽しいお話ができるのですが、そんなことをしたら、検察庁に帰れなくなるので、今日は、そちらの話はしません。

 さて、利益供与の責任の範囲が過度に拡大しないようにするため、株式会社又は子会社の計算で行われた利益供与についてのみ、120条1項の適用を受けることになっていますが、この「株式会社又は子会社の計算で」というのは、簡単に言えば、「株式会社又は子会社が、実質的な負担をして」という意味です。

 取締役が、裏金を総会屋に渡すときには、契約をするわけでもありませんし、帳簿上も会社の財産が移転しないので、「株式会社の名義」で利益供与した場合に限定してしまうのでは適用範囲が狭くなりすぎます。
 
 そんな法制を採ってしまうと、総会屋さん達は、「俺は、取締役である葉玉のポケットマネーから贈与を受けただけだ」などと言い出すので、よろしくありません。
 そこで、その裏金が形式的に誰に帰属しているか、誰の名義で利益供与をしたか等ということは問題とせず、「帳簿に載っている表てのお金は利益供与したときだけではなく、会社の実質的な負担により作り出した裏金を総会屋さんに渡すことも禁止しますよ」ということを表すために「株式会社の計算で」という表現が用いられています。

 さらに、総会屋に渡すお金を作るときに、自分の会社で裏金を作ると会計監査等でばれるおそれがあることから、親会社の取締役が、子会社の代表取締役を呼び出して、
 「お前のところの裏金をちょっとくれよ」
と言って、子会社の裏金を取り上げ、それを総会屋さんに渡すこともあります。
 こういう場合が「子会社の計算」の典型例ですね。

 以上のような利益供与が行われた場合、利益供与を受けた総会屋さんは、
1 株式会社(総会屋さんが株主をしている株式会社)の計算ならば、株式会社に対し
2 子会社の計算ならば、子会社に対し
供与を受けた利益を返還しなければなりません(120条3項)。
 これは、不正にもらったお金は、返しなさいというだけのことです。

 問題は、親会社の取締役の責任であり、120条4項は、親会社の計算によるものか、子会社の計算によるものかを区別せず、「株式会社が第一項の規定に違反して財産上の利益の供与をしたときは」、「株式会社」に利益相当額の金銭を返還しなければならないと規定しているところです。

 この点、旧商法では、この取締役の責任は、無過失責任であるとされていたこともあって、「子会社の計算で利益供与がされた場合は、株式会社(親会社)の財産は流出していないので、取締役は無過失責任を負わない。ただし、親会社に対して任務懈怠責任が生ずる場合がある」という理解が示されていました。

 しかし、会社法では、取締役の利益供与責任が過失責任化(直接利益供与した者は無過失ですが)されてしまったために、利益供与責任の趣旨が、「過失責任を無過失責任化する」ということから、「任務懈怠責任について、利益供与相当額以上の損害が生じたものとみなす」ということに変わりました。

 そこで、親会社が子会社の計算で親会社の株主に利益供与をしたときに、親会社に生ずる可能性のある損害がどの程度あるかを検討してみると、親会社は、利益供与をした時点では、直接の自分のお金を出しているわけではありませんが、自ら、子会社のお金を使って、犯罪行為を行っているのですから、子会社に対して、そのお金に相当する損害賠償責任等を負う蓋然性が高いものと考えられました。
 すなわち、子会社は、法律上は、総会屋さんに金銭の返還を請求することができるものの、総会屋さんから、お金を取り戻せる可能性は、ミクロの世界なので、ほぼ確実に、子会社が出したお金は返ってきません。

 そのため、子会社は、親会社が、その優越的な地位を利用して、子会社のお金を取り上げて、親会社の利益のために使ったのだから、親会社に対し、利益供与相当額の金銭を損害賠償か、不当利得で返せという請求することができるはずです。
 このように考えてみると、親会社が、子会社の計算で利益供与したときも、親会社は、子会社に対する損害賠償責任等の履行しなければならなくなり、結果的に、親会社に利益供与相当額の損害が生じる蓋然性が高いということができるのです。
 そこで、任務懈怠が認められる取締役(利益相反取引をした取締役)に対する損害額を最低「利益供与相当額」とみなす120条4項の規定を子会社の計算の場合でも適用することには合理性があると考えられました。
 実際、120条4項の文言でも、子会社の計算の場合を除外しているわけではありませんし、もし子会社の計算のときに120条4項の責任を負わないという解釈を採ってしまうと、取締役に、子会社の計算で利益供与を行えという誘因を作ってしまうという不都合もあります。
 以上の理由から、会社法では、子会社の計算で利益供与が行われたときも、120条4項を適用することとし、100問や千問で、そのような説を披瀝しているのです。

 なお、冒頭②の質問についてですが、利益を供与した子会社の取締役は、120条4項は適用されません(同項の取締役は文理上親会社の取締役を指します)。しかし、子会社の取締役は、子会社のお金を親会社の犯罪行為のために使ったのですから、子会社に対する任務懈怠責任(423条1項)が生ずることは考えられます。

(質問コーナー)
Q1
一時会計監査人の選任についてであります。
中央青山監査法人の業務停止による退任後の7月3日に、一時会計監査人を監査役会で選任決議するとします。その場合以下のような内容の決議は有効でしょうか?
その選任決議の内容として①A監査法人を7月3日付けで一時会計監査人に選任。②中央青山監査法人を9月1日付けで一時会計監査人として選任。
同時に2先の一時会計監査人を選任すること及び、将来の時点(9月1日)の選任をすることは問題ないでしょうか?
A1
一般論としてしかお答えできませんが・・。
一時会計監査人を選任する要件が備わった後に、期限付き選任することは可能です(条件付選任は問題あります)。
ただし、なぜ欠格事由ある者を選任しなければならないのか、A監査法人を選任しているにもかかわらず、なぜ9月1日に追加で一時会計監査人を選任しなければならないのかという合理性は問われるおそれがあります。

Q2
略式・登録の如何に関わらず、質権設定された株式の剰余金の配当は質権者に支払われると理解して宜しいでしょうか。旧商法下では、質権者・質権設定者の取り決めによりいずれに支払われるかが決まると教わった記憶があります(どこで教わったのかも失念しているくらいなので怪しい知識です)。
A2
違います。登録質については、154条1項で、質権者は剰余金の配当を受け取ることができます。略式質は、質権の効力は剰余金の配当請求権に及んでいますが(151条)、差押えをしなければ、直接取立をすることはできません。

Q3
役員報酬についてですが、会社法では報酬から報酬等になりました。
今までは、総会で上限枠を一回定めれば後は変更をしなくてもよかったのでしょうが、今回からは、賞与等も含まれるようになったので、もしもその上限枠の中に賞与等が含まれるようになったと考えると、毎年決議をしなければいけないのでしょうか?
Posted by kai at 2006年06月14日 02:08
A3
以前にも回答しましたが、株主総会がどのような趣旨で報酬等決議を行うかという問題です。
業績に応じて、広い裁量の中で賞与を決めるということであれば、毎年、報酬等決議をすることになるでしょう。

Q4
Q.整備法76条3項で、会社法241条3項2号が規定されていない理由をおしえてください。
<質問の理由>
閉鎖会社(ふるい表現で失礼します・・)の場合、株主割当の新株発行は、整備法76条3項により取締役会決議で発行可能となるにも拘らず、新株予約権の場合には、株主総会特別決議が必要となる、、、という取り扱いが対照的なので、その理由を伺いたく考えた次第です。
閉鎖会社なので、定款を変更しろ、とお叱りを受けそうですが・・・。宜しくお願い致します。
Posted by df at 2006年06月14日 10:57
A4
非公開会社は、すべての株式に譲渡制限が付されているので、取締役会決議で株主割当をしても、割り当てられた株式の譲渡は制限されるので、株主が持株割合を自由に変動させることはできません。
 しかし、非公開会社であっても、譲渡自由の新株予約権を発行することはできるので、非公開会社が、取締役会決議で株主割当をすると、株主に譲渡自由の新株予約権が交付され、株主が、それを譲渡し、その新株予約権が行使されることにより、既存株主以外の者が株主になったり、持株比率が変動したりする可能性があります。
 旧法は、そこらへんに、ちょっと配慮が足りなかったので、その点については、経過措置を置かず、新株予約権の株主割当については、原則どおり、株主総会で決議することとしています。

Q5
 現物出資の不足額填補責任について,ご教授お願いいたします。
 設立段階の発起人等の不足額填補責任(52条)と,募集株式発行段階の取締役等の不足額填補責任(213条)とを比較してみたのですが,前者には,総株主の同意による免責(55条)が認められているのに対し,後者には,同様の規定がなく,責任が免除されないかのように思えます。
 これは,両責任の趣旨が違うからなのでしょうか?設立段階は,会社債権者保護のためではなく,株式引受人間の公平を図るためという説明がなされていましたが,募集株式発行段階では,別の考慮が働くということでしょうか?
Posted by ボン at 2006年06月14日 20:46
A5
まず、誤解を解いておきますと、213条の責任は、総株主の同意による免責の規定がありませんので、通常の会社の債権と同様、「業務執行の意思決定機関」が免除するかどうかを決定します。
株式引受人間の公平を図るという趣旨は同じですが、設立のときには、すべての株主が設立という同一の機会に株式を引き受ける場合なので、引受人間の公平の要請が特に強く働くからだと思います。千問Q296参照

Q6
千問Q898の解説文の2で,かつての人的分割を実質的に行う場合に,配当財産等について吸収分割承継会社の株式に限定する例外が挙げられています。
その中で,剰余金の配当の場合には,例外としては②(丸の2)の分割会社の株式のみとされています。
施行規則の178条を読む限りでは,例外は①(丸の1)の金銭等のほうではないかと思うのですが,なにか読み違えをしているようにも感じます。
Posted by たつきち at 2006年06月13日 18:07
A6
すいません。ご指摘のとおり、②ではなく、①が正解です。その部分のゲラを修正した某さんが「ぼくの字が汚かったから、「1」が「2」に見えたのかなあ。」とつぶやいておりました。

2006年6月14日 (水)

観戦する気力が・・・

通りすがりさんから
>観戦か、不合格かのどちらかを選んでください(笑)。
>では、当然「観戦」を選びますよね
>おそらく「観戦か、合格か」の間違いだと思いますが・・・
というコメントを頂きましたが、まさに、そのとおり。謹んで訂正します。
 ただし、もう観戦をする気力のある受験生は、減ってしまったかも・・・。
 会社法グループも、本日は、意気消沈のあまり、仕事の効率が90%ほど低下していました(笑)。
 本日は、記事を書く気力もオーストラリアに持って行かれましたので、質問コーナーだけにさせていただきます。

(質問コーナー)
Q1
そもそも、「業務」および「職務」はそれぞれ何を指すのでしょうか。
当社の取締役が、他社の社外取締役に選任された場合、その者が業務執行取締役である場合は来期の事業報告に記載しなければなりませんが、「業務執行取締役」とは?「というところでつまずいております。
A1
業務と職務の違いについては、千問のQ398を参照してください。
業務執行取締役については、千問のQ397を参照してください。

Q2
特例有限会社から株式会社への商号変更について5月19日付Q10の回答で代取の予選について、商号変更後も、非取締役会設置会社のままであればできると解しますが取締役会設置会社になる場合は、できません。取締役会で選定する必要があるので。とのご回答でしたが、代取の選任に付取締役の互選による旨の規定を置いていた特例有限会社が、引き続き互選による規定を置いた場合に商号変更と同時に全員任期が満了し、全員改選した場合には商号変更総会後の取締役(再任新任取締役)の互選によっては、やはりできませんか? 登記が効力要件だから仕方ないのでしょうか。
Posted by 中小企業の味方 at 2006年06月13日 01:39
A2
すいません。ちょっと事例設定が分かりにくいのですが、「互選で代取を選定する旨の定めがある会社で、商号変更の登記前に、取締役の互選によって、代取を選任することができるか?」という問題でしょうか?

Q3
仮会計監査人は監査役(会)が選任します(会社法346条4項・6項)が、会社と仮会計監査人との(準)委任契約は、代表取締役が業務執行として締結するという理解でよろしいでしょうか。監査役(会)が、仮会計監査人の報酬等について、同意権しか有していない(会社法399条1項・2項)ことを考えると、そのように理解するしかないように思いますが。
Posted by FK at 2006年06月13日 05:42
A3
 委任契約の締結は、代表機関が行います。

Q4
会社法第204条は、第202条5項で除外されてないこと、第204条4項は株主割当の場合の失権についての規定であることから、株主割当方式の場合にも適用があると思っておりました。要は1人株主のため、会社からの申込通知、株主からの引受申込、会社の割当決定、割当て通知(最後の2つは適用無いわけですね?)を、募集株式の総数引受契約で一括処理しようとしているだけなのです。
あまり意味のない手続方法をとろうとしているのかもしれませんが、203条の手続に代えて総数引受契約によることはできるということでよろしいですね。
Posted by 万年補助者 at 2006年06月13日 10:42
A4
多分、その総数引受契約は、会社法上の総数引受契約ではありませんが、203条の要件を充たすならば、形式はどんな形式を取っても可能です。

Q5
1000問のQ180(基準日株主を害する場合)に関してご教授下さい。
1の読み方が良く分からないのですが、これは例えば、基準日株主がA・Bと2名存在したとして、基準日後にAが保有する株式をCに譲渡したとします。この場合、基準日後の株主(C)の議決権行使に同意を与えるのはAのみで良いという意味なのでしょうか?それともA・Bの両方の同意が必要という意味ですか?
A・B両方の同意が必要とした場合、手続きに関しての規定が無い(?)ので、会社がA・Bに確認を取るとかで可能なのでしょうか?それとも総会決議みたいなものが必要となるのでしょうか?
Posted by ネットくん at 2006年06月13日 10:55
A5
Aの同意のみで足ります。

Q6
100問(№23)のp129において、「株式の内容自体について株主平等の原則は直接適用されるものではない。」という記述があります。この内容を見ると、「株主平等というのは絵に描いた餅なのだろうか」というような漠然とした疑問が出てしまったのです。感覚的でしかないのですが、憲法の法の下の平等で出てきた立法者非拘束説のような考え方のような気がしているのです。しかし、株主平等原則は会社法上の制度であり、108条が内容の異なる種類の株式が存在するい制度を設けているわけですから何から何まで平等に取り扱うことを定めるものではなく、制度の構造からする限界?がるのは当然であると理解しておけばよろしいのでしょうか)。
Posted by SMOKY at 2006年06月13日 14:40
A6
質問が漠然としているので、答えにくいのですが、何でも109条1項だけで株主を保護しようとするのは無理であり、109条2項やその他の規定で株主平等の原則を図ればよいということだと思います。

Q7
決算公告についてご教授ください。
3月決算の会社が昨年の10月に減資を行い、大会社から小会社となりました。この会社の計算書類は旧商法特例法に基づき大会社として作成していますが、今年6月の株主総会で計算書類の承認を受け、計算書類が確定すると、この会社は小会社に該当することになると考えます。そうすると会社法440条1項により株主総会後に決算公告しなければならないものは、小会社に該当するのでB/Sだけとなるのでしょうか?それとも、P/Lについても公告しなければならないのでしょうか?
よろしくお願いします。
Posted by 法務課員 at 2006年06月13日 14:43
A7
会社法では、小会社はなく、非大会社ですが、公告の時点で非大会社になっている場合には、貸借対照表のみ公告すれば足りると思います。

Q8
新株予約権の行使に際して増加すべき資本金等増加限度額の算出方法(会社計算規則第40条)について質問させてください。
① 行使時における当該新株予約権の帳簿価額
   +
② 払い込み又は給付を受けた金銭又は財産の価額の
  合計額
の部分の①については
(A)自己株を発行した場合についてだけ該当するのでしょうか。
 それとも、
(B)新株予約権の発行価額がある(無償でない)場合に該当するのでしょうか。その場合、資本金等増加額なので、資本金と資本準備金が増加するということでしょうか。
予約権行使にあたって、会社が自己株を発行することもなく、予約権は無償で発行していた場合は、①については0ということでよろしいでしょうか。
会計基準がよくわからない法務関係者ですので、ご教示ください。
Posted by 法務関係者 at 2006年06月13日 15:44
A8
すいません。(A)(B)の意味がよく分かりません。
①の帳簿価額は、発行時の払込価額ではありません。無償発行をした場合でも、価値がある場合には、帳簿価格は0にはなりません。千問Q357

