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2006年5月31日 (水)

株式買取請求時の価格決定

 某先生から、
「株式買取請求権を行使した場合の、価格決定の申立事件(非訟事件)について、旧非訟事件手続法132条ノ6・133条ノ2第3号の必要的併合が会社法でなくなったのは、なぜですか?」
と質問されました。
 
 マイナーな問題ではありますが、この点について触れられた文献が一つくらいしかなく、しかも、商事法務の解説で、担当の私めが、すっかり書くのを忘れていたので、罪滅ぼしのために説明させていただきます。

会社法では、非訟事件の審問・裁判の必要的併合は、新株発行無効の訴え等が確定した場合における会社の株主に対する支払額の増減命令申立事件についてのみ、これを要求しています(877条)。

「非訟」と聞いて、反射的に「ごめん!」と謝るような受験生もいるので、この制度について、簡単に説明すると、

1 新株発行無効の訴えが確定すれば、株式は無効になるかわりに、現在の株主に、「払込金相当額の金銭」を支払うのが原則(840条1項)とされている。
           ↓
2 でも、新株発行の時から、長い裁判を経て、やっと無効判決が確定した場合には、その間に、会社が、払込金を運用してたくさん儲けていること等があり、株主が、払込金相当額をもらうのでは、著しく不相当である場合がある。
           ↓
3 そこで、裁判所で、株主に支払う金額を決めてもらおう。

 というのが、877条の支払額の増減命令申立事件です。

 ちなみに、訴訟というのは、「要件」についての事実認定さえすれば、「効果」が一義的に定まっているもの(極端にいえば、コンピューターのように、Aと入力されれば、Bと出力するように法律上定められているもの)であるのに対し、当該事件は、裁判所が支払額をいくらに決めるかについて、法律上、何の基準もなく、裁判所の腹一つで、支払額を決めることができます。こういうタイプの事件を非訟事件というのです。

 さて、話を支払額の増減命令申立事件に戻すと、当該事件については、新株発行を受けた株主間の平等を確保する見地から、非訟事件の申立人以外の株主(総株主)に対しても、その効力が及ぶこととされています(878条)。すなわち、払込相当金額で満足し、申立をしていない株主についても、裁判で決まった金額が支払われることになるのです。

 そのため、申立人ごとに区々に審問・裁判を行うと、複数の裁判所が、それぞれ違う金額を定めてしまい、裁判の効力に矛盾が生ずるおそれがあるので、合一確定を実現するために877条は、複数の申立があった場合には、必要的併合することとしているのです。
 これは、民事訴訟における類似必要的共同訴訟と同じ考え方です。

 これに対し、株式買取請求権は、総株主に対する裁判の効力の拡張がありません。
 これは、株式買取請求権を行使した株主が受け取ることができる株価の決定のプロセスが、新株発行無効の訴えが確定した場合と、根本的に異なることに起因します。

 例えば、株式買取請求権を行使した株主が3人いるとします(仮に、無欲さん、強欲さん、闘争欲さんとしましょう)。
1 まず、無欲さん達3人は、それぞれ会社との間で、価格について協議を始めます(117条1項)。

2 協議開始の初日で、無欲さんは1株10万円で納得し、協議が成立しました。すると、会社は、無欲さんに対し、10万円を支払う義務が生じ、支払いをした時点で、無欲さんから会社に株式が移転します(117条5項)。

3 効力発生日から30日で、強欲さんは、会社と1株50万円で協議が成立しました。
 この場合、無欲さんの株式の価格も、50万円になるかというと、そうではなく、やはり10万円のままです。つまり、ネゴの強い者が得をする世界が協議の世界です。

4 そして、効力発生日から30日以内に協議がまとまらなかったので、闘争欲さんは、裁判所に価格決定の申立をしました。
 ここで、裁判所が1株30万円と価格を決定したからといって、無欲さんや強欲さんの協議の結果が覆るわけではありません。協議で価格が相対的に決まるのと同じように、裁判所が価格が決定しても、それは相対的なものに過ぎないものとされているのです。そうしなければ、最初に協議をさせた意味がなくなります。ここが、新株発行無効の訴えにおける支払額決定のメカニズムと根本的に異なるところです。

 このように、株式買取請求における株式の価格決定は、株主ごとに相対的に行われるため、価格決定の申立が複数行われた場合に、その審問・裁判を併合する意味がありません。
 仮に、申立をした株主の間だけでも価格を事実上同一にするために、併合したとしても、裁判前に、株主の一人が会社と協議して価格を決め、申立を取り下げることもできるので、何のために必要的併合にしているのか、よく分からなくなります。

 しかも、上場株式のように、価格が日々変動する場合には、申立後、できるだけ早く価格を決定してあげたいところですが、必要的併合にしてしまうと、申立期間の初日に申立られた事件について、申立期間の最終日まで審問の開始を凍結すべきかどうか、裁判所としては判断に悩むことになりますし、価格の決定の申立をすることができる者について、必要的な陳述聴取(870条4号)とされているため、裁判遅延の原因にもなりかねません。

 以上のように、株価が株主ごとに相対的に決まる株式買取請求権の価格決定については、必要的併合は、害あって益少なし、と言えるので、会社法は、株式買取請求権の行使時における価格決定申立事件については、必要的併合の規定を適用していないのです。


(質問コーナー)
Q1
5/29のQ13についての回答において
>5月1日に「当該株式会社の承認を要する旨」の定めがあるもの>とみなされています。
とありますが、これは立法的には、5/1以後に従来の譲渡制限会社が取締役会を廃止すれば、「取締役会の承認を要する」との定めが自動的に「株式会社の承認を要する」旨の定めに変更される・もしくははじめから「株式会社の承認を要する」旨の定めであったとみなされる、ということなのでしょうか?
そうであるあらば、登記実務上は誤った解釈に基づき・不要な手続を要求している(取締役会廃止に伴い、譲渡承認を取締役会から会社への変更決議+変更登記申請が必要)ことになってしまいます。。。
Posted by 一陶器屋 at 2006年05月30日 12:51
A1
旧法の譲渡制限会社は、施行時において、取締役会設置会社であり、取締役会設置会社は、別段の定めがない限り、取締役会が承認機関となるため、新旧で実質的な変更はありません。
 そのため、整備法で、「株式会社」の承認を要する旨の定めがあるものとみなしているものの、登記上は、みなし規定は用意しておらず、職権登記がされないので、登記上は、「取締役会」を承認機関とする登記のままです。
 したがって、取締役会を廃止する場合には、その廃止の変更登記と同時に、取締役会の承認を要する旨の登記を変更する必要があります.(6月6日訂正)
登録免許税は、取締役会の廃止と承認機関の変更の2本分必要です。
 なお、「取締役会の承認」をから「株式会社の承認」に変更するための株主総会決議は不要です。法律で、「株式会社の承認」にみなされているので、その点の総会決議を行うのは論理的におかしいと思います。
 調整マターではありますが、当該総会決議を要求するのは、私的には、ほとんど、ありえない解釈だと思います。

Q2
株券についての質問です。
①会社法施行前に発行した株式の株券を会社法施行後に発行する場合、株券の記載事項は新法旧法いずれでいくのでしょうか。
②以前普通株式であっても異なる種類の株式の一種類にすぎないというお話しをお聞きしましたが、普通株式の株券を発行する場合も、やはり「株式の内容」を記載しなければならないのでしょうか?(旧法下では、実務的には記載していない例が圧倒的に多いと思いと思いますし、注釈会社法(4)52頁にもそのような趣旨の記載があります)
Posted by paripasu at 2006年05月30日 22:04
A2
① 会社法施行後の株券の記載事項については、会社法によります。
② 株券には、株式の内容について異なる定めがないことが明らかにされればいいので、何も記載しなくてもよいと思います。

Q3
合併時の取締役の任期について関連質問をさせて下さい。
定款で任期を1年とする会社(3月決算)の会社が、4月1日付で合併する場合に、合併契約書において合併時に新たに就任する取締役を定めた場合、その取締役の任期は、やはりその年の6月に開催される定時株主総会終結時まで(なので任期は3ヶ月間)という理解でよろしいのでしょうか(「選任時」=合併承認総会であり、合併承認総会は当然決算期より前に開催されているので)。
もしこれを1年と3ヶ月まで伸ばしたい場合には、合併契約において、その選任の効力が4月1日からスタートする、と記載しておけばよいのでしょうか。
なお、旧商法414条の3は削除されていたような気がします。
Posted by 参事官室によく電話する人 at 2006年05月29日 22:52
A3
吸収合併の場合、合併契約書で取締役を定めても、選任の効力はありません。
仮に、取締役の選任についての定めを置いても、それは債権的効力を有するに過ぎず、存続会社において、吸収合併契約を承認する株主総会決議とは別に、取締役等の選任決議を経て、はじめて取締役等に選任されることになります。
 それを前提にしてお答えしますが、合併承認のための臨時総会で(3月末よりも前に開催)、新取締役を選任したとすれば、6月の定時株主総会で任期切れです。
 選任の効力を4月1日にしたとしても、選任決議の日から1年をカウントしますから、同じです。1年3か月に伸ばす方法は、定款でその取締役の任期を1年3か月までできるようにするしかありません。
 ちなみに、そこで1年3か月に伸ばすと、剰余金の配当等を取締役会の決議で行う旨の定めも効力が失われます。

Q4
5月24日の記事に、
「2時間で1科目を見通せる自分のオリジナルノート」
を作るのがよい、とありますが、具体的にどのようなものを作ればよいのでしょうか?
教科書の中の必要な情報を取捨選択する、ということだと理解しているのですが、何をノートにとればよいかわかりません。
人それぞれなのかもしれませんが、葉玉先生のお勧めの方法等ありましたら教えていただけないでしょうか?
Posted by 法学初心者 at 2006年05月30日 11:48
A4
会社法100問の末尾に書いた、勉強の仕方の記事を参考にしてください。

(追伸)
 昨日の記事について、悲鳴さん、koizumichildrenさん、通りすがりLSさんから、コメントをいただきました。
 私は、ロースクールの授業のすべてが悪いとは思っていませんし、逆に、学生が苦しむような授業も存在するのも事実だと思います。
 ただ、私の処世術は
1 自分が変えられないものに文句を言っても無駄。
  文句を言ったり、不満でウジウジする暇があったら、解決策を考えろ。
2 自分のことは、自分で変えられる。自分を変えられないのを他人のせいにするな。
3 時間は、与えられるものではなく、自分で作るもの。時間がないのは、言い訳にならない。
というものです。
 たとえば、私は、一般的には、忙しい人間の類だと思います。
 上司や同僚の助けを借りながら、会社法、電子債権、株券電子化、ハーグ条約、ユニドロワ条約など複数の仕事を並行的に行い、出版用の執筆活動をし、土日は子供の家庭教師として四谷大塚の予習シリーズを教えながら、こうしてブログを書いています。
 検事時代も、某有名な部署で大規模な経済事件をやりながら、ボランティアで司法試験のゼミをやっていました。そこは、毎日、午前8時から午前2時まで仕事をするところで、常識的には、ゼミなど不可能なところなのですが、ゼミの日には、主任検事に
「すいません。夕食を食ってきます」
と言って、おにぎりを片手に、2時間半のゼミをした後、検察庁に戻り
「ただいま、帰りました。」
と言って、平然と仕事をするということもありました。
 (ちなみに、検事に残業代はつきませんので、残業代泥棒にはなりません(笑)。)
 自分の人生は、自分で決め、自分が責任を取るのです。
 最終目標に役に立たないことは、最低限のやつっけ仕事で乗り切るのは当たり前。
 その「最低限」の見切りのつけ方も、事務処理能力の一つです。

2006年5月30日 (火)

時間が先。内容が後。

 金曜日に某ロースクールの3年コースの3年生と飲み会をしたのですが、学生さんから、「ロースクールの2年間でやってきた勉強」の話を聞いて、気が遠くなりました。

 正直言って、法律の勉強をしたことがない人を相手に、法律の勉強のノウハウも教えず、しかも、ああいうカリキュラムを、ああいうスケジュールで、しかも、ああいう授業でやれば、2年どころか、5年やっても、ほとんど何も得られないだろうと思いました。

 しかも、そういう危機的な状況であるにもかかわらず、学生さん達は、司法試験を受けたことも、模試を受けたことも、答案練習をしたことも、予備校に行ったこともないためか、漠然とした不安があるだけで
 「あと1年で、○○をやらなければならない」
という具体的な目標が全く定まっていないのです。

 あまりにも、かわいそうなので、一緒に飲んだ学生さんには、とりあえず今から来年にかけてやるべきことを指導してきましたが。

 このブログを読んでいるロースクールの3年生の皆さん。
 悪いことは言わないので、明日からの4日間で、今年の新司法試験の問題を解いてみましょう。
 今の時点で、択一試験で半分くらいの点が取れ、論文も(論点落としがあるにせよ)ある程度のことを書くことができるという能力がないとすれば、
「あなたが、このままのペースで勉強して、来年新司法試験に合格する」という確率は、「日本がワールドカップで予選から、全勝で優勝する。しかも、サッカーとバレーの両方で。」という確率と、ほぼ同等でしょう。

 また、あなたが、自分の実力の無さを痛感したら、現行司法試験の過去問でもいいので、毎日1時間、択一を20問解き、さらに、1時間、論文を1問、解いてみましょう。
 そうすると、1か月後には、「自分が、これから何を身につけなければならないか」が分かってきます。

 私も、実質、1年間の勉強で司法試験に合格したので、能率的な勉強をすれば、1年で合格することは十分できると思いますが、自分がやらなければならないことを認識していないと、5年かかっても、ダメなのです。
 まずは、「自分に必要な能力が何かを実感すること」に時間を割くべきです。

 また、やることが分かっていても、時間のやりくりを上手にできなければ、バランスの取れた実力は養えません。
 以前、「ロースクールの宿題をやる時間が1時間しかなければ、1時間のやっつけ仕事でやるしかない」と書いたところ、さいはてのロー生さんが
「1時間のやっつけ仕事で出せる分量なら困らないんですよねぇ・・」
というコメントをくれました。

 しかし、さいはてのロー生さんの発想は、間違っています。
 「時間が先。内容は後。」
これは、どんな仕事、どんな勉強にも共通する大原則です。

 ロー生さんだって、択一試験の現場で
「あと1分なのに、10問残っている」
という状況に置かれたら、「残りは、全部、4にマークしておこう」という行動を取るでしょう。これは、時間が強制的に限られているので、その時間内において、内容を少しでも充実させる努力をしているわけです。

 宿題も、自分の勉強も、皆同じ。どんな量の宿題であろうとも、1時間あれば1時間の成果を、10時間あるならば10時間の成果を出すのがプロの仕事です。

 たとえば、「江頭先生の教科書を全部読んで、その内容をまとめて、レポートを提出しなさい」という宿題が出されたとしましょう。1週間の余裕があれば、それなりに教科書を読んで、章ごとにまとめのレポートを書くでしょう。
 では、それを「10分でやりなさい」と言われたら、どうしますか。
 私ならば、「江頭教授の教科書の内容は、次のとおりである。」と一言書いて、目次を書き写します(笑)。
 
 判例評釈も同じです。例えば、長大な判例の原文を最初から最後まで読み通し、そのポイントを自力でまとめようとすれば、事例の把握だけでも、長時間を要します。
 私なら、判例検索ソフトで、その判例を検索します。そうすると、判例の要旨が出てくるので、「この判例の要旨は次のとおりである。」と書いて、その判例の要旨を書き写します。
 そして、江頭先生、神田先生、弥永先生等の教科書を前に置きながら、その要旨の論点ごとに、該当箇所を調べ、「要旨1については、○○説と○○説がある。・・私は、○○ということから、○○説が妥当であると考える」「要旨2については・・・」などと書いていきます。それで、おしまい。
 
 人間が物書きをするときに、一番時間を取るのは「何を書くか、考えている時間」です。
 やっつけ仕事は、「内容にオリジナリティーを求めず、何を書くかについて迷わず、定型的なことを定型的に書く」ということで実現できるはずです。

 ロースクールの勉強に限らず、司法試験の勉強も、「時間が先、内容は後」なのです。
 私は、「内容のないものを作れ」とか、「内容の理解をおろそかにしろ」とか言っているのではありません。
 時間を限れば、決断を迫られるので、集中力が高まり、また、「自分は、ここが分かっていない」というダメ出しを迅速に行うことができます。それが、いい内容の勉強につながるし、自分の欠けていることがわかれば、次の日に先生や友達に聞くこともできます。

「内容が分かるまで、何時間でもやる」などという発想では、いつまでも、自分にダメ出しができず、調べているつもり、考えているつもりになるだけで、実際には、同じ所をグルグル回っているのがほとんどです。
 
 「時間が先、内容は後。」は、勉強の内容を充実させるための方策でもあるのです。

(質問コーナー)
Q1
会社法施行規則63条3号のロ、ハの「株主総会の日時以前の時であって、法299条1項の規定により通知を発した時から2週間を経過した時以後の時に限る」ですが、ここでいう2週間の計算については、民法140条が適用になり初日不算入となるのでしょうか.
それとも、即時より起算するのでしょうか。
Posted by こ at 2006年05月27日 11:03
A1
規定の仕方からすると、両方の解釈がありうると思います。
ここは、解釈に委ねられているところです。

Q2
特別取締役による決議ができる旨の定めは、「取締役会決議」によらなければならないという理解でよろしいでしょうか。373条1項に「決議」という言葉がでてこなかったため、念のためお聞きするものです。
A2
取締役会が定める場合には、決議が必要です。

Q3
「会計監査人選任の件
○○監査法人は任期満了により退任するので、新しく▲▲監査法人を選任したい」との議案では、不再任の議案としては不充分との趣旨のご回答でした。
しかし、上記議案は従来の上場企業の議案としては広く採用されていると思います。これでは不再任にならないとして登記が不受理になりますと、大きな影響があると思います。
従来より存在していた機関を、会社法により新たに登記義務を課したわけですから、従来の実務を否定するような扱いがされると混乱を招くのではないでしょうか。
Posted by TK at 2006年05月27日 17:27
A3
 会計監査人を追加で選任することができることからすると、新会計監査人の選任議案が、既存の会計監査人の不再任の議案を含むとは必ずしもいえないように思います。
 実際、某監査法人の問題で、追加で会計監査人を選任した会社もありますから、まず、議題として会計監査人の選任の件というだけで、不再任も議題になっているといえるのかは、自信ありません。
 仮に議題に不再任が含まれているとすれば、「○○監査法人は任期満了により退任するので」という部分を不再任議案と考えるのでしょうね。ただ、そうだとすれば、議決権行使書面に不再任の部分と、選任の部分と別々に○×をつけられるようにしているのか?
 登記が受理するかどうかは、私には分からないところであり、会社法・省令に反しないと言えるのならば、従来の実務(本当に実務慣行と言えるほどの不再任があったのかというのは別として)を否定するつもりはありませんが、なるべく形式要件に疑義を挟むような議題・議案は、避けた方がいいように思います。

Q4
葉玉先生、株券喪失登録の請求について質問です。
定款において単元未満株式の権利について
「次に掲げる権利以外の権利を行使することができない。」
として株券喪失登録の請求についての権利を「次に掲げる権利」に含めず規定した場合、会社法第189条第2項各号にはこの当該請求をする権利が含まれないため、単元未満株式に係る株券の喪失登録の請求はできなくなるのでしょうか?
それとも会社法第223条における「株券」には、単元未満株式に係る株券も含まれるので、上記のような規定を行ったとしても、単元未満株式に係る株券の喪失登録の請求はできると解するのでしょうか?
Posted by 悩む担当者 at 2006年05月27日 19:24
A4
株券喪失登録の請求権は、株主の権利ではなく、株券を喪失した者の権利なので、単元未満株式の制限には服さないものと思います。したがって、単元未満株式の株券を喪失しても、株券喪失登録の請求はできると思います。

Q5
商法上の小会社については、監査役の取締役会への出席義務が適用されていなかった(特例法25条)筈ですが、これに該当する会社法の規定はなく、すなわち、大会社以外の監査役でも、出席義務は有りという解釈で良いでしょか?
もし、取締役会に監査役が一人も出席しなかった場合、そこで決議された事項の法的効力はどうなりますか?
Posted by dunk at 2006年05月27日 22:21
A5
会計監査権限限定監査役には、出席義務はありませんが、それ以外の監査役には出席義務があります。
監査役への招集通知は、決議の適法性の要件ですが、出席は、要件ではありません。
監査役が一人も出席しなくても、決議は有効です。

Q6
取締役会設置会社でない会社を設立する際、設立時代表取締役を選定したい場合に、定款に何も記載がなければ各自代表と仰っていましたが、発起人による選定はできないのでしょうか。
Posted by 司法書士受験生 at 2006年05月27日 23:30
A6
発起人は、設立事務を行う権限を有しており、設立時代表取締役の選定を発起人で行うことも可能です。

Q7
①目的は、定款の絶対的記載事項となっています。そこで、目的の範囲外の行為をした場合というのは定款違反ということになるのでしょうか。その際、360条や423条において、「目的の範囲外の行為その他法令若しくは定款に違反する行為」とされているのには意味があるのでしょうか。
②目的の範囲について、民法43条を適用しないとする見解にたつと、かかる範囲は内部的な責任の有無を判断するための基準になるように思うのですが、とすると、判例や学説のように広く解するより、ある程度厳格な基準にする方が株主の保護となるように思うのですが、いかがでしょうか。
ご多忙のところ、大変恐縮ですが、ご教授の程宜しくお願いします。
Posted by 法2年 at 2006年05月28日 01:55
A7
①目的の範囲外の行為を行えば、民法43条に違反するので、法令違反だと思います。「目的の範囲外の行為その他法令若しくは定款に違反する行為」の「目的の範囲外の行為」は例示です。
②今国会で公益法人改革が通れば、民法43条が直接適用されることになりますので、それを否定する見解に立つことはできなくなると思います。

Q8
現在、取締役会規則の改定をしているところであり、
取締役会にかけるべき議題として、「役員の関係会社兼務」という項目を設けようと思っているのですが、そもそも、この中には監査役は含めて考えてもいいのでしょうか。
取締役会で、当社監査役の兼任を決議をするのはおかしいような気がします。項目を設けるのなら監査役会規則でしょうか。ご指導願います。
Posted by 会社法初級 at 2006年05月28日 11:49
A8
すいません。質問の意味がよく分かりません。
監査役が、関係会社の役員を兼務することについて、取締役会の承認を要求するということでしょうか?
また、取締役会規則は、定款の委任に基づき作成するものですか?委任されているとすると、どんな事項について委任をしているのでしょうか?
もう少し詳しく教えていただければ、答えられると思いますが、前提が不明で答えられません。

Q9
 株主総会と非取締役会設置会社における取締役との関係について教えてください。
 例えば、支配人の選任・解任について、取締役会設置会社においては(定款の定めがなければ)取締役会が決定し、それに対しては、事後、株主総会で否決することはできない。一方、非取締役会設置会社においては、支配人の選任・解任は(取締役が一人の会社の場合)取締役が決定しても、事後、株主総会がその選任を否決することができるのでしょうか。
 さらに、第三者と非取締役会設置会社(取締役一人)が取引をした場合、取締役の決定と、事後に開催された株主総会での決議が異なった場合、両者(取締役の決定と株主総会での決議)はどのような関係になるのでしょうか?
Posted by 初心者 at 2006年05月28日 17:04
Q9
 非取締役会設置会社においては、支配人の選任解任は、取締役と株主総会の権限がかぶります。総会が決議すれば、取締役は忠実義務(355条。決議を遵守する義務)があるので、取締役と総会の決議が異なるときは、総会決議が勝ちます。
 通常の取引も同じですが、取引の時点で有効な業務執行の決定がされている以上、事後にそれに反対する決議をしても、当該取引は有効です。おそらく、その事後の決議には、法定効力は何もありません。