Q9
「目的の営利性」については,2月以降の民事局商事課関連の説明では,営利性も審査の対象になるといった説明がされているように思われます(その後,変更があれば別ですが)。2月に商事課長が講師をされた説明会では,「目的の適法性,明確性,営利性については,施行後も考慮要素として維持する」と記載されたレジュメが配布されています。また,先日行われた商業登記実務セミナーでも,商事課局付検事の方が同様のことをおっしゃっていたように記憶しております。
「考慮要素」というのと「審査の対象」とでは異なるのかもしれませんが,上記の商事課の説明がまだ生きているのだとすると,登記官もそれにしたがって審査を行うので,目的についてドグマティックな解釈は事前規制として維持されてしまうように思われます。
商事課も現在では同様の見解に立っているのでしょうか?それとも商事課は法務省に属さないようになってしまったのでしょうか?
なお,公証人連合会のサイトでも「目的の記載については,従前どおり適法性,営利性及び明確性が必要とされる」とされております。http://www.koshonin.gr.jp/tei.html#17
これでは,少なくとも株式会社の設立では,事前規制が強く働くことになってしまうと思われます。
実務上,公証人・登記所と依頼者の間にあって「困ってしまうなー」,というのが今の感じなのです。
管轄外のことかもしれない点ですが,よろしくお願いいたします。
Posted by たつきち at 2006年06月13日 18:06
A9
 寄付しか目的としないような場合は、株主に対する利益分配すら不可能であるという意味で営利性は考慮要素になるかもしれません。
 しかし、複数の事業目的の中に、寄付という目的が含まれている場合には、その目的を否定する理由は何もないはずです。
 登記の審査は、具体的なケースごとに判断されるものですから、ここで一般論を述べることは避けますが、法務省内の意思の不統一ということはないはずです。
 個別に「この目的はどうだろうか」ということは、法務局に相談してください。もっとも、法務局の人も人間なので、すべてに精通しているとは限らないので、仮に、けんもほろろな態度を取られたら、また相談してください。
 公証人の認証で、もめた場合も同様です。

Q10
葉玉先生は以前の任務懈怠責任(3)の記事で、『個々の取締役の主観的事情である「故意・過失」は、取締役が立証責任を負うという整理をするのが、健全な実務であるように思います』とおっしゃられているのですが、任務懈怠と過失を二元的に考える立場からすれば、任務懈怠の立証責任が会社と取締役のいずれにあるのかとは関係なく(つまり、423条3項による任務懈怠の推定とは無関係に)、常に取締役側に無過失の立証責任があると考えてよろしいのでしょうか?
私見は上のように理解していたのですが、神田先生の『会社法[第8版]』213頁には、「利益相反の場合には、決議に参加した取締役は、任務懈怠が推定される(423Ⅲ③。過失の立証責任の転換)。」との記述があります。
神田先生が一元説の立場を採用されているのであれば理解は可能なのですが、その他の叙述を読む限りそうとは読めないので、任務懈怠の推定と過失の立証責任の関係がわからなくなってしまった次第です。
また、上とは別の質問ですが、二元説からすると、経営判断の原則が適用されるのは、任務懈怠と過失と、いずれの判断においてなのでしょうか?取締役の主観を問題とする以上、過失の判断になじむと思いますが・・・。
Posted by Gus at 2006年06月13日 18:18
A10
「過失」という言葉の問題に過ぎないと思いますが、二元説に立つと、「過失」には、客観的過失(任務懈怠)と主観的過失があり、前者は、原則として会社が主張責任を負うが、後者は取締役が無過失の立証責任を負うと考えればよろしいのではないでしょうか。
いわゆる経営判断の原則は、任務懈怠の問題だと思います。

Q11
100問394頁に、「公正な価格とは合併による企業価値の増加を反映した…」とあります。
ブログでいえば、無欲さん、強欲さん、闘争欲さんの3人にとって、公正な価格は、合併自体に反対の場合と、そうでない場合(合併することについてはどうでもいいけど、価格が不満だから)で異なるのでしょうか?
つまり前者の場合(お金の問題ではないのよ!合併するのが嫌なの)は、合併による価値の増加は考慮されないところの「公正な価格」になりますか?
また、3人の立場が同じとして(3人とも前者又は後者のいずれか一方に属する)、価格が10万円50万円30万円と異なる場合、「公正な価格」は、どれになりますか。よろしくお願いします。
Posted by 江崎一恵 at 2006年06月13日 18:37
A11
公正な価格は、反対したかどうかとは関係なく、客観的に定められます。ただ、価格というのは、評価が難しいので、協議で価格が決まれば、それが公正な価格ということになるということでしょう。

Q12
A社(親会社)がB社(子会社)の計算でした利益供与(120条1項)についてお尋ねします。旧商法では、A社において不当な財産の流出はないから、A社の取締役は、A社に対し旧商法266条1項2号の責任は負わないが、同5号の一般的な責任は負うと理解されていたと思います。しかし、新・会社法100問と千問のいずれにおいても、A社の取締役は、A社に対し、旧商法266条1項2号に相当する会社法120条4項の支払義務を負うとされています。会社法においては、旧商法のような理解(会社法に焼き直すと、会社法120条4項の責任は負わないが、会社法423条1項の一般的な責任は負う)は、成り立ちえないものでしょうか。
Posted by 旧商法から来た男 at 2006年06月13日 18:49
A12
成り立ちえない解釈というのは、存在しないでしょう。
120条4項は、子会社の計算でした利益供与を除外していませんが、制限解釈をすることも可能かも知れません。私は、そのような理解はしていませんが。

Q13
取締役の報酬は、なぜ上限枠を一度株主総会で決議すれば、以後、総会のあらためての承認は不要という実務になるのでしょうか?
承認をした時の株主と、それ以後の株主は、必ずしも同じ構成というわけではなく、不当に高い額だと思う後の株主もいるだろうと思うのです。
総会に変更議案を出せる株主なんて限られてくると思いますし、枠取りさえしてしまえばいいという実務に若干疑問を抱きます。
Posted by ぺーぺー法務員 at 2006年06月13日 21:16
A13
おっしゃることは正論です。昔、どこかの偉い人がそういうもんだと言って、実務に定着しているから、今となっては、仕方がないということでしょうね。

Q14
中間配当は定款に記載されていれば、取締役決議で行えるのに対し、期末配当は、利益処分案(会社法:株主資本等変動計算書)で株主総会の承認が必要とされているのですが、同じ剰余金処分でも、時期によって承認の要否が異なるのはなぜでしょうか?
私見では、上限枠は法定されており、あとは総額が低い場合に、株主が総会で異議を唱えることが可能なような設計にされているのか、と考えましたが、いかがでしょうか。
Posted by ぺーぺー法務員 at 2006年06月13日 21:17
A14
原則は、総会で決めるのですが、総会を開くのは大変なので、取締役の欠損てん補責任を負わせることで、取締役会の決議で中間配当をしてもいいことにしたという旧法を引きずっているものです。
 なお、株主資本等変動計算書の承認は、剰余金の配当の決議は別です。また、上限額の法定という話は、ちょっと違うような気がします。

Q15
募集社債の発行に関する取締役会決議についてご教示ください。必ず表面利率のある普通社債のみの発行を認める場合において、応募者利回りの上限を定め、取締役に委任するときには、その「応募者利回りの上限」は、利率に関する事項の要綱であると同時に、払込金額に関する事項の要綱でもあるという理解でよろしいでしょうか。それとも、「利率の上限」のみを定めたものということでしょうか。
*千問の道標(625頁)では、「利率の要綱と払込金額の要綱を関連付けて規定し」とありますが、これは「割引発行とするかどうかを取締役に委ねる」ことが前提になっているところ、「割引発行」は利率がゼロの債券の発行をいうのが通常であり、利率がゼロでない債券の発行の場合にも、同じ考え方でよいのが疑義が生じたため、確認をさせていただきます。
Posted by TO at 2006年06月13日 23:36
A15
 応募者利回りの上限だけですと、利率に関する事項の要綱と解釈するのが素直であるように思います。

Q16
6月1日のご回答では、「利率を付する場合も想定されるならば、利率に関する事項及び払込金額に関する事項を渾然一体として、要綱を定めることも可能です。」とありますが、この「利率を付する場合も想定されるならば」というのは、千問の道標の「割引発行とするかどうかを取締役に委ねるときは」ということと同じ意味でしょうか。
 「利率を付する場合」しかないのであれば、割引発行とはいえず、「利率に関する事項及び払込金額に関する事項を渾然一体として、要綱を定めること」はできないのでしょうか。
Posted by TO at 2006年06月13日 23:37
A15
 会社法は、利率に関する事項と払込金額に関する事項を定めろと言っているだけなので、どんな場合でも、渾然一体として、要綱を定めても構いません。

Q16
「株式の胎児」の譲渡について,質問させていただいてよろしいでしょうか?
ブログには,「株式の胎児」の譲渡として,
①割当後,出資の履行前の譲渡と,
②出資の履行後の譲渡
が挙げられています。
ところが,条文を見ると,設立時募集株式引受人の②出資履行後の譲渡に対応する規定(50条2項に該当する規定)が,102条付近に見当たりません。これは,50条2項が,設立時募集株式引受人の出資履行後の譲渡にも適用されるということでしょうか?
また,従来「権利株」といわれていたものは,上記①②のいずれも包含すると考えてよいのでしょうか?
A16
すいません。50条2項に相当する規定が、引受人について、存在しないのは、問題であることは認識しております。実際の事例ではほとんど考えられないと思いますが、解釈上、譲渡しても会社に対抗できないものとしておく方が無難です。

Q17
 『100問』の133頁(25 株式譲渡自由の原則)に,株券発行前の譲渡に対する制限は,会社との関係では効力が生じないと書かれています。この説明を読んで,「なるほど!」と思った(条文上も,あえて「効力を生じない」と規定されている以上,「対抗できない」と解するのは不自然)のですが,株券発行会社においては,「株式の胎児」の譲渡については,当事者間の意思表示のみで譲渡の効力が生じるのでしょうか?
 設立段階で何ら書き分けられていない以上,「株式の胎児」については,株券発行会社でも等しく意思表示のみで譲渡可能とも考えられるのですが,そうすると,会社が成立した瞬間に意思表示による譲渡が認められなくなるということになりそうですが,それでよいのでしょうか?
Posted by ボン at 2006年06月11日 22:11
A17
 株式の胎児は、いまだ株式ではなく、意思表示のみで譲渡の効力を生ずるが、対抗要件を備えるすべがないというところでしょう。

Q18
 さて,本日は,株主の間接責任についてお尋ねしたいことがあります。
 従来,株主の間接責任については,「会社債務について,出資者個人が何ら関わり合いを持たずにすむようにしたい」という出資者の利益からの説明がなされてきたように思います。
 しかし,出資者個人が,会社債務についての関わり合いを断ちたいというのであれば,設立時に自ら全額の履行さえすれば,以後,会社債権者から直接請求されることはないのでは?とふと思いました。
 私には,間接責任は,一々直接多数の株主に対して支払請求をするのは効率的でなく,また,株主の無資力を会社債権者が負担することにもなるため,会社債権者の利益から制度化されたものだという理解がしっくりきます。そのように理解すると,小規模な会社形態を予定する合同会社についても,設立時の全額払込み→間接責任を要求した制度の説明がつくのではないでしょうか?
 以上の理解を前提にすると,合資会社の有限責任社員が設立時の全額払込みを要求されない(つまり間接責任ではなく,直接責任である)のは,事業の遂行に応じて適宜出資を履行すればよい無限責任社員との均衡からだと理解できると思います。
Posted by ボン at 2006年06月12日 21:30
A18
 なんとも答えにくい質問ですが、大事なことは、会社法では、株式は打ち切り発行しかないため、払込をしていない引受人は、株主になれないということです。
 つまり、間接有限責任とは、名ばかりで、実は、株主無責任を定めているにすぎません。
 それを前提にすると、ボンさんの説明は、ちょっと違うような感じがします。

Q19
電子公告制度についてお教え下さい。
電子公告期間中にやむを得ない事由により公告の中断が生じた場合、中断時間が全体の10分の1を超えなければ追加公告で対応可能ですが、10分の1を超えてしまった場合はどうなりますか?公告期間を、中断が全体の10分の1を超えないレベルになるように延長すれば良いでしょうか?
公告期間と公告事項の効力発生日の間に余裕が無い場合は、公告期間の延長=効力発生日の変更=公告内容の変更となってしまうので、新たな公告としてやり直しが必要になると思います。一方、余裕もって公告を開始しており、公告期間を延長しても効力発生日等の公告内容が変更にならない場合、いかがでしょうか。
Posted by 法務ヘルパー at 2006年06月09日 18:46
A19
公告内容を変更した場合はやり直しですね。
公告内容が変更されていない場合には、公告期間の延長してもよさそうな感じもしますが、調査機関の関係があって、うまく行くかどうか疑念のあるところです。

Q20
効力発生日を変更して公告し直す場合ですが、効力発生日が取締役会で決議する内容に含まれているものの、この変更のためだけに臨時取締役会を開催するのは避けたいと思っています。そこで当初の取締役会決議の段階で、このような事態による効力発生日の変更については代取に一任するとして決議しておいて、代取に変更の判断をしてもらうことは可能でしょうか?
Posted by 法務ヘルパー at 2006年06月09日 19:29
A20
それは、公告の問題ではなく、委任一般の問題であり、法律上、効力発生日を委任することができない場合はダメで、効力発生日を委任できる場合は可能ということでしょう。

追伸
内藤卓さん
 こちらこそ、記事を引用させていただきありがとうございました。
私も、むやみやたらに従来の解釈を変えようという気持ちはありませんが、会社法は、あまりにも変化が大きいため、従来の解釈のよりどころになっていた規定が変容していることがほとんどで、なかなか従来どおりにといかないところです。
 決して内藤さんをドグマチックな人であると申し上げたわけではなかったのですが、お気を悪くされたら、申し訳ございませんでした。

2006年6月13日 (火)

既存株式の全部取得

 このブログにもよく質問をして頂いている内藤卓さんのブログに
『法解釈とは、原則として法の予定した範囲内で、最良の解を求める作業である。』
という面白い記事がありました。

 その内容は、千問に書いている事項について
1 「当該株主以外に株主が存在しないこと自体が禁止されるわけではないものと解されることから、株式発行等を全部取得条項付種類株式の取得と同時に行う必要はない。」というのは、おかしい。

2 「株式会社がその自己株式を有する場合には、株式会社自身は、その株式会社の株主である。」いうことは、おかしい。

3 すべての株式を取得条項付株式(第107条第1項第3号)とするには、株主全員の同意が必要(第110条)であるのだが、「いったん全部取得条項付種類株式に変更してから、その取得の対価として取得条項付株式を交付する手順を踏めば、株主総会の特別決議によって、すべての株式を取得条項付株式に変更することができる」旨が述べられているが、株主保護のために株主全員の同意を必要としたにもかかわらず、「特別決議でできる」としてもよいものだろうか。

というご批判であり、これらが「法の予定した範囲内」であるか否かという点をポイントにされていると思います。

 確かに、論点解説の問題の中には、成立後に、立案時には想定していない裏技的な質問を受けて、みんなで考えた答えもありますが、内藤さんが指摘された3点は、いずれも立案時から、「予定」していたことであり、「法の予定した範囲内」であると言うことができます。

 まず、全部取得条項付種類株式は、いわゆる100%減資を実現するために導入された制度ですから、当然のことながら、一旦は、発行済み株式の全部が自己株式になることを前提としたものです。
 内藤さんも、100%減資を否定されるわけではないでしょうから、おそらく、100%減資をするためには、「一瞬だけ」発行済み株式の全部を自己株式にすれば足り、既存株式の全部取得後、すぐに新株発行をしなければならないというお考えなのではないかと推測します。
 しかし、「一瞬」が許される以上、「しばらく」を禁止する理由はありません。
 もちろん、株主総会を開くことができなければ、継続的に正常な会社運営を行っていくことはできませんが、逆に言えば、株主総会を開かなければならない等株主が必要な場合以外の場合では、全部自己株式の状態でも、特に会社の運営に問題はありません。株式会社は所有と経営が分離しているので、持分会社ではありえないことが、株式会社ではありうるのです。
 しかも、「一瞬だけしか、全部自己株式という状態は許さない」というルールを作ると、新株発行に何らかの瑕疵があれば、全部取得条項付種類株式の取得まで効力を否定せざるをえなくなってしまいますが、そのようなルールは、全部取得付種類株式の株主とは無関係の事情により、当該株主の地位を不安定にする点で妥当ではなく、また、株発行無効の訴えと全部取得との関係を整理するのが困難であるという難問も待ち受けています。
 「全部自己株式は、気持ち悪い」という気持ちは分からないわけではありませんが、「気持ち悪い」というだけで、規制の必要性のない、しかも、実効性が担保できないルールを作るわけにはいきません。
 そうした検討を経て、「全部自己株式」という状態がしばらく続くことも適法であることとされているのです。

 次に、会社が、自己株式の株主であるということについても、114条2項1号が「株主(当該株式会社を除く。)」と規定しているとおり、「法律の予定した範囲内」のことです。
 内藤さんは、「剰余金の配当を受ける権利」等が認められないから、株主と解する必要はないと考えられているようですが、「株式」という権利と「剰余金の配当を受ける権利」等の具体的な権利は別の権利です。
 法律では、株式という権利について、発生(発行)、移転、消滅(消却)の要件を明らかにする必要があるところ、自己株式になったからといって、当然に消却されるわけではない(混同が生じない)以上、自己株式について、権利者が誰かを明らかにする必要があります。
 とすると、自己株式についての権利者は、会社自身であるというほかなく、自己株式の株主(=株式についての権利者)は、会社ということになるわけです。これを内藤さんがご指摘のように、会社は株主ではないという整理をしようとすると、「株主」の定義を行った上で、何らかの形で株式会社を除外することになるでしょうが、そのような規定は、法的にはあまり意味がないばかりか、自己株式の処分をした場合に、株式の「移転」なのか、「発生」なのかという難しい問題を引き起こすことになりかねません。

 最後に、普通株式に取得条項を付するためには、株主全員の同意が必要であるにもかかわらず、全部取得条項を付して、取得をし、対価として取得条項付株式を付与する場合には、総会の特別決議で足りるというのは、当事者が、どちらのルートを選んでもよいということを前提にしたものです。
 全部取得条項を経由するルートは、総会の特別決議で足りる代わりに、株式買取請求権等の手続きを経る必要があり、時間がかかります(全員の同意があっても116条3項の通知を省略することができません)。
 それに対し、直接、取得条項を付すルートは、全員一致が必要であるかわりに、株式買取請求権等の手続きが不要で、短時間で実現することができます。
 このように各手続きは、一長一短であることから、当事者の選択に委ねるために、特に全部取得条項を用いたルートを禁止するような規定を置いていないのです。

 以上のように内藤さんご指摘の3点は、法律の予定の範囲内の問題であるわけですが、内藤さんの言わんとしていることが「法律上の規制が緩すぎる」というご批判であるとすれば、今後の会社法改正の参考にしていきたいので、ぜひ具体的に不都合な点をご指摘いただければ幸いです。

 会社法は、行為規範としての側面が強い法律ですから、合理性のない規制を廃止するとともに、できる行為とできない行為を明確にする必要があり、立案作業も、そういう視点で行われていましたし、私達の回答も、条文の形式的な解釈を重視しながら、行っていると思います。
 もちろん、会社関係者が、自分に不都合を生ずる可能性があることはしないという謙抑的な姿勢を持つことは大事なことですが、「少々不都合がありそうだけど、より大きなメリットがあるので、そのリスクを取る」という会社があった場合に、法律の規定もないまま、そのリスクを取る行為を規制するような解釈は採るべきではないと思います。
 例えば、内藤さんのブログに、「目的の営利性の審査が行われるのに、論点解説では、目的の営利性が不要であるという風に読める部分がある」というご批判がありますが、私の知る限り、法務省の誰かが、会社法の下でも、目的の営利性の審査を行うと言ったことはないはずです。謙抑的な姿勢から、寄付のように営利性のないものを目的にしないというのも理解できることですが、それを定款に記載した場合に、その定めが無効になるかどうか、登記できるかどうかは、具体的な事例に則して、判断されることであり、あまり決めつけを行うような分野ではないと思います。

 できたばかりの会社法なので、いろいろな解釈があってよいと思いますが、因習的なドグマチックな解釈は、できる限り、排除すべきであるというのが、論点解説の基本的な視点です。

(質問コーナー)
Q1
取得請求権株式や取得条項株式の取得対価として“新株予約権”を定められるのに“株式”はなぜダメなのでしょうか?
Posted by そーちゃん at 2006年06月11日 11:09
A1
108条2項5号、6号を見てください。
取得請求権付株式や取得条項付株式でも、取得の対価として株式を交付することはできます。
そーちゃんさんは、107条を見ていると思いますが、107条は、1種類しか株式を発行していない場合の規定です。

Q2
ご確認させていただきたいのは株主割当の申込の手続を総数引受契約によってすることが可能かということでして、株主割当の手続を202条〜204条でするのではなく、202条と205条ですることができると考えてよろしいでしょうかということです。
単独行為の方が契約より要件が軽いので意味がない、というご説明は株主側からはそうだと思いますが、会社側からは通知手続や割当決定手続を総数引受契約ですれば203条、204条の規定を適用しないですむので、という理由です。205条は203条、204条の手続の形式を変えたもので実質的には同じなので、適用除外とされていると思い、株主割当・第三者割当を問わず総数引受契約はできると考えてしまったのですが、どこか根本的に間違っておりますでしょうか。
Posted by 万年補助者 at 2006年06月12日 10:32
A2
 以前の問いに書きましたが204条は、適用されません。
 総額引受契約をしているような状況であれば、203条の要件は充たしているはずですが、203条の何を排除したいのでしょうか?203条1項の通知は、様式性を要求していないので、総額引受契約をする場合と会社側の負担は変わらないと思いますが・・。

Q3
会社法151〜154条と民法366条とを対比した場合,(1)民法366条1項,3項に相当する規定がないから,その適用も準用もない。(2)また民法366条2項における「自己の債権額に対応する部分に限り」との制約がないため,会社は,会社法154条に基づき,株主名簿に質権の登録がされている以上,被担保債権の存否及びその額を確認することなく,登録株式質権者に金銭を交付すれば足りる。これらは,(1)民法366条は質権の目的である債権それ自体の弁済に係る規定であり,他方,会社法151〜154条は物上代位物に関する規定であるから同列に取扱う必要がないとともに,(2)会社における大量処理の画一性を加味した規定である,と理解してよいでしょうか。
Posted by 田舎の弁護士 at 2006年06月12日 10:40
A3
民法366条の適用も、準用もないという表現が正しいのかどうかは、若干、断言しかねるところはありますが、株主名簿に質権の登録がされている以上,被担保債権の存否及びその額を確認することなく,登録株式質権者に金銭を交付すれば足りるという点はそのとおりです。


Q4
今現在、『100問』がオンライン・オフライン,どこの書店を巡っても在庫切れの状態となっているのです。
そろそろ改訂なさるということなのでしょうか?
Posted by ☆★☆★ at 2006年06月12日 17:12
100問は、増刷すると聞いていますから、ぼちぼち出回るのではないと思います。
改訂は、やりたいのですが、時間がありません。

2006年6月10日 (土)

問いを見つける試験

 択一合格者の皆さんは、まさかワールドカップなんか見てないでしょうね。
 これからの約1か月半は、1日の体のリズムを整えるため、論文試験当日と同じように寝起きするのが大事。
 特に、毎晩、午前2時〜3時と遅い時間まで起きていると、本番前日で緊張が増したときは、確実に寝付けなくなりますから要注意です。
 今年は、ドイツ開催のため、受験生が見てはいけない時間帯にしか試合がありませんので
 観戦か、不合格か
のどちらかを選んでください(笑)。

 毎日、睡眠前にガーッと暗記ものをやって、頭が疲れて眠くなったところで、すぐ寝るというパターンを繰り返していると、同じパターンで本番前も眠れますので、試してみてください。経験上、知識は寝る前に勉強した方が頭に残るような気がします。

 さて、今日は、択一合格者のために、論文試験合格のための戦術を指南いたします。

 論文までの時間は、長いようで短く、短いようで長いものです。

 まず、自分の目の前にスケジュール表を広げて、朝6時起床、夜12時就寝とし、さらに、答練の日・模試の日等既に埋まっている予定を書き込んでください。
 そうした上で、空き時間を数えて、6科目で割ると、多くても1科目40時間〜60時間程度ではないでしょうか。
 60時間というのは、3時間1コマの講義を10回分、答案練習を30問解けば終わりという程度の時間に過ぎません。

 ですから、すべての科目を一から嘗めるように勉強する時間はないことを前提に
「自分の力を信ずることができる分野については、勉強時間を削り、自分の力を信ずることができない分野に勉強時間を割り振る」
ことができなければ、すべての分野で中途半端な状態で、本試験を迎えることになdります。

 「自分の力を信ずることができる」状態というのは、
 「俺って天才だから、ノー勉で論文合格できる。」
という根拠のない自信を持っている状態ではなく、
 「この論点だったら、本試験でスムーズに書ける」
ということが、答練やノートのチェック等を通じて検証されているという意味です。

 もし、自分が、これまでノート等にまとめてきた論点について、この検証をしていないのであれば、とりあえず6日間で6科目全部について、「書けるか、書けないか」の検証をしてください。
 実際に書いて検証しようとする、とても時間がかかってしまうので、論点名だけを見て、口頭で論証の流れとキーワードを言うことができるかどうかだけチェックしても結構です。

 このようなチェックを通じて「自分の力を信じることができる」部分が分かったら、その部分は、最低限の記憶喚起のためのチェック以外はやらないと決めます。これは、勇気のいることですが、どこかを削らなければ、時間は生まれてきませんから、勇気を振り絞りましょう。

 では、こうやって作り出した時間を、何に使うのか?

 一番良くないのは、「見たこともないような問題が出たら困る」という恐怖感から、勉強したことのない領域を新たに勉強しはじめることです。

 本試験は、あなたが知らない問題が最低3割は出ます。これは、あなたが、どれだけ勉強しても同じです。
 また、直前になって全く新たに勉強した知識は、自分で分かったつもりになっても、本番では書けません。
 択一合格者が、この1か月半で目指すべき目標は
(1)自分がこれまでに得た知識を自由自在に使えるようにすること
(2)分からない問題を、条文とその趣旨から考えて書く能力を身につけること
だけです。

 この目標を達成するためには
(1)「自分の力を信じることができるか」チェックで、×がついた論点については、繰り返し、チェックをし、×がなくなるようにする(特に「条文の趣旨」は確実に言えるようにする)
(2)沢山の問題を答案構成する(何条の、どの文言が、問題文のどの事実との関係で問題となるか、を書き出す)
ことが極めて重要です。

 答案も1日1問は書いて欲しいと思いますが、答案構成については、1問10分〜15分で、毎日最低15問はやるべきだと思います。
 7月になれば、もっと増やした方がいいでしょう。

 なぜ答案構成が、そんなに重要かというと
(1)問題の分析ができずに、条文や論点を見つけられなければ、個別の条文や論点をどれだけ知っていても何の役にも立たない

(2)逆に、問題になる条文や文言さえ見つけられれば、条文と趣旨を書いた上で、もっともらしい考えを述べることができる
からです。

 論文試験は、択一試験と違って、これという正解はありません。しかし、問題文の中に秘められた沢山の問を発見し、その問に自分の考えを述べることは要求されます。

 言い換えれば、択一試験が「答え」を見つける試験だとすれば、論文試験は、「問い」を見つける試験なのです。

そして、その問いは、問題文に対し条文を適用するプロセスから発見されるものであり、この発見の能力は、反復練習により身につける以外に習得の方法がありません。

 予備校講師時代の経験に照らして言えば、直前期になって、重判とか百選の事例にヤマを張る人も多いのですが、たまたま、それが本試験にでても、そういうヤマ張り人の点数は、案外低いんです。
 それは、ヤマ張り人は、「出た!やった!」という気持ちが先に立ち、「百選等で論じられている論点のみを思い出しながら書く」という傾向が強いからです。これは、百選等に限らず、答練で出題された問題と似た問題が出たからといって、記憶に基づいて書こうとすると軒並み転びます。

 私は、何度も過去問の講義をしたことがありますが、判例を題材にした問題でも、判例の事例そのままのものはほとんどなく、ひねりを加え、しかも、いくつかの論点をつけ足しています。
 ですから、それを「百選の記憶に基づき」書いてしまうと、問題文に隠れている「問い」を発見することができず、結果として、点数はそれほど高く伸びません。

 逆に、判例の存在を知らなくても、問題に条文を当てはめていくプロセスで「○○は、××条の「△△」に該当するか。」ということを書いていけば、自然と論点に触れることになります。

 そして、その一つ一つについて、条文の趣旨から自分の考えを述べていくことで、「落ちない答案」ができあがるのです。
 なぜ「落ちない答案」になるのかといえば、このような思考方法こそ法律家として身につけるべき思考方法=リーガルマインドだからです。

この思考方法さえ持っていれば、もはや
「こんな問題は見たこともない」
という問題でも、それなりの答案構成をすることができるようになり、
「こっ、この論点は聞いたこともない。」
と思っても、それなりの考え方を述べることができるようになる。

そして、結果的に、全科目とも、安定した点数をとることができるようになります。

 以上のように
「問い」を見つける訓練=問題文に適用される条文を発見し、あてはめる訓練
こそ、直前期にもっとも相応しい勉強です。
 また、個別の論点を勉強する際に、表面的な学説の対立よりも、「条文の趣旨」を把握することに力を入れることが、どんなものにでも対応できる真の実力を要請することにつながると思います。

 試験までの限られた時間であっても、1時間4問の答案構成を30時間やれば、合計120問の答案構成をすることができます。
 各科目100問も潰せば、主要な論点は網羅することができますし、それを6科目やるということであれば、600問以上を分析することになりますから、リーガル・マインドがかなり醸成されることになります。
 答案練習や不正確な知識の是正も重要ではありますが、各科目相互や勉強方法のバランスを取りながら、答案構成を重視するのが、葉玉式論文攻略術です。


(質問コーナー)
Q1
205条を株主割当に適用できないかというご質問は、203条、204条の手続をとることなく、202条4項の通知のみで、処理できないかなという単純な理由からなのですが、その方法が株主割当で否定されるというわけではないと考えてよろしいのですね?
Posted by 万年補助者 at 2006年06月09日 09:22
A1
株主割当の際には、203条は適用されます。株主割当といっても、当然に株主が引受人になるのではなく、株主が、割当を受ける権利を行使して初めて引受人になるので、申込みなどについて定めた203条はどうしても必要です。
しかし、204条の割当手続きは不要です。千問Q280。

Q2
内閣府令に基づく委任状勧誘制度と会社法施行規則63条7号の関係について教えてください。
63条7号は「3号に規定する場合以外の場合」は一部議案についてはその概要を招集通知に記載するよう要求しています。そして同条3号は書面投票・電子投票採用会社についての規定になります。とすると、議決権行使ができるが株主1000名以上の会社が内閣府令に基づく委任状勧誘をしている場合は、同条3号に該当しないと思われます。とすると、かかる会社は、招集通知に議案の概要を記載しなければならないのでしょうか?
Posted by 法務課員 at 2006年06月09日 10:51
A2
施行規則63条7号に掲げる議案の概要については、招集通知に記載する必要があります。

Q3
「使用人の執行役からの独立性に関する事項として、執行役から独立していないとの内容を定めてもいいのか?」ということです。例えば、「監査委員会の職務を補助すべき使用人の採用、異動、懲戒については執行役会がこれを決定する。」なんて規程を取締役会で決議しちゃってもいいの?ということです。
Posted by 委員会設置会社の使用人 at 2006年06月09日 11:41
A3
補助使用人が執行役から独立しなければならないというところまで、要求しているものではありませんが、独立させないことにより善管注意義務違反になるかどうかは、個々の会社の実情によって異なるので、一概に言うことはできません。ある執行役が任務懈怠責任を負う場合に取締役が責任を負うリスクを軽減させたければ、独立性を確保した方がベターだとは思いますが・・千問Q459