Q10
合併について取締役のに任期についてご教示ください。
「吸収合併において,合併前から存続会社の取締役であった者が合併成立後も取締役に就任する場合には,合併契約で別段の定めをしない限り,その任期は,合併後最初に到来する決算期に関する定時総会の終結時までとなる」という旨の規定が改正前商法414条の3にあったと思いますが,会社法では規定があるのでしょうか。
Posted by 短答式が終わって夜ぐっすり眠れそうな47歳 at 2006年05月28日 17:59
A10
役員の任期については、合併を行っても、何の特則もありません。

Q11
総会後に発行する「事業報告書」は、3月決算会社の6月総会(旧法対応)では、従来どおりの「事業報告書」という名前でよいのでしょうか。
来年からは「営業報告書」が「事業報告」となり、似たタイトルになり非常にややこしいのですが。
Posted by 小森 at 2006年05月29日 02:53
A11
タイトルは何でも結構です。

Q12
株式の譲渡制限について、お伺いしたいのですが、定款の規定を
「当会社の株式を譲渡するには、取締役会の承認をうけなければならない。但し、当会社の従業員間での譲渡、取得に関しては、承認があったものとみなす」
というように出来るものでしょうか?
Posted by 法務課1年目 at 2006年05月29日 17:31
A12
そのような趣旨の規定を定めることはできます。

Q13
旧法のもとで既に譲渡制限のある株式会社が、取締役会設置会社の定めを廃止する際、ついでに「当会社の株式を譲渡により取得するには、当会社の承認を要する。」との定款変更及び登記をしたい場合、変更日は、つい最近まで決議日と思っていましたが、整備法76条3項をよく読むと、決議をしなくても、定款変更のみなし規定があるように思えるので、5月1日に変更になるのでは?という疑問がわいています。決議日と、5月1日と、変更日はどちらが正しいのでしょうか?
Posted by ken1911 at 2006年05月29日 21:00
A13
5月1日に「当該株式会社の承認を要する旨」の定めがあるものとみなされています。

2006年5月27日 (土)

計算規則と会計基準

 最近の質問には、会計処理の問いが多いのですが、正直いって、かなり答えにくい、答えたくないものが多いんです。今日は、その理由を含め、会計基準のお話をしたいと思います。

 そもそも、会計というのは、簡単にいえば、企業が
 1年でどのくらい儲かっているか
 決算日等に、どのくらい財産を持っているか
を計算するものです。

 素人考えですと
 「毎日の取引を、きちんと帳簿につけておけばいいんでしょ」
という感じなのかもしれませんが、実際には、その帳簿への記載の仕方等について、
 商法会計・証取法会計・税務会計
という3種類のものがあって、これが、上場会社にとっては悩みの種でした。

 商法会計というのは、旧商法や会社法で定められたルールです。商法会計の主たる目的は、分配可能額の計算であり、会社の債権者の保護のために、株主に会社の資産が不当に流出しないようにすることを目的としています。

 証取法会計は、証券取引法の規制のもとに行われる会計であり、上場会社等に適用されるルールです。証取法会計は投資家保護を目的とし、そのために必要な業績利益の算定をを目的としています。

 税務会計は、税法に基づくルールであり、法人税の金額を適切に算定することを目的としています。そのため、会社が、会計処理を工夫することにより、法人税等が安くなったりしないように規定されています。

 この3つの会計は、それぞれ違う目的のものなので、本来、中身が違うのが当然なのですが、上場会社が、微妙に違う会計処理を、3つもやるのは大変です。他方、相互に変な影響を与えあうと、それぞれの会計の目的を達成できなくなる場合もあります。
 そこで、数年前から、商法会計、証取法会計、税務会計の関係を調整して、なるべく、会社に負担をかけず、かつ、それぞれの会計の目的を達成できるような工夫をしようということになっています。

 たとえば、税務会計は、会社が、費用を支出しても、税法上の損金として認めず、利益を多くして、税金を沢山取ろうとする傾向にあります。
 他方、証取法会計は、1事業年度の利益を正確にあらわすためのものですから、税法で損金として認められなかった費用でも、きちんと計算に組み込んで、利益が水増しされないようにする必要があります。
 そこで、証取法会計では、税効果会計という手法を用いて、そのような税務会計と証取法会計のギャップを埋める工夫をしているのです。

 では、商法会計(会社法会計)と証取法会計との関係では、どのような調整がされているのでしょうか。

 数年前までは、商法会計に関する規定は、証取法会計と違うところが多かったため、上場会社は、それぞれの基準に従ったものを作らなければなりませんでした。
 しかし、それでは、会社が大変なので、平成14年からは、商法会計が、証取法会計を尊重して、同じ基準を採用することにしています。

 もちろん、商法会計と証取法会計は、目的が違うので、証取法会計によって算出された剰余金であっても、それをすべて分配可能額に組み込むことが、会社債権者保護のためには妥当ではない場面があります。

 ただ、そういう場合には、分配可能額の計算において、適切な控除を行って調整し、会社債権者が害されないようにしているわけです。
 すなわち、会社計算規則は、商法会計における会計基準を独自に定めたものではなく、商法会計においても、証取法会計と同一の会計基準で、会計帳簿が作成できるように、その受け皿を用意しているものにすぎません。

 そのため
「会社計算規則だけを見ても、どのように会計処理をしていいのか、よく分からない」
という不思議な省令になっています。

 なお、証取法会計については、事実上、財務会計基準機構(ASBJ)という民間の団体が、公正な会計慣行(会計基準)を発見・開発することになっているので、法務省としては、ASBJと連絡を取り合いながら、ASBJの基準が公正な会計慣行と認められる限り、それを会社計算規則にも反映させることにしています。
 
 このような商法会計に関する政策は、「商法の方が会計基準よりも偉い」と考えている人には、屈辱感を与えることもあるようです(笑)。

 確かに、会社計算規則は、法律の委任によって定まっており、法規範として強制力を有しますし、民間団体の作成した会計基準が法務省令に違反した場合には、会社法上は、当該基準に従って会計処理をすることはできません。
 しかし、商法会計の目的が達成できるのならば、商法会計と証取法会計の乖離をなくす方が、会社の負担軽減につながるのですから、合理的に考えて、大人の対応を取りましょうというのが、現在の政策なのです。

 以上の事情から、私としては、会計処理について質問がある度、
 「会計基準に従います」
と答えざるをえないというのが実情です。
 ASBJの会計基準も、あらゆる事例に対応したものではないので、記載されていない会計処理について、「どうしていいのか、分からない」という方がいることは重々承知しているのですが、こちら側が、あれこれ言うことで、会計基準の開発作業に迷惑をかけてはいけないということもあり、少々、不明確な答えになることをお許しください。

(質問コーナー)
Q1
株式の譲渡制限の条文の中に,譲渡の承認機関と買取人指定の決定機関が含まれて一つの条文となっている場合に,そのまま登記することは可能でしょうか?それとも,買取人指定に関しては除いて登記すべきでしょうか?
A1
担当でないので分かりませんが、そのままでは、多分無理なのではないでしょうか。

Q2
 会社法2条24号の「最終事業年度」についてお教えください。平成19年3月期の株主総会を5月31日に開催し、3月末現在の株主に配当することを考えます。
分配可能額の計算にあたり「最終事業年度」がいつかが問題になりますが、次の理解で正しいでしょうか?
1、分配可能額は配当の効力発生時点で考えるとされていますが、その時点は5月31日でよろしいでしょうか?(3月末の配当基準日にはならない)
2、1、でよいとして、続けて質問します。
最終事業年度は、平成19年株主総会での議案の順序により異なると思います。
すなわち、
(1)1号議案として計算書類の承認議案、2号議案として剰余金の配当とすれば、最終事業年度は平成19年3月期を指し、
(2)議案の順序を変えて、1号議案として剰余金の配当、2号議案として計算書類の承認議案とすれば、最終事業年度は平成18年3月期を指す
と考えます。
このような理解でよろしいでしょうか?
Posted by カサブランカ at 2006年05月26日 13:30
A2
1 そのとおりです。最終事業年度末のその他利益剰余金とその他資本剰余金等の数字も使って計算しますが、その後の変動で、配当の効力発生日までの事情も加味して分配可能額が決定されます。

2 形式的には、そのようになるでしょう。ただ、順番を変えることにより、分配可能額を操作して、分配可能額を増やしたりすると、損害賠償の対象になるおそれはありそうですね。

Q3
吸収分割の事前開示事項の1つとして,吸収分割会社では,吸収分割が効力を生ずる日以降における吸収分割会社の債務の履行見込み「又は」吸収分割承継会社の債務(承継させる債務に限る。)の履行見込みに関する事項が要求されています(施行規則183条6号)。これは,なぜ「又は」とされているのでしょうか。
Posted by JM at 2006年05月24日 23:54
A3
 これは「and/or 」の「又は」と呼ばれるものです。たとえば、吸収会社がそのすべての債権・債務を分割会社に承継させた場合、分割会社に残る債務は、0になりますので、「債務の履行の見込み」を書く必要はなく、承継会社の債務の履行の見込みのみを記載します。また、吸収分割承継会社が債務を一切承継しなかった場合には、分割会社の債務の履行の見込みについてのみ記載します。このように一方しか書かない場合があるので、「又は」になっています。

Q4
 募集設立の場合の設立時取締役等による調査について教えてください。93条1項では「その選任後遅滞なく」「調査」しなければならないと規定されていますが、設立時取締役等は選任前に事前に調査したものを創立総会に報告しても構わないのでしょうか?
Posted by 司法書士受験生 at 2006年05月26日 15:04
A4
事前調査をして、設立時取締役に選任された創立総会に報告することはできます。詳しくは、千問にあります。

Q5
287条の新株予約権の消滅の件ですが、この場合は取締役会決議が必要となりますか?(276条2項の様な条文がみつかりません。)また消滅の場合には登記は必要なのでしょうか?
Posted by ネットくん at 2006年05月26日 15:06
A5
当然に消滅するので、決議は不要です。
新株予約権の数が減少するので、登記は必要です。

Q6
 ある書籍に「設立時取締役等とは、健全な会社設立のため、発起人の行為を監督し、設立手続の調査機関としての職務を負う者」との記述があるのですが、設立時取締役等は発起人の監督機関としての職務もあるのでしょうか?設立手続の調査機関としての位置づけしかないように会社法の条文を見る限り思えるのですが。(取締役会設置会社の場合は設立時代表取締役の選定義務もあるので純粋に調査機関としての職務だけとは言えないのかも知れませんが。正確に言えば、調査・設立準備機関でしょうか?)。会社法は「調査」と「監督」の文言を使い分けていますし(527条以下と533条等)、選任権者=監督権者=解任権者の一般原則?にも反しますし、設立時の損害賠償責任の際、明示されていない監督義務の任務懈怠責任を追求されるのも酷な気がするのです。会社法は設立時取締役等に調査義務だけではなく監督義務をも認めているのでしょうか?
Posted by 司法書士受験生 at 2006年05月26日 15:30
A6
 設立時取締役は、発起人を監督してはいないですね。発起人の行為を差し止めるような権限もありませんし。

Q7
子会社の親会社株式の取得について定める、会社法135条について伺います。同条第2項各号では、例外的に子会社が親会社株式を取得できる場合が列挙されています。このうち、会社分割については吸収分割(3号)と新設分割(4号)とで書き分けられているのですが、吸収分割と新設分割とでは手続・効果の面でどのような違いが出てくるものなのでしょうか。
Posted by レポーターになってしまい焦っている男 at 2006年05月26日 16:03
A7
ちょっと意味が分からないのですが、子会社の親会社株式取得を例外的に認めるという点において、特に区別すべき理由はありません。

Q8
取締役会の廃止・設置と代取の関係について質問します。
①取締役会を廃止した場合に平取が代表権付与を原因として代取となる旨当局から説明されていますが、取締役会で代取を選定したこと自体が取締役会の廃止によってキャンセルされ、各自代表に戻るという考え方なんでしょうか?
②取締役会廃止を決めた株主総会で代取を選定した場合、代表権付与の話はなくなるのでしょうか?
③従前の代取が取締役会廃止により資格喪失するわけではないので、特に解任等しない限り②で他の者を代取に選定した場合は代取が併存することとなるのでしょうか?
④逆に平取2名代取1名の非取締役会設置会社が取締役会を設置した場合、代取選定が取締役会の専決事項であることから、代取を選定し直すことが必須になるのでしょうか?
⑤従前の代取が取締役会設置により資格喪失するわけではないので、③と同様、代取は併存するのでしょうか?
Posted by chigmog at 2006年05月26日 16:51
A8
①「キャンセルされ」の意味があいまいですが、各自代表になります。
②株主総会で代取を定めたら、それ以外の取締役には代表権は付与されません。
③総会の趣旨次第だと思いますが、通常、取締役会を廃止して、その総会で代取を選定したら、それ以外の者は代表権を与えない趣旨なのではないでしょうか。
④代取を選定し直す必要があります。
⑤取締役会で既存の代取と別の者を代取に選定した場合には、既存の代取は、資格を喪失すると思います。

Q9
取締役会設置会社の廃止について追加で質問があります。
5月26日のQ5の(2)において、定時総会終結後、新代取が互選で選定されるまでの間は、取締役全員に代表権が付与されることとなるのでしょうか。
また、その場合、登記にも反映させる必要があるのでしょうか。
反映させるとすると、定時総会後に代表権が付与されたが、互選によって代取に選定されなかった者の代取としての退任事由は「任期満了による退任」になるのでしょうか。
Posted by tori at 2006年05月26日 17:50
A9
互選で選ばないのならば、各自代表になると解さざるを得ないでしょうし、その後、登記するときは、一旦各自代表として登記せざるをえないと思います。

Q10
役職員向けストオクオプションを発行する予定があり、千問の発売を待ちに待ちながら準備を行っています。相殺払込方式を考えていますが、以下お教えください。
①3/23のブログにて、払込をしないまま払込期日を徒過した場合、新株予約権は消滅するが払込価額の支払義務は残るとのことでしたが、今でもこの考え方のままでしょうか?この場合、従来の有利発行と同様の効果となるように、払込義務が消滅する旨割当契約で定めることを考えていますが問題あるでしょうか。
②役務を提供すべき期間の満了前に新株予約権者の死亡等により全額払込ができない事態となった場合、新株予約権は消滅しますが、その時点までの役務提供分の報酬債権は相殺されることなく残ると思います。これを金銭で支払わずに済ませることはできるのでしょうか。
③4/12のtyさんのコメントで「新株予約権はいらない。金がいい」という我侭は封じることができるとありましたが、それはどのような方法でしょうか?
Posted by 法務ヘルパー at 2006年05月26日 21:27
A10
① 何も募集において工夫をしなければ、そのとおりです。
② それは、労働基準法の問題のような気がします・・・。ただ、新株予約権の引受けに係る払込義務は生じていますからね。そこは、工夫の余地ありですよね。
③ まあ、大体、分かりますが、私が言うのも、あまりよくないので、ノーコメント。

Q11
分配可能額の計算における300万円の純資産基準(会社計算規則186条6号)についてお教えください。
 6号のイでいう「資本金の額及び準備金の額」は、判定時点の額ですか、それとも最終事業年度の末日での額ですか?私は判定時点の額と考えますが、以前(4月1日 分配可能額の計算方法(基本編))では、次のような説明をしていただきました。これによれば最終事業年度の末日のように読めます。
A11
資本金の額及び準備金の額は、剰余金の配当時点です。
最終事業年度後に資本金が増加すれば、6号の額が減少する、つまり、控除する金額が減少するので、分配可能額は増加します。
私の書き方がまずかったようで、申し訳ありません。

Q12
共通支配下(完全親子会社間)の吸収分割の場合で,対価のすべてが承継会社(子)の株式(承継資産÷純資産/発行済株式総数)の場合,資本金,資本準備金の額は,445条5項で法務省令によるとなっており,この場合は会社計算規則の64条が適用になると思いますが,資本金と資本準備金の増をゼロとして,すべてを資本剰余金とすることは許されると考えてよろしいでしょうか?
また,会社計算規則66条によることもできそうですが,ただし書きの存在が不気味でふみきれません。この但書きは,どのような場合が想定されるのでしょうか?
Posted by 実務者はつらいよ at 2006年05月24日 23:23
A12
会計基準によりますが、そのとおりで結構です。
ただし書きは、会計基準でいうところの「適切」に分配できないような場合があるとすれば、ダメという程度の意味であり、あまり気にしなくていいと思います。

Q14
会社法の勉強を始めたばかりの大学生です。会社法では引用条文が多く、しかも、あちこちに散らばっているように見えます。
論文試験の際、これらの条文の位置は、ある程度、記憶しておくのがいいのでしょうか?
こんな質問をすると、「何度も条文を引いているうちに覚えるんだ!!」などとしかられるかもしれませんが、短時間で適切な条文を探す、こつのようなものを教えてください。
Posted by masamasa at 2006年05月26日 02:11
A14
会社法は、法律の中でも、条文の位置がかなり整理されているものの一つです。
まずは、章の並びがどんな発想でくまれているかを考えてもらった上で、会社法100問の条文索引で、論点が沢山のっている条文番号と見出しを100個ほど抜き出して、覚えましょう。それで、当面十分です。

2006年5月26日 (金)

新株予約権の消滅などなど

昨日、今日と本業が忙しく、まともにブログが書けませんでした。
とりあえず溜まった質問をやっつけます。
なお、調整等を要する質問は、飛ばしているので、明日、答えます。

Q1
新株予約権(ストックオプション)の消却・消滅に関して教えてください。
①287条の「消滅」と言う概念は、強制的に消却(される)と言う様な意味でしょうか?
②同じく287条の「・・新株予約権を行使することができなくなったとき・・」というのは、行使期間の期限切れの他、どの様な事態を想定されているのでしょうか?単に権利行使の放棄は含まれないと言う理解で宜しいですか?(会社の倒産等?)
③「消却」の概念は、新株予約権の取得(273条)+自己新株予約権の消却(276条)と整理されたと、ものの本に出ておりました。273条は取得条項付新株予約権のことなので???となっています。私の理解不足でしょうか?
④1年前の定時総会で決議されたストックオプションの、未付与部分は、今年の定時総会で"自動的に無効"となり、特段の手続き(取締役会決議等)は不要と理解していますが、宜しいでしょうか?
Posted by ネットくん at 2006年05月24日 09:51
A1
①消滅は、消滅。消却は、消滅の一種です。
②行使条件を成就する可能性がなくなったときですね。たとえば、従業員でなければ行使できない新株予約権について、従業員でなくなったときとか。
③旧商法は、自己新株予約権を消却するほか、新株予約権者が保有している新株予約権を消却することができたのですが、会社法は、後者を廃止しました。必ず一旦取得して、消却することにしたのです。取得条項による取得は、取得の一つの場合であり、任意に新株予約権を購入した場合なども消却することができます。
④それで結構です。

Q2
業務停止が予定された監査法人から別の監査法人を今回の定時総会で選任する場合、旧監査法人について特に不再任議案を出さないで、新しい監査法人の選任議案だけを提出することは可能ですか?旧監査法人は業務停止により当然に欠格となるので、不再任議案を提出しなくてもよい気がしてきました。それとも、一応旧監査法人には総会終結時で辞任してもらう方がよいのでしょうか。
A2
一時的にダブルで選任するつもりなら、それで結構です。

A3
報道では、業務停止が予定された監査法人と新しい監査法人の2名を選任するプランがあるようです(業務停止が予定された監査法人は期限付きで選任)。この場合も不再任とせず、業務停止が予定された監査法人には一旦辞任してもらい、改めて2名選任でよいのでしょうか。
Posted by 参事官室によく電話する人 at 2006年05月24日 12:39
A3
それで、いいでしょう。

Q4
これまでの会計監査人選任議案のつくりを見ますと、①議案の立て方としては、会計監査人選任の件の1本として②議案の説明の中で、○○監査法人は任期満了により退任するので、新しく▲▲監査法人を選任したい、といった説明をしているようです。
このような書き方により、会計監査人の不再任と、新しい会計監査人の選任を同時に兼ねているとみてよいのでしょうか。また、不再任の場合に必要とされる理由の記載もこれで十分なのでしょうか(これでよければ、辞任云々は関係なく、素直に不再任+選任でいけそうですが・・)。
Posted by 参事官室によく電話する人 at 2006年05月24日 16:57
A4
「任期満了により退任するので」というのは、会計監査人が辞任した場合のような気がします。不再任にするならば、明示的に不再任の議案を提出する必要があると思います。

Q5
一般的な譲渡制限ありの小会社である株式会社「代取1名+平取2名(計3名)+監査役1名」が、取締役会の廃止を決議した際の登記例として
 →取締役会設置会社の定め廃止 と 平取2名に代表権付与
というものを見たことがあります。
そこで質問なのですが、
(1)取締役全員が会社を代表する〜(もしくは記載なし)と定款変更していれば平取2名に代表権付与
(2)代表取締役は取締役の互選で〜と定款変更していれば総会後に互選による選定
というように「取締役会の廃止=現在の代取は無条件に退任」となるものなのでしょうか?
もちろん前者に代表権付与の登記が必要なのは分かるのですが、後者は「取締役会=取締役の互選」と選定方法の趣旨が変わらないということで次回の任期満了まで改選の必要がないという解釈は成り立たないものなのでしょうか?
Posted by かーご at 2006年05月24日 20:23
A5
質問の趣旨がよく分からないのですが、(1)の場合には、取締役会を廃止したからといって、取締役会の代表取締役が無条件に退任するものではないと整理しています。
ただ、取締役会の決議と取締役の互選は違いますので、(2)のように、あえて「代表取締役の互選で」と定款変更をすれば、取締役の互選により選ばれていない代表取締役は一旦退任し、互選により選任し直すことになるのではないでしょうか。

Q6
6月予定の定時総会の終結時に取締役全員の任期が満了する非公開会社において、任期を2年から10年に伸張する定款変更をおこなえば当該定款変更以後現任取締役の任期についても任期伸長の効果がおよび、8年後の総会まで任期は伸長し、改選の必要は無いと理解していますが、この総会で取締役を改選して総会終結時に任期満了させ、再、新任取締役ともその任期を10年以内の最終定時株主総会終結時までとすることは可能ですか。
本総会の終了時に効力発生とする条件付定款変更決議をして、後議案で取締役改選をしたとすると、改選(予選?)はそもそも有効ですか。被選任者全員を任期10年にできますか、それとも2年任期?
無益な議論と思いますが、全員の任期を揃え、最長にしたいとの希望に沿う方法はあるでしょうか。
Posted by 中小企業の味方 at 2006年05月25日 00:52
A6
停止期限付定款変更でもいいと思いますし、附則で10年の任期延長は、現任取締役の任期については適用しない旨定めればよいと思います。それで、改選すれば、取締役は、皆、10年になりますね。

Q7
減資や準備金減少において、株主総会決議の前から債権者保護手続きを行うことは可能でしょうか?
Posted by パラリーガール at 2006年05月25日 14:05
A7
可能です。