Q3
親会社・子会社について質問させてください。A社がB社の議決権総数の100%を保有しております。しかし、A・BともX社との取引が総売上の95%以上を占め、XがA・B双方に役員を派遣しています。かかる場合、BはA・Xどちらを親会社と扱えば良いのでしょうか?それとも両方親会社となるのでしょうか?
専門家からAがBの議決権総数の100%を保有していても、実質的にBを支配しているのはXなので、Xの事業報告でXがBの親会社である旨を記載すれば、Xが親会社であり、Bの親会社はXなので、BがAの株式を保有しても子会社による親会社株式の保有禁止には当たらないとのアドバイスを受けておりますが、法の趣旨を没却する解釈に感じられ、釈然としません。
Posted by hi at 2006年06月09日 15:52
A4
Aは明らかにBの親会社です。ですから、BがAの株式を取得することは原則できません。
Xも、実質支配しているようですので、Bの親会社です。
したがって、AもXもどちらも親会社ですね。

Q5
会社法427条の責任限定契約は、社外取締役等に関して当分の間選任する予定がなくても、定款にその旨を定めることにより、あらかじめ登記しておくことができると考えて、よろしいのでしょうか。
よろしくお願い致します。
Posted by rk at 2006年06月09日 16:11
A5
社外取締役がいない会社であっても、責任限定契約の定めを設けて、登記することはできます。

Q6
株式登録質権について教えてください。
1 登録質であっても,法151条10〜14号によって株式が交付される場合,自動的には株主名簿の書換(記載,登録)がされないとのことですが,質権者としては,どうするのですか。
2 法154条1項は,当然のことながら,被担保債権の弁済期が到来していることが前提ですよね。
3 法154条2項は,被担保債権の弁済期が到来していないことを要件としていますが,同弁済期が到来していて,かつ「金銭等」が金銭でないときは,質権者としては,どうするのですか。
4 質権は剰余金の配当に及び,登録質の場合は,質権者に配当金が支払われることになりますが,質権契約における特約で,配当金には質権を及ぼさないとして,その旨の会社に届けがあると,会社は,質権設定者に支払わないといけないのでしょうか。
Posted by 田舎の弁護士 at 2006年06月09日 21:46
A6
1 質権の弁済期が到来している場合には、差押えをし、担保権の実行を開始することができるものと解されています。千問Q244
2 そのとおりです。
3 差押えをし、担保権実行を開始することになります。
4 あまり考えたことはありませんが、当該特約は、債権的には有効であると思われます。

Q7
会社法では、
「公開会社」=少なくとも一種の譲渡制限なし株式を
発行する会社
「閉鎖会社」=全ての株式に譲渡制限がついている
会社
という規律になっていると思います。
しかし、法改正以前は「公開会社」=上場会社あるいは店頭登録会社だということになっていたと思います。
新法下では、「公開会社」は条文で示されている用語として用いられるべきだと思うのですが、旧法下における「公開会社」のことは、新法下ではなんと呼べば良いのでしょうか。
Posted by 質問マン at 2006年06月09日 22:53
A7
会社法以前は「公開会社」という法律用語はありませんでした。
なお、現在の日本の会社の株式に店頭登録はないはずなので、「上場会社」と呼べばいいのではないかと思います。

追伸1
>ミカリンさん、針路西北西さん、虎次郎さん、お父ちゃん。
 皆さん、それぞれの苦労はあるでしょうし、楽な戦いではありませんが、適切な勉強を必死でやれば、必ず合格します。
 これから1年間、どのような勉強をすればよいのか、できれば一人一人とお会いして、相談に乗ってあげたいところでありますが、なかなか難しそうなので、身近な合格者に相談される等して、しっかりとしたスケジュールを立てることをおすすめします。
 そして、この1年間、いつでも、「あと1週間で本番だ。」という気持ちで勉強を続けてください。

追伸2
 kumapoohさんありがとうございました。

2006年6月 9日 (金)

天使と堕天使

 今日は,択一試験の発表でした。
 合格者数が昨年の半分に減ったことに伴い,合格点は、昨年よりグンとあがって46点以上となっています。試験の難易度は毎年変わるし,相対評価なので,合格点を基準に有意的な分析はできませんが,私の合格したころ(いわゆる500人時代)と同じくらいの難度になっているような印象を受けます。

 択一に合格した人に向けた話は明日にして,今日は,択一に落ちた人にお話をしたいと思います。

 択一に落ちた人は、今頃、どんよりとした重い気持ちで、思考する気力もないかもしれませんが、気力があろうとなかろうと、未来は必然的に訪れるので、とりあえず今後の進路の参考にでもしてください。

ミカリンさんから,次のような質問を受け,ここ2,3日,どんな答えを書けばいいのか,悩んでいました。

「始めまして、いつも楽しく読ませていただいています。
今年の択一が30点台でしたので、来年の現行試験に向けての勉強をはじめています。
ところで、私の周りでは現行をあきらめ、ロースクールや他の資格への転向をする人が多く、来年は今年以上に大変になるのだ、という不安でいっぱいですが、いままでに比べ、どれほど大変になるのか、という想像がつきません。
来年に向けての覚悟を決めたいと思うので、葉玉先生のお考えをお聞かせいただけないでしょうか。
ちなみに私のいまの状況は,勉強をはじめて3年目、理系出身で試験に関係する知り合いがあまりいません。また、現行しか選択肢がありません。」

 おそらく質問の趣旨は,来年の現行試験の合格者数は,今年の合格者数より減少するので,どうしたらよいかということなのでしょう。

 一般に択一不合格者の選ぶ道は
 1 ロースクールにいくかどうか
 2 司法試験をあきらめるかどうか
の2つのポイントで別れます。

 ロースクールにいくかどうかについては,さらに
 (1)ロースクールに行って,来年は旧試験は受けない。
 (2)ロースクールに行って,来年も旧試験は受ける。
 (3)ロースクールに行かずに,来年も旧試験を受ける。
の3つの選択肢があります。

 まず,あなたが、今日,(1)を選んだとしたら
「今年,旧試験を合格するつもりで受験したんじゃないの?
 なんで,1年後の旧試験を受けないの?
 2年・3年後の新試験の難易度が,来年の旧試験よりも簡単であるという保障なんか,何もないよ。自分が1年間必死に勉強して,実力を伸ばす自信がないのならば,2年やったって同じ。旧試験を受けるかどうかは,願書出すときに決めればいいのだから,択一の模試や論文答練の結果を見て,そのときに考えればいい。
 今の段階から,来年を見送るなんて弱気な考えならロースクールもやめちまえ」
と叱咤することでしょう。

 (2)の選択肢は,おそらく一番合理的な選択であり,特にコメントはありません。

 (3)の選択肢を選ぶ人には,①ロースクールに行くお金と時間がもったいない,という人と,②ロースクールに行こうと思っても行くお金・時間がないという人がいるのでしょう。

 客観的に見れば,現在の司法試験に関する政策は,ロースクール誘導型の政策であり,(3)の選択は,その誘導に反逆している(笑)のですから,一番不利な選択であるということは言うまでもありません。

 私は,本来ならば,独学・ロースクール・受験予備校が制度間競争をするのが,日本国憲法が保証する自由主義に則しているのではないかと思いますが,憲法的観点から、公共の福祉を実現するための職業選択の自由等に対する政策的制約として,ロースクールの卒業資格を新司法試験の受験資格とする法制度が採用されてしまったので、司法試験をめざす人にとっては、(3)の選択はどうしても不利になってしまいます。

 ところが,ミカリンさんは,(3)の選択しかないということを追記されていますので,私としては,この点に関するアドバイスをする余地はありません。不利であろうとなかろうと、時間的金銭的余裕がなければ、(3)しかないということかもしれません。

 とすると,ミカリンさんが,私に聞きたいのは
「私は,来年,旧試験しか受けることができませんが,司法試験をあきらめるべきでしょうか?」
ということなのでしょうか。

それに対する答えを一言で言えば・・・・

「それは,あなたが決めることであり,私が決めることではありません」

ということです。

 来年の旧試験は、合格者が減少するから,今年よりも更に合格が難しくなるという一見もっともらしい話をする人がいるので、悩む気持ちは分かります。
 
 しかし、厳しい言い方ですが
「合格率1.5%が1%になったくらいで司法試験をあきらめるのならば、あなたは、法律家になって貰わなくて結構です。」

 法律家は、他人の権利を守ることによって、お金をもらう仕事です。
 法律家が無能・無気力である場合、迷惑を被るのは、法律家ではなく、依頼者・被害者・当事者です。
 法律家になれば、毎年のように、難しい事件にぶち当たり、自分のお腹にグッと力をいれて、ぎりぎりのところで踏ん張りながら、他人の権利を守ってあげなければならない場面に出くわします。
 合格率という数字のマジックごときにビビって、あきらめるような人は、法律家に向いていません。

 そもそも、合格者数が減っても,それと同じくらい受験者数が減れば,合格率は同じです。今年は,合格者の減少率が受験者数の減少率を上回ったので,合格率も減少しましたが,来年は,受験者数の減少率もかなり大きいかもしれません。特に普段は仕事のため勉強できず,試験だけ受けている人も多いので,1年間必死に受験勉強をして受験する層がどのくらい減少するかが問題です。

 また,私が外から眺めている限り,若い人の多くは「ロースクールに行くけど,旧試験は受けない」という選択肢を選んでいるようです。
 この傾向,すなわち,頭の良く成長が早い新規受験生が旧試験に流れ込んでこないというのは,旧試験の受験生にとっては朗報です。
 はっきり言って,司法試験は,勉強した年数が長ければ長いほど試験に有利ということは全くありません。
 私の経験によれば,頭のいい人なら1年,並の人でも2年間,能率的で意欲的な勉強をすれば,10年間,勉強し続けたベテラン受験生に簡単に勝てます。
 言い換えれば,後ろから追っかけてくる頭のいい、やる気に満ちた受験生が入ってこないのならば,旧試験は,「今年の受験生から合格者が抜けた余り者同士の戦い」つまり「ドングリの背比べ」状態の中で競争すればよいということになります。
 
 さらに、合格率も合格者数も,数字の遊びという側面があり,私がゼミをしていた頃は,世間の合格率は2%でも,ゼミ生の合格率は20%〜40%くらいでしたら、結局は,どれだけ法律家としての素養を身につけることができるかということの方が、表面的な合格率の動向よりも,ずっと大事なことなのです。

 旧試験が終了しても、予備試験制度がはじまりますから、ロースクールに行くことだけが唯一絶対の道ではありません。働きながら勉強する道も残されています。

 不安があるのは、誰でも一緒。ロースクールに行ったって、三振の不安は消しきれません。旧試験の受験生も、旧試験が終わるまでに合格しないと自分の行き場がなくなると思いこみ、ロースクール生と同じ、三振恐怖症にかかっています。

しかし、三振の心配ばかりしているバッターは、ヒットも打てません。
試験委員という剛球投手を相手に、三振にならないようにバントばかりねらっていては、3バント失敗で、いずれにせよアウトです。
どんなに速い球でも、しっかり球筋を見極めて、シャープに振り抜くことにより、はじめてヒットになるのです。

 ミカリンさんに限らず、択一試験の成績が良くなかった人は、不安と悩みで一杯でしょう。
 でも、その悩みの中で、自分の力で人生を「選ぶ」ことができなければ、どんな道に行っても、他人に流される人生になるだけです。

才能豊かな人のことを「選ばれた人」と表現することがありますが、私は、法律の世界で「選ばれた人」など見たことがありません。
何の勉強もせずに、自然と
「9×1が9、9×2じゅうはち、9×3心裡留保、9×4虚偽表示」
などと法律知識が出てくるはずはなく、どんな頭のいい人でも、苦しみながら先人の知恵を身につける努力をしています。

このように、神様から選ばれることがない以上、残る選択肢は、自分の意思で、自分の道を「選ぶ」のか、それとも、「選ばずに、流されるか」のどちらかです。

みんながローに行くから・・・
みんなが他の資格に転向するから・・・
だから、あなたは、みんなと同じ道を歩くのですか?
ところで、「みんな」って、誰ですか。

 人はそれぞれ、歳も違う、能力も違う、環境も違う。
「みんな」なんて人はいないのに、「みんな」と同じ道に流されれば、それが、あなたにとってのBest Wayになるなんてことは、ほとんどありえません。
 自分で考え、自分で選ぶからこそ、自分に最も相応しい道を進むこと、自分に最も相応しい道を切り開くことができます。

 もちろん、人間は、未来を見通すことはできないから、選ぶときには不安があります。特に、現在の生活が苦しければ苦しいほど、歳を取れば取るほど、「一生、司法試験に合格しなかったらどうしよう」という気持ちになるものです。

 でも、その不安は、世の中の法律家全員が、受験生時代に持っていた共通の不安感です。
 「合格しないかもしれないという不安感」と「それでも、司法試験に合格するんだという決意」は、合格のための必要条件です。

 選ぶことを恐れるのをやめましょう。
 人生の分かれ道に立ったときには、天使と堕天使が目の前に現れます。
 天使と堕天使は、同じ顔をしていますが、世俗的な私には、
天使は清楚だが、魅力に乏しいように見え、
堕天使は、華やかで、魅力にあふれて輝いて見えます(笑)。

 そのため、堕天使を天使だと勘違いして選び、波乱と苦悩に満ちた道に迷い込んだことも、一度や二度ではありません。後から思えば、「あの時、天使を選んでいれば、清らかで落ち着いた暮らしができていたかもしれないのに」と思うこともしばしば。

 でも、波乱と苦悩を経験したからこそ、努力して得た幸せは、天国で安楽に暮らす喜び以上の感動をもたらしてくれます。疲れながらも、充実した日々を送ることができます。

 分かれ道で、どちらも選ばなければ、立ちすくんだまま、老いていくのみです。
 決意が全ての出発点です。

 私は、ミカリンさんに必要なのは、
 (1)悩み抜いて、自分の道を選ぶこと。
 (2)道を選んだら、選んだ道に潜む困難を克服するための技を、同じ道を行く先人から教えてもらうこと
 (3)教えてもらったら、迷わず、その道を進んでいくこと
の3つだと思います。
 特に3年間も勉強していながら、「試験に関係する知り合いがあまりいません」という状態は危険です。どうも、勉強が消極的な勉強になっているのではないかと心配してしまいます。
 
まず、法律家になるのか、ならないのか、はっきり決めてください。
試験の難易度なんて、どうでもいい。
あなたが行く道を選んでください。

ミカリンさんが、悩み抜いて、どんな苦労をしても法律家になると決意したときに、また次のアドバイスをしたいと思います。

(質問コーナー)
Q1
前提決議を欠く代取の行為の論点と前提決議の瑕疵における判決効果の範囲の論点との関係がよく分かりません。そして、前提決議を欠く代取りの効果のところで93条の類推適用をするのが判例ですが、事例ごとに判断するという一文を基本書で目にします。しかし、93条後段類推適用をすると画一的な判断になってしまうような気がします。
取締役会の決議で目的の範囲外の行為をなした場合に、前提決議を欠く代表取締役の行為として構成することは出来ないのでしょうか。
Posted by 法学部生 at 2006年06月08日 09:31
A1
質問内容がよく分からないところがあります。「前提決議」というのは、取締役会ということでしょうか。
その前提で法学部生さんの質問の内容を推察すると、取締役会が目的の範囲外の行為を決議し、その決議に基づいて代表取締役が法律行為をした場合の行為の効力のことを質問しているような気がします。
 とすると、取締役会の決議は無効ですから、当該代表取締役の行為については、民法93条類推で原則有効、ただし、93条ただし類推で相手方が悪意また過失のときには無効ということになります。
 93条ただし書が「画一的判断」というのは、意味不明です。過失の有無を判断するので、実質的な判断が可能だと思います。

Q2
 商事法務1786号の「会社法の施行に伴う商業登記事務の取扱いの解説」P5の表にある設立時代表取締役について質問させて下さい。
①取締役会設置会社での設立時代表取締役選定は設立時取締役による互選しかありえないと考えていたのですが、定款で定めれば発起人や創立総会で選定することも可能なのですか?
②この表の左列にある「定款に選定方法の定め〜」とは、代表取締役の選定方法とは別の、設立時代表取締役の選定方法のことなのでしょうか?
③取締役会設置会社でありながら設立時代表取締役の選定がなされない場合があるのでしょうか?
Posted by chigmog at 2006年06月08日 11:55
A2
①千問Q58に詳しく載っています。発起人や創立総会も可能です。
②すいません。今、1786号が手元にありません。
③取締役会設置会社では、設立時取締役の互選で設立時代表取締役を選定しなければならないので、選定されないことはありません。