Q8
旧商法では第293条の2において配当可能利益の資本組入れが可能でした。会社法では第450条において剰余金の額を減少して、資本金の額を増加することができるとあり、会社計算規則第48条第1項第2号で減少する剰余金は、その他資本剰余金に係る額に限るとあります。これは、同第50条第1項第3号及び同第52条第2項第3号の適切な額の増加及び減少を行い、その他資本剰余金を増加した上で会社法第450条により資本金を増加させることができるのでしょうか。それとも同じような効果を得ようとしたら、一旦配当を行ったうえで募集株式の発行等の手続をとる必要があるのでしょうか。
Posted by 田中春夫 at 2006年05月25日 20:35
A8
その他利益剰余金を減少して、その他資本剰余金を増加することは、会計基準が認めるものであれば、認められます。

Q9
会社法372条(取締役会への報告の省略)では、この制度を利用できるのは、取締役、会計参与、監査役、会計監査人とされています。しかし、会計監査人については、会社法上取締役会に報告する事項がないように思います。ここで会計監査人が定められているのはなぜでしょうか。どのようなケース、報告事項を想定して、定められているのでしょうか。
Posted by FK at 2006年05月25日 21:57
A9
会計監査人が、定款その他の規定により、取締役会に報告すべき場合があれば、372条が適用されます。

Q10
設立無効の訴えについてお教えください。
設立無効の訴えの提訴権者は株主等ですが、発起人も訴えを提起できますか。
Posted by tomo at 2006年05月24日 00:51
A10
発起人は、株主等ではないので、訴えを提起するためには、株主としての資格によって訴えを提起することになります。したがって、発起人が株式を全部譲渡してしまうと、提訴権がなくなります。

Q11
葉玉先生が実務家になっても、まだ手にすることのある学者の本はなんですか?
A11
憲法:あまり読まないです。野中先生達の本は好きです。
民法:職業柄、注釈民法、我妻先生、星野先生、内田先生その他ありとあらゆるものを読みます。
刑法:団藤先生は好きですが、実務では読みません。前田先生かな。
商法:注釈会社法、前田先生、江頭先生、神田先生、弥永先生、宮島先生その他何でも読みます。手形は、前田先生、田中先生、田辺先生など。
民訴:兼子先生、新堂先生、伊藤先生。
刑訴:、実務本一辺倒。
行政法:最近、ほとんど読んでません。
Posted by 合格は決まってる at 2006年05月24日 00:54

Q12
刑法解釈の考え方として、行為無価値論と結果無価値論がありますが、検事としての経験も踏まえると、どちらの考え方が好きですか?(唐突ですみません…)
Posted by 玉屋 at 2006年05月25日 01:34
A12
学会は、結果無価値全盛ですが、現行法の解釈として、かなり無理をしている感じで好きではありません。
行為無価値の方が、理論的かつ柔軟な解釈が可能です。

2006年5月24日 (水)

各法のバランス

 第一回の新司法試験が終了しました。
 新司法試験を受けた人は、今日あたり、どこかで一杯やっているかもしれませんが、合格するまで、未合格者ですので、ゆめゆめ「一足早い夏が来た〜」などとバカンスに行かないように。
 私の経験から言いますと、試験後も勉強を続けた人は合格し、試験後勉強を忘れた人は、かなり危ない。神様は、あなたを見ています。
 遊びに行ける人を妬んで、脅しているわけではありません(笑)。
 今後3か月のスケジュールを立て、ノルマを決め、毎日、ノルマをこなすこと。
 その努力の先に合格があるんです。本当に。

 さて、受験生向けシリーズの最終回は、各法のバランスです。

 このブログは、「会社法であそぼ」ですが、会社法ばかり勉強していても、司法試験には合格しないし、実務家としても役に立ちません。
 憲法、民法、刑法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法など様々な法律をバランスよく身につけることが、受験の上でも、実務の上でも、極めて重要です。

 ところが、受験の世界では、教える方も、教わる方も、この各法のバランスということに無頓着なことが多いというのが現実。

 バランスというと抽象的ですが、簡単に言えば
(1)科目(憲法、民法・・)というX軸
(2)技術(勉強法(INPUT,OUTPUT)、事例解析法、解釈法)というY軸
(3)時間(時期)というZ軸
を三次元的に把握して、法律家としての能力を高めるスケジュールを立てるということです。

(1)科目というX軸
 先日、「司法試験と関係のない科目の予習ばかりで時間がない」という受験生さんの血の叫びがありましたが、似たようなことは、どこの法科大学院・予備校でも多かれ少なかれあります。
 教える側は、「自分の教える科目」しか見ていませんから、「この程度のことは、予習・復習してもらわないと・・」と思いがちなのですが、各科目の先生が、同じ考えで自己満足的な宿題を出すと、学生はたまりません。
 また、私の経験上、学生は、時間管理が下手で、しかも、試験科目について十分な知識がないためをもっていないために、どのような時間配分で、どのような勉強をしたらよいかが分からず、授業や答案練習のスケジュールに併せて、漫然とスケジュールを組んでいる人が多いと思います。
 本来ならば、全科目を見渡せる能力があり、かつ、学生の発達段階を熟知した人が、各科目の配分と、勉強内容を決めて、スケジュールを組んであげると、学生の学習効率はグンとあがるはずです。
 私が、ゼミをやっているときは、全科目(刑訴以外)を教え、ゼミ生の答案を毎週採点していたので、要望があれば、ゼミ生のスケジュール設計に知恵を貸したり、遅れ気味のゼミ生には、無理矢理、特別の宿題を出したりしていましたが、こうした「担任の先生」みたいな人が、司法試験界には不足しているような気がします。
 ただ、無いものねだりをしても仕方がないので、学生の自己防衛策としては
(1)初期の段階から、3か月(長くても6か月)を1クールとし、その1クールで司法試験の科目を一通りやる。
(2)少なくとも1週間に1回は、演習の時間を取り、各科目及び分野ごとに、点数を一覧表にして、自分の実力の偏りを見る。
ということにより、自分の苦手の科目・分野、出題形式を把握し、次のクールでは、弱いところを重点的に勉強するというのベストでしょう。

2 技術というY軸
 Y軸の最初は、学習方法のバランス。
 例えば、憲法は判例百選の研究、民法は内田先生の教科書をノートにまとめ、刑法は、予備校テキストをベースに論証集を作るとかいう風に、科目ごとに学習方法が違うと、いつまでも、学習方法が確立しません。
 学習方法は、法律の知識を身につけるための技術であり、一つのきちんとしたパターンを身につければ、どんな科目でも、同じ学習方法で能率的に学習することができます。
 例えば、INPUTした情報は、自分で加工しなければ、右から左に流れていくだけで身につくことはありません。
 ですから、短時間で作成することができ、後で見直しをしやすい形式を決め、どんな科目でも、同じ形式でノート化をすることが重要です。
 そして、学習が進むにつれ、未熟なときに作った部分は、随時入れ替えをしていく(知識が定着した部分については、記載を簡略化し、又は、その部分を廃棄するということも大切です)。そして、最後に
「2時間で1科目を見通せる自分のオリジナルノート」
ができれば、そのノートは、試験における最大の武器になります。
 実は、ノートでなくてもいいんです。教科書やテキストに書き込みをしたり、色分けをしたりするのでも結構。
 大事なことは、
(1)どの科目も同じ形式であること
(2)2時間で一科目全体を見直せることと
(3)それを見れば、すぐに、自分がOUTPUTすべき文章が見えてくるようになること。
です。
 また、OUTPUTについては、択一や論文の問題を解くのが一般的であり、こうしたINPUT,OUTPUTの勉強法を、各科目ごとに、同じように実行していくこと。
 これが勉強法のバランスです。

 次に、事例解析法のバランス。
 どんな科目の解答でも、問題文を読んで、適用される余地のある条文を抽出し、法の要件に該当する事実を抽出し、条文の要件に解釈を加え、事実をあてはめるというプロセスをたどります(いわゆるキリンの力)。この事例解析法も、科目ごとにバラバラに考えずに、どんな問題に対しても対応できる基本的な手法を確立していくことです。例えば、憲法の事例問題を民法や刑法の問題として解くことができるようになると、憲法自身の理解も深まっている証拠です。
 
 最後に、解釈法のバランス。
 受験生の論文を読んでいると、憲法は違憲、刑法は無罪、刑事訴訟法は違法と書かないと不合格と思いこんでいる人が多いような気がします(笑)。本人に思想的なバイアスはなくても、勉強している本に思想が入っていると、民法で自由主義的な受験生が、憲法では社会民主主義的だったりして、なかなかにアンビバレント。
 こういう状態でも、それなりの実力は身につくんですが、やはり各科目ごとによって立つポジションが違うと、見知らぬ問題に当たったときに、決断力に欠けた足腰の弱い部分が露呈して、失敗することがあります。やはり、どんな法律の解釈を考えるときも、自分の中で統一的な考え方を確立することが重要です。
 思想的なものだけではありません。
 論証の流れや用語法も、各科目の先生の個性が強くでるため、学生側は、意識的に自分の言葉、自分の論理で表現するくせをつけないと、いつまで立っても、自分の定番の解釈法が確立しません。
 こうした解釈法のバランスが気になるのは、中級者以上ではありますが、初心者のときから、一定の解釈法を確立しようと心がけると、OUTPUTのみならず、INPUTの能力も高まります。

3 時間というZ軸
 一昨日お話ししたように、発達段階に応じた勉強をすることが重要なので、まずは自分の実力を図る演習を1週間に1回は行うこと。
 もう一つの重要な時間的要素としては、試験日で、試験日から遡って、今を把握すること。
 まず試験日に何をやるかを考え、次に試験前日に何をやるかを考える。そして試験日の1週間前、1か月前、3か月前、6か月前、1年前と徐々に遡っていき、これから1か月先までのスケジュールを綿密に決める。
 このような思考回路でスケジュールを立てることにより、勉強のための勉強ではなく、実戦に役立つ勉強ができます。

(質問コーナー)
Q1
昨日のQ2について不適法な場合を含めとのお答え、当初は都合よく、そのように解釈していたのですが
以前、商事課に電話したところ「適法に」と回答されました。
従って、登記実務上は株式の全部について株券を発行していないことを証する書面として「株主名簿」を添付する場合には、株券番号が入っていて不所持申出の記載があるか、平成16年改正後に設立された非公開会社で株券発行請求がない旨の記載がないものでなければ登記は受理されないとあきらめていました。
違法不発行の会社は山ほどあるのですが、いかがでしょうか。
Posted by 中小企業の味方 at 2006年05月23日 02:10
A1
不適法であっても株券を出していないのに、その回収を公告するのは無意味です。
不適法なものでもよいということは、仲間内で話し合って決めたことなので、千問にも書いたと思います。正式な相談があったときには、調整が必要かもしれませんね。
ちなみに、16年改正前に設立された非公開会社であっても、株主の請求がない限り、株券を発行する必要はありません。


Q2
一時会計監査人の選任は監査役(会)が行いますが、取締役(会)は、この会社の重要な意思決定に対し、何もしないことが善管注意義務・忠実義務の点から問題にならないでしょうか。
例えば、監査役会の意思決定前に取締役会として、自社の会計監査人についての基本的な方針を決定し、一時会計監査人を選任するのであればそれを監査役会に対して一任するといった決議が必要ではないかと
Posted by やっと防衛策承認されたよ at 2006年05月23日 04:09
A2
取締役会は、一時会計監査人については権限がありません。むしろ、できるのならば、臨時総会を開いて、会計監査人の選任議案を提出することを考えるべきです。

Q3
今度の株主総会に会計監査人の選任議案の提出を考えていますが、会社法の344条1項3号の「会計監査人の再任しないことを株主総会の目的にする」場合とはどんなケースでしょうか?今回のように総会時の任期満了に伴う新たな監査人の選任時にはこの「再任しない」は当てはまらないと考えますが。この3号はたとえば2名いる監査人を1名に絞る場合や、大会社ではなくなるので会計監査人の監査が不要になるようなケースを想定してのことでしょうか?宜しくお願いいたします。
Posted by たかお父 at 2006年05月23日 18:43
A3
会計監査人は、1年の任期が到来しても、不再任の決議をしない限り、当然に再任されます。したがって、「任期満了に伴う新たな会計監査人の選任」のためには、「旧会計監査人の不再任議案」と「新会計監査人の選任議案」が必要です。

Q4
株式譲渡制限に関する定款変更について教えてください。
現在当社の定款には、株式の譲渡制限に関する条項が存在しますが、今回の株主総会で、譲渡の承認機関を取締役会から株主総会へ変更する予定です。
①この場合、新たに株式譲渡制限を設ける場合と異なり、株券提出公告は不要と解しておりますが、いかがでしょうか?
②また、譲渡承認機関を取締役会から株主総会に変更する旨の変更登記も必要でしょうか?
③株式譲渡制限に関する規定を定款に設ける場合、通常は株券提出公告を行うことになりますが、この場合、定款変更の効力発生日はいつになるのでしょうか?
旧商法では、350条に従えば、会社が株券提出公告の期間を自由に設定することで、自由に定款変更の効力発生日を設定できるように読めるのですが、新会社法のもとでも、定款変更の効力発生日を設定できると考えてよいのでしょうか?
④株式譲渡制限制限を設ける定款変更を行う場合、会社法では株主に対し、効力発生の2週間前までに株主に対して当該行為をする旨を通知しなければならない(116条3項)のですが、株券を発行していなくて株券提出公告の必要がない会社の場合、定款変更の効力発生は株主総会決議の時点と解し、株主総会の2週間前に当該通知が必要となると考えるべきなのでしょうか?
Posted by カワグチ at 2006年05月23日 20:47
A4
① 承認機関の変更についてには、株券提供公告は不要です。
② 登記されている内容によります。「株式会社の承認」と登記されていれば、変更は不要ですが、「取締役会の承認」と登記されていれば、変更が必要です。
③ 定款変更決議において効力発生日を定めることができます。
④ 2週間ではなくて、20日前です。既出ですが、20日前に全株主に通知を要します。

Q5
①会社法のもとでの吸収分割でも,完全親子会社間で,分割会社(親)に承継会社(子)の株式を交付しない,いわゆる無増資分割は認められると思いますが,この場合,承継会社は純資産の増分をどのように取り扱うべきでしょうか。
計算規則(63条〜)に,組織再編時の規定がありますが,これらは株式の交付が前提になっているようですので,該当しないようにも思えます。
資本金or資本準備金の増はなく,その他資本剰余金の増という取扱いということになるのでしょうか?
②事前開示事項の計算書類については,今年の場合,旧法で作成したものしかないのですが,株主持分変動計算書,注記は,別途作成して備置する必要があるのでしょうか?
Posted by 実務者はつらいよ at 2006年05月21日 06:28
A5
①これは、会計基準で決めることです。ちなみに、計算規則では、対価無償の場合に資本金に関する規定は適用ありませんが、のれんの規定は適用されます。
②旧法で作成したもので結構です。

Q6
葉玉先生のブログをもう一度よく読み直してみて、以下のように考えを整理しました。
取締役会設置会社では、
(ア)「業務執行の決定」は取締役会の職務であり(362条2項1号)、取締役は、委任を受けない限り、当該決定をすることができない。
(イ)362条4項各号に掲げる業務執行の決定については、取締役会は、取締役に委任することができない。
(ウ)「取締役会の決議によらなければならない」という規定がある事項(178条2項等)についての業務執行の決定については、取締役会は、取締役に委任することができない。
ということになりますでしょうか。
A6
そうですね(委員会設置会社を除けば。)。なお、「取締役会の決議によれなければならない」という規定の中には、「業務執行の決定」でない事項もあります。

Q7
「論点解説 新・会社法 千問の道標」と「立案担当者による 新・会社法の解説」どちらがお薦めですか?
あと新司法試験の短答試験で「会社法」が出題されたそうですが、もしご覧になられたら、コメントほしいです。
Posted by るう at 2006年05月23日 15:57
A7
私達は書いた本は、それぞれ目的が違います。るうさんが、受験生であるということを前提にお話しすると
「論点解説 新・会社法 千問の道標」は、教科書に書いてあることで、疑問に思ったこと調べたり、会社法にどんな論点があるのかを調べたりするときの参考書・辞書的な位置づけの本だと思います。初心者には難しいし、この本だけで会社法を勉強するような本ではありません。ただ、ある程度会社法の知識のある人や、実際に会社法を使おうとする人は、必ず新たな発見があり、また、大変役に立つ本だと思います(宣伝モード)。

「立案担当者による新・会社法の解説」は、商事法務の連載をまとめたもので、旧法からどのような点が変更されたのかを調べる場合には、一番詳しい本です。ただし、省令制定前に書いたもので、修正をしていない点は注意する必要があります。

新司法試験の短答試験の「会社法」は、見たことがありませんので、コメントできません。

Q8
私は、現在独学でロースクール(既習)を目指している大学3年生です。
先生の地元?の福岡に住んでいます。
予備校選びはどのような事に気をつけてするべきか、教えてください。
Posted by ワンワン at 2006年05月23日 17:25
A8
「予備校」選びというより、「先生」選びなんでしょうね。
大学は先生を選べませんが、予備校は先生が選べるのが最大のメリットです。
松法会の先輩に聞いたり、インターネットで評判を見たりして、定評のある先生の授業をビデオで見せてもらい、「面白い」と感じる先生を選ぶことです。

Q9
葉玉先生の「葉玉レジュメ」とは、どのような内容のものだったのでしょうか。論証パターン集のようなものでしょうか。それとも100問の中で書かれてあるオウム、キリン、サイの内容が散りばめられたものなのでしょうか。非常に興味
があるので教えて下さい。
Posted by テン at 2006年05月23日 18:22
A9
葉玉レジュメには、①矢印レジュメ、②一問一答レジュメ、③過去問解答レジュメがあります。いずれも非売品です。
①は、事例分析のチャートや、重要論点の論証のポイントを矢印でつないだもの。LEC時代に作りました。各法ありましたが、自分でも民訴が一番よかったと思います。なぜなら、当時の民訴のテキストは、あまり出来がよいものがなく、レジュメに気合いをいれないと、まともな授業ができなかったから。今の予備校のテキストを見ていると「これは、私が考えたのと、そっくり」と感じることがあります(別に著作権を主張するつもりはございません(笑))。
②一問一答は、一ページの真ん中に縦線が引いてあり、右側が質問、左側が答えという形式で、1頁に10問くらいずつ問答が書いてあるもの。修習生&検事時代にボランティアでゼミをやったときに作ったもの。たまたま近くにある刑法を見てみると、総論各論併せて2700問くらいです。憲民刑があります。
③は、会社法100問みたいなものです。これもボランティアゼミで書いたもの。憲民刑ありますが、平成の最初の方までの問題までしか書いてません。ちなみに刑法を見たところ280頁くらいあります。各法そんなものかな。うーん、見ていると昔を思い出します。何もかも、皆なつかしい・・・。

2006年5月23日 (火)

判例・通説

 先週は、択一試験・新司法試験と続いたので、受験生用の記事を連発しましたが、明日の火曜日までは、新司法試験なので、明日までは受験生向け記事を書きたいと思います。
 実務家の皆さんは、質問コーナーでお楽しみください。

さて、frdさんから
「旧司法試験受験生ですが、ひとつ質問させてください。
先生はしきりに判例通説で学ぶようにおっしゃており、私自身そうありたいと思っているのですが、刑訴のように判例と通説が乖離している場合は、どうすべきでしょうか?実務に付いたら刑訴の学説なんて振り回してもしようがない、なんてことを耳にすれば、今から判例乗りの方がいいのかなと思うのです。判例に即したテキストがなかなか無いのが難点ですが。先生のご意見をお聞かせください。
Posted by frd at 2006年05月22日 13:30」

 刑訴というのは、判例・実務と学説の乖離が激しい不幸な科目です。
 しかし、この刑訴ですら、判例・実務の立場で論文を書いても、絶対に落ちることはないはずです。
 なぜなら、司法試験は、実務法曹になるための試験ですから、判例・実務を書いて落ちるのならば、それは、「司法試験」として失格だからです(実際、私は、判例・実務説で書いて合格した人を沢山知っています。)
 受験生の世界は、「見てきたような嘘」がまかり通る世界(笑)であり、試験委員の入れ替えの度に、「辞めた、あの先生の説で書くとアウト」「新委員の先生は、こういう説。これならホームラン」等という噂が飛び交います。
 私に言わせれば
 「下手の考え休むに似たり。
 試験委員のご機嫌取りを考える暇があるなら、一問でも多く書いて、基本を身につけろ。」
ということに尽きており、
 学説の選択ではなく、基本的な知識を使いこなす力の有無だけが、合格を決めている
というのが、長年、合格者を見てきた確信に近い実感です。

 なお、frdさんのいうとおり、刑訴の実務的なテキストが少ないというのは残念なことですが、「検察講義案」はよくできていますので、これをベースに、百選や刑事訴訟の実務等でフォローすればいいのではないかと思います。

 ところで、昨日の記事のトラックバックで、「Gakによる若干のコメント」というブログを見て見たところ、昨日の記事について
「気になるところもある。それは、「必ず判例・通説で書かせる」との部分。
これを読むと、「判例=通説」との前提があるように思える。
昔はこれでよかったと思う。なぜなら、判例・通説が一致していたのだから。」
とのコメントを頂きました。

 ただ、「判例=通説」という図式が常に成り立つわけではないのは、今も昔も変わりません(通説も、学会通説と実務通説が分かれている場合もあります)。

 私の考える優先順位は
 最高裁の違憲判決 > 判例を変えた立法 > 判例 > 行政解釈 >通説
です。根拠は、憲法(笑)。

 なお、ここでいう、「判例」というのは、実務家が重要だと思う判例(=最高裁・東京高裁・大阪高裁の判例(たまに、その他の高裁判例))のことであり、地裁判例は基本的に含まれません(また、実務家の多くは、判決裁判官の名前を確認の上、「信頼できない」と思われる裁判官の判例は、無視します。嘘のような本当の話。)

 私が、このように判例を重視するのは、判例が、事件の解決のために考え抜かれた規範であり、実務の指針として受け入れられているからです。
 また、受験生の立場にたった場合、判例に基づく知識の整理をしておけば、択一で「判例の趣旨に従うと、正しいものはどれか」という問題を見ても、自説で肢を選べばいいので、迷わずに済みますし、論文でも、試験委員の先生に「こんな説は見たことがない」などと言われたりしないので、安心です。何より、ずっと判例で書いていると、知らない論点でも、なんとなく判例の考えそうな方向が見えてきます。
 いわば、「実務法曹としての常識的な解釈」が見えてくるのです。

 もっとも、判例にもいくつかの限界があります。具体的には
(1)個別事案の解決のために規範を定立するために、その事案以外の事実関係で適切に処理できないような規範が示されている場合もある。
(2)法律の解釈は裁判所の専権とはいいながら、当事者が全く主張していない法解釈を取ることが事実上難しい場合もあるし、当事者の主張に引きずられて筆が滑っている部分もあるので、判例が示した規範が、必ずしもベストの解釈論と言えない場合もある。
(3)裁判官が、全ての法律についてエキスパートであるというのは幻想であり、特別法などについて土地勘のない裁判官が非常識な結論を出す場合も散見される。
ということです。

 そのため、判例を形式的に解釈しすぎると、通常の実務的取扱いと齟齬が生じそうな論点もあるので、そういうところは、判例の適用範囲を限定しながら、実務上の取扱い(実務上の通説)を正当化すべき場面もあります。
 ただし、ここら辺のさじ加減は、正直言って、受験生がやろうと思っても、無理なので、優秀な指導者に教えてもらうか、開き直って何でも判例で書くかしかないでしょう。

 また、判例を書き換えるつもりで立法されたような場合も、受験生がそれを判断するのは難しく、これは、法制審議会の議事録や立案担当者の解説等を見ないと分からないでしょう(新・会社法100問は、そこら辺のさじ加減を実務家や受験生の皆さんに一刻も、早く伝えたいがために、かなり早いタイミングで出版した本です。)