Q3
28条に違反する財産引受等の効果について質問させてください。
「会社法100」の第16問(司試平成7年)では、反対説をふまえて、「28条が『その効力を生じない』と規定しているのは同条2号に違反する財産引受については、設立中の会社の実質的権利能力も発起人の権限も及ばず、会社に効果帰属する余地を与えないという趣旨であり、…」と書かれています。
とすると、旧商法と異なり、もはや設立中の会社の実質的権利能力の範囲や同一性説の議論は、会社法では実益がなくなった(28条の趣旨を論じれば足りる)ということなのでしょうか?
Posted by くろむつ at 2006年06月08日 13:34
A3
実質的権利能力や同一性説は、説明の仕方の問題であり、会社法でも、その説明を前提にしていると思います。
ただし、その点についてどの説に立つにしても、要件を充たさない財産引受には効力を認めないことは共通なので(明文上明らか)、その場面においては、まわりくどい説明をする必要はなく、28条の趣旨から論ずれば足りると思います。

Q4
取締役の責任限定について、一旦、426条による取締役会決議の方法を取ろうとしたところ、3%以上の株主の反対があったために取締役会決議による責任免除はできない場合に、その後、同一事象について425条の株主総会特別決議によって責任免除を得ることも制度上は可能と考えてよろしいでしょうか。もっとも監査役全員が同意するかどうかという問題はあるのですが。
Posted by SMOKY at 2006年06月08日 14:19
A4
問題ありません。何度でも免除をチャレンジしてください。

Q5
会社法第205条の規定は第三者割当による募集株式発行手続の場合の規定だと聞いたのですが、株主割当の方法による募集株式の発行手続においてはこの総数引受契約の締結はできないのでしょうか?
株主割当では使えないとする理由がわからないので、ご教授下さい。
Posted by 万年補助者 at 2006年06月08日 17:20
A5
 株主割当というのは、株主に募集株式の割当を受ける権利を与える場合のことをいい、株主が、その権利を行使すれば(単独行為)、総数引受契約を締結するまでもなく、引受の効力が生じます。
 したがって、単独行為と契約を比べれば、単独行為の方が要件が軽いので、総数引受契約をする意味がありません。

Q6
「論点解説 新・会社法」出版おめでとうございます。
早速買い求めたいと思うのですが、100問同様、すぐに誤植の修正版が出るということはないでしょうか?(笑)
Posted by it at 2006年06月08日 17:58
A6
商事法務は、それをおそれて、目を皿のように誤植チェックしていたので、大規模な誤植の修正版はでないと思います。
もちろん、人間なので誤植があるかもしれませんし、その際は、皆様のご指摘を受けて修正するつもりではありますが、それは当分先のことでしょう。

Q7
社外取締役の登記についてご回答ありがとうございました。
度々の質問で誠に恐縮ですが、社外取締役の登記につき重ねてお尋ねしたいことがあります。
法911条3号25号は
①「責任限定契約についての定款の定め」があるとき
②「社外取締役であるものについて」
社外取締役である旨の登記をしなければならないと定めており、②の「社外取締役」とは法第2条15号に該当する者を全てと理解するのは誤りでしょうか?
なお、千問297ページQ409のA2中の「客観的に社外取締役に該当する者」も「法2条15号に該当する者」でしょうか?
さらに、A2の回答「また」以下の説明は、複数の社外取締役であって、責任限定契約を締結する社外取締役と締結しない社外取締役の両方がある場合のみのことでしょうか?それとも、締結していない社外取締役のみ(1名または複数)の場合も含まれるのでしょうか?
Posted by 悩む担当者 at 2006年06月08日 20:07
A7
Q409の最後の方に記載のあるとおり、法的効果を受けない社外取締役については登記義務はないと解釈しています。
法益効果を受けない社外取締役は、その者又はその者らだけしか社外取締役がいない場合でも、登記義務はありません。

Q8
既出かもしれませんが、基準日について質問をさせて下さい。
基準日は、株主の変動を見越して「一定の日の株主名簿記載の株主に権利行使してもらうための制度」だと理解しています。
従って、基準日を定めることなく、その日現在の株主に権利を付与するのであれば、特段これを定める必要はない。と理解しているのですが間違いないでしょうか?
Posted by greenlemon at 2006年06月08日 21:03
A9
そのとおりです。会社法100問論点<314>です。

Q10
葉玉先生、「千問の道標」さっそく読ませていただいております。
その中で、疑問に思ったのは、Q426で、非取締役会設置会社における代取死亡における平取の代表権につき、いわゆる「非回復説」(会社法349①ただし書の適用存続説)がとられていることです。もし、このケースで、この説をとられるなら、取締役会設置会社の定めを廃止した場合にも、会社法349①ただし書の適用存続が認められても良いと思うのですが? 
Posted by 駿佑 at 2006年06月08日 22:48
A10
取締役会設置会社と非取締役会設置会社は、代表取締役の選定方法が異なるので、取締役会を廃止した時点において、非取締役会設置会社の選定方法により選定した代表取締役はいないことになります。そのため、定款に別段の定めがない限り、各自代表の規定が適用されると考えています。

Q11
社債について質問です。
商法300条(割増償還について)が廃止されました。
今後は、割増償還ができなくなったという理解でよいですか?
商事法務1751号の葉玉先生の解説は「券面額=償還額でないといけない」とあり、割増償還禁止のように読めます。
Posted by じゃふ at 2006年06月08日 14:01
A11
割増償還は、できなくなりました。

Q12
旧商法下で「新株予約権証券は、新株予約権者の請求がある場合に限り発行する」と決議されて発行された新株予約権について、現実に請求がなく新株予約権証券が発行されていない場合でも、会社法下では、249条3号ニに定義する「証券発行新株予約権」ではないとして取り扱うのでしょうか。当該新株予約権を取得条項に基いて取得する際には、一度新株予約権証券を発行する等の手続きは不要であると解してよいですか。
Posted by パラリーガール at 2006年06月07日 23:42
A12
ご質問の新株予約権は、「証券発行新株予約権」です。
当該新株予約権は、288条2項と同じ規律に従っているものにすぎません。

2006年6月 8日 (木)

千問の道標

 おかげさまで
 「論点解説 新・会社法 千問の道標」
が、本日、東京都内の大手書店に並び始めました。
 今年の前半は、この本が、私のプライベート・タイムの半分くらいを食いつぶしましたので(残り半分は、このブログ)、感慨ひとしおです。

 私達が、本を書くときは最初に「まとめ役」を決めて、その人が内容の統一性や構成に責任を持つことになっていますが、私は
  「法律書は、データベースたるべし」
という信念を持っているので、自分が「まとめ役」になった本については、検索性を重視した編集を行ってきました。

 千問の道標も、読み物として1頁から読んでも、それなりに面白いと思いますが、読者が「自分の知りたいこと」に迅速にアクセスできるようにするため、次のような工夫をしています。

1 各問いに質問の内容を簡潔に表す表題をつけ、目次を見れば、質問の内容が、ある程度想像できるようにする。

2 条文索引、事項索引を充実させる(条文索引は、本文に出てくる条文をすべて抜き出し、事項索引は本文に出てくるキーワード・キーフレーズは軒並みすべてピックアップしているので、それぞれ20ページあります)。

3 インデックスをつける

4 各問ごとに、「関連問題」の問い番号を明記して、目的とする情報の周辺にどんな問題があるかを調べやすくする。

5 ヘッダに、問題番号を記載して、検索しやすくする。

 特に、事項索引は、「支配プレミアム」とか、「リーフレット」とか、「相当の時期」とか、「中間法人である親会社」とか、マニアックな用語を含めて、徹底的にピックアップしているので、事項索引を眺めながら
 「このワードについては、どんなことが書かれているのかなあ」
などと想像するのも一興です。

法律家・実務家を中心に、学生からマニアまで、それぞれに役立つ本という欲張りなコンセプトで作っているので、どんな人でも
 「ここは、常識」
 「へえ〜。こんなことができるんだ。」
 「なんだ、これは?。書かれていることが全然分からない・・・」
とう複雑な感想を持つことになるのではないかと想像していますが

 会社法の面白さ、便利さ、難しさを詰め込んだツールボックスである

という自負をもって、世に送り出しておりますので、ご愛読していただければ幸いです。

(質問コーナー)
Q1
取締役ABC,代表取締役Aの非公開、取締役会設置会社が定款を変更して取締役会、監査役を廃止し、取締役1名(例えばA)のみとするには、監査役は廃止の定款変更決議により退任するが、取締役についてはA以外の取締役の辞任等の退任事由が別途必要となりますか。具体的に取締役をAのみとする決議をすればBCは退任しますか(事実上は解任?)。
Posted by 中小企業の味方 at 2006年06月07日 02:17
A1
監査役を廃止すれば、監査役は任期満了ですが、取締役会を廃止しても取締役は任期満了になりません。「取締役をAのみとする」という株主総会決議は、意味不明であり、「取締役B及びCを解任する」という決議をするか、B・Cに辞任してもらう必要があります。

Q2
株式譲渡制限の効力発生日(総会可決時)と官報掲載日の間に一箇月の期間がないことわかる株主総会議事録と官報を添付しても株式譲渡制限の規定の設定登記は出来るということでよろしいのでしょうか。
Posted by ケン at 2006年06月07日 06:20

Q1&Q2について
 商業登記における添付書面は、効力発生に係るものです。効力発生に関係のない通知等の書面は、添付書面とされていません。
 そして、譲渡制限規定の設定に関して、株券を現実に発行している会社においては、公告をしたことを証する書面が添付書面です(商業登記法第62条、第59条第1項第2号)。
 また、公告をする方法として電子公告を採用している会社については、上記公告をしたことを証する書面としては、電子公告調査機関の発行する証明書が該当しますが、この証明書は公告期間が満了して初めて発行されるものです。すなわち、葉玉さんのおっしゃる解釈では、効力が発生したのに、公告期間が満了しておらず、証明書が添付できないため、登記申請できない事態が生ずることになります。
Posted by 内藤卓 at 2006年06月08日 00:29

A2
効力が発生する場合でも、適正な手続きを経ていなければ登記はできません。これは、商業登記法の添付書面による制約です。
なお、内藤さんは、効力が生じたのに登記できないのがまずいことだという意味でコメントされていると思いますが、それが特に不都合というわけではなく、会社が公告を事前にしておくか、総会で効力発生日を定めれば、簡単に回避することができたのに、それをしなかっただけの話だと思います。
こうした感覚の違いがどこに起因するかを推察すると、「大前提として、商業登記における添付書面が、効力発生に係るものに限られる」と考えるかどうかにあるのではないかと思います。
確かに、おおむね、そのように考えて良いとは思いますが、実は、それには例外もあるのです。
商業登記法がからむ問題は調整マターなので、深入りは避けますが、その例外を一切認めないで解釈しようとすると、逆に、登記の申請ができないために、効力を発生させることができないという場面がでてきてしまいます。

Q3
当社は有価証券報告書提出会社でありますので、会社法の規定により決算公告が不要になったわけですが、今まで電子公告を利用していましたので、過去5年分の決算公告が現在HPに掲載されています。今回の会社法規定に伴い、過去の決算公告5年分を削除しても良いのでしょうか?
Posted by 法務課1年目 at 2006年06月07日 11:44
A3
有価証券報告書提出会社であるうちは、削除してもいいですが、友報を提出しなくなったらどうするのでしょう。

Q4
発起設立の登記申請の際に添付する「払込があったことを証する書面」についての質問です。
3月26日付の質問コーナーQ6によると、発起人代表名義口座の残高証明でよいとの事ですが、「登記研究」17年9月号691号に掲載されている民事局付松井信憲さんの解説には、株式発行価額相当の金額が入金されたことを確認できるものとあり、取引記録のない単なる残高証明ではダメなように読めます。
設立時代表取締役の払込があった旨の証明を合綴するのだから、残高証明でも良いと思うのですが、如何でしょうか?
また、入金の記録がある通帳等でないとダメだという場合、1人発起人の会社設立で、払込金以上の残高がある既存の通帳を利用する場合、一旦、払込金相当額を引出して、入金するという事をしなければならないのでしょうか?
Posted by ののちん at 2006年06月07日 13:01
A4
3月26日のQAを読んでいただければ分かるのですが、私は、残高証明でよいということは言っていません。昨年、早い時期では残高証明でもよいのではないかという話をしていたのですが、引受人が払込みをした事実を確認することができるようにするため、残高証明では足りないということになりました。預金通帳の写しなど、払込の事実が確認できる書類が必要です。
ちなみに、合同会社のように、払込取扱機関がない場合には、領収書などでもよいということになっています。

Q5
会社計算規則第37条第1項第2号に関して教えてください。
ここで言う「募集株式の交付に係る費用の額のうち、株式会社が資本金等増加限度額から減ずるべき額」と言うのは、具体的にどういうものを想定されているのでしょうか?換言すると、何処まで許されると考えられるのでしょうか?
Posted by ネットくん at 2006年06月07日 17:16
A5
現在の会計基準では、資本控除することができるものはありません。
つまり、37条1項2号に該当するものは、何もないということです。

Q6
会社法百問285頁14行目の「自己のために手形行為を振り出したものではないから」
という文章の意味がいまひとつつかめませんでした。「自己のために手形を振り出したものではないから」という意味でよいのでしょうか
Posted by 一新司受験生 at 2006年06月07日 18:12
A6
おっしゃるとおり、誤植です。

Q7
社外取締役の登記について教えてください。
1)取締役につき責任限定契約(法第427条第1項)に関する定めを定款に規定している会社において、法第2条第15号の要件に該当する社外取締役であって会社法施行規則第2条第3項第5号ロに該当しない者は、法911条3項25号により社外取締役である旨の登記は必要なのでしょうか?
2)1)により、社外取締役の登記が必要であるとした場合、「社外取締役である旨の登記」は、会社法施行規則第2条第3項第5号ロ(3)の表示に該当するのでしょうか?
Posted by 悩む担当者 at 2006年06月07日 18:34
A7
責任限定契約を締結していないし、その他社外取締役を前提として効果を何も享受していないという意味でしょうか?
もし、そうなら、登記は不要です。

Q8
株券発行の職権登記について
平成18年4月24日に法務民事局商事課が日本司法書士連合会に宛てた確認事項に関する回答のなかで、変更登記が必要であるとの見解を示していると言う話を聞いたことがあるのですが、その話は誤報なのか、若しくはその後変更になったのでしょうか。
Posted by 薫 at 2006年06月07日 18:39
A8
すいません。経緯は知りませんが、昨日の記事は本当です。

Q9
「のれん」って何ですか?
Posted by 司法受験者 at 2006年06月07日 00:02
A9
合併等により事業の承継を受けたときに、支払った対価から受け取った財産の簿価を引いた差額です。

Q10
新株予約権について質問させていただきます。
行使の条件;「権利行使時においても、…、従業員の地位にあることを要する」、消却事由;「新株予約権者が、新株予約権の行使の条件を満たさず、新株予約権を行使できなくなった場合…は、新株予約権を無償で消却することができる」と定めた場合、従業員が退職すると、取締役会の決議を要することなく、新株予約権が当然に消滅するのですよね。ということは、
①もともと消却事由として登記されていた内容を、そのまま取得事由として『新株予約権者が、…新株予約権の行使の条件を満たさず、新株予約権を行使できなくなった場合…は、新株予約権を無償で取得(←消却から変更)することができる。』という登記をすることは、矛盾になりますか。
②また、新株予約権の消滅の登記の際、添付書面は不要とのことですが、新株予約権を行使することができなくなったことによって新株予約権が消滅したという事実を証明できなくても登記できるということなのでしょうか?
③当然に消滅するということは、会社が取得し、その自己新株予約権を再度ストックオプションの新たな付与に利用することは不可能ですよね?
Posted by サポ at 2006年06月07日 16:47
A10
登記は、権限外なので、コメントを差し控えます。

2006年6月 7日 (水)

定款の定めの解釈

最近の質問コーナーでは、「定款のモデルでは・・・と規定されているが、その定めはどのように解釈するのか」という趣旨の質問を受けることが多いような気がします。

私は、会社法の立案担当者でありますが、定款の立案担当者ではないので、この質問は、非常に困ります。

定款は、会社が定めた会社の根本規則ですから、その定款の定めが、どのような意味を持つかというのは、実際に、定款を作成・変更した株主等が、どんなことを合意したのかという生の事実で決まります。
つまり、定款の定めの解釈は、「法律の解釈ではなく、当事者の意思解釈の問題」にすぎません。