 このように「判例・通説で勉強しろ」と言っても、独学では難しいところがあるのは否めませんが、優秀な指導者がいれば、既存の教科書・テキストを用いて判例・通説を学ぶことは十分可能ですし、現にこれまでの合格者の多くは、そのような勉強をしてきたのですから、教える側と教わる側の心構えとして「最初は、判例・通説で勉強する」ことの重要さを分かっていただこうと思い、昨日の記事を書いた次第です。

 

(質問コーナー)
Q1
5月20日のQ11に関連し、公開会社が譲渡制限の定款変更をする際の買取請求に関し、新株予約権の買取請求に関して教えてください。
①新株予約権者に対しても、全ての予約権者に対して通知、または公告を行う(118条3項、4項)。この通知は株主総会の招集通知と兼ねることが出来る。
②株式の場合と同様、財源規制には掛からない(461条には「株式」の買取に関してしか記載がない)。
③464条の業務執行者が超過額について支払い義務を負うことに関しても、新株予約権に関しては記載がないため、適用がない。
と言う風に理解しても宜しいのでしょうか?
つまり、公開会社が譲渡制限の定款変更をする際には、適法に通知・公告を行えば、後は反対予約権者の請求に応じて代金を支払うだけ、逆に言うと支払わなければならない義務がある(119条6項)と言うことですか?
Posted by ネットくん at 2006年05月21日 10:50
A1
①全ての新株予約権詐hに対して通知又は公告を行います。ただ、招集通知は株主に対して行うもので、新株予約権者に対してなすものではありませんから、通知を「兼ねる」というのは、新株予約権者が全て株主の場合のみです。公告なら一緒にやることができます。
②新株予約権の買取はどんな場合であれ財源規制がかかることはありません。
③464条は適用ありません。

Q2
会社法219条の「当該株式の全部について株券を発行していない場合」には、株券を発行する旨の定めがあるが漫然と株券を発行していない場合(公開会社です)も含まれるのでしょうか。
旧商法からの考え方も含めて解説頂ければ幸いです。
Posted by 日産マーチ at 2006年05月21日 17:20
A2
旧商法は、株券を発行しているかどうかにかかわらず、株券提供公告は必要でした。
これに対して、219条は、不適法な場合を含めて、株式の全部について株券を発行していない場合には、公告を不要としたものです。

Q3
葉玉先生、取締役会非設置会社に関連してお教えください。
1、募集社債について
(1)取締役会を設置していない株式会社でも社債の発行ができると思いますが、この理解で正しいでしょうか?
(2)発行可能として、取締役会のない会社では、676条1項の決定は誰が決定するのですか?取締役(取締役の過半数)でしょうか、また特定の取締役に委任することも可能でしょうか?
2、取締役会設置会社では取締役会がその決定を取締役に委任できない事項とされる多額の借財、重要な財産の処分及び譲受け(362条4項)は誰が決定するのでしょうか?取締役(取締役の過半数)でしょうか、また特定の取締役に委任することも可能でしょうか?
Posted by かさぶらんか at 2006年05月21日 21:31
A3
(1)非取締役会設置会社でも、社債を発行することができます。
(2)社債発行は、業務執行の決定の一つですから、取締役の過半数が原則ですが、各取締役に委任することができます(348条2項3項)
2 取締役の過半数ですが、特定の取締役に委任することができます。348条2項3項のとおりです。

Q4
監査役会は「常勤の監査役を選定しなければならない」こととなっていますが、監査役設置会社での常勤監査役設置は可能なのでしょうか?
Posted by 空海 at 2006年05月22日 18:12
A4
会社に自治で常勤にすることは、何の問題もありません。

Q5
取得条項付新株予約権についてお教えください。
改正前商法下の消却事由が会社法下では取得事由に置き換えられましたが、この取得事由は従前の消却事由同様、会社のオプション(該当する事由が生じたときに、会社が取得するかしないかを決められる)と考えてよろしいでしょうか?会社法275条1項1号を見ると、236条1項7号の取得事由が生じた場合は自動的に取得することになるようにも取れます。としますと、自動的に取得したくない場合は、236条1項7号の取得事由を定めるところで、「○○の事由が生じた場合であって会社が取得することを決定した場合は取得することができる」というように定めることを検討しております。
または、取得事由を細かく規定せず、従前の消却事由にあったように「会社はいつでも、会社が別に定める日が到来したときに、無償で取得できる」という規定をもって対応することも可能と考えてよろしいでしょうか?
Posted by 法務ヘルパー at 2006年05月22日 18:59
A5
取得事由が生じたら、当然に会社が取得します。
ただし、取得事由そのものを株主総会・取締役会の定める日とすることができます(273条1項)から、会社のオプションとすることはできます。

Q6
小会社に会社法施行前から定款に取締役等責任限定規定がおかれている場合、整備法66条2項により『施行日後は会社法に基づく責任の一部免除に関する定款の定めとして効力を有する』と定められているいっぽう、取締役会決議をもって行う責任の一部免除に関する定款規定は業務監査権限を有している監査役を置くことが条件になっています(会社法426条)。小会社の場合でも施行日前の行為については整備法78条により損害賠償責任が発生しても一部免除の適用があると思いますが施行日後の行為については、あらためて業務監査権限を有する監査役を選任(再選含む)するまでは、会社法による責任免除規定の適用が受けられないという理解でよろしいでしょうか?(施行後、商法でも会社法でも責任免除の適用を受けられない空白期間が生じる?)
Posted by ヤサオトコ at 2006年05月22日 19:31
A6
業務監査権限を有する監査役を置くまでは、一部免除に関する議案を取締役会に提出することはできません。任務懈怠行為が、業務監査権限を有する監査役がいない時点で生じたものであっても、その監査役を置いた後には、免除議案を提出することはできるので、「空白期間」は実質的にはないでしょう。

Q7
会計上新株予約権の発行価額は会社の資本金に計上されるにも関わらず、246条3項において新株予約権に関わる債務の履行について代物弁済や相殺を認め、当該対価について284条の検査役の調査の対象とはなっていません。これは、207条9項5号の規定によって検査役の調査が免除されているという理解でよろしいでしょうか?
A7
 「会計上新株予約権の発行価額は会社の資本金に計上される」というところは、やや誤解を生む表現でありますが、それは、脇に置いて、質問に答えましょう。
まず、207条9項5号は、新株予約権の発行とは、何の関係もありません。
新株予約権の発行については、検査役の調査が義務づける規定がないから、検査役の調査はないということです。
 なお、新株予約権の行使における現物出資については、284条で検査役の調査が要求されていますが、284条9項1号は、1新株予約権について新株予約権者が交付を受ける株式が発行済株式の総数の10分の1を超えない場合には、検査役の調査が免除されるので、検査役の調査が要求されるのは、極めて限定的な場合のみです。

Q8
「30秒KISS」の女性が、先生の今の女王様なんでしょうか?
Posted by みひろ at 2006年05月21日 23:06
A8
もちろん、違います(笑)。

2006年5月21日 (日)

法学教育

受験生さんから、次のようなコメントをいただきました。

 「もし葉玉先生が予備校の先生で、ロースクール生に指導する立場だったらという仮定で教えてください。
 私はロースクール生(今年の春既習で入学)。大学では新試験とは全く関係の無い論文や判例評釈をやらされる日々で、1日自分の勉強に当てられる時間は1時間あるかないか。
 膨大に量の判例全文をただ読まされる生活で、多くの人は復習する時間もなく、ただ予習するだけの毎日です。
 新司法試験に向けては、どのようなメンタリティで、またどのような方法論で勉強を進めていけば良いのでしょうか。」

 私は、受験生さんのロースクールの指導の具体的内容を知らないので、それを批判することはできませんし、本当に「自分の勉強に当てられる時間が1時間しかない」という状態なのかも分からないので、直接のコメントを差し控えさせていただきます。

 時間は有限であり、自分の時間の優先順位をつけるのは、ロースクールではなく、自分ですから、私なら
 第1順位 大事な人との関係が壊れないように最低限の営み(笑)をする
 第2順位 自分が新司法試験で合格するために必要な勉強をする
 第3順位 ロースクールの宿題をする
 第4順位 大事な人との関係が改善されるように、少しサービスをする。
 第5順位 自分の好きなことをする。
というスケジュールを立てます。

 ですから、「ローの宿題のため自分の勉強時間が1時間しかない」という発想自体がやや間違っており、「司法試験の勉強を1日5時間やっているので、ロースクールの宿題をやる時間が1時間しかない」という悩みに変えて、宿題を出す先生に相談しましょう(笑)。それでも、司法試験に役に立たないレポート提出が義務づけられたら、1時間でやっつけ仕事をやるしかないですね。

 私は、ロースクール制度が生きるのも死ぬのも、そこで、どのような法学教育が行われるかにかかっていると思います。

 ロースクールを卒業すれば、実務法曹に必要な力を身につけることができるという前提で、その卒業を新司法試験の受験資格にしているのですから、ロースクールに2年通って卒業しても、受験予備校に2年通ったほどの法律の力が身につかないということが統計上明らかになったならば、新司法試験の受験資格を「受験予備校に2年以上通ったこと」に変更せざるをえないでしょう(笑)。
 
 きつい冗談のようですが、日本にとって重要なのは、教育機関が法科大学院か、予備校か、個人のボランティアかということではなく、「どのような法学教育を行えば、短期間で能率的にバランスよく実務法曹としての能力を身につけさせることができるか」ということだと思います。

 法学教育は、「法学」と「教育」によってなりたっています。

 「法学」の視点からは、「法律、判例の知識を身につけ、具体的事実について法律・判例等を当てはめて解決することができる力を身につけさせる」ということが要請されます。

 「教育」の視点からは、「学生の発達段階に応じて、適切な学習目標を設定し、かつ、効果的なメソッドを用いて、定められた時間内で学習目標を達成させる」ことが要請されます。

 例えば、私の経験からいえば、学生の発達段階は次の段階に分かれます。

1 幼稚園期 何の法律知識もない時代。手を離せば、あっという間に変な方向に行く頃(1科目約1週間程度)。

INPUT 簡単で分かりやすい具体例をもとに、法律の基本的な適用の仕方を説明する。論点についての解説は、ほとんど不要。予習は害悪。復習のみ
OUTPUT 1+1=2みたいな演習を行う。

2 小学生期 なんとなく法律の世界のイメージをつかみはじめた頃。先生の言うことを素直に聞く頃(1科目1か月程度)

INPUT 事例の解析手法を教える。基本的な論点について対立点及び判例・通説を教える(この時期に変わった説を教えると、次の中学生期にグレてしまう)

OUTPUT 典型的な論点ごとにマトメのノートを造らせる。
一問一答的な問題集をやらせる。
基本的な判例をさらに骨のようにした事例をもとに、論点のはっきりした論文を書かせる。
基本的な択一試験の過去問をやらせる。

3 中学生期 法律の使い方が未熟なくせに、その知識を振り回したくなる頃。理由もなく判例・通説を批判したくなる時期でもある。反抗期(1科目1か月程度)

INPUT 複雑な事例の解説手法を教える。典型論点については、総ナメする。少数説を唱えるような場合には、「そんなことは、大人になって考えればいいんだ」と叱りつける。

OUTPUT 司法試験の過去問など骨のある論文を書かせる。その際、必ず判例・通説で書かせる。
択一試験の過去問をやらせる。

4 高校生期 教師に向かって大人顔負けの探求心を見せるグループと、教師に対する無関心(自己流勉強に傾斜する)グループに別れる時期

INPUT 基本的には中学生期と同様。難しい論点について、掘り下げた解説を行う。さらに、探求心を見せる者には、判例の原文を読ませたり、本格的な論文を読ませて、研究させるのもいいが、教師が時間管理をして、基本的な勉強をさせないと、必ずバランスを崩す時期。
 無関心グループについては、まだ放任にするのは早すぎるので、必ず、指導を受けるように説得する。

OUTPUT
中学生期と同様。同じ問題を繰り返し書かせることが重要。
事例分析の手法を、本人に身につけさせるため、チャートを書かせるのも効果的。

 本当は、この次の「大学生期」まで法科大学院でできるといいのですが、きっと2年間・3年間では、多くの生徒がそこまでたどり着けないだろうと思います。
 私は、様々な年代の受験生を数え切れないほど教えてきましたが、法学部を卒業した者の多くは、幼児期、良くて、小学校低学年です。
 教育の出発点は、まず学生の能力を見抜くことです。
 学生の能力を見ようともせず、発達段階とかけ離れた授業を行い、課題を出す先生がいるとすれば、その先生は、教育者ではありません。
 もちろん「大学院生なんだから、手取り足取り教えるようなまねはしない」という思想の先生もいらっしゃると思います。
 その思想が自立心旺盛な優秀な学生の育成につながった場合には、その方は教育者としても優れた人だということになるでしょうし、学生が大学院の試験ですらまともな点を取れないとすれば、教育方法を間違っているということでしょう。
 教育者としての能力は、どんな学生が巣立っていったかによって決まります。

 古来から、弟子が優秀な人こそ、真に偉大な学者です。アリストテレスも、孔子も、吉田松陰も。仏陀やキリストだって、その一人と言えるかもしれません(学者じゃありませんが)。
 「教授」というのは、教え授けるのが仕事ですから、是非、一人一人の学生の発達段階にあわせた教育をしてあげて欲しいと思いますし、私の知っている先生には、実際にそのような教育をされている方が沢山いらっしゃいます。
 私自身は、法学教育については、現在、外野の身ですから、大きなことはいえないのかもしれませんが、司法試験に先に合格した先輩として、「勉強したい人がきちんと勉強できる環境作り」にはできるだけ協力していきたいと思っています。


(質問コーナー)
Q1
株券提供手続きに係る219条の規定において、株券提供期間の最終日を株式交換等の効力発生日としていますが(1項)、効力発生日の午前0時には株券は無効となるので(3項)、当該日にはただの紙切れとなった券面を提出することとなりそうなのですが。株式交換で言うと、交換の日の前日を提供期間の最終日としていた旧商法の規定を変更したのはどのような意図なのでしょうか?
また、これを気にするヒトが、旧商法のときのように効力発生日の前日を提供期間最終日とすることを想定した場合において、1項の規定ぶりが効力発生日以外の日を当該最終日とすることを認めないかのようにも読めるのですが、いかがでしょうか?
Posted by 以外と周辺にいる人 at 2006年05月20日 02:53
A1
 実は、株券提供公告というのは、株券が無効になることを告知する以外にそれほど大きな意味のない制度です。
 公告された期日までに、失念株主が株券を提供しない場合には、株式交換等の対価の交付を受けられないというのならば、意味があるのですが、無効になった株券は、対価の交付請求権を行使する有価証券となると解されているので、旧法のように株式交換の効力発生日の前日までに株券を提出せよという公告を出したとしても、株主は、効力発生日以降に、その無効になった株券を提示することにより、対価の交付を請求することができます。
 そういう点を考えると、会社の行為ごとに、微妙に提出期限の日を変えるより、効力発生日を提出期限とする方が、株主等にとっても分かりやすいという考えによったものだと思います。
 個人的には、効力発生日の前日を提出期限として揃えた方がきれいだと思いますが、大人の事情で、効力発生日を提出期限とし、効力発生日までは、完全子会社となる会社への株券の提出を認めようということになりました。
 このように決まった以上、効力発生日の前日を公告とすることは、法定の要件を欠いた公告になるので、株式交換の手続きに瑕疵が生ずることになりますので、ご注意ください。

Q2
 買取請求権の行使については、原則として株主総会における反対の議決権行使が必要であり、効力発生日の前日までにしなければならない(第116条第5項)とされていることから、株式会社は、株主総会を行使期間満了前に開催する必要があります。従って、株主総会の開催日を効力発生日とすることは難しいように思われます。
Posted by 内藤卓 at 2006年05月20日 04:02
A2
 総会で反対することを予定している株主は、総会で反対することを停止条件として株主総会の日の前に買取請求権を行使することができます。つまり、会社法は、買取請求権の行使時点で反対株主の要件を満たしていることを要件としていません。したがって、効力発生日を株主総会の開催日としても、買取請求権の行使の期限が株主総会の開催日の前日になるだけであり、特に支障はないように思います。

Q3
会社法施行に伴い発生する変更登記の登録免許税の話です。
当社の場合、5月中にストックオプションの変更登記がある為、併せて
 ①社外取締役
 ②監査役会設置
 ③会計監査人設置
という3つの変更登記を行わなければなりません。
それぞれ登録免許税が30,000円→合計90,000円発生すると司法書士から説明をうけておりますが(違っていたらスミマセン)、実態として会社は特に何もしていないのに、法律が改正されたから登記申請が必要となり、なお且つこれに税金を課している。また、この他に③を登記するには会計監査人の管轄が会社と違う場合には登記簿謄本が必要となり登記印紙代が発生する、更に現在問題になっている(『官』の判断による)監査法人の処分問題についても、今後少なからぬ会社で複数回の変更登記申請が必要になるかもしれず、(財務省、法務省、金融庁で連携して)会社法施行に照準をあわせて処分を決定したのか?と穿った見方もしたくもなります。
こういった形での課税は如何なものでしょうか。ご意見を伺いたいとともに免許税免除の可能性(法改正?)は無いのでしょうか。
恐らく多くの会社では「何だか釈然としないが、この程度の金額ならまあいっか。とにかく今重要なのは会社法やガバナンスの各種対応だ!」程度で済まされるような気がしますが、こういった形での課税は単純にヘン(不当)だと思います。第一、この臨時収入の使途はどうするのでしょうか。
Posted by キャン タマボーイズ at 2006年05月20日 06:13
A3
 会社法立案時には、改正に伴う登録免許税の負担ができる限り生じないようにするため、職権で登記できるように、みなし規定を沢山置いたわけですが(中小会社は、基本的には登記は不要のはずです)、会計監査人の氏名等については、職権で登記することができませんので、申請による登記をしていただくしかありませんでした。
 この会計監査人の登記については、今後も、会計監査人が再任される度に行うものですから、初回だけ登録免許税について特別の措置を講ずる理由はなく、また、経過措置により施行後6か月以内にすればよいことになっているので、ほとんどの会社は、定時総会後に取締役等の再任の登記等と同時に、会計監査人・監査役会等に関する申請をすればよいこととしていますので、実質の負担増はあまりないのではないかと思います。
 また、金融庁の監査法人に対する処分が、この時期に行われた理由を知る立場にはありません。しかし、会社法の理屈で考えると、会社法施行前に処分がされれば、欠格事由が業務停止期間の開始日ではなく、「処分を受けた日」に突然生じることになり、定時総会に向けた会計監査をしなければならない時期に、いきなり会計監査人が不在となる上場会社が多数発生し、かえって大混乱になったものと思います。
 また、会計監査人の選任、退任(又は資格喪失、不再任等)、仮会計監査人の選任の登記は、同時に申請すれば、登録免許税のコストは増加しないはずです。
 会計監査人の登記は、会計監査人に対する代表訴訟や損害賠償責任追及のために有用なものですので、ご理解いただければ幸いです。

Q4
7月1日以降に今回の業務停止を受けた会計監査人との監査契約を解約する場合、監査役会設置会社であれば、監査役会の決議で会社法340条1項1号ないし2号の事由に該当することをもって解約する必要があるのでしょうか。ただ、7月1日をもって会計監査人は会社の会計監査人ではなくなるので、業務停止後にそれを「解任」するというのも変な感じがします。今回の場合は、業務停止で会計監査人ではなくなるが、監査契約だけは残るという極めてイレギュラーな事態だと思います。実体のない抜け殻となった監査契約を、業務執行機関たる代表取締役が解除できると考えても不都合はないように思うのですが。また、会計監査人の方から監査契約の解除の申し入れを受けて解消することも可能でしょうか(民法651条)。いずれにしても監査契約だけを維持しておくというのはおかしいと思うのですが。
Posted by もも at 2006年05月20日 11:59
A4

 まず、会計監査人は、欠格事由が生ずることにより、当然にその地位を失いますから、その後に解任をすることはありません。
 次に、監査契約は、欠格事由が生じた場合に関する特約があればそれによりますが、それがなければ、監査法人の義務は、社会通念上、履行不能になるものと思われます。
 このような履行不能状態になった監査契約の解除については、会計監査人の解任とは関係がないので、取締役会の決議(又はその委任に基づく代表取締役の決定)によって可能だと思います。

Q5
会計の専門家の方の記述を読むと、計算規則に規定がないから・・・という理由で明確に記述されていません。弥永先生の本にも、「452条に基づいてその他資本剰余金を欠損金額を減少させることができるようにも思うが、計算規則50条2項及び52条1項の文言や、54条1項4号ととのバランスからその他資本剰余金を欠損填補に充当することはできないと考える方が自然かもしれない」とあります。
その性質から考えれば、配当原資になるその他資本剰余金なのですから欠損填補もその性質から可能だと思うのですが、「規定がないから」という理由でその性質を問わず明確な解答が出来なくなって・・・。法律って難しいですね。
資本の計数の変動より、さらに気になることが発生したのですが、結局、「30秒KISS」という偉大なる目的は達成されたのでしょうか?
Posted by 会計士受験生 at 2006年05月20日 12:08
A5
 計算規則は、会計基準でできることは、全部できるように作られています。
 「欠損金額」がその他利益剰余金のマイナスという意味であれば、その他資本剰余金をマイナスし(計算規則50条2項3号)、その他利益剰余金をプラスする(計算規則52条1項3号)ことにより、それを埋めることができます。

2006年5月20日 (土)

0点でも明日がある。

 新司法試験の1日目が終わり、択一でぐったりしつつ、2日目の勉強をしている受験生がほとんどだと思います。

 しかし、中には、1日目の点数があまりにも悪く、
「今年は、やめた。来年にしよう。」
というバカが必ずいます。

 私が論文試験を受けたときも、2日目、3日目となるにつれ、空席が増えていったのを覚えています。

 バカとは言ったものの、実は誰でも心の中にそんな気持ちが潜んでいるのです。
 人は不思議なもので、試験の成績が悪いと
 「自分を否定された」
ような感覚になってしまうんですよね。
 でも、試験は、あなたを否定したのではなく
 「あなたの今の姿を評価した」
のです。

 あなたの今の実力を真剣に評価してくれようとしている試験さんに、ソッポを向いて逃げていけば、いつまでも自分の客観的な姿が見えずに、今年の合格だけではなく、来年以降の合格すら危うくなります。
 たとえ、今日の択一が0点でも、可能性は0ではない。最後まで、自分の身をさらけだして、とことん評価してもらいましょう。

 昔話ではありますが、私も、論文試験の1日目3科目目の商法で、会社法に時間をかけすぎて、手形法を30分のやっつけ仕事で書いたあとは、まさに「ドヨーン」という表現がぴったりの気持ちになりました。
 そのとき、耳元にやさしい天使の顔をした悪魔がやってきて
「まあ、お前はがんばったよ。でも、来年でもいいじゃん。」
とささやきにきたのを今でも覚えています。
 私みたいな暢気な男でも、試験中に一度や二度、そんな悪魔がやってくるのです。

 そんなとき、私は、自分が不安であることや絶望していることを認めた上で
「今、逃げれば確率0%。逃げなければ、0じゃない。受かる可能性がある。」
とつぶやきます。

 それでも、気持ちがめげそうなときは・・
 自分が、どうして司法試験に合格したいのか
を唱えてみます。

 私の場合、司法試験の勉強を本格的に始める前、ずっと片思いをしていた女の子が
「1年間で合格したら、30秒キッスしてあげるよ」
という約束をしてくれたことが、司法試験を目指した動機でしたので、試験中に悪魔がきたら、その子の顔を思い浮かべて

  「30秒キッス。30秒キッス。30秒キッス」

と3回となえたら、悪魔は逃げていきました(笑)。

 呪文は、人それぞれ違うでしょう。
「正義。正義。正義。」でも、
「自由。自由。自由。」でも、
「金。金。金。」でもいいから、
自分が合格したい本質的な理由を唱えると、不思議と不安をコントロールできるようになります。

 新司法試験は、あと3日。
 3日後の夕方には、とりあえず苦しい時間は終わります。
 限られた時間で、ありのままの自分を試験にぶつけてきましょう。

(質問コーナー)
Q1
定款変更の必要性について教えてください。
会社(株券発行会社・非公開会社)の定款に「株券喪失登録」について旧商法の規定で定めがある場合、会社法(221条等)で改正されているところですので、定款変更すれば、会社法の株券喪失登録手続を行うことができるのでしょうか。それとも、定款変更しなくても、会社法と抵触するので、定款の記載はない(会社法の条文どおりの記載ある?)ものとして会社法の株券喪失登録手続を行うことができるのでしょうか。できれば定款を変更したくないのですが、定款変更の必要性についてご教示よろしくお願いいたします。
A1
株券喪失登録は、もともと定款によって導入するものではないので、会社法でも、当然に株券喪失登録手続きをすることができます。

Q2
社員全員がそれぞれ信用出資のみ又は労務出資のみを出資の目的としている,つまり市場価値ある「金銭等」の出資が全く行われていない合名会社A商事(念のため,出資履行請求権の資産計上もナシです)が,B株式会社に組織変更をする場合,B株式会社の組織変更直後の「資本金の額」は,
(1)当然に「0円」となり,
(2)組織変更に際して資本金の額を増加させることは(少なくとも現時点における会社法制の下では)できない。
【計算規則9条1項・53条・57条1号】
という理解で宜しいでしょうか。
A2
労務出資・信用出資が会計上財産評価ができないものであれば、そのとおりです。

Q3
弊社(3月決算)は、6月の総会(会社法手続で行きます。)において、第1号議案として、損失処理案を上程し(整備法99条)、その損失処理に際し、欠損填補のため法定準備金の一部を取り崩すものとし、第2号議案として、法定準備金の残額を全額取り崩す(会社法448条)予定です。
弊社の場合、整備法106条に該当しませんので、第2号議案の準備金の減少は会社法の手続に則って行いますが、第1号議案の損失処理として行われる準備金の減少手続についても、会社法の手続によると考えてよろしいでしょうか。
何が問題かといいますと、会社法の手続によれば「準備金の額の減少がその効力を生ずる日」(448条1項3号)が決議事項となっています。損失処理議案の中でも、準備金減少の効力発生日について明記する必要があるのでしょうか。
株主総会参考書類の議案の末尾にでも「なお、当該利益準備金および資本準備金の減少は、本議案の承認と同時に効力を生じます。」とでも記載しておけばよろしいでしょうか。
Posted by 瀬戸際の法務担当 at 2006年05月19日 12:49
A3
旧法で行う第1号議案については、特に効力を生ずる日を定める必要はないものと思います。

Q4
株式譲渡の承認機関について教えてください。
会社法第139条の但書の定款の別段の定めの例として、葉玉先生は100問で代表取締役を挙げられていました。
では、取締役が3名いて、取締役会非設置・監査役(業務監査権有り)設置・取締役の互選により代表取締役を選定するという機関設計の非公開株式会社において、「取締役」を承認機関と定めることは可能でしょうか。可能とした場合、承認の決定は取締役の過半数をもってすればよいのでしょうか。
また、承認機関を「監査役」とする定めや、「代表取締役の定めた第三者」とする定めはいかがでしょうか。
Posted by 匿名希望 at 2006年05月19日 13:25
A5
取締役の一人でも、取締役の過半数でも、結構です。
代表取締役の定めた第三者は、だめです。株式会社の機関ではないものには決定させることができません。
監査役は、機関ですから、文理上は、可能と解してもよいと思いますが、監査役の職務との関連で、本当にいいかどうか、ちょっと考える必要はありそうです。

Q6
 会計監査人との契約を解除できるのは、会社法上は株主総会決議または一定の事由がある場合の監査役会ですが、私法上の効力としての監査契約書には会社側からの解除事由が定められ、あたかも代表取締役の意思で解除が出来るようになっています。
 しかし前述したように会社法上の解除機関は限定されており、私法上の契約のみを代表取締役の意思で有効に解除することができるのでしょうか。
Posted by R at 2006年05月19日 14:57
A6
 それを認めると、会社法の規制を簡単に破ることができるので、だめです。

Q7
3月決算の小会社で譲渡制限規定のない会社が、平成18年4月に資本金が1億円をこえた場合に、平成18年5月1日の時点では登記の外見上、中会社で譲渡制限規定のない会社ですが在任監査役は会計監査権限監査役ですし、特例法上小会社として扱われているので、整備法53条の適用がなく、会社法施行時に在任監査役は任期満了する、と考えますがよろしいでしょうか?
Posted by 万年補助者 at 2006年05月19日 15:18
A7
それで、結構です。経過措置本62ページを参照してください。

Q8
監査法人がらみの質問ばかりで恐縮ですが、「過料」の制裁は、誰が課すのでしょうか?
法人登記の変更を半年くらいサボると、確か法務局からぴらっと一枚過料の納付命令がきたような記憶があります。
会計監査人の選任懈怠も同じように法務局からくるのでしょうか。
役員変更登記をうっかり忘れると過料は確か数万円程度でした。会計監査人の選任を怠るといくらくらいなのでしょうか。
法務局は、会計監査人が某監査法人になっている会社をピックアップして、一定期間までに何がしかの変更がない場合に、一斉に過料の通知を会社に送るのでしょうか。
あと、会計監査人が欠格事由に該当した場合、直ちに何らかの変更登記をしなければならないのでしょうか(抹消?)。それとも法務局が職権で何かするのでしょうか。
Posted by 参事官室によく電話する人 at 2006年05月19日 15:20
A8
過料は、裁判所が非訟事件として命令を下します。
今回の件で、どういう場合に実際に過料になるかは、なんとも予測がつきません。

Q9
組織変更は、新設型再編ではないと思うのですが(会社法746条3号)、代表取締役は、どこで選定すればいいのでしょうか?
Posted by パラリーギャル at 2006年05月19日 15:38
A9
組織再編で取締役会設置会社になった場合には、取締役会で選定します。組織再編は登記前であっても、効力発生日に効力が生ずるので、選定した後に、組織再編の登記をします。

Q10
以前の回答で、特例有限会社から株式会社への商号変更の際、既に選任から4(もしくは10)年を超えている特例有限会社の取締役は、商号変更の登記申請=退任となり、再度選任の必要があると理解したのですが、総会を1回で終わらせるために「商号変更決議の株主総会で、商号変更登記による退任を想定した補欠取締役(同一人物)を予選しておく」といったような方法は可能でしょうか?
上記の方法が可能だとすると、当該取締役が全員(代取含む)だった場合、取締役の全員及び代表取締役の予選まで可能なのかが疑問になります。定款で代表取締役の選定を「互選」「株主総会にて」「取締役会にて」となっている場合でそれぞれ違うような気もしますし・・・。
もちろん、最初の総会で全員改選しておくとか、商号変更の総会と役員変更の総会を2回開けばいいのでしょうが、上記の案件を想定したときに、「代表取締役の予選てできるのか?」という疑問がわいたので、このような質問となりました。
Posted by かーご at 2006年05月19日 16:20
A10
 現在、取締役である者を補欠取締役にすることはできませんが、別の人なら補欠を予選することは可能です。しかし、補欠を予選するくらいなら、普通、定款変更時に、全員改選するでしょう。
 この場合の代取の予選は、商号変更後も、非取締役会設置会社のままであればできると解しますが、取締役会設置会社になる場合は、できません。取締役会で選定する必要があるので。

Q11
株主の株式買取請求ですが、例えば譲渡制限の規定をを新設する場合には、効力発生日の20日前までに買取請求ができる旨の通知をしなければなりませんが。この通知をすべき株主は116条2項で、「反対をした株主」及び「議決権が行使できない株主」となってります。この場合
①単元未満株主
②議決権のある株主で賛成した株主(単元未満株はない)
③議決権のある株主で賛成した株主(単元未満株も有する)
④議決権のある株主で欠席および賛成しなかった株主
⑤反対の通知及び反対する旨を示した株主
といった株主が、株主総会の時点で存在する場合、①と⑤にあてて買取請求が出来る旨の通知をすればいいと思いますが、間違いないでしょうか?③及び④の株主への通知も必要でしょうか?
 また、効力発生日が株主総会の開催日である場合は、この買取請求できる旨の通知は、株主総会より数日前にする必要があるため、通知発送時点では株主(④や⑤などの株主)が、どういった意思表示をするかが不明です。よって株主全員に対して通知が必要かと考えますがいかがでしょうか?宜しく御願い致します。
Posted by 法務課1年目 at 2006年05月19日 17:37
A11
前提に誤解があり、116条3項は、「反対株主」ではなく、1項各号に定める株式の株主に通知しなければいけません。
つまり、反対かどうかにかかわらず、通知が必要です。
ただし、総会の招集通知と兼ねることができますし、公告に代えることもできます。

Q12
454条5項で「一事業年度の途中において」とありますが,「一事業年度」は半年でもよいのでしょうか。半年だとすると簡単に中間配当として四半期配当ができるようにしてあるということなのでしょうか。
なにとぞご教示賜りたくお願い申し上げます。
Posted by 短答式が近くて夜も眠れずにいる47歳 at 2006年05月19日 17:48
A12
あまり考えたことはありませんでしたが、そうなるでしょうね。
でも、一事業年度を半年にするより、総会で決議したり、会計監査人設置会社は取締役会で決議したりする方が、簡単だと思いますが。

Q13
 取締役:A,B,C/代表取締役:A+監査役
という役員構成の取締役会設置会社が取締役会を廃止すると,代表取締役について特に定めない限りA以外の取締役B・Cも代表権を持つことになり「代表権付与」の登記をすることになります。この登記申請の際にB・Cについて代表取締役としての就任承諾書及び印鑑証明書の添付は必要でしょうか。登記事項としてはB・Cについても代表取締役として住所・氏名を記載する訳ですが,職場では「取締役会廃止を決議した株主総会議事録+登記事項の別紙」だけで十分という説と,「就任承諾及び印鑑証明書」も必要との両方の説が聞かれまして,職場の資料や手持ちの書籍からは判断がつかず,ここで質問させて頂く次第です。よろしくお願いします。
Posted by 係員3号 at 2006年05月18日 00:10
A13
今日、確認してきたところ、取締役会廃止を決議した株主総会議事録で足り、就任承諾等は不要とのことでした。

Q13
取締役会を廃止して取締役全員が代表者となった場合というのは、次のどちらの状態に該当するのでしょうか?
①取締役全員を代表取締役に選定した会社
②代表取締役を選定していないため、取締役の各自代表となっている会社
この違いによって、代表者を1人の会社とするための法律行為が変わってくるのではないかと思います。
①の場合、代表取締役のみの辞任
②の場合、代表取締役の選定
よろしくお願いいたします。
Posted by パラリーギャル at 2006年05月18日 11:14
A13
②だと思います。

Q14
剰余金の配当の決定機関を定款で取締役会と定めた場合、任意積立金の処分についても株主総会の決議を経ずに、取締役会の決議限りで行うことができるという理解で良いでしょうか。会社法459条1項3号で、452条後段の事項については取締役会が定めることができるとされていますが、452条は、前段で株主総会決議によらなければならないとし、後段でその決議において決める事項を計算規則181条に委任しているところ、459条1項3号が「452条後段の事項」としているため、前段にあたる任意準備金の振替えを行うという事自体については株主総会の決議が必要となるのかというのが疑問です。前記の点について、株主総会の決議は不要なのかと言う点と、その場合、なぜ「452条後段の事項」と規定されているのかについてお教え下さい。
Posted by seeking for help at 2006年05月17日 14:30
A14
できます。459条1項は、取締役会が「事項」を定める権限を与えているところ、452条は、後段の「事項」を定めることにより、前段の決定をするという構造になっているので、459条1項3号は、後段のみを掲げているだけです(前段は「事項」で受けられないので)。

Q15
純資産の部の計数の変動に関する質問ですが、会社に欠損が生じている場合、その他資本剰余金で填補することは可能なのでしょうか。
452条を見る限りでは可能のようにも思えますが、会社計算規則50条では、その他資本剰余金の減少項目に欠損填補に関する減少は規定されていません。
仮に、填補することができない場合、配当可能である剰余金のプラスとマイナスが存在することになり違和感を感じるのですが・・・。
どのように理解すればいいのでしょうか。
A15
欠損が生じている場合には、その他資本剰余金がプラスであっても、配当をすることはできません。
 その他資本剰余金を減少させて、その他利益剰余金を増加させることは、会計上許されているので、452条によりすることができますが、二つの剰余金の合計額が変化するわけではないので、欠損がてん補されるわけではありません(ここでの欠損のてん補は、分配可能額がないという意味で使っています。その他利益剰余金のマイナスをうめるという意味でその他利益剰余金の欠損をてん補するという言い方をすることがありますが、その意味であるとすれば、可能です)。

2006年5月19日 (金)

新司法試験

 玉屋さんから、検索機能をつけて欲しいとリクエストを頂いたので、とりあえずつけてみました。ただ、最近の記事は検索できますが、昔の記事にはヒットしないようです。
 やはり、一番確実なのは、mさんのサイトから、検索用のテキストファイルをダウンロードして、WORDか、一太郎で検索という方法ですね。
 mさんのサイトは、私も愛用しております。
 私自身、このブログのバックアップを全く取っていないので、mさんには感謝感謝です。

 さて、今日から、新司法試験ですね。
 旧試験も、新試験も、試験時の心がまえは同じです。しっかりと「愛の告白」をしてきてください。

 新司法試験の鍵を握るのは、時間と決断だと思います。

 試験時間は、長丁場ですが、試験中はあっという間に時間は過ぎ去っていくもの。
 特に、論文は、書き始める前に悩みすぎると答案構成だけで時間の多くを費やして、結果的に時間不足で失敗します。
 「思い切り」も技術のうち。一定時間考えたら、勇気をもって決断し、答えを書きましょう。勇気をもって決断し、首尾一貫した答えを書くことができるならば、どんな結論をとっても、きちんと点数はつくはずです。
 また、長丁場であるだけに
「失敗した」「全然分からない」
という後ろ向きの気持ちに支配されても、大きく深呼吸を三回して


私の知らないところは、みんなも知らない。
私は、私の分かっていことを書こう。
採点者に分かってもらえるように丁寧に書こう」

と気持ちを切り替え、当たり前の条文を当たり前の解釈で書いてきましょう。
短時間で気持ちの切り替えができるか、どうかで、大きく点数が分かれます。


 それから、高い合格率に惑わされず、目の前に出された問題を、素直に、そして全力で解いてきてください。
 確かに、今年の新試験の受験生は2000人程度で、司法試験史上、最高の確率で合格者が生まれます。
 しかし、一般的な確率論は、個別の受験生にとっては無意味な議論です。
 新試験は、サイコロ勝負ではないので、能力のある人は合格し、能力のない人は落ちるという点は、どんな試験でも同じです。合格率が高いといって、勉強してない人や現場でニヤニヤしながら「今年は半分は合格するはずだから、俺も確率50%で合格するはず」等と妄想している人が、合格するほど新試験は甘くはありません。
 合格率の高さを頭の中からきれいに消し去り、全力を出した人にだけ、合格率が高いというプレゼントが待っています。
 悲観することなく、慢心することなく、平常心で問題に臨みましょう。
 至宝私見さんをはじめ新司法試験を受験する皆さん、がんばってください。

(質問コーナー)
Q1
業務停止処分を受けた監査法人について、熟慮の末変更しないとの結論をとった場合ですが①業務停止処分中については、別法人を一時会計監査人として選任し②業務停止処分期間終了後に、元の監査法人を一時会計監査人として追加選任することは可能ですか?
ダメなら最初の方に辞任していただくことになりますが・・。
また、①の一時会計監査人を選ぶ実質的理由は欠員を避けるという理由のためなので、規模や人員などにおいて監査能力にやや問題がある会計監査人を選任したとしても監査役の善管注意義務に反しないと考えてもいいでしょうか(贅沢は言っていられない状況です)。
それとも、無理に別法人を選任しなくとも、結果的に一時会計監査人すら探せない状況として、2ヶ月の空白期間があってもよい、という判断もありうるのでしょうか。
Posted by 参事官室によく電話する人 at 2006年05月18日 16:58
A1
 どの程度のことを行えば、選任の手続きを怠ったと言われないのかは、事実認定の問題なので、お答えすることができません。
 一般論としては、一時会計監査人を複数選任することは可能ですし、最初の一時会計監査人だけでは適正な監査が困難な場合に、追加して一時会計監査人を選任することもできます。

Q2
 会計監査人が7月以降いなくなる場合の会社について、一時会計監査人で翌年の定時総会までひっぱろうとする動きがありますが、その間取締役会が会計監査人を選任する努力をしなければならないのは当然として、一般的にみて「一時」とはどのあたりのことをいうのでしょうか。このような場合も「一時」といえるのでしょうか。
Posted by R at 2006年05月18日 17:18
A2
一時会計監査人は、会計監査人が選任されるまで、任期があるので、「一時」がどのあたりまでかという質問はややミスリーディングです。
むしろ会計監査人の選任を、どの程度遅らせることができるかという話だと思います。
仮取締役等を裁判所で選任してもらうときには、俗に6か月ルールというのがあって、6か月を超えるような場合には、臨時総会で選任してくれという運用が多いです。
 しかし、仮会計監査人は、監査役会で選ぶので、そこらへんは、6か月にこだわる必要はありません。確か、実務相談には、次の定時総会まで大丈夫と書いてありました。かつての法務省の担当者がそう言っているのならば、そういう見解も有力なのだろうと思います。

Q3
会社法218条、219条などでたびたび出てくる「効力を生ずる日」は、決議事項と考えてよろしいですか?
A4
218条は、定款の変更の効力発生日なので、定款の変更決議で決めます。
219条1校各号の行為の効力が生ずる日(219条3項)は、それぞれの行為を定める規定で効力発生日の定め方が決められています。

Q4
取締役会設置会社において、株式譲渡制限設定に関する定款変更を行う場合、定款変更にかかる総会の前(約1か月前)に公告、通知手続を行うことは可能でしょうか?
例えば、定款変更にかかる総会を7月10日に設定し、取締役会開催日を5月31日とし、決定翌日(6月1日)に公告、通知手続きを先行させる。可能でしょうか?
公告通知について、旧商法では決議後でしたが、会社法では効力発生日を基準とし、総会の前後を問わないとの理解でよろしいでしょうか?
Posted by 123 at 2006年05月18日 21:02
A4
調整マターではありますが、総会決議前であることが分かるならば、総会前でも、公告・通知は可能であると思います。

Q5
会計士受験の予備校の教材で374条の解説で『会計参与設置会社においては、取締役(執行役)と会計参与の意見が一致しない限り、計算書類は法律上作成されない』とされています。とすると、377条に規定されているような『会計参与が取締役と意見を異にするとき』という状況は成り得ないのではないかと思うのですが、その点について一つ解説をお願いします。
Posted by カリフォルニア at 2006年05月18日 22:23
A5
計算書類が作成されないと定時株主総会も開催できませんが、臨時株主総会を開催して、事態を打開すること(取締役か、会計参与を解任する等)が考えられます。377条は、その臨時株主総会等において、会計参与に意見陳述権を認めたものです。


Q6
①会社法252条4項「株式会社の親会社社員は」同5項「前項の親会社社員について」の「社員」ってなんですか?
株主よりも広い概念なんでしょうか?
有限会社法の亡霊を見るようで眠れません。
A6
31条3項で、親会社社員とは、親会社の株主その他の社員をいうと定義されています。例えば、親会社が持分会社であれば、持分会社の社員が親会社社員になります。

Q7
委員会設置会社の執行役は「役員」に入るのですか?ちがいますよね?では「使用人」なんでしょうか?
Posted by 葉玉クラスの講義を受けたかった at 2006年05月18日 22:25
A7
執行役は、役員でも、使用人でもありません。執行役という機関です。


Q8
持分会社から取締役会設置会社とする株式会社への組織変更はできるのでしょうか?
それとも、一度非取締役会設置会社として組織変更してから、取締役会設置会社とする変更をしなければならないのでしょうか?
組織変更の効力発生日前には、取締役会は存在しないので、代表取締役を選定できないのではないかと疑問に思います。
あと、新設系の組織再編では、設立時取締役が設立時代表取締役を選定できるという根拠条文は、会社法47条で良いのでしょうか?
Posted by パラリーギャル at 2006年05月18日 09:25
A8
 持分会社から取締役会設置会社に直接組織変更をすることはできます。

 新設型再編の設立時取締役等については、例えば、新設分割設立会社の設立時取締役は、新設分割計画の定め(763条3号)に従って選任され、新設分割設立会社の代表取締役は、当該設立時取締役の過半数をもって選定されます(47条3項)。
 会社法では、新設型再編は、会社の設立の一態様として整理をすることとしているため、新設型再編を行う場合であっても、原則として、設立に関する規定が適用されることとなっているからです。
 なお、設立時代表取締役を、あらかじめ定款により選定することは差支えないことから、新設合併計画の作成時に、新設分割設立会社の定款において代表取締役の選定に関する事項を定めることにより(763条2号)、代表取締役を選定することもできます。

Q9
株券不発行会社の場合、株式質の設定を第三者に対抗するためには登録が必要となりますが、この場合、後順位の株式質の設定及び対抗要件の具備は可能なのでしょうか。株券が発行されている場合は、これを動産質に引きつけて考え、第1順位の質権者を占有者として指図による占有移転を行うことで第2順位の質権を設定し、さらに対抗要件を具備するということも行われてきたように思いますが(民法355条参照)、会社法には株式について後順位の質権について言及している箇所はないように思います。民法の権利質の規定が適用になると考えると、民法362条2項の規定により民法355条が適用され、後順位の株式質も設定できるようにも思えますが、いかがでしょうか。会社法は、例えば民法364条については明文の規定で排除しているので、それ以外は民法の規定を排除するものではないと考えてよいのでしょうか、
Posted by さくらんぼは佐藤錦 at 2006年05月17日 01:35
A10
質権の対抗要件を具備することが可能であれば、第二順位の質権も設定可能でしょう。たとえば、株券発行会社は、株券の継続占有が対抗要件なので、指図による占有移転の方法が採れれば、それで一応大丈夫ではないかと思います。ただ、株券不発行会社は、なかなか難しいところです。社振法を作っているときに、かなり研究したのですが、民法の後順位質権がどんな効力を持つかということ自体、なかなかきちんと論じられていないため、旧商法の規律をあえて変えるようなことはしませんでした。

Q11
会社法の大家の葉玉先生にこういう質問は申し訳ないのですが・・・
初学者が訴訟法を学ぶ(実体法はある程度知識があるとして)のに、お奨めの教科書はございますか?
Posted by ネットくん at 2006年05月18日 19:45
A11
私は、会社法の大家さんではなく、LEC時代は、民訴で一世を風靡した男です(笑)。葉玉の民訴レジュメといえば、45期から数年間は、民訴選択者(昔は刑訴と選択制でした)に広く愛用された名品でしたが(自画自賛)、いかんせん、改正前の民訴ですので、そのままお配りすることもできません。
 最近は、民訴の教科書や予備校のテキストをめっきり読まなくなったので、お勧めするものはないのですが、最近の裁判所の書記官研修用のテキストは、よく出来ていると思います。これと、過去問なんかをやれば十分じゃないでしょうか。

Q12
このHPの笛吹きの人形?は、一体何物なのでしょうか?
実はプレゼントでいただいたガラスのペーパーウェイトの中に
この笛吹きの人形がサボテンと共に描かれているのです…
正体はご存知でしょうか…?
Posted by 人形とサボテン at 2006年05月17日 00:57
A12
 彼は、ココペリです。アメリカ南西部の岩絵に描かれたので、西暦200年から16世紀まで長きにわたって描かれてきたものです。ココペリのココは、神という意味で、ココペリは豊作をもたらし、幸運を呼び込む収穫の神だそうです。
 会社法であそぼを読んで、沢山の収穫を得て幸運を呼び込んでもらおうと思い、ブログの顔として笛を吹いていただいております。

2006年5月18日 (木)

初心者用論文勉強法

 先週・今週で、上場企業の総会の議案決定のための取締役会がひととおり終わったようなので、法務担当者は、頭を使う作業から、肉体労働に切り替わっているようです。
 今週に入って、わが職場にやって来る質問の量と質が、かなり変化しているのは、総会招集の準備のピークを超えたからなのでしょう。

 実務にちょっとだけ一服感が出たところですし、最近は極めてマニアックな実務的質問が多かったので、今週は、司法試験受験生を念頭においたブログを書いています。

今日は、トンペイさんから
「現在法律の勉強を始めて2年目で、そろそろ論文の勉強を始めようと思っています。しかし、具体的な論文の勉強の仕方がよくつかめません。実際に書くのは時間がかかるから、答案構成にとどめる、など言われているようなのですが、答案構成の仕方もよくわからないので、それについて教えてください。」
という質問をもらったので、論文作成能力をどのように身につけるかという点についてお話ししたいと思います。

 中学・高校時代、「日本人なんだから、国語なんて勉強しなくてもなんとかなる。だから、数学や英語に時間をかけろ。」という都市伝説を聴いたことはありませんか?