例えば、会社法では、株券発行会社になるためには、定款の定めが必要ですが、この定めについて、会社法は
「その株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式)に係る株券を発行する旨」
という表現をしています。

しかし、定款には、その条文どおりに書かなければいけないというわけではなく、
職権登記のように「当会社の株式については、株券を発行する」
と書いてもいいし
株懇モデルのように「当会社は、株式に係る株券を発行する。」
と書いてもいい。
「この会社の株式については、皆、株券を発行することにしたゾヨ。」
でも、ギリギリ大丈夫でしょう(笑)。

極端な話、タガログ語で定款を書いても有効なのですから、表現の仕方の細かいところにこだわるのはナンセンスであり、当事者がどんな意思を有しているかが重要です。

もちろん、日本語として意味が不明確な定めは、定款を作成した者の意思が分からず、その内容が確定しないので、無効となる場合もあるでしょう。

また、定款の定めを登記しなければならない場合に、定款の表現と登記の表現が異なっていると、その2つが実質的に同じかどうかを登記官が判断できない場合があるので、登記申請を受け付けられない場合もあると思います。

しかし、定款の表現と登記の表現が、完全に一致することが法律上要請されているわけではなく、また、当初の定めの表現を変更しても、変更の前後で、内容に実質的変更が全く生じていないならば、変更登記の申請をする義務はありません。

登記義務の有無の判断の場面でも、一番大事なことは、当事者が意図した定款の実質的内容は何かなのです。

さて、akikoさんのコメントによれば、ある登記官が
職権登記では「当会社の株式については、株券を発行する」と登記されているのに、akikoさんの会社の定款は「当会社は、株式に係る株券を発行する。」と規定しているので、変更登記をする義務がある
と言っているそうです。

しかし、その案件では、登記の内容と定款の内容は、実質的には同一ですから、定款の定めが、職権で登記済みである以上、表現が異なるという理由で、変更登記をなすべき義務が生ずることはありません。

なお、この場合に、登記義務が生じないことについては、本省から、各法務局に周知徹底のための手段が執られているはずであり、正直に言えば、akikoさんの相手の登記官は、勉強不足です。

しあがって、担当登記官に「あなたは間違っていますよ。嘘だと思うなら、Q&Aで確認するか、本省に確認してください。」と言ってください。

(質問コーナー)
Q1
譲渡制限規定設定の効力発生日を株主総会で定めなかった場合は、業務執行として取締役が効力発生日を決めても良いのでしょうか。それとも株主総会で必ず定めなければならないのでしょうか。
A1
株主総会で定款変更の決議を行い、何も期限・条件をつけなかったら、定款変更の決議で可決されたときに、効力が生じます。

Q2
株主総会で定めた効力発生日の1個月前までに公告掲載が出来なかった場合、株主総会決議の効力はどうなるのでしょうか。効力発生日だけ変更すれば良いのでしょうか。
Posted by ケン at 2006年06月06日 06:35
A2
昨日お答えしたように、公告と効力発生は何の関係もありません。公告をしなければ、過料が科せられますが、定款変更は有効です。

Q3
利益相反取引を取締役会や株主総会で決議する際、特別利害関係人が代表取締役のときは、その議案は代表取締役の議長の地位を他の取締役にいったん譲ることがあるかと思います。
一方、定款には通常「議長は代表取締役が務める」とあります。利益相反で特別利害関係人が代表取締役の場合、他の取締役が議長を務めることは、定款に反することになるのでしょうか? 
Posted by てつ at 2006年06月06日 07:39
A3
議長は、法的には何の意味もありません。定款に反するかどうかは、定款の趣旨によります。

Q4
① 会社法461条2項の分配可能額算定において、同2号ロで、最終事業年度末後、臨時計算書作成までに自己株式を処分した対価を加えておきながら、同4号で最終事業年度末後の自己株式処分対価を除しているのはなぜですか?
② あらかじめ、総株主から116条1項1号について同意があり、319条1項の要件を満たす場合でも、116条3項の「株式買取請求権行使の機会を与えるための通知」は絶対に必要ですか?(私は身を引くから、定款を変えることに同意するが、私の株は買い取ってほしいという株主もいるかもしれないから必要では?)
Posted by 針路西北西 at 2006年06月06日 17:03
A4
① 臨時決算をした場合にのみ、自己株式の処分の対価の額について分配可能額を増加させるためです。
② 法に例外がない以上、絶対に必要だと考えた方がよいと思います。

Q5
「and/or」の「又は」の意味についてですが、この場合の「A又はB」は、「AかBのいずれか、もしくはABのいずれも」という意味だと思いますが、この「又は」と単なる並列の「又は」(「AかBのいずれか」という意味)は、条文を読んだだけで、どのようにして判別すればよいのでしょうか?
Posted by 悩める達磨尻 at 2006年06月06日 17:42
A5
この「又は」は、日本語に「and/or」というものがないために、仕方なく使われているものです。結構、いろいろな法律で用例があります。見分け方は、「条文の趣旨から考えると、単なるorと考えるのは変だ」と思うところが、and/orですというしかありません。
神田先生のいう「日本語の限界」ですね。

Q6
「100問」P157で議決権制限株式の数が発行済み株式総数の2分の1を超えたときの効果は会社にその状態を解消する措置を講ずる義務が生ずるだけである(115条)、とありますが、これは単なる「努力規定」と考えていいのでしょうか。会社がその状態を解消する措置を講ずることなく放置した場合はとくに何もないのでしょうか?
Posted by 地方ロー生 at 2006年06月06日 18:08
A6
努力規定ではなく、法的義務です。
取締役が解消する措置を講ずることなく放置すれば、善管注意義務違反であり、解任の正当事由になりますし、損害が生ずれば損害賠償責任も生じます。

Q7
監査役の権限に関する質問です。
整備法53条により、会社法施行時に小会社である会社は、監査役の権限が会計に限定されるとみなされますが、法務省に問い合わせたところ、この限定を外すには、会社が定款変更を行って限定を解除しなければなりません、との回答がありました。
それ以外の方法として、監査役会設置会社あるいは大会社となった場合も外せると思いますが、監査役設置会社とすることではいかがでしょうか?
会社法2条9号の、監査役設置会社の定義を見ると、そうすることでも有効のように思えるのですが。
Posted by kohikia at 2006年06月06日 19:56
A7
監査役会設置会社になるためには、定款変更が必要なので、そのときに会計監査限定の定めも同時に廃止する必要があります。
大会社になれば、会計監査人の設置義務が生じるので、会計監査人を置く旨の定めを実際に置いていない場合でも、会計監査人設置会社となります。
そのため、389条が適用されなくなるので、会計監査限定の定めは効力が失われます。
しかし、会計監査人を置く旨の定めを置く定款変更をしなければ、過料が科せられますし、議案を提出しない取締役等に責任が生じます。
したがって、会計監査人を置く旨の定款変更をする際に、会計監査限定の定めも同時に廃止することになります。
以上のように、論理的に会計監査限定の定めの効力を失わせることはできますが、その方法は、定款変更を必要とすることばかりなので、論じる実益がありません。

Q8
会社計算規則で準備金の資本組入れは資本準備金のみが可能となっていますが、とすると商業登記法の資本金の増加の登記に必要な添付書面で資本準備金又は利益準備金が計上されていたことを証する書面というのは訂正されるということでしょうか?
Posted by 司法書士受験生 at 2006年06月06日 22:08
A8
商業登記法は、計算規則・会計基準で、利益準備金の資本組み入れが可能となった場合でも、法改正をすることなく、登記申請ができるように待ち受け規定を置いたものです。ですから、実際に、計算規則・会計基準がそれを認めないため空振りになったとしても、当該規定を改正することはありません。

Q9
一時会計監査人の選任についてご教示をお願い申し上げます。
中央青山監査法人への行政処分に関連して、旬刊商事法務1768号(39頁)で太田弁護士が「会社法346条4項の文言上、今年7月1日より前の時点においては、中央青山監査法人の解任手続をとって会計監査人から退任せしめない限り、一時会計監査人を選任することができない。」と述べられております。
この解釈は正しいのでしょうか。
A9
正しいです。一時会計監査人については、員数が欠けていない時点で、条件付選任をすることはできません。

Q10
156条に出てくる「株主との合意」と言うのは、"(特定の)株主と相対で"と言う意味ではなく、"株主総会の決議を経て"と言う様な意味との理解で宜しいでしょうか
A10
すいません。何を質問されているかが分かりません。
156条は、「特定の株主」から取得する場合(160条)も含みますが、それ以外の場合も含みます。

2006年6月 6日 (火)

株金総額???

今日は、以前の記事についての訂正を2点ほど。

訂正1 「取締役会の廃止」と、「株式の譲渡に取締役会の承認を要する旨」の変更登記を同時に申請した場合、登録免許税は3万円だと書きましたが、本日、担当者に再度確認したところ、6万円だということが分かりました。登記関係の質問は、行政的視点が絡む調整マターが多いので、疑問があるときは、担当者に尋ねたり、議論したりした上で、答えているのですが、今回は、単なる勘違いで、弁解の言葉もございません。深くお詫びをいたします。


訂正2 6月7日ころから「論点解説 新会社法 千問の道標」が大手書店に出回りはじめます。この本のページ数を「約1000頁」と書きましたが、本日、抜き刷りを確認したところ、商事法務編集部の血の出るような編集作業により、「約800頁」になっていました。ゲラ段階では、目次・索引・条文索引を合わせると、900頁超になると予想されていたのですが、字詰め・行詰めを工夫したりして、縮めたようです。今日、確認した限り、内容を削っているところは無いようであり(笑) 、見やすさも損なわれていないので、やや驚きました。ページ数が2割減っても、中身はそのままですので、定価の変更はございません(笑)。
 
訂正は、そのくらいにして、 今日のお題「株金総額?」について、お話ししましょう。
ニート二郎から、次の質問を頂きました

「株式併合、株式分割と資本の関係について疑問が生じました。
ロースクールの仲間と過去問(H8年第一問)をといていまして、次のような記述がありました。
①資本減少の実行方法のひとつとして株金総額を減少させるために株式の併合を行う場合には、株式の分割によって資本減少が生じる。
②利益や準備金を資本に組み入れる(450条、448条)のと同時に株式の分割を行う場合には、株式の分割によって資本増加が生じる。
①②は具体的にどのような必要性から行われるのでしょうか?。」

さて、ニート二郎さん達は、江戸時代の答案を検討されているようです(笑)。

①②の記述には、たくさんの間違いが含まれています。

1 「株金総額」?
 株金総額という概念は、額面株式が存在した時代に、
「発行済みの額面株式の券面額の総額」
を表現するものとして使われていたものです。株金総額は、長い間、資本金の最低限度を画する機能を有するように設計されていたのですが、あまりにも不合理な制度であったため、額面株式の廃止と同時に、旧商法時代において、すでに、その規制も消えてなくなっています。
 ですから、①の「株金総額を減少させるために」という部分は、
「分からないのか。お前は、もう死んでいる・・・アベシ(古っ)。」
という感じです。


2 資本減少の実行方法?
 旧商法では、資本減少の実行方法として、株式の併合や株式の消却を行う必要がある場合があるとされていましたが、会社法では、株式の併合・消却と資本金の減少は、何の関係もありません。
 したがって、「資本減少の実行方法として・・・」というところも、「大丈夫かあ。5年くらい気を失っているんじゃないかあ。」という感じです。
 
3 株式の分割によって資本減少が生じる?
 株式の分割は、株式の数を増加させる行為であり、資本金の増減とは無関係です。
 資本金は、(1)株式の発行に伴い、金銭等が払込・給付された場合にのみ、増加し、(2)資本金の減少の手続きをした場合にのみ、減少します。
 したがって、「株式の分割によって資本減少が生じる」という記述も、珍プレー。

4 利益や準備金を資本に組み入れる(450条、448条)のと同時に株式の分割を行う
 まず、利益の資本金への組み入れは、会社法では、直接はできません。
 また、資本準備金の資本組み入れと、株式の分割を同時に行うということは、できないわけではありませんが、何の法的意味もありません。仮に2つ同時に行われても、法的には、別々にやれることを、たまたま、同時にやってしまったということになるだけです。

5 株式の分割によって資本増加が生じる。
 ・・・絶句。株式の分割によって資本増加が生ずることはありません。

ということで、ニート二郎さんの質問には、答えようもないくらい、もとの記述が間違っているのですが、一言だけ言わせていただければ
「どうせ過去問を検討するのならば、新会社法100問でやれよなあ」
ということに尽きるでしょう(笑)。

一部の受験生の間では
 「会社法は、旧商法から、大きく変わっていないから、旧商法を勉強すれば足りる」
という噂が、まことしやかに、ささやかれているようですが、基本概念を含め、大きな変更が加えられていますので、「旧商法で書かれた解答には、明らかな間違いが含まれている」と覚悟しておかないと、思わぬ誤解を引き起こすことになりかねませんので、ご注意ください。

(質問コーナー)
124条4項について質問があります。株式会社が基準日後に自己株式を取得した場合に,会社自身を「基準日後に株式を取得した者」に該当するとして取り扱うことはできるのでしょうか。
基準日後の譲渡の場合に,譲渡の相手が会社自身である場合のみを異なって取り扱う合理性はないものと考えられる一方,会社自身は議決権をそもそも有しないとされるため(308条2項),会社自身を議決権行使者と指定することは,文言的に苦しいところもあるように思います。
Posted by あーる at 2006年06月05日 05:16
A1
会社が自己株式について議決権を行使することができないのに、なぜ、会社自身を「基準日後に株式を取得した者」に該当するものとして取り扱おうとするのか、その意味が分かりません。無理でしょう。

Q2
株券を発行する旨の定めの登記について伺います。当社のグループ企業の定款案は全株懇モデルの記載例「当会社は、株式に係る株券を発行する。」を採用しております。先日職権登記を確認しましたが「当会社の株式については、株券を発行する」との記載でした。今更ですが、このような場合、定款の変更申請が必要でしょうか。会社法の条文どおりに定款に記載したのに、職権登記を変更する必要があるとなるとかなりの数の企業に影響があると思いますし、当面の当社での対応も悩んでおります。会社法も整備法も「株式に係る株券を発行する」となっているのに,わざわざ職権登記だけが異なる表現をとっていることも腑に落ちません。登記官には,「株券発行会社であるときは、その旨」の変更に当たらないので変更登記は不要じゃないですかと食い下がったのですが,職権登記の内容と文言が異なれば変更登記は必要とのことでした…。
Posted by akiko at 2006年06月05日 16:27
A2
すいませんが、登記官が何を言っているのか、よく分かりません。どんな変更登記が必要であると言っているのでしょうか?