 勉強をサボる理由は伝染病のように広まりやすく、治癒しにくいため、一旦、その都市伝説を信じると、社会人になるまで国語を勉強しようという気にならなくなるのですが、そういう人は、いざ、社会に出て「葉玉君。○○さんへのお礼状を起案してね」「今度の企画のリーフレットを作って!」などと命じられたとたん、
「きちんとした文章を書くのって、こんなに難しいんだ。」
と愕然とすることになります。

 試しに、片思いのあの人にラブレターを書いてみましょう。メールはダメです。便せんに手書きです。
 この際、相手は、エビちゃんでも、ゆうこりんでも、もこみち君でも、マツケンでもいいから、少し高めの理想の人に、熱い思いを文章にしてみてください。

 1 どのような書き出しをすれば、相手にこの手紙への関心をもってもらえるか。
 2 どんな言葉で自己紹介すれば、自分に好印象をもってもらえるか。
 3 どんな流れで、「好きです」という文章につなげるのか。
 4 どんな修辞をすれば、「好きです」という真剣な気持ちが伝わるか。
 5 「相手に何をしてもらいたいのか」という結論を、きちんと相手に理解してもらえるか。

 以上の5点に注意してラブレターを書こうとすると、なかなか言葉が出てこないことを痛感できます。
 また、自分に文章力があるかどうかを試したければ、書いた後、声に出して読んでみましょう。

 「ぐわっ、これは、恥ずかしくて、とても相手には出せない」

と、これまでの人生で味わったことのない恥辱感にまみれた人は、書くスキルが不足しているのでしょうし

 「これを読めば、エビちゃんは、俺にメロメロだ。」

と思った人は、読むスキルが不足していると考えられます(笑)。

 別にラブレター教室をはじめるわけではないのですが、司法試験の論文も、ラブレターも、要点は同じであり
1 相手の関心を的確に捉え
2 自分の考えた筋道を、わかりやすい(=論理的で平易な)言葉で表現し
3 相手の関心に対して、端的に答えて、相手を満足させる。
というのが「書くスキル」の本質であると思います(ここらへんは、新司法試験や論文試験を控えている皆さんも、もう一度、かみしめて欲しいところです。)

では、そうした「書くスキル」を身につけるための勉強法は、何か?

・・・それは、新会社法100問の末尾に載っている「本書を使った勉強法」を見てください。

と宣伝した上で、勉強2年目であるというトンペイさんのために若干カスタマイズすると

1 これから半年間は、毎日1時間、「簡単な問題」について論文を書く時間を作ろう。
2 最初は、論点を落としたかどうかを気にするよりも、必要な条文が、ちゃんとした順番で出てきているかどうかをチェックしよう。
3 個別の論点については、長々と書くのはやめ、言葉足らずでもいいので、せいぜい200字くらいの短い文章で書いてみよう。

ということになるでしょう。

 トンペイさんが、この1年間、論文を書いていないとすれば、はっきり言って、この1年の勉強の成果は、「何も身についていない状態」だと思います。下手でもいいから、限られた時間で論文をOUTPUTする。これをやらないと、何をINPUTして良いかも分からず、漫然と法律を勉強したつもりになっているだけです。

 「論文を実際に書くのは時間がかかるから、答案構成を・・」というのは、大間違い。
 答案構成は、論文を書くための骨格ですから、論文の仕上がりについて具体的なイメージを持てない人が、骨格だけ勉強しても、大腿骨を腕につけるようなことになるのは、目に見えています。

 そもそも「実際に書くのは時間がかかる」というところに、私はスゴーくひっかかりがあって、「1時間以内に1問書くのだから、時間はかからない。」というのが持論です。
 新司法試験の問題の最終形は、プレテストなどを見る限り読むだけで非常に時間がかかるので、1時間では無理でしょうが、初心者のトレーニングで、あの問題をやるのはナンセンス。
 演習書等に載っている基本的な問題について、1時間と決めて、その時間内に書けるものを書く。1時間で終わらなくても、そこで打ち切るというのが、初心者の論文勉強法の定番でしょう。
 論文の勉強で重要なのは
 1 書くこと自体に対する心理的障壁が取り除く
 2 自分なりの分析・論証パターンを確立する
ということであり、これらは、実際に書くこと以外に身につける方法はありません。
 この基本的な1時間の勉強をやった上で、オウムの力、キリンの力、サイの力(新会社法100問参照)で触れた勉強をすれば、半年後には、まず間違いなく基本的な論文作成能力は身についていることでしょう。私が保証します。

(質問コーナー)
Q1
 反対株主の株式買取請求権に応じて株式会社が株式を取得する場合は、自己株式の取得にはあたらないのでしょうか。
 155条各号において、自己株式の取得を限定列挙していますが、その中に、株主総会決議に反対した反対株主の株式買取請求に応じて株式を買い取る場合の116条や469条があげられていません。
Posted by T at 2006年05月17日 13:45
A1
施行規則27条5号・会社法155条13号に買取請求権に応じたときが掲げられています
Q2
□単元未満株式の買取請求に会社側が応じなければならない義務はあるのでしょうか。
116条に規定する反対株主が株式買取請求をした場合には、その代金を支払わなければならない(117条1項)とされ、代金の支払いの時に効力が生じるので(117条5項)、株式買取請求に応じ株式を買取る義務があるかと思います。また、譲渡制限付き株式の場合に、取得することの承認について承認をしない旨の決定をしたときは、買い取らなければならない(140条1項)とされ、ここでも買取る義務が明示されています。しかし、単元未満株式の買取請求に関しては同様の規定が無いようにも思えます。この場合、単元未満株式の買取請求に会社側が応じなければならない義務はあるのでしょうか。また、それに関しての明文上の根拠は存在するのでしょうか。
Posted by T at 2006年05月17日 13:45
A2
 条文の読み方に誤解があります。
 買取を請求することができるという規定は、当然、請求があったときには、会社は買取をしなければならない義務を生じさせるということを意味しています。
117条1項は、買取義務を生じさせる規定ではなく、代金の支払時期を定めた規定です。
140条1項は、買取請求ではなく、譲渡承認請求があった場合の規定であり、譲渡承認請求からは買取義務は発生しないので、承認拒否を要件として、買取義務をかけているのです。

Q3
募集株式の割り当てにおいて、株主の有する株式の数に応じて株式を割り当てる必要があるか。募集株式の発行をする場合において、株主に株式の割り当てを受ける権利を与える場合には「株主は、その有する株式の数に応じて募集株式の割り当てを受ける権利を有する」(202条2項)とされ、割当を受ける権利に関しては有する株式数に応じた権利が付与されているかと思います。しかし、割り当ての段階になると、同様の規定はありません。すると、株式会社は申し込み数に応じた株式を割り当てることなく、取締役会決議のみで、恣意的に特定の株主に株式を取得させることが可能になってしまうのでしょうか。これを避けるために、申し込み数に応じてという制約を課す必要があるかと思うのですが、これは204条からダイレクトに読み込むことが出来るのでしょうか。それとも、株主平等原則(109条1項)などの条文を根拠に204条に読み込むのでしょうか。
Posted by T at 2006年05月17日 13:46
A3
 株主が株式の割当てを受ける権利を行使した場合には、当該株主は、当然に募集株式の引受人になるので、204条1項等の割当の手続に関する規定の適用はありません。

Q4
①新株予約権無償割当て(277条以下)で、行使期間について、例えば「無償割当ての効力発生日から2年間」と定めた場合、無償割当てを受ける株主に対する通知(279条2項、126条)が行使期間の初日の2週間前までに要求されていることとの関係上、無償割当ての効力発生日に当然に通知義務の懈怠に陥ることとなってしまう(976条2号)のではないでしょうか。
基準日を設定して、当該基準日を無償割当ての効力発生日と定めると、これに先立って株主に対し個別の通知を行うことは実務上困難とも思われ、実際のところ上記のような行使期間の定めはすべきでないと考えられますが、いかがでしょうか。
Posted by KT at 2006年05月17日 15:45
A4
「無償割当ての効力発生日に当然に通知義務の懈怠に陥ることとなってしまう」というところが、意味が分かりません。行使期間の初日が効力発生日であるとすれば、その効力発生日の2週間前までに通知をすればいいのではないでしょうか?
 質問後段についてですが、「基準日=効力発生日」とすると、おっしゃるように、上場企業では、基準日の2週間前に割当ての通知をすることは事実上無理ですから、効力発生日を遅らせる必要があると思います。

Q5
商法第280条ノ5ノ2第1項但書による授権決議の会社法施行後の効力について、結論は出ましたでしょうか?
Posted by イカ at 2006年05月16日 10:48
A5
遅れてすいません。授権決議は、株式の発行の決議の一種ですから、施行前に授権決議があった場合には、整備法98条により、その授権決議に基づく新株発行については、旧法の例によります。

Q6
会社が剰余金の配当や新株発行を株主に対して行う場合、「業務執行」に当たるのでしょうか。また、その際、代表取締役が会社を「代表」してかかる行為を行うのでしょうか。
Posted by たけし at 2006年05月15日 22:35

A6
・剰余金の配当も新株発行も、業務執行(その決定は別)にあたるでしょう。
・剰余金の配当は、契約ではないので、代表権は不要です。
・新株発行においては、申込み及び割当により新株発行契約を締結するので、会社側は代表取締役が行為を行う必要があると思いいます。

Q7
旧商法における新株予約権原簿は、会社法の新株予約権原簿とみなされないと考えることは正しいでしょうか。
正しいとすると、旧商法下における新株予約権原簿は作り直さないといけないのでしょうか。
Posted by 法務部猛虎課今岡担当 at 2006年05月15日 13:39
A7
みなし規定はありませんが、新株予約権原簿は、旧法の規定に従った記載内容であれば、一部、新法に特有の部分を書き込むことにより、新法の規定に従った新株予約権原簿になります。

2006年5月17日 (水)

千問書名 当選者発表

 書名を公募しながら、出版時期が延び延びになること幾星霜。
 オオカミ少年と罵られながらも、我々が渾身の力を込めて書き下ろした「千問」の出版予定が、ついに決まりました。
 その名も

   論点解説 新・会社法
     千問の道標 

 商事法務から出版されます。
 6月14日あたりには全国の有名書店に並ぶ予定ですが、一部の書店では、6月7日ころには、店頭でお買い求めいただけると思います。
 編著は、相澤哲・葉玉匡美・郡谷大輔という強面の三人衆。
 著者は、立案担当の局付・元局付・調査委員すべてという豪華キャスト。
 約1000ページの上製本でありながら、価格は、なんと
 税込4410円(税抜4200円)。
 専門書の常識であれば、1万円を軽く超える1000頁本であるにもかかわらず、こんな値段を設定できるのは、人件費の安い編著者を使うことにより、大幅にコストダウンした結果でございます(笑)。
 
 この「千問」のウリは、次のとおり。
1 会社法・最新の会社法施行規則・会社計算規則に完全対応した唯一の実務Q&A集(補欠役員、総会の手続、防衛策、計算、合同会社など類書ではあまり触れられていない分野も、徹底解説)。

2 企業法務・証券発行・計算・登記その他、実務上解決しなければならない典型的な問題や難問について、会社法立案担当者が明快に答える。

3 会社法の知識がいまだ整理できていない方のために、多種多様な図表により、会社法の全体構造の理解を助ける。

4 会社法を使いこなそうという意欲のある方に、「この条文には、こんな使い方もあるんだ」という秘伝を伝える。

5 会社法辞典・コンメンタールとしても使えるようにするために、充実させた索引・条文索引

6 「会社法であそぼ」によるアフターサービス付(笑)

「旧法についてごく基本的な知識のある人が、会社法の実務をやるときの手引きとなり、読み込めば、会社法の達人にもなれる定番の本」を作りたくて、練りに練った意欲作。
それが、「論点解説 新・会社法 千問の道標」です。

 商事法務の連載と重なる記述も若干ありますが、どの部分も大幅にパワーアップしていますし、連載後に寄せられた数々の質問にも、もれなく答えています(ただし、一時的な経過措置は、経過措置本にお任せしています。端株や特例有限会社に関する重要論点は載せています)

 また、このブログで聞かれた質問のうち汎用性のあるものを、かなり取り込みました。これで引用元として「葉玉ブログ」ではなく、「相澤他編著 論点解説」と書くことができるようになります(笑)。

 さらに、これまで論じられたことが無かった新しい会社法上の論点についても、真剣に考えて回答していますので、この本でしか読めない記述が多数。

 私が言うと、ただの宣伝になりますが、会社法に携わる弁護士さん、公認会計士さん、司法書士さん、税理士さん、法務部の方は、買う買わないは別として、一読されることを強くお勧めします。

 なお、この千問は、一から会社法を勉強するための本ではないので、初心者にはお勧めできませんが、ロースクールで会社法を勉強されている学生の皆さんは、事例に則して、会社法を活用していくためには必要不可欠な問題が沢山載っていますので、是非、参考にしてください。教科書で勉強して分からなかったところ、もっと具体的に知りたいところを調べるのに役に立つと思いますし、載っている図表を理解するだけでも、高い学習効果が得られます。

 旧司法試験組の皆さんにとって、この本が必要かというのは、会社法をどの程度マスターしたいかということによります。
 「会社法は12分の1だから、平均点のちょっと上が取れればよい」という方は、この本を読む必要はないでしょう。
 逆に「どんな問題がでても、それなりに対処できるように会社法を理解しておきたい」「将来、弁護士として企業法務もやってみたい」という人にとっては、必携の本だと思います。発売後には、新会社法100問と千問の道標の相互参照をこのブログで発表する予定です。

 以上、今日は、徹頭徹尾、宣伝モードでございましたが、ここ半年、私の貴重なオフタイムを削り続けた千問からやっと解放される喜びが爆発しておりますので、ご容赦ください。

 最後に、「本の名前をつけてください」キャンペーンの当選者の発表です。
「論点解説」は、残念ながら応募作品の中にはありませんでしたが、副題である「千問の道標」につきましては、
 『会社法 1000の道標』という題名で応募していただいた「まやま」さん
を当選者といたします。
 「千問の道標」は、法律書っぽくないところと、「私達は、道標をつけるだけ。実際に、会社法の道を歩き、さらに道を切り開いていくのは、読者の皆さんだ。」というイメージがすごく気にいったので、副題とさせていただきました。

 また、千問の帯の中で「ツールボックス」という言葉を使わせていただきました。
 「この本は、お上が規制内容を説明するような本ではない。皆さんが会社法を使いこなす上で必要な道具箱に過ぎない。」という趣旨のことを伝えたかったからです。
 そこで、審査員特別賞を
「会社法ツールボックス」という題名で応募していただいた「みいな」さん
に授与いたしたいと思います。
 
「まやま」さんと「みいな」さんには、副賞として
「葉玉を適当に使ってよい券」
が贈呈されますので、「shomeitousen@yahoo.co.jp」に、メールをいただけたら幸いです。
 詳しいことは、そのメールでやりとりしたいと思います。

 残念ながら、今回、選にもれた応募者の方も本当にありがとうございました。
 また、何か企画をしますので、そのときも多数のご応募をお待ちしております。


(質問コーナー)
Q1
監査役会設置会社において、会社法第2条16号に定める社外監査役要件を形式的に満たす者については、例外なく(強制的 に)社外監査役としての登記が必要であると理解しています(会社法第911条18号)が、宜しいでしょうか。
 その一方、会社法施行規則第2条3項8号ロ(1)には「会社法第335条第3項(監査役会設置会社)・・・の社外監査役であるものとする予定があること」と書かれており、第335条第3項の社外監査役として取り扱うか否かは任意的なもの、とも読めます。同旨のことが、商事法務No.1762の法務省令解説(4)10頁中段以降にも書かれていますことから、形式的に社外監査役要件を満たすものであっても、監査役会設置会社において「(社外監査役」や「社外役員」として扱わなくてもよい場面があるのかどうか・・・、混乱してしまっています。
A1
監査役会設置会社について、法律上必要な社外監査役の数については登記が必要ですが、それ以上は、責任限定契約など社外監査役としての効果を生じさせない限り、その監査役について社外監査役としての登記は不要です。詳しくは、千問に書いてます。

Q2
「取締役〜〜なったことがないもの」と規定しておりますが、この「取締役」は
社外取締役を含むのでしょうか?
A2
文言どおり、社外取締役であれ、一旦、取締役になった以上、社外監査役になることはできません。そこは、社外取締役の社外性と異なるところです。

Q3
ストック・オプションの付与の流れとして、①募集事項の決定(238条1項)→②募集事項等の通知(242条1項)→③引受けの申込み(242条2項)→④割当個数等の決定(243条1項、2項)→⑤割当個数の通知(243条3項)→⑥割当て、という流れはできると思いますが、実務上①と④との2回の取締役会を開催することは困難なこともあります。
そこで、①募集事項の決定+④割当個数等の決定→②募集事項等の通知→③引受けの申込み→⑤割当個数の通知→⑥割当て、という流れとしたいと思っています。この場合、④割当個数等の決定は、付与対象者から●個の新株予約権の申込みがあることを条件として、当該付与対象者に●個割り当てる、という条件付決議となると思っています。このような条件付の④割当個数等の決定の取締役会決議が会社法上できない理由はないと思うのですが、いかがでしょうか?なお、244条を利用することは考えていません。
Posted by てぃ at 2006年05月16日 02:36
A3
まあ、条件付決議の内容次第ではありますが、そういうこともできると思います。

Q4
会社法施行規則2条3項18号の「特定関係事業者」の定義に「主要な取引先」という言葉が出てきますが、これはどのように考えればよいのでしょうか。
例えば、会社の売上高に占める割合が10%以上の顧客(企業)の場合、通常は、その顧客は主要な取引先に該当すると考えるべきでしょうか。
Posted by ダ・ピンチ at 2006年05月16日 07:09
A4
主要な取引先とは、会社の行う仕入れ,販売,資金調達等に関する取引の中心となっている相手方のことをいい,メインバンクや売上高の大きな部分を占める販売先等がこれに当たります。会社の規模等によっても異なるので、売上高10%という数字だけでは何ともいいようがありませんが、主要だと思えば、書いた方がいいでしょう。

Q5
昨日のQ4についてですが、会社法第427条の「定款で定めた額の範囲内であらかじめ株式会社が定めた額」のあらかじめ株式会社が定めた額というのは、具体的契約をする際に決定された金額を指すのだと思っていましたので、それはもともと取締役会等で決定するのだと考えていましたが…。
HOMEさんの質問は「定款で定めた額」を「金○○円以上」という表現ではなく、「最低責任限度額以上」で置き換える事が可能か、ということだと思うのですが、それは無理ということですね?
Posted by 万年補助者 at 2006年05月16日 09:19
A5
そういう意味だとすれば、最低責任限度額は客観的に定まるので、そのような定めは可能です(これは、以前どこかで答えような記憶があるのですが・・)

Q6
種類株主総会と書面投票制度についてご教授ください。
種類株主が1名の会社が、書面投票制度を採用して種類株主総会を開催する場合において、その唯一の種類株主が書面投票で議決権を行使し、総会には出席しない場合、種類株主総会は成立したといえるのでしょうか?総会には株主の出席がなく、会議体として成立したとはいえないのでしょうか?
325条が準用する298条1項3号は「株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使できることとする…」と規定されており、書面投票により議決権を行使した場合は、総会に出席したとはいえないと思われます。
Posted by 法務課員 at 2006年05月16日 13:55
A6
書面投票分は、325条において準用する311条2項で、出生した株主の議決権の数に算入します。

Q7
取締役会非設置会社における取締役の利益相反取引については、356条により「取締役は株主総会の承認を受けなければならない」とあります。この「承認」とは、普通決議要件で承認があれば足りるという意味でしょうか?
Posted by ヤサオトコ at 2006年05月16日 18:32
普通決議です。

Q8
> 定款で、任期を10年と定めた場合に、それを株主総会の決議で短縮するのは、332条の問題ではなく、その定款の解釈によります。定款が、短縮を認めているのならば、可能ですし、認めていないならば、不可です。
 定款に、株主総会の決議で短縮を認める旨記載されていたら、取締役の短縮は可能。それでは、監査役についても、定款に短縮を認める旨の記載がされていたとしたら、短縮は可能ですか?
監査役については、「短縮することを妨げない」但し書きは存在していません。なぜ、監査役には、但し書きが存在していないのでしょうか。
Posted by ノンノン at 2006年05月16日 19:42
A8
若干、誤解があるようですので、詳しく説明すると
監査役の法定の任期4年は、定款をもってしても短縮することができないのが原則です。
例外は、補欠監査役のときのみ。
ノンノンさんのご質問は、10年に延長する場合に、6年とか4年とかに「短縮」することができるかという話だと思います。
これは、「短縮」というより「法定の任期4年を、10年延長するか、2年延長するか、延長しないか」という延長の度合いの問題ですから、定款で定めることができます。

Q9
①総株主の半数以上であって、②総株主の議決権の4分の3以上という株主総会の特殊決議(309条4項)について質問させていただきます。廃止された有限会社法48条1項と同じ規定ですが、廃止された有限会社法48条2項では、「議決権を行使できない社員」は、上記の①と②のいずれにも算入しないと規定されていました。会社法には、有限会社法48条2項に相当する規定がありません。としますと、会社法309条4項は、「議決権を行使することができない株主」も、当該定款の変更については議決権を行使でき、上記の①=頭数要件と②=議決権要件の「いずれにおいても算入する」ということになるのでしょうか。お忙しいところ、宜しくお願い致します。
Posted by help at 2006年05月16日 20:33
A9
母数としての総株主には、議決権を行使できない株主も算入するが、議決権を行使することができない株主は、やはり議決権を行使することはできないという解釈だったと思います。

Q10
会計監査人に関する質問です。7、8月の金融庁の行政処分が終わるまで一時会計監査人を選任せず、9月1日に中央青山をを一時会計監査人に選任し、来年の総会で正式に選任することとした場合、①2ヶ月間も一時会計監査人を選任しないでおいてよいのか、②当局から行政処分を受けるような監査法人を会計監査人に選任することは義務違反にならないのか、という問題は当然生じるかと思います。実際に、急に他の監査法人に依頼して引き受けてもらえるものか、という懸念があり、このような現状を説明したとして会計監査人の不在がどの程度許容されるものであるか不明であり実に悩ましいところです。先生はどうお考えになりますか。
Posted by 山茶花 at 2006年05月16日 21:26
A11
個別の問題は、私は答えられません。一般論をいえば、会計監査人・仮会計監査人の選任手続を「怠った」と評価されるかどうかが問題なのですが、積極的に一時会計監査人を選任しないという態度は、故意に「怠った」ことになりそうですが、会計監査人を捜したけれども、見つからなかったら、「頑張ったのだから、怠っていない。」という感じになりますね。

2006年5月15日 (月)

もうダメだ〜

 私は、長年受験生の指導をしていたので、択一直後に、受験生が発する
「もう、ダメです〜」
という声を、腐るほど聞いてきました。
 私は、その度に
「で、何がダメなんだ? 法律家になるのを辞めたのか?
 辞めると決めてないなら、勉強しろ。」
と叱咤してきました。

 択一の問題の持ち帰りが可能になり、予備校が答えを配ったりするので、今頃は、「安全」、「微妙」、「ダメ」というのを、つい自分で判断しがちになるんですね。

 しかし、私に言わせれば、そんな自己採点や自己判断は、2つの点で、無意味です。

1 まず、まだ正式な合格点すら決まっていないのに、なぜ勝手に「合格推定点」を決めて、自分で落ちたと判断するのか、不思議でたまりません。
 あなたに、ちょっとマゾが入っていて
「ああ、私は落ちたみたいだぞ。ああっ。なんという絶望感!、なんという快感!」
というのならともかく、
 「不合格が決まるまでは、合格可能性はある」
という大原則を忘れてはいけません。
 受験指導者時代、毎年、必ず「落ちたから旅行してきます」と言って、択一の合格発表まで遊んできて、択一合格を知って青ざめてた奴がいました。
 落ちて青ざめるのならともかく、合格して青ざめるのは、ただのバカです(笑)。

2 次に、一旦、法律家になることを志した以上、法律家をやめるとき以外は、法律の勉強を続けなければならないのです。
 よく「択一に落ちた可能性が高いので、しばらく自分を見つめ直したいと思います」という奴がいます。
 これも、バカ者、大バカ者です。
 「自分を見るくらいなら、教科書を見ろ。
 自分を見つめ直して、うっとりするのは、ナルシストだ!
 勉強しながらだって、十分、自分を見つめ直す時間はある!。」
 私が、あなたの先生ならば、叱りとばします。
 自分が試験でいい点がとれなかったことを、
「勉強せずに遊ぶための言い訳」にしてはいけません。
 あなたが、択一に合格するのか、不合格になるかは、神のみぞ知るわけですが、客観的に、合格発表後に、あなたがやるべきことを列挙すると
 ・合格→法律の勉強をする
 ・不合格+来年も旧試験→法律の勉強をする
 ・不合格+ロースクールに行く→法律の勉強をする
 ・不合格+法務関係の仕事に就く→法律の勉強をする
 ・不合格+法律と全く縁のない世界にいく→その世界の勉強をする。
ということで、どんな選択肢を取ろうとも勉強しなければならないのです。
 「来年、受験するかどうかわからないから、しばらく休む」という甘えた考えは、不合理かつ非論理的な思考であり、
 「来年、受験する『可能性がある』から、今、法律の勉強をする」
というのが正解です。
 この時期は、論文試験というゴールに向かって短期間で全科目を集中的に勉強できる環境が整っていて、一番実力を伸ばすことができる時期です。
 全くの記念受験の人は、基礎から勉強するのもよいですが、ある程度、本気で勉強した択一不合格者は、来年の択一後のシミュレーションとして、論文試験を受けるつもりで、この2か月を勉強することが重要です。択一合格者は、この時期ぐーんと実力を伸ばすのですから、択一不合格者がここで差を広げられれば、来年はもっと苦しくなります。
 択一合格者と一緒に論文の模試を受け、自分と大して実力が違わない人が合格していくのを見ることにより、自分の立ち位置を確認することもできます。

 以前、「ピンチこそ、最大のチャンス」であるという話をしました。
 択一で点数を取れなかった人は、まさに、今、その言葉を実践するときです。
 苦しいときに、チャンスをつかめる力を身につけることが、人生の成功を導きます。
 神様は、あなたに、今、すごく良い機会を与えているのです。
 どんなに苦しくても、今こそ、泣きながら勉強しましょう。

(質問コーナー)
Q1
(昨日のQ2関係)計算書類が取締役会決議により,確定している場合,合併の公告で要求されるのは18年3月期のBSということになりますが,この公告内容は,会社法施行規則199条1項7号に該当するもので,決算役員会で承認されたBSの要旨ということでしょうか。
また,この場合,公告内容は,計算書類規則6編2章によるとなっていますが,18/3は旧法ベースの計算書類ですので,旧法ベースの要旨の公告でよろしいのでしょうか?
Posted by 実務者はつらいよ at 2006年05月13日 13:11
A1
旧法ベースの計算書類も、会社法相当規定に基づいて作成したものとみなされるので、旧法ベースの要旨の公告でいいと思います。

Q2
処分を受けた監査法人関連で質問させてください。
3月決算の会社で、期中資本金増加により6月の株主総会以降大会社扱いとなることから、会計監査人を初めて選任するのですが、候補者が例の法人です。
6月集中日の定時株主総会において、「同法人の選任をお願いするが効力発生日を処分明けの9月1日とする、尚、総会日〜8/31日の間は、監査役会が仮会計監査人を選任する予定である」とする議案を出すことは問題ないでしょうか?
Posted by 平法務部長 at 2006年05月13日 23:51
A2
期限付きの選任決議は可能です。
一度も会計監査人を置かないまま、仮会計監査人を選任するのは、問題が多いように思います。

Q3
公開会社がストックオプションとして新株予約権を割り当てる場合には、新株予約権について譲渡制限を付すことが多いと思います。この場合、条文をそのまま読むと募集事項の決定(会社法240条・238条)と、従業員等への割当の決定(243条)と、2回の取締役会決議が必要になるように思えます。
 これにつき、割当の決定を募集に対する申込みがあったことを条件するものとして、募集事項の決定と割当の決定を1回の取締役会決議で行うことも考えられると思いますが、かかる決議の方法は認められるでしょうか?特にそれを禁止する根拠もないように思うのですが、いかがでしょうか?
Posted by しげさn at 2006年05月14日 22:20
上記しげさnの質問に関連しまして、
記載されているケースでは、244条の総額引受により1回で済ませるのが実務に近いと思うのですが、
この総額引受について法務局に聞くと、
1名が引き受ける場合のみ可、という見解と、複数名でも募集株数と引受契約の株数の合計が一致していれば可、
という見解があるようです。
 旧商法からある規定ですが、複数名でも可であり、引受人と引受株数がはじめから決まっている場合は、総額引受により1回の取締役会で済む、という認識で間違いないでしょうか。
Posted by kohikia at 2006年05月14日 23:24
A3
 しげさnの質問については、募集事項の決定の前から、従業員から具体的な申し込みがあり、それに割り当てることが可能ならば、総数引受契約を締結しているように思います。
 総数引受契約とするのが困難であるという事情があるときは、要件さえみたせば、同一機会に決定することも可能であると思われますが、要件を充たすために一工夫が必要でしょう。
 kohikiaさんの質問については、複数名と総数引受契約を締結することができるかという点については、複数名との契約も可能です。ただし、その複数名との契約が全体として一つの契約であると認められなければ、それは、単なる個々の引き受け契約の
集合体にすぎず、総数引受契約にならないので、注意は必要です。

Q4
役員の責任限定規定について教えてください。
4月6日Q8によれば、会社法第427条にもとづく定款の定めについて、「・・・当該契約に基づく責任の限度額は、法令が規定する額とする。」とする規定が可能、とのことでしたが、以下のような規定とすることも認められますでしょうか?
「・・・当該契約に基づく賠償責任の限度額は、同法第427条第1項の最低責任限度額以上であらかじめ定めた額とする。」
Posted by HOME at 2006年05月14日 23:48
A4
「あらかじめ定めた額」というのは、定款では定めず、取締役会等に委任するという趣旨でしょうか。それは、定款で定めるべき事項について委任することになるので、難しそうですね。

Q5
332条の取締役の任期の但し書きに、「任期を短縮することを妨げない」とあります。
たとえば、非公開会社で定款に取締役の任期を10年としている、うり株式会社があったとします。取締役にAとノンノンがいます。新たに葉玉さんを選任するとき、葉玉さんの選任議事のなかに「葉玉さんの任期は2年に短縮します」、と書かれていたら、葉玉さんだけ2年の任期でOKということになりますか?
それとも、そもそも取締役や監査役などの任期は、定款に「10年以内とする」と記載したら、選任する人それぞれに任期を設定することができるのでしょうか。
Posted by ノンノン at 2006年05月15日 11:48
A5
定款で、任期を10年と定めた場合に、それを株主総会の決議で短縮するのは、332条の問題ではなく、その定款の解釈によります。定款が、短縮を認めているのならば、可能ですし、認めていないならば、不可です。

Q6
株式譲渡制限の定めを設定し,公開会社から非公開会社となる手続の質問です。
株券不発行会社が,6月22日の定時総会で効力発生日を同日とする株式譲渡制限の定め設定の決議を行う場合,反対株主の株式買取請求権に関する会社法116条3項の通知を兼ねた招集通知を全部の株式の株主を対象として6月1日に発送していれば問題はないのでしょうか。
また,当該通知を怠った場合でも,議決権を行使できない株主が存在しない場合であれば,株主全員の賛成により決議がなされているか,株主全員が通知の省略に同意していれば,手続の瑕疵は問題とならないのでしょうか。
Posted by 猫太郎 at 2006年05月15日 13:30
A6
前半は、それでよいと思います。
後半は、招集通知は省略できますが、株式買取請求権の通知の省略は難しいと思います。

Q7
株券発行会社の定め廃止の手続の質問です。株式の全部について株券を発行しておらず、登録株式質権者が存在しない会社が6月22日の定時総会で効力発生を同日とする株券発行会社の定め廃止の決議を行う場合,会社法218条3項の通知を兼ねた招集通知を株主に6月7日に発送していれば問題はないのでしょうか。
また,当該通知を怠った場合でも,株主全員の賛成により決議がなされているか,株主全員が通知の省略に同意していれば,手続の瑕疵は問題とならないのでしょうか。
Posted by 猫太郎 at 2006年05月15日 13:34
A7
前半は、それでよいと思いますが、後半は、難しいと思います。

Q8
好物は「美女と下ネタ」って本当ですか(笑)?
Posted by ふぁん at 2006年05月13日 06:59
A8
公知の事実です。

2006年5月13日 (土)

愛の告白

 母の日は、択一試験の日。

 旧司法試験受験生の皆さんは、ドキドキ感が高まっていることでしょう。
 ドキドキしても、ジタバタしても、オロオロしても、試験というのは、その時の実力が、そのまま出るものであり、普段30点の人が45点を取ることもない代わりに、普段45点の人が30点になることもありません。

 しかし、本番中の心構え次第で、プラス・マイナス3点の幅は出ます。そして、中間層の皆さんにとっては、その3点が、上に行くか、下に行くかの分かれ道になるのが、試験の難しいところ。

 10日前に、葉玉流直前勉強法をマスターして実践した人は
「平常心」
という武器をもって明日の試験に臨めるはずですが、本日は、それに加え、本試験で、一番大事なことについて語らせていただきます。

それは
    「解答は、愛の告白」
ということです。

皆さんも、いい大人なんですから、これまでの人生で、好きな人のひとりや二人、いや、10人、20人はいたと思います。

 そういうとき、自分がエスパーで相手の心が読めるか、もしくは、相手がサトラレである場合は別でしょうが、普通は、

① 相手の言動から相手の求めているものを理解し
② 相手の心に響くように自分の気持ちを告白し
③ 相手から「うん。付き合おう。」という承諾の返事をいただく

というプロセスを辿らなければ、愛は成就いたしません。

 愛の告白をするまでは
「あの人は、私のことをどう思っているかしら」
「コクって、断られたらどうしよう・・」
などとドキドキ、ハラハラするものですが、大好きなあの人と付き合うためには、
 まず、あなたが告白しなければ、何も始まりません。

 司法試験も同じ。
 受験生の皆さんは、ロイヤーさんという人に一目惚れし、
「この人と一生一緒に生きていきたい」
と思い、明日、その思いを打ち明けます。

 試験場で、目の前に差し出された解答用紙は、ロイヤーさんへのラブレター。
 あなたが、そのラブレターを書かなければ、ロイヤーさんは、あなたに振り向くことすらありません。

 では、効果的な告白は、どうやってやるのか?

 まずは、ロイヤーさんの態度を探りましょう。
 問題用紙を開ければ、ロイヤーさんが
「あなた、本当に私のことを分かってるの?」
と問いかけてきます。
 気まぐれで、そこがまた可愛い、ロイヤーさんは、優しい(易しい)問題で、あなたを誘ったり、時には、かぐや姫並に無理難題をふっかけてきたりします。

 でも、大事なことは、ロイヤーさんは、どこかで、あなたを求めているということ。
 あなたが、ロイヤーさんの気持ちを分かって、それに応えることができたら、ロイヤーさんは、いつでも、あなたの胸に飛び込んでいきたいと思っているのです。

 現実社会ですと、原始的不能の告白もございますが(涙)、ロイヤーさんは、どの問題にも必ず一つの正解を用意してくれています。

だから・・・

1 問題文をよーく読んで、ロイヤーさんが、何を語りかけているのか、注意深く、考えましょう。
 相手の態度に注意も払わず、自分勝手な思いこみで、「好きです。好きです。」と追いかけ回すのは、ただのストーカー。
 ストーカー的解答は、決して実を結ぶことはありません。

2 相手の気持ちが分かったら、一つ一つの問題について、誠実に素直に答えを考えましょう。
 「げっ、竜の涙を持ってこいなんて、とんでもない。この問題は捨て問だ。鉛筆を転がそう。」などと手抜きの告白をすると、ロイヤーさんの気持ちは一気に冷めてしまいます。
 どんなに分からない問題でも、誠実さと素直さをもって答えれば、ライバル達よりも、ロイヤーさんの心に響く答えになります。

3 そして、一つ一つの言葉に、勇気と信念をもって、告白しましょう。
 どんな選択肢を選ぶときも、迷いはつきもの。
 でも、「私は、ドジでのろまな亀だから、あなたには釣り合わないかもしれない・・。」等とウジウジした気持ちで告白しても、告白された方が引いてしまいます。
 また、相手の気持ちがよく分からないからといって、あまり考え込みすぎると、時間に几帳面なロイヤーさんの気持ちは離れていくばかり。

 あなたは、この日のために、ロイヤーさんに相応しい人間になれるよう一生懸命自分を磨いてきたはずです。
 その努力が真剣なものであったと思うのならば、あなたは、ロイヤーさんに
「私は、あなたのことが少しでも理解できるように努力してきました。
 あなたが求めているものは、これです。
 ぜひ付き合ってください。」
と自信をもって答えましょう。
 その自信に満ちた態度が、ロイヤーさんの心を打つはずです。

 解答は、愛の告白。
 注意深く、誠実に、自信をもって、告白する。
 そうすれば、相手は、必ず、微笑んでくれます。
 あなたの愛が本物ならば
 相手は、きっと、あなたに惹かれます。

(質問コーナー)
Q1
昨日、Q2についてですが、整備法第61条第3項により、6ヶ月以内に登記すればよいのでは?
その前に他の登記事項の登記の必要が生じた場合には、同時にしなければならないと同条第4項に定めているのではないのですか?
Posted by 万年補助者 at 2006年05月12日 15:27
A1
すいません。職権で登記されるわけではなく、申請が必要であるという頭で、脊髄反射的に答えてしまいました。質問中「2週間内」というところは違っていて、整備法61条3項により、原則、6か月以内ですが、他の登記をするときは、その時に同時に申請することになります。

Q2
会社法施行規則199条1項で,最終事業年度にかかるBSにつき,440条1項又は2項の規定により公告をしている場合」とあります。決算期が3月で,公告を出すのが5月の場合,今年度の決算公告はしていないことになります。この場合,昨年度の決算公告をもって,「最終事業年度につき公告をしている場合」にあたるのでしょうか?
また,規則220条柱書に書いてあることは,登記済みのHPアドレスのことと理解してよろしいでしょうか?
Posted by 実務者はつらいよ at 2006年05月12日 20:57
A2
1 「最終事業年度」は、法2条24号に定義があります。5月の公告の時点で、計算書類が確定していない場合には、平成17年3月期が最終事業年度です。逆に、計算書類が確定している場合には、平成18年3月期が最終事業年度になります。
2 そのとおりです。

2006年5月12日 (金)

意思決定機関

今日は、会社法全体の読み方に関わることとして、「意思決定機関」のお話をします。

この問題に関連して、次の2つの質問をいただきました。

1 「191条で「株式会社は・・・することができる。」とありますが,この場合は,取締役会設置会社では取締役会の決議でそれ以外の会社では取締役の決定でできるという意味でしょうか。他の条文にも主語が「株式会社は」となっている箇所があってどの機関が決定するのかよく分かりません。
Posted by 短答式が近くて夜も眠れずにいる47歳 at 2006年05月11日

2 「葉玉さんのご理解ですと、市場取引で自己株式を取得する場合も取締役会設置会社においては取締役会の決議が必要ということですが、そうしますと、157条2項の「取締役会設置会社においては、前項各号に掲げる事項の決定は、取締役会の決議によらなければならない。」という規定を会社法165条1項により適用しないとしていることはどのように理解したらよいのでしょうか。152条2項を適用しないというのは、取締役会決議をせずに取得してもよいというようにしか理解できないのではないでしょうか?
Posted by もも at 2006年05月11日 13:16」

まず、1の「株式会社は・・」という主語がある場合には、誰が株式会社の意思決定機関になるのかということですが、これは機関設計によって異なります。具体的には、次のとおりになります

(1)取締役1名 
  →当該取締役(348条1項)
(2)取締役複数の非取締役会設置会社
  →原則 取締役の過半数(348条2項)
 例外1. 定款で定めた場合(348条2項)
   2.取締役の過半数で、各取締役に委任した場合(348条3項)
(3)取締役会設置会社で非委員会設置会社
  →原則 取締役会(362条2項1号)
   例外1. 定款で株主総会の決議事項とした場合(295条2項)
      2 取締役会で取締役に委任した場合(362条4項)
(4)委員会設置会社
  →原則 取締役会(416条1項)
   例外1. 定款で株主総会の決議事項とした場合(295条2項)
      2. 取締役会が執行役に委任した場合(416条4項)
 
 以上のように、単に「株式会社は・・」という5文字に、上記(1)から(4)までの意思決定機関についての規律を読み込んでいるわけです。
(ファイルをLHAで圧縮するよりも、高い圧縮率であると思います。)

 以上の原則的な取扱いに対し、2の質問にあるように「取締役会設置会社においては、・・・取締役会の決議によらなければならない。」というパターンの条文が沢山あります。
 これは、上記(3)の例外2(取締役会で取締役に委任すること)を許さないという趣旨の規定です。
 つまり、必ず取締役会で定めなければいけない、取締役会が取締役や執行役に決めさせてはいけないということですね。
 文言は違いますが、取締役会による取締役・執行役への委任を許さないという趣旨の規定としては、362条4項各号・416条4項各号もありますね。

 逆に、「取締役会の決議によらなければならない」というような規定が置かれていない場合には、原則は取締役会だけど、取締役会が取締役に委任してよいということを表しているわけです。

 こうした基本的な読み方のルールを1つ知っているだけで、会社法の誤読がかなり減りますので、参考にしてください。

(質問)
Q1
増資する際には、一定の事項を公告又は通知しなければならないとされており、これまではこのような事項の中に「募集の方法」が含まれていました(商法280条の3の2)。
会社法201条第3項第4項にもこのような公告・通知の規定があるのですが、公告・通知事項は第199条第2項の募集事項であるとされているため、「募集の方法」については公告・通知事項から外れることになっています。
これまで、「募集の方法」は株式の発行が不公正かどうかの判断材料として重要であると考えられており、だからこそ、第三者割当のときには割当者の氏名を特定すべきという解釈もあったと理解しております。このような重要性は現在も変わらないように思うのですが、どうして会社法では「募集の方法」を通知・公告しなくてよくなったのでしょうか。
Posted by やっすん at 2006年05月11日 12:29
A1
募集方法は、株主割当てと第三者割当の2つです。
株主割当ては、202条4項で通知するので、201条3項の通知は、すべて第三者割当てです。ということは、201条3項の通知は、第三者割当てということになり、募集の方法を通知させる意味がありません。
割当ては、募集後に行うので、通知・公告のときに第三者を特定するということは、総数引受契約でもしないかぎり、できません。総数引受契約のときに、引受人に開示義務をかける根拠もありません。

Q2
Q5の会計監査人に関する登記ですが、以前より会計監査人設置会社である会社も、5/1の会社法施行に伴い2週間以内に登記の必要がありますか?
A2
 (5月13日に修正しました)

Q3
Q7の役職員へのストックオプションの付与についてですが、未上場会社は普通、確かに公正価格は0だと思います。この場合でも付与することは確かですので、取締役への付与の場合、361条1項に基づく総会決議または定款の定めが必要と考えておりますが、そう言う理解で宜しいでしょうか?
A3
 価値は0円であっても、財産を報酬として交付する以上、株主総会の決議等が必要です。

Q4
 取締役の報酬等に関する条文(361条)と、会計参与のそれ(379条)、監査役のそれ(387条)では書きぶりが異なる(361条は項に細分化されている)のは何故でしょうか?
Posted by ネットくん at 2006年05月11日 12:49
A4
 会計参与と監査役の報酬については
(1)報酬の上限を確定額で定めることが義務づけられる
(2)現物報酬であっても、その具体的内容を総会で定める必要はない
という規律を表したものです。
 詳しくは、100問で調べてください。

Q5
現在端株制度を選択している会社は、現存の端株が存在しなくなった場合には、次の定時総会で定款に単元株についての手当をするようになるのでしょうか?
また、現在端株制度を選択していて、現に端株が存在しない会社は、今期の定時総会で定款に単元株の手当(1単元は1株等・・)をすべきでしょうか?
A5
端株が存在しなくなったからといって、単元を設定しなければならないわけではありません。株式分割等のときに金銭処理される端数が多くなるというだけのことです。

Q6
現在、7月から一時会計監査人を引き受けてくれる先を模索中ですが、現実的に監査法人には依頼が殺到しているようで、一時会計監査人すら引き受けてくれるかどうか微妙なところです。今回の場合、一時会計監査人を選任できない状態に陥る会社がでてくることが予想されると思いますが、選任できない状態長期間続く場合には何らかの罰則があるのでしょうか?
Posted by ひろくん at 2006年05月11日 13:33
A6
金と会計士は、天下の回り物なので、きっと受忍、もとい受任してくれる会計士さんが出てくるとは思いますが、何の努力もしなければ、選任を怠ったものとして、過料になります(976条22号)。