Q3
今日は一つ、取締役会の決議要件に関して質問させて下さい。従来、定款で、旧商法第260条の2第1項本文そのままに「取締役の過半数が出席し・・・」と定足数を定めている例が多々ありましたが、会社法第369条第1項では、条文が「議決に加わることができる取締役の過半数が出席し」と変化しています。5月以降、会社法施行を受けた定款変更案の事例が数多く公表されていますが、この定足数に関しては「議決に加わることができる取締役の過半数が出席し・・・」と条文変更するのが主流であるものの、従来通り「取締役の過半数が出席し・・・」のままとしている事例も散見されます。問題は後者の場合です。(続きます)
員数不算入の旨を定めていた旧商法第260条の2第3項が会社法では削除されていることから、「議決に加わることができる」のフレーズ抜きだと「議決権に加わることができるかどうかに関係なく取締役の総員数の過半数」と定めたことになり、結果的に会社法第369条第1項カッコ書きにある「これを上回る割合を定款で定めた場合」に該当することになる、との意見があります。取締役会定足数の考え方について、会社法で旧商法からの変化は基本的にないと理解していたのですが、会社法の条文通り「議決に加わることができる」のフレーズを追加しておかないと、上記のように解釈されることになるのでしょうか。
Posted by 悩ましい人 at 2006年06月05日 17:30
A3
定款の解釈は、株主総会でどのような趣旨でその定めが置かれたかによって、決まることです。形式的な文言解釈で決まるような話ではありません。
必ずしも、総員数の過半数と解釈されるとは思いませんが、リスクがあると思うのならば、定款の定めを明確化してください。

Q4
株主総会議事録の備置についてお尋ねいたします。会社法318条3項で、写しを5年間支店に備え置かなければならないが、当該議事録が電磁的記録をもって作成されている場合で支店で閲覧謄写請求に応えられる場合は不要とされています。総会議事録には役員の記名・捺印は不要とされていますが当社では責任の所在を明確にするため、議事録作成取締役1名の署名・捺印をしようと考えているのですが、この場合紙で作成した署名・捺印ある議事録をスキャン・pdf化して支店で閲覧・印刷可能にしておくことは、318条3項の要件を満たすでしょうか。それとも、318条3項但書の適用を受けるためには署名・捺印をなしにするか、議事録作成取締役の電子署名を付すことが必要でしょうか。
Posted by CCC at 2006年06月05日 18:28
A4
318条3項は、総会議事録への署名・捺印を要求していないので、署名等は、318条3項ただし書の適用の要件ではありません。

Q5
「取締役等の責任」について質問をお願いします。
428条1項の「責めに帰することができない事由によるものであること」の内容も、
120条4項や462条2項の「その職務を行うについて注意を怠らなかったこと」の内容も、
いわゆる「無過失の抗弁」として説明されているように思うのですが、両者の内容は同じものですか?
文言をあえて使い分けているとすれば、そこにはどのような意味があるのですか?
Posted by 某大学ロースクール生 at 2006年06月05日 19:17

A5
条文ごとに注意義務の内容が違うので、「内容は同じものですか?」と聞かれたら、内容は違うと答えざるを得ないように思います。無過失の抗弁であるという点で共通項はあるでしょうが。文言の違いはあまり気にする必要はありません。

Q6
取締役会決議を省略した場合の議事録の備置についてお尋ねします。取締役会決議を省略した場合、規則101条4項3号により議事録を作成し、その議事録及び各取締役が取締役会決議の省略に同意の意思表示をした書面を備置けば良いものと理解しておりました。しかし、上司より法371条1項の文言が「〜議事録「又は」前条の意思表示を記載し、若しくは記録した書面〜を本店に備え置かなければならない」となっているので、議事録か又は取締役の同意の意思表示を記載した書面のいずれかを備置けば足りるのではとの指摘を受けてしまいました。備置は議事録・取締役の同意の意思表示を記載した書面のいずれか一方で足りるのでしょうか?よろしくお願いいたします。
Posted by hi at 2006年06月05日 20:41
A6
その「又は」は、「and/or」の「又は」です。
したがって、議事録を作成したときは、議事録と同意書面を両方、備置する必要があります。

Q7
下記の事例の場合に、吸収分割と株式交換の効力発生日を同日とすることは、可能でしょうか。
(事例)A⇒B⇒C(それぞれAはBの、BはCの100%親会社です。)。Cのみ非公開会社です。
(1)この場合に、Aが吸収分割をしてCが吸収分割承継会社となり、Cが、Aに株式を発行します。
(2)上記、吸収分割の効力発生を停止条件として、CはBと株式交換契約を締結し、Bを完全親会社とする株式交換を行うこと(総会決議も停止条件付)とし、株式交換の日を吸収分割の効力発生日と同日とする。
●Aは、株式交換承認のためのC会社の総会決議にも参加できませんし、また、株式交換の株主への通知を受けることもありません。この事例では、Aは、Bの親会社としてすべてを知っているので、問題はないのですが、いかがでしょうか。よろしくお願い致します。
A7
できないことはないと思いますが、なんで、そんな難しいことをするのだろうと思います。

Q8
募集株式の有利発行を行う場合は、株主総会の特別決議等の手続が必要ですが、所定の手続を経るのであれば、払込金額(199条1項2号)を0円とする募集株式の発行は可能なのでしょうか。
新株を株主以外の第三者に無償で取得させたいと考えておりまして、株主無償割当てを行った後、その株式を第三者に無償譲渡する案も考えたのですが、上記方法が可能であれば株主を経由しない分だけ手間が省けるため、ご質問させていただいた次第です。宜しくお願いします
A8
払込金額を0円とすることはできません。

Q9
3月決算の会社は,6月の定時総会で,独立の報告事項として自己株式の報告をするのですか。会社法では,株式に関する重要事項としての報告になるため,独立の報告の根拠がありませんし,整備法などでも旧商法211ノ3第4項を適用する根拠がないように思いますが。根拠がない以上報告事項としてはあげずに,営業報告書に取得時期に応じてばらして記載して実質的には報告するというのでよいと思うのですが,何となく独立の報告事項としたい方が多いようなので,確認させてください。
A9
会社法では、当該事項は、旧商法211条ノ3第4項のような報告の義務づけがされていません。しかし、任意に報告することは、差し支えありません。自己株式の取得状況は、株主資本等変動計算書、注記表、事業報告等で明らかにされることが多いでしょう。

Q10
株券発行会社での107条の譲渡制限規定設定の効力発生日について教えてください。
・株主総会で特定日を効力発生日として定めた場合
 当該日の1箇月前までに公告通知をした場合は当該日
 当該日の1箇月前までに公告通知出来なかった場合は提出 期間満了日の翌日
・株主総会で効力発生日を定めなかった場合は公告通知の提出期間満了日の翌日
旧商法350条2項のような規定がないようなので上記のような考えでよろしいのでしょうか。
Posted by ケン at 2006年06月02日 23:28
A10
公告は、譲渡制限規定の効力発生要件ではありません。
したがって、株券提出期間の満了日は、効力発生日とは関係なく、効力発生日として定めた日に効力が発生します。

2006年6月 5日 (月)

サーバー不調

2日間ほど、ライブドアのブログがアクセス不能になっていたので、更新できませんでした。

 最初は、「なぜ、アクセスできん??」と自分のパソコンを疑い、かなり焦りました。

 しかし、ライブドアのサーバー不調だとわかり、ホッとすると、一転、
「しばらく不調だと、楽だけどなあ・・・(ニヤッ)。
 電子債権の中間試案の案も考えなければいけないし・・・。
 がんばるな、ライブドア。」
という悪魔のささやきが、私の頭に・・・・。
 幸か不幸か、悪魔の力がいまいち弱かったため、2日間ですぐに復旧してしまい(笑)、悪魔に心を乗っ取られるほどのことはなかったのですが、この2日間でやり始めた仕事が終わらないので、とりあえず今日は、質問コーナーだけで勘弁してください。

Q1
商法494条の不正の請託が、あまり意味をなさない(S44年最高裁決定により、適用範囲を狭め適用を難しくした)ため、S56年に利益供与罪が導入された。と判例百選「総会屋に対する贈収賄罪」で読みました。
ということは、刑罰に利益供与罪がある限り不正の請託は意味をなさない、とも考えられるのですが、請託と供与の違いで法律的には、残っているのでしょうか?
A1
不正の請託が「意味をなさない」のではなく、立証するのが大変だということでしょう。株主の権利は、取締役の職権と異なり、職務として行うものではなく、個人の権利として自由に行使するので、不正=違法な権利行使を観念するのが難しいという気持ちは分かります。
それで、不正の請託を要件としない、いわば、単純収賄罪みたいなものとして、利益供与罪ができただけです。
もっとも、不正の請託が立証できれば、贈収賄罪が成立する可能性はあるので、法律上は区別されています。

Q2
6月総会において株券不発行会社となるために、定款変更を予定している会社からの問い合わせです。
5月1日から株券発行会社である旨の定款のみなし規定を削除する定款変更決議ではなく、「株券を発行しない」旨の定款規定を置く変更決議としたいというのです。この法律上当然のことを規定する変更決議で、「株券を発行する旨の定款の定めの廃止の登記」の申請が可能でしょうか。実質は同じ事だと思うので却下はされないとは考えるのですが、そういう決議でよいのか疑問を感じまして…。
また議案の定款変更案を現行定款との対照表形式をとる場合は、現行定款の欄に「株券発行会社である旨の定款のみなし規定」が記載されている必要があると思いますが、いかがでしょうか。
既出の質問でしたら御容赦下さい。
Posted by 万年補助者 at 2006年06月01日 09:30
A2
「株券を発行しない」胸の定款変更決議って、法律的にはおかしいです。趣旨は分かるので、登記で受理してくれればよいですが、どうでしょうか?
 対照表形式に限らず、株券を発行する旨の定めを、旧規定とした上で、定款変更してください。

Q3
 取締役ABC,代表取締役Aの会社が,定時総会で,取締役会設置会社の廃止及び互選で代表取締役を定める旨の定款変更の決議を行った場合、定款変更の効力発生と同時に代表取締役Aは退任し、取締役BCの代表権も回復されない。その後、定款規定に基づいて代表取締役にAを互選すれば、Aのみが代表取締役に就任するということでよろしいのでしょうか。
Posted by 猫太郎 at 2006年06月01日 15:33
A3
今までの答えで、何が不足しているのか、問題意識がよく分かりません?

Q4
新設分割を行う場合に会社法806条3項および4項に基づいて行う新設分割公告の趣旨は、条文の体裁から株式買取請求権を有する株主に新設分割の実施を周知することであると推測していまが、株式買取請求権を行使するためには株主総会で反対していなければならず、公告で新設分割について知ってももう遅いですし、そもそも公告には株式買取請求ができることを記載する必要すらないので、趣旨が内容に反映されていないようにも思います。新設分割の承認決議があったことを知らせるだけなら総会決議通知で十分だと思いますが、決議通知単体では(招集通知をあわせて読まないと)公告の記載事項を満たさないので、別途公告せざるを得ませんが、いまいち実益がない気がしております。商法374条の7との記載事項の違いも踏まえ、新設分割公告の趣旨を教えていただければ幸いです。
Posted by マリーンズ at 2006年06月01日 16:48
A4
806条3項の通知は、株式買取請求権行使の機会を与えるためのものです。
たとえば、議決権のない株主には、総会招集通知はされませんから、806条3項の通知以外に新設合併等の事実を知ることができません。

Q5
107条1項と108条1項の適用関係について教えて下さい。
全部取得条項付種類株式を用いた買収防衛策があろうかと思います。普通株式だけを発行している会社が全部取得条項付種類株式を用いて防衛策を講ずるにあたり、
①全部取得条項を付すための定款変更
②普通株式に全部取得条項を付すための定款変更
を行った場合において、その会社の株式が全部取得条項付株式の1種類となることは認められないのでしょうか。
もし、そうであれば、全部取得条項を付す際も従来の「普通株式」に加えて全部取得条項付種類株式を発行することになるのでしょうか。不勉強でスミマセン。(それとも全部取得条項付種類株を実際に発行する必要はなく、発行できるように定款変更等をしておけば足り、実際に買収者が登場した際、全部取得の総会特別決議を行い、一般株主には議決権付株式を、買収者には対価を払って無議決権株式を振り分ければよいということなのでしょうか。
Posted by テン at 2006年06月01日 17:31
A5
全部取得条項付種類株式は、1種類だけになることはありえません。
一問一答新・会社法の100%減資の答えをみてください。
なお、全部取得条項付種類株式は、防衛策には不向きです。

Q6
会社法第27条に定款の絶対的記載事項が列挙されていますが、そのうち、5号「発起人の氏名又は名称及び住所」は、会社設立時のみならず、設立後も絶対的記載事項でしょうか(旧商法第166条1項10号でも同様に定められています。)。設立後に当該規定が削除されている定款を多く見ますが、削除してよい根拠はどこにあるのでしょうか。この絶対的記載事項が記載されていない定款は無効となってしまいますか?教えてください。
Posted by ぱらりーがーる at 2006年06月01日 17:39
A6
発起人の氏名等については、設立時の定款について記載しなければ無効になるというものであり、設立後は、法的な意味を失う(仮に削除したとしても、ある者が発起人でなくなるわけではない)ので、削除することもできると思います。従来もそのような考えのもとで削除されていたようです。

Q7
ただ今、新司法試験の択一民事系の勉強をしているのですが、「甲株式会社を存続会社,乙株式会社を消滅会社とする吸収合併をする場合においては,甲株式会社は,その有する乙株式会社の株式についても自社の株式を割り当てることができる。(○か×か?)」という肢がよく分からず困っています。ネットで検索したところ、合併会社が保有する被合併会社の株式のことを「抱合せ株式」といい、どうやらそれが一般に認められているようだというあたりまでは分かりました。しかし、現行会社法のもとで抱合せ株式がどのように取り扱われているかについては、弥永先生の教科書等を読んでもよく分かりませんでした(見落としていたらすみません)。上記選択肢について会社法がどのような取扱いをしているのか、教えていただけないでしょうか?
Posted by 一受験生 at 2006年06月02日 19:42
A7
施行規則27条3号ロのことでしょうか?

Q8
譲渡制限の規定について教えてください。
まずは、取締役1名で非公開会社を設立したい発起人が、将来の会社機関の変更を見込んで、譲渡制限の規定を「株式を譲渡するには、取締役の承認を要する。ただし、取締役会を設置した場合には代表取締役の承認を受けなければならない。」とする旨定款へ定めることは可能でしょうか?
Posted by サル頭 at 2006年06月02日 22:23
A8
但書は、変な定めですね。変な定めをどう解釈するのかは、その場の雰囲気で決まるので(笑)、私には答えようがありません。
普通は、取締役会を置く旨の定款変更をするときに、同時に承認機関の変更も行えばよいだけの話です。

Q9
100問のQ33について質問です。
失念株について、譲渡人、譲受人のどちらが株主かという問題について、100問の立場では、判例どおり譲渡当事者間でも譲渡人が株主との立場をとっているということでしょうか。
学説では、譲渡当事者間では譲受人が株主であるというのが多数説のようですが、本書での結論については、「はじめに」にもあるとおり、判例がある場合には原則それに従うというルールに従ったということでしょうか。
Posted by 去年商法G at 2006年06月02日 23:48
A9
譲渡当事者間では、譲受人が株主です。
でも、それを会社に対抗することはできません。
それは、判例であっても、学説であっても、同じです。
しかし、当事者間であっても、株式の帰属の問題と、株式に付随する権利の帰属の問題は、別です。

Q10
「見せ金」についての質問です。設立後の新株発行について、最判H9・1・28は、最判S30・4・19を引用して、見せ金が新株発行の無効原因にならないとしています。
担当調査官によると、「見せ金」による払込みであっても、取締役の引受担保責任の問題とすれば足りる、とのことです。
しかし、会社法では、取締役の引受担保責任が廃止されたので、この論理は使えません。そこで、引受の一部が「見せ金」の場合には、残りの真正な部分で、有効に新株発行が成立し、無効原因にはなりません。他方、引受の全部が「見せ金」だった場合には、新株発行を有効にする実益がないと思うので、新株発行の無効原因になる。この理解でよろしいのでしょうか。この限りで、最判H9・1・28は死んでいるとの理解でよろしいのでしょうか。
Posted by 会社法初心者ロー生 at 2006年06月03日 17:17
A10
設立時か募集株式の募集時か、さらには、引受の一部か全部かは、区別すべき合理的理由はないと思います。

Q11
 2006年3月4日付「補欠取締役の選任決議の取消し」のA1に「補欠の社外監査役は、社外監査役以外の監査役が欠員になっても、監査役に就任することはできません。」とありますが、社外監査役であるか否かによって、監査役の職務に違いはないはずであり、このような取扱いは不可解ですが、いかなる理由でしょうか。
Posted by 内藤卓 at 2006年06月04日 22:42
A11
 株主総会の意思で、社外の補欠と決めたのならば、その意思と異なる取扱いをする必要はないと思います。

Q12
 監査役会設置会社において、監査役総数4名(うち社外監査役2名)である場合で、社外監査役1名の辞任によって、社外監査役は半数以上(会社法第335条第3項)という法律が定める員数を欠くこととなったとき、監査役が3人以上という要件を充たすため、第329条第2項により選任された補欠の社外監査役は就任できない旨、相澤参事官が京都のセミナーでお話になっていたそうです。
 理屈としてはそうかもしれませんが、そうすると、この場合に会社法第346条第1項の適用はなく、辞任した当該社外監査役は権利義務を承継することはないと解され、また、同条第2項により仮社外監査役を選任することもできないので、臨時株主総会を開催して新たに選任することを余儀なくされます。
 社外監査役であるか否かによって区別するのであれば、社外監査役が法律の定める員数を欠くこととなったときにも、第329条第2項及び第346条第1項の規定の適用があるようにすべきだったと思います。
Posted by 内藤卓 at 2006年06月04日 22:46
A12
会社法では、監査役会設置会社は、監査役会を置く旨の定めを置いているので、員数の半数以上の社外監査役を置く旨の定めがあるのと同視できます。
 したがって、社外監査役が、半数を割ったときには、「定款で定める」員数を割ったことになるので、329条2項等が適用されます。
 個人的には「法律で定める」でもよいと思いますが、関係者と議論の上、そのような結論になっています。千問にもその旨の記載がありますので参考にしてください。

Q13
昨日のQ7&A7について
 通達では、純さんご指摘のとおり、別区分で計6万円とされており、実際そのような取扱いがなされているはずです。もう一度確認していただいた方がよいかと思います。
Posted by 内藤卓 at 2006年06月04日 22:51
A13
分かりました。月曜日にでも、再度、確認しておきましょう。

2006年6月 1日 (木)

議題と議案

ここ2日間ほど
「会計監査人選任の件
○○監査法人は任期満了により退任するので、新しく▲▲監査法人を選任したい」との議案について、2回ほど回答させてもらいました。

これについては、既に回答したとおり、気になるのは、「議題」が「会計監査人選任の件」となっていることです。

「議題」と「議案」は、似て非なるものであり、議題について、議案を出すという関係にあります。
そして、
① 取締役会設置会社では会社側が定めた議題以外の議題は、株主が、1%以上の議決権を持っていないと提出できない(303条1項)。逆に議案は、単独株主でも、株主総会で提案することができる(304条)。
② 議題に関係ないことについては、役員は説明義務を負わない(314条1項ただし書)。
という規律があることから、例えば、
「会計監査人の選任の件」ということが議題になっていなければ、株主が、株主総会で、突然、
「地方赤川監査法人を会計監査人に選任するよう提案いたします」
と言っても、議長は
「それ、議題じゃないから。」
と軽くあしらうことができます。

それを前提にお話しすると、一般的に「会計監査人選任の件」という議題で、「会計監査人の不再任の件」という議題は含まれるという解釈を取ると、
 追加で会計監査人を選任しようという趣旨で「会計監査人の選任の件」という議題にした場合でも、株主が株主総会で
「既存の会計監査人については、不再任とする旨提案します!」
と提案できることになります。
 不再任は、実質的には、解任に近いものであり、選任と解任が別の議題とされていることからしても、選任と不再任を同一の議題とすることはできないと思います。

もちろん、例えば、「旧会計監査人の任期満了に伴う新会計監査人の選任の件」という議題であれば、「旧会計監査人の任期満了」という点で、不再任も議題になっているという解釈も可能であると思いますが、そこらへんは、どこまで明確化するかということですね。

 ただ、「きっと、冒頭の議題・議案で決議をした会社があるんだろう」と思い、昨日、登記の担当者と話をしたのですが
「そのような議題・議案でも、全体を善解すれば、不再任も議題・議案になっていると読めなくはないので、無効であるということが明らかでなければ、会計監査人の登記は受けられるのではないだろうか」
という感触でしたので、担当者の機嫌が良いうちに(笑)、登記してください。
 
会計監査人の不再任というのは、これまで実務慣行が完全にできあがるほどの数はなかったと思っていますが、これから、それをやる会社は、議題・議案が法律の要件を充たすかどうかをよく検討された方がいいと思います。

 ところで、SMOKYさんから、「千問の道標」の刊行時期についてご質問を受けましたが、当初予定どおり、
 一番早くて今月7日に一部大手書店に並び初め
 その1週間後くらいまでに、全国の(法律専門書を置いてくださる)書店で手に入るようになる
と思います。
 商事法務さんも、会社法100問のときの騒動を見聞きしているせいか(笑)、ある程度の数を刷っているそうですが(誤植も気合いをいれて直していました)、法律専門書とは思えない数の注文も入っているようなので(宣伝ではなく、マジです)、早く入手されたい方は、予約された方がいいと思います。
 なお、前にも書きましたが、基本的には、企業法務のプロ用の本で、情報量も多いので、初学者が、この本一冊で会社法を勉強するようなものではありません。教科書の代わりにはなりません(断言)。その代わり、この本には、①教科書では書かれていない一歩進んだ論点と、②教科書では、当然の前提として、あえて書かれていない会社法の常識が詰め込まれています。
 本音では、ロースクールの制度趣旨からすれば、ロースクールの学生さんの必携本だと思っていますし、新会社法100問で触れられなかった論点を補充する趣旨もあったので、買って欲しいところではありますが、最近やや不安を覚えた事件もあり(笑)、どんな学生さんにもお勧めするという勇気が減退しています(汗)。
 ですから、学生の皆さんは
① このブログを読んで「ああ、こういうことを葉玉は言いたいのかなあ?」ということが、おぼろげに分かるレベルまで会社法を勉強したこと
② 将来、企業法務に多少なりとも携わりたいと思っていること
を目安として(笑)、ご購入いただくのがよいのではないかと思います。
 商事法務さんからは、「発売前なんだから、もっと学生さんに薦めてくださいよ」とつっこまれそうですが(笑)、資金的に苦しいロースクール生もいらっしゃるでしょうから、衷心までに、つまらぬことを申しました。


(質問コーナー)
Q1
株券喪失登録手続きについて質問させてください。
これまでは株主が株券を喪失した場合、株券発行会社に対し「株券喪失登録申請書」を提出していました。旧商法においては「株券ヲ喪失シタル者ハ会社ニ対シ株券喪失登録ノ申請ヲナスコトヲ得」(商法第230条第1項)となっていましたが、会社法では「株券を喪失した者は、〜中略〜、を請求することができる」(会社法223条)と記載されています。今後は「株券喪失登録請求書」という形に作り直した方がいいのでしょうか?
Posted by 渉外パラリーガル at 2006年05月31日 14:49
A1
趣旨は同じなので、「請求書」でも「申請書」でも、特に問題はありません。

Q2
法律上、会計監査人設置義務がある会社以外の会社が任意に定款で会計監査人を置く旨を定めた場合、この会社は実際に会計監査人を選任して置く“義務”が発生するという理解でよろしいでしょうか?つまり定款に設置する旨だけ規定して、実際に選任しないまま放置していれば定款違反として役員の任務懈怠責任が問われる可能性がありますでしょうか?
Posted by ヤサオトコ at 2006年05月31日 15:38
A2
法律上、会計監査人の設置義務がなくても、定款に会計監査人を置く旨の定めがあれば、会計監査人の選任をする義務が生じます。選任懈怠は、罰則の対象にもなりますし、選任議案を出さなかった取締役等の任務懈怠責任も生じる可能性もあります。

Q3
有限会社から株式会社への移行に際し、移行の定款変更決議を行う総会で、同時に第三者割当による募集株式発行決議をなし、商号変更による設立登記申請において、増加後の資本金の額を別紙に記載して登記可能であると聞き及びました。
 しかし、特例有限会社、発行可能株式数と発行済株式数が同一ですので、発行可能株式数を拡大する必要があるところはわかるのですが、変更後の定款で定めた、拡大した発行可能株式数は、登記申請により効力があるとすると、募集株式の発行が、少しの期間、枠外発行になるように思えるのでうが、払込日と登記申請日を合わせたとしても、少しの期間があることに変わりないように思います。
Posted by テリーmy Love at 2006年05月31日 17:04
A3
特例有限会社は、会社法施行時は、発行可能株式総数と発行済株式数は一致していますが、特例有限会社のままで、発行可能株式総数を拡大することは可能です。

Q4
会社法施行規則では、従来参考書類に記載することとなっていた「総株主の議決権数」の記載が不要になりましたが、この理由が飲み込めないでいます。商事法務では、「議案毎に数が変動する可能性があるため」と解説されていますが、他の理由を書いているもののあり、本当のところ、どのような理由で削除されたものなのかがわからないでいます。
総会等で、「なぜ去年まで書いていたことを書いてないんだ!間違いじゃないのか」という質問があったとき、「こういう理由なんだぁ!」と軽やかに、そして明確に株主に回答できる理由があるといいのですが。。。
Posted by 空海 at 2006年05月31日 20:26
A4
総会の質問に対しては「法令の改正により、記載を要しないものとされたものです」とお答えいただければいいと思います。理由は、商事法務の解説どおりです。

Q5
旧商法下において(種類株式を発行していない)譲渡制限会社の株式を便宜?普通株式と呼び議事録内や登記簿(新株予約権欄)にもそのように記載されておりました。
ただ、会社法施行後は、会社法第2条第17号の定義規定において、譲渡制限株式として「〜発行する全部〜の株式の内容として〜」とあり、旧商法下における上記会社の株式がこれに該当すると思います。
すると、譲渡制限株式しか発行していない会社において、当該株式のことを従来どおり普通株式と表現することは、問題がありますか?
Posted by いっしー at 2006年05月31日 21:15
A5
普通株式と呼ぶことについては、特に問題はありません。登記も「普通株式」と表現されていますし。

Q6
「会社法駆け込み寺」はここでしょうか?住職様、会社法施行規則や会社計算規則に出てくる「特定監査役」に関してご教示ください。
監査役会設置会社の事業報告の監査を例にします。
監査役会が会社法施行規則132条1項の規定による「監査報告の内容の通知をすべき監査役」を定めなかった場合、特定監査役=「すべての監査役」となる旨定められております(会社法施行規則132条5項二号)。
これは、次のどちらの意味でしょうか?
1.すべての監査役が、特定取締役に対して、各々、監査報告の内容を通知する必要がある。
2.すべての監査役が特定監査役になるので、そのうちの誰か一人が特定取締役に対して監査報告の内容を通知すればよい。
もし、上記の2(「すべての監査役が特定監査役になるので、そのうちの誰か一人が・・・すれば良い」)が正しいといたしますと、会社法施行規則132条1項3号は、特定取締役が監査役の誰とでも合意できることになり、不合理な結論となるような気がしております。
Posted by 一救さん at 2006年05月31日 22:05
A6
2です。個々の監査役が監査権限を持っているので、こういう取扱いをしています。
合意の相手方を制限したければ、特定監査役を定めればよいですし、普通の監査役会設置会社の監査役が、他の監査役に断り無く、勝手に合意することは常識的ではないので、問題にならないでしょう。むしろ、特定監査役が複数いた方が、一人が病気のとき等には便利です。
ちなみに、監査委員会は、委員会として監査するので、扱いが違います。

Q7
本日のQ1に
「取締役会を廃止する場合には、その廃止の変更登記と同時に、取締役会の承認を要する旨の登記を変更する必要がありますが、登録免許税は、取締役会の廃止を単独で登記した場合と同じです」
とありますが、免許税は、取締役会の廃止は登録免許税の別表第一第19号(一)ワ
譲渡制限の変更は同じく第19号(一)ネ、合計6万円になるのではないでしょうか?
Posted by 純 at 2006年05月31日 22:39
A7
そこらへんは、私の担当外で、一応、書く前に確認したので、大丈夫だと思いますが、本当に登記するときには、法務局に確認してください。

Q8
一時会計監査人の選任について質問があります。昨日、某ゴム会社が、5月30日開催の監査役会で、C監査法人が業務停止処分を受けたため、会社法346条4項および6項に基づき、平成18年7月1日を異動日として、A監査法人を一時会計監査人に選任するとの決議をしたと公表しました。5月11日の回答(A4)では、「仮会計監査人は、会計監査人が欠けた場合に選任されるものですから、欠ける前に選任することはできません」とのことでしたが、某社の決議は有効なのでしょうか。
Posted by YA at 2006年05月31日 22:43
A8
 某ゴム会社の決議という具体的な決議が有効か無効かは、事実が分からないので、なんとも答えようがありません。
 しかし、仮会計監査人について、員数が欠けてもいないのに、条件付決議をすることはできないと思います。員数が欠けないうちに、仮取締役の選任申立てができないのと同じです。最近、何かというと条件付決議が流行っているのですが、何でもかんでも、条件付決議が有効なわけでもありません。今から仮会計監査人の条件付決議をやろうとしている方は、やめた方がいいと思います。

Q9
 募集社債(普通社債)発行の決議についてご教示ください。
 当社では、従来、四半期ごとに応募者利回りの上限を取締役会で決議し(もちろん社債の限度額等も決議しています)、具体的な発行の決定を社長に委任していました。応募者利回りは、表面利率および発行(払込)価額と償還(額面)金額の差額により算定されますが、応募者利回りの上限を定めれば、「募集社債の利率の上限その他の利率に関する事項の要綱」(施行規則99条3号)を定めたことになると考えてよろしいでしょうか。また、この場合、額面金額と払込金額が異なることになりますが、「払込金額に関する事項の要綱」(同条4号)を定めなければならないでしょうか。
・「募集社債の払込金額の総額の最低額」(同号)は必ず決議しなければなりませんか(金利動向等により社債を発行しない可能性もあります)。「ゼロ円」という定めも許されますか。
Posted by FK at 2006年05月31日 23:00
A9
 質問の応募者利回りは、割引発行を前提にしたもののようですから、むしろ「払込金額に関する事項の要綱」に該当するものと思われます。「利率」は0ではないでしょうか。利率を付する場合も想定されるならば、利率に関する事項及び払込金額に関する事項を渾然一体として、要綱を定めることも可能です。
 払込金額の総額の最低額は、例示ですので、要綱を定めれば結構です。
 なお、ゼロ円という定めも許されますが、普通は、貴社のように応募者利回りを定めるのではないでしょうか。

Q10
株主総会議事録の備置きを規定する会社法318条2項ですが、総会の日から備置きをしなければならないということなのでしょうか。
それとも、総会の日から備置きをする必要はないが、備置きを始めた場合には総会の日から10年間備置きをしなければならない、という意味にとどまるのでしょうか。
A10
議事録は速やかに作成することを要しますが、株主総会の日に必ず備え置かなければならないということではありません。

Q11
監査法人が会計監査人に選任された場合、職務執行者を選定し、会社に通知しなければならないが(337条2項)、職務執行者は登記すべき事項ではありません(911条3項19号参照)。一方、持分会社の社員が法人である場合には、職務執行者が基本的には登記事項になります(912条1項7号、913条1項9号、914条1項8号)。監査法人の職務執行者を登記事項と規定しなかったのははたして妥当だろうか?と思いましたので、よかったらご意見を聞かせてください。
 確かに、取引の安全の観点から代表権の有無で登記事項とすべきか否かを決定なされたのだと思います。しかし、会計監査人及び職務執行者?への損害賠償責任が認められており(423条1項、429条1項)、監査法人の職務執行者の氏名は重要な事項だと思います。
 なぜなら、原告が監査法人を訴える場合、当該職務執行者を被用者ととらえ、監査法人を使用者と構成し、使用者責任(民法715条1項)として責任追及すると思われ、その場合、被用者としての職務執行者を原告が特定する必要があると思うからです。
A11
使用者責任は、被用者に不法行為責任(民法709条)が生ずることが前提の規定であること、職務執行社員自身は、会計監査人ではないので、任務懈怠責任(423条1項、429条1項)は生じないことからすると、おっしゃっていることの前提が違うと思います。
 監査法人が会計監査人である場合には、監査法人に任務懈怠責任が生じます。

Q12
葉玉レジュメ、一部改訂とかで、関係出版社とかから公売されてはいかがでしょうか。
Posted by えぬ at 2006年05月31日 13:21
A12
一部改訂をする時間がないので、当分は無理そうです(涙)。

Q13
私からの質問は、ケースブック使用の勉強方法に関するものです。
私の学校では、判例は、あまり引用せず、条文ばかり演習の講義で扱います。
そこで、個人的にケースブックで勉強したいと思うのですが、「ケースブック会社法」弘文堂出版を使用する勉強法を、どのように思われますか?
Posted by ニート三郎 at 2006年05月31日 12:43
A13
すいません。ケースブック会社法という本を読んだことがありません。
新司法試験のような形式のものを使ってトレーニングすることは、必要不可欠だと思います。

Q14
今日ダイヤモンド社に問い合わせたところ、会社法100問の重版の予定は今のとことない、とのことでした。
Posted by いそ at 2006年05月31日 13:19
A14
つい先日、増刷すると言っていたので、「第二版の予定がない」ということと勘違いがあったのではないでしょうか。
第二版は、①省令に対応する、②問題の入れ替え、③過去問に出ていない典型論点について補充するという作業をして、必ず出したいと思っているのですが、あまりにも忙しくて、具体的な目処が立っていません。

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