Q7
単元株式数を1株とすることは可能でしょうか。
Posted by 法務課員 at 2006年05月11日 16:51
A7
それは、法律の予定しないところです。
端株を廃止したければ、端株原簿に記載しない旨の定款の定め(旧商法220条ノ2第3項)をしましょう。

Q8
私は法学部を出て会社の総務部門にて仕事をしております。
私は、会社法の勉強について、現在、次のような方法を取っております
①葉玉先生のブログにおける記事及び質問コーナーを、条文を引きつつ頑張って読む。
②100問の該当する項目を探して、これについても条文を引きつつ読む。
③神田教授や弥永教授の教科書もまとめの意味で読む。
葉玉先生におかれては、「こんな方法では時間がかかるばかりだ。もっと良い方法がある。」ということであればアドバイス頂けないでしょうか。
Posted by SMOKY at 2006年05月11日 19:09
A8
すごく勉強してますね。きっと私より勉強してます(笑)。
SMOKYさんが、会社法を勉強するのは、何のためでしょうか。
その目的によっても、勉強法は違いますし、SMOKYさんの今の実力によっても、勉強法は変わってくるので、適切なアドバイスはしにくいのですが、以下の印象を受けました。
①「読む」勉強が多すぎる。会社法の講義などを聞くことを混ぜた方が理解が早いでしょう。また、株主総会参考書類の起案でもいいし、100問の演習でもいいですが、「書く」ことも自分の理解の浅さを思い知るために、いい勉強になります。
②「読む」ものが多すぎる。教科書でも、100問でもいいですが、同じ本を繰り返し読んだ方が早く身につくと思います。

Q9
補欠監査役の任期についてご教示ください。
336条3項には、定款によって補欠監査役の任期を退任した監査役の任期にすることを妨げない、とだけ規定されています。しかし登記の実務では、本条項は全監査役の任期を揃えることを目的としているものであり全監査役の任期が揃っている場合のみ適用されると言われており、更には、法定の員数を欠いた場合の補欠には、全監査役の任期が揃っていない場合も自動的に適用されると言われたり言われなかったりで、混乱気味です。
これは改正前商法の時代から続いているお話ですが、会社法においても上記の通りとなるのでしょうか?
上記のような適用条件が存在するのであれば、会社法上に明文規定があれば混乱も無いと思うのですが、今後どこかに指針が出される予定はありますでしょうか?
Posted by 法務ヘルパー at 2006年05月11日 19:15
A9
補欠監査役を正面から認めている会社法の下で、全監査役の任期をそろえなければ、336条3項が適用されないというような明文上の根拠もない解釈は、ありえないと思います。

Q10
会社法では、日割配当が禁止となった旨を以前かかれておりましたが、これから発行予定の増資新株について、今期に限って既存株主と同じ額の配当ではなく、少額の配当を実施したいと考えております。
A10
そのような配当は、できません。
種類株式を発行するならばともかく、そうでなければ、あきらめてください。

Q11
従来、取締役が譲受人となる場合の取締役会の譲渡承認決議においては、譲受人である当該取締役は、特別利害関係人として、株式の譲渡承認決議に加わることができないとの理解がなされていたと思われます(元木伸・「譲渡制限株式の実務」等)。
以上の理解を前提に、取締役会設置会社において、定款により株式譲渡制限の承認機関を代表取締役にした場合を想定します(なお、代表取締役は1名です。)。今般、この会社において、当該代表取締役を譲受人とする株式の譲渡が行われました。
この場合、譲渡を承認するか否かの決定は誰がすることになるのでしょうか。①譲渡承認のため、他の平取締役を代表取締役に選定する必要がある。②代表取締役が譲渡承認してしまって問題ない。③法の原則に戻って取締役会がこれを決することになる。以上のいずれの見解が妥当でしょうか。そもそも、前提の理解が誤っているのでしょうか。
また、株主総会と取締役1名しか存しない会社において、譲渡承認機関を取締役としたとします。この会社において、当該取締役を譲受人とする株式譲渡が行われた場合はどうなるのでしょうか。
Posted by 悩める尻達磨 at 2006年05月11日 22:52
A11
一言で言えば、定款の定め方が悪いと思います。
ただ、定款で代表取締役を承認機関とした場合、法を形式的に適用すれば、代表取締役の決定については特別利害関係人の規定は適用されませんから、代表取締役が承認することもできるでしょう。
 しかし、当該代表取締役については、忠実義務違反のおそれがありますので、他の平取締役を代表取締役に選定するということも一つの方法でしょう。
 設問後段も同様です。

2006年5月11日 (木)

消えゆく端株

整備法86条1項に、施行の際に現に存する端株については、なお従前の例によるという経過措置が規定されています。

この「なお従前の例による」という経過措置の定番的な表現は、実際に適用しようとすると、旧法と新法の規定の仕方の関係で解釈が、よく分からなくなることがあるのですが、逆に、その柔軟性こそがが、経過措置に不可欠なものなので、長年生き残っている書きぶりです。

私は、端株について、これまでに何回か質問を受けて、とりあえず、個人的にそれなりの根拠をもとに、答えていたのですが、本日、端株問題に決着をつけるべく、相当、頭を使って考え、その筋の人たち(怖い人ではありません)のご意見をお聞きして、基本的に次のように解釈するのが、もっとも適切であろうと考えるに至りました。これまでの答えと異なる点がありますが、熟慮と調整の結果、ここに至ったという点で、ご了承ください。

まず、端株の法的性質、権利内容、譲渡性等については、従前の例によるので旧法どおりです。端株の買取請求権・買増請求権も旧法どおりです。

問題は、コーポレートアクションが起こったときに端株の増減をどうするかというところです。

整備法86条は、「施行の際現に存する」端株についてのみ、適用されますから、会社法のもとで、合併や株式の分割等が行われても、一切、端株が生ずることはありません。

例えば、株式会社ツンデレは、ツンちゃんは0.4、デレちゃんは0.8、シルビアちゃんは1.6の株式・端株を持っているとしましょう。

このツンデレが消滅会社となり、その1株に株式会社素直クールの株式2株を対価として交付することになりました。

この時、株式会社素直クールが、端株が存在しない会社である場合には、会社法のもとでは端株が出せないので
ツンちゃんは、0.4×2 = 0.8 ・・・0.8は金銭処理
デレちゃんは0.8×2 = 1.6  ・・・0.6は金銭処理、1株の交付を受ける
シルビアちゃんは1.6×2 = 3.2・・・0.2は金銭処理、3株の交付を受ける
となります。

このことは、素直クールが、端株が存在する会社であっても同じです。つまり、素直クールが、ツンデレの株主・端株主に、端株を交付すると、会社法の下で端株が増えることになりますから、それは、整備法86条の範疇からはみ出てしまいます。
ですから、素直クールの端株主は、その合併によって端株を失うことはありませんが、消滅会社であるツンデレの株主・端株主は、一切、素直クールの端株を受け取ることができず、端数はすべて金銭処理となるのです。

次に、ツンデレで、1対2の株式分割が行われたとします。

この点、株式の分割を、新株・新端株の発行と同視すると、例えば
「ツンちゃんは、0.4 (保有端株)+0.4(新規分) となり、新規分は、端株にできないので、0.4のみ金銭処理。もともと保有している端株0.4は変化なし」
という考えになりがちです。私も、当初、この考えが一番素直だと思っていました。

しかし、この考え方を進めると、将来、端株制度から脱却するために、10倍とか100倍の株式分割をするときに、困ったことになります。たとえば、ツンデレで1対10の分割をして、端株制度から脱却しようとしても、
「ツンちゃんは、0.4 + 39.6(新規分) ・・・新規分に0.6の端数がでるので、これを金銭処理。0.4は端株のまま残る」
ということになってしまいます。

ですから、新規分の端数だけを見てはだめで、
「保有している端株と、新規分の端数の合計が、1を超えたら株式になる」
というルールは必要です。

そこで、どのように考えるべきかというと、株式の分割は、既存株式・端株には何の変更もないまま、新株を発行するという手続きではなく、既存株式・端株について同一性を保ったまま数を増加させる会社法上の行為であるという点に着目し、既存株式・端株についても、会社法が適用され
ツンちゃんは、0.4×2 = 0.8 ・・・0.8は金銭処理
デレちゃんは0.8×2 = 1.6  ・・・0.6は金銭処理、1株の交付を受ける
シルビアちゃんは1.6×2 = 3.2・・・0.2は金銭処理、3株の交付を受ける
という処理を行うべきです。つまり、株式分割によって、既存端株分を含め、すべて金銭処理されるということです。

以上のように、端株の存在する会社が、株式数の増減を伴うコーポレートアクションを行うと、募集株式の募集や株式の無償割当のような場合を除き、端株がなくなってしまい、しかも、以後は、一切、端株が生じる余地はありませんので、一気に端株の存在しない会社になります。

端株制度を採用されている会社さんは、以上を念頭に置きつつ、コーポレートアクションをしてください。

(質問コーナー)
Q1
この6月末の定時株主総会に新たな会計監査人選任議案を滑り込ませることはタイムスケジュールからほぼ絶望的です。
そこで、7月に入って素直に一時会計監査人を選任することを考えた場合、この一時会計監査人の任期を、来年の定時株主総会までとすることは認められないのでしょうか。
Posted by 参事官室によく電話する人 at 2006年05月10日 00:49
A2
一時会計監査人には、338条1項のような任期に関する規定はありませんので、来年の定時株主総会までとすることを法的に禁止する明文はありません。
また、会計監査人が欠けているにもかかわらず、会計監査人を選任するための臨時総会を開催しないということが、どのくらいの期間続けば、過料が科せられるほど「選任を怠った」ことになるのかは、事実認定の問題です。仮会計監査人になった会計士は、臨時的なものしか受忍してくれず、他の会計士・監査法人を回っても受忍してくれないという状況であれば、臨時総会を開きたいと思っても、開けないだけで、ある程度、長期間臨時総会が開催されなくても、怠ったような感じではしないのですが、いずれにせよケースバイケース。

Q3
7,8月の2ヶ月間だけ業務停止を会計監査人が食らってしまう場合、その間だけ一時会計監査人を選任し、業務停止期間明けにまたもとの会計監査人がそのまま復活すると考えることは可能でしょうか。
業務停止となる会計監査人との契約をはっきり解約するのであればだめでしょうが、そうではない場合、会計監査人選任の効力は残っていると考えると、欠格事由が生じた間だけ一時会計監査人を選任すればよさそうな気がします。
Posted by 参事官室によく電話する人 at 2006年05月10日 11:10
A3
一旦、欠格事由が生じれば、欠格事由がなくなり、その後、新たに選任決議を経ない限り、再選任されることはありません。契約が存続しているかどうかとは、別の問題です。

Q4
仮会計監査人についての質問を2点させてください。
1つ目は、例えば、7月1日から会計監査人の欠格事由に該当することが決まった場合、その2日前の定時株主総会終結後の監査役会において、7月1日付で仮会計監査人を選任する旨を決議することは可能でしょうか?
それとも、実際に欠格事由に該当し、会計監査人の資格を失い欠員が生じてからでないと、仮会計監査人を選任することはできないでしょうか?
A4
仮会計監査人は、会計監査人が欠けた場合に選任されるものですから、欠ける前に選任することはできません。


Q5
会社法においては、会計監査人についての登記が必要となりましたが、例えば、定時株主総会が本年6月29日で、7月1日に仮会計監査人を選任し、その2週間以内に登記申請を行う場合には、どのようにして会計監査人の登記申請を行えば宜しいのでしょうか?
会社法施行日現在で現会計監査人の氏名等の登記、欠格事由に該当する7月1日付で退任の登記、同日付で仮会計監査人の選任といった一連の登記申請を一括して同時に申請することは可能でしょうか?
Posted by 高山 at 2006年05月10日 20:56
A5
会計監査人の選任と、退任をそれぞれ登記しなければいけませんが、同時に申請することは可能です。
仮会計監査人の選任も、同時に申請することができます。

Q6
会社法施行規則101条3項7号で、取締役会議事録は、「取締役会に出席した・・・株主の氏名・・・」を議事録の内容とする必要があると定められております。これに関して、出席した取締役が株主でもある場合には、その取締役についても(つまり、取締役会の本来の構成員についても)株主である旨を記載する必要があると解するべきなのでしょうか?それとも本来の構成員以外の出席者を想定している規定であり、株主である旨の記載は不要と考えて良いのでしょうか?
Posted by 私は議事録作成人 at 2006年05月10日 22:30
A6
記載すべき株主は、株主として取締役会の招集請求をした株主なので、たまたま取締役が株主であったとしても、株主である旨の記載をする必要はありません。

Q7
4、5月に入ってから、ベンチャー企業(非上場会社。会社法下では、非公開会社となろうかと思います)において役職員にストックオプションを付与する場合で、役員が対象になる場合、オプション付与が報酬に該当するため、オプションの公正価値の算定を行う必要があると言われています。ストックオプションの会計基準ではオプションは時間価値を無視してよいため時価を行使価格として無償発行する例が多いですが、無償オプションを出す場合に時価の算定(行使価格の決定のため)と公正価格の算定の両方が必要だと言われたりしてます。会社側の算定にかかるコストはばかならず結構な負担なのですが、本当に公正価値の確定は必要なのでしょうか。よろしくお願いします。
A7
公正価格の算定は、有利発行かどうかの判断基準となり、また、会計上も必要ですが、質問の新株予約権は、簡便法でやれば、通常、公正価格は0でしょうね。公正価格に、どの程度の精度を求めたいのかは、会社のニーズによるのですが、非上場ならば適当な方法で、社内でちょちょっとコスト0でやることも可能だと思いますが。

Q8
会社法165条1項について質問させてください。同条項によりますと、市場取引により自己株式を取得する場合は、会社法157条の適用がないということですので、会社法156条の自己株取得の株主総会決議を得ておけば、後は取締役会決議を経ずに代表取締役が総会決議の範囲内で自由に自己株式を市場取引により取得できるということでよろしいでしょうか。旧商法では210条1項の定時株主総会による自己株式取得の授権は取締役会への授権であって代表取締役への授権ではない、という理解が一般であったように思います。そうしますと、会社法165条1項は立法的に旧商法の解釈と異なる扱いをしたということになりましょうか。もしそうだとすると、その立法の理由はどこにあるのでしょうか
A8
会社法には、取締役会のない会社もありますので、株式会社が取引をする場合に、取締役会があることを前提とすることはできません(置きたければ、取締役会設置会社を要件とした規定にする必要があります)。
 また、取締役会の決議を要する旨を規定していないからといって、取締役会の決議が不要であるということを意味するものでもありません。
 なぜなら、取締役会設置会社の業務執行の決定は、取締役会が行うことが原則であり、代表取締役は、委任がない限り、業務執行の決定を行うことはできないからです。
 市場取引等による自己株式の取得も取引の一つですから、取締役会設置会社では、取締役会が代表取締役等に委任しない限り、取締役会が決定します。
 つまり、株主総会による授権は、業務執行の決定機関に対する授権であり、その点において、旧商法と大きく違ってはいないと思います。

Q9
会社法234条4項を準用している会社法235条(株式の分割・併合により生じた端数の処理)による自己株式の取得には財源規制はかからないという理解でよいのでしょうか?
234条4項には財源規制がかかるので疑問に思いまして
A9
いいところに目をつけましたね(汗)。改正予定です。

Q10
『計算書類等の作成・監査等については、会社法・計算規則の規定が適用され』るということを前提としますと、旧法で総会をする場合に、同じ計算規則附則3条の5、6、7項(招集通知発出後の計算書類等の修正方法の規定)の適用が排除されるのは、どのように考えれば良いのでしょうか。
Posted by 権兵衛 at 2006年05月10日 09:50
A10
委員会設置会社の作成した旧法上の計算書類については、計算規則附則3条5項6項7項も適用されます。要するに監査役設置会社か、委員会設置会社かで取扱いが異なっているのです。

Q11
会社法に限らない質問なんですが、命令に委任する場合に政令と法務省令への委任とはどう振り分けているのですか。
もうひとつは、会社法において「価格」と「価額」が使い分けれているのですが、どのような違いがあるのでしょうか。
Posted by たけし at 2006年05月10日 13:15
A11
政令と省令の振り分けは、一言ではいえず、先例を調べながらやってます。
価格と価額も、用例によっている面が大きいですね。

Q12
「最終事業年度」の考え方について教えてください。
会社法2条24号によれば、会計監査人設置会社の場合、計算書類につき、監査を受けた上で、会社法436条3項の取締役会の承認を受ければ、その時点以降、当該事業年度が「最終事業年度」になると思います。他方、H17年度(H18年3月期)の計算書類については、整備法99条により、従前の例によって承認・監査を行うので、取締役会承認(旧商法281条1項)→監査という順序になります。この場合、いつの時点からH17年度が「最終事業年度」になるのでしょうか。計算書類が確定した時点、すなわち、適法意見が記載された監査報告書を監査役会が取締役に提出した時点、と考えてよいのでしょうか。
Posted by 連休中も会社法 at 2006年05月03日 12:47
A12
(前に答えましたが、問題を勘違いしていたので、答えます)
旧商法で計算書類を確定すれば、平成17年度が最終事業年度になります。
旧商法上の行為等は、会社法の相当規定に規定する行為等とみなされるからです(整備法50条、51条)。

2006年5月10日 (水)

株主総会参考書類の修正

5月2日のQ1に、次のような質問がありました。

「新会社法で総会を開催しますが、①「議決権行使書面に記載すべき事項は招集通知に記載でき、招集通知に記載すべき事項は参考書類に記載できる」と施行規則に記載されていますが、この内、行使期限は、参考書類に記載することができますか。②できるのであれば、修正事項をあらかじめ通知さえしとけば、行使期限を決めていても、HPに修正の時刻を掲載すればいいですか。」

これに対して、「行使期限は,招集通知(←株主総会参考書類の誤記)に記載すべき事項ではないので,考書類に書いても,議決権行使書面への記載を省略する効果は得られないと思います。」と、一旦、答えたのですが、その後、気になった点があり、同僚と調整の上、見解を変えることにしました。

この問題は、施行規則65条3項が「株主総会参考書類に記載すべき事項」について、招集通知の発出後に修正を許す規定を置いたことから生じる問題です。

旧商法では、株主総会参考書類の記載にミスがあった場合の修正手段については規定がなかったので、株主に修正の通知をしたり、総会当日に議長が口頭で修正したりしていました。ただ、こうした修正が手続の法律違反なのかどうか不明確なので、施行規則65条3項で、その方法を明確にしたわけです。

そして、この修正の方法は、「招集通知に記載すべき事項」や「議決権行使書面に記載すべき事項」については用意されていないので、冒頭の質問がされたのだと思います。

私は、最初、原則として行使期限は、議決権行使書面に記載すべき事項であり(66条1項4号)、特定の時を定めた時は、招集通知に記載すべき事項(63条3号ロハ)であって、株主総会参考書類に記載すべき事項ではないから、65条3項は適用はないと考えたのです。

73条2項は「参考となると認める事項を記載するとことができる」と規定され、73条4項は「招集通知又は・・事業報告の内容とすべき事項のうち、株主総会参考書類に記載している事項がある場合には」、当該事項は、招集通知又は事業報告に記載する必要がないと規定されているのですが、この2つはいずれも、会社が「任意に」株主総会参考書類に記載する事項に過ぎず、株主総会参考書類に「記載すべき」事項とはいえないと判断しました。

しかし、「同じ参考書類に記載されている事項なのに、任意的記載事項に間違いがあるときに修正できない(もしくは、修正の仕方が異なる)というのは合理性がないのではないだろうか」という、やや、もやもやした気持ちを持っていたときに、65条1項に「株主総会参考書類に記載すべき事項は、「次款」の定めるところによる」という規定にひっかかり、
「73条2項4項も、「次款」に定められているのだから、任意的に記載した事項であっても、「株主総会参考書類に記載すべき事項」に含まれるのではないか」
と思うようになったのです。

それで、ここ2,3日、担当者とあれこれ話しをして、「株主総会参考書類に記載すべき事項」には、73条1項や、74条以下の義務的な記載事項だけではなく、任意的な記載事項も含まれると解するのが妥当であろうという結論に至ったのです。

したがいまして、冒頭の質問に対する答えは、
書面等による議決権の行使期限が、株主総会参考書類に記載されている場合には、65条3項で定めた方法により修正することができる」
ということになります。

もっとも、65条3項の修正は、何でもできるというわけではなく、株主に不利益な修正や、事前開示の趣旨を没却するような変更が行われた場合に、招集手続が著しく不公正であると認められるときは、株主総会の決議取消事由(831条)になります。


(質問コーナー)

Q1
相互保有株式の議決権制限ですが、3月決算会社6月総会、4月役会で総会招集決議済み、そして基準日が3月末の場合、根拠条文は旧商法241条3項または会社法308条第1項&会社法施行規則第67条第1項のどちらでしょうか。この場合、旧商法上の子会社概念で判断するとのことですが、比率は旧法25%超、新法25以上どちらでしょうか。
Posted by すねお at 2006年05月09日 02:37
A1
いずれも、旧商法です。

Q2
12月決算会社で来年の3月定時総会で定款変更を行い、その際、現行定款の常勤監査役の選任に関して「互選をにより・・・」を「監査役会の決議によって・・・」と変更することにしておりますが、もし仮にその間に臨時株主総会を開き、新監査役を選任し常勤監査役を決める場合、その時点で定款変更はされてはいませんが、監査役会の決議によって常勤監査役を決めておけば問題はないでしょうか。
Posted by ABC at 2006年05月09日 02:48
A2
390条3項は、定款による別段の定めを認めていないので、互選によるという定めは無効ですから、監査役会の決議によって常勤監査役を決めるべきだと思います。

Q3
会社法で、端株制度が廃止され、新たな端株は、発生することができなくなりました。そこで、例えば、旧商法下で甲(存続)と乙(消滅)が合併し、合併比率1:0.4で、もともと両社は、端株制度会社であった場合、乙の1株が、甲の0.4の端株となっておりました。しかし、合併の提供期日以降にA名義の旧(乙)株券1株をBが提出した場合は、端株原簿の記載をA→Bに変更しておりました。会社法施行により、今後は、次のどちらの対応が正しいのでしょうか。①Bの買取請求しか認められない。②従来どおり、端株原簿に記載されている株主名の変更(新たな端株の発生でない)と考えていい。よって、買い増し制度も利用できる。
Posted by 総務課課員 at 2006年05月09日 11:48
A3
その設問は、いくつかの微妙な問題を含んでいますが、単純な事例を前提にすれば、すでに旧法で0.4の端株になっているので、②端株原簿に記載されている端株主名の変更で
よいでしょう。

Q4
本日、某監査法人が今年の7月から約2ヶ月間、法定監査先の監査業務について業務停止命令を受ける予定との報道があります。
この監査法人を会計監査人としている会社の場合、今年の7月及び8月のみ法定監査ができないというだけなので(おそらく3月決算の会社の場合実害なし)、会計監査人の欠員が生じているという状態にはなく、一時会計監査人を選任する必要はないという理解でよろしいのでしょうか。
Posted by 参事官室によく電話する人 at 2006年05月09日 16:19
A4
報道はともかく、抽象的な問題としてお答えしますと、7月と8月に公認会計士法の規定により監査ができない場合には、337条3項1号により、7月1日になった時点で欠格事由が生じ、会計監査人ではなくなります。
したがって、他に会計監査人がいない場合には、定款又は法例に定めた員数に欠けたことになるので、臨時総会で会計監査人を選任するか、仮会計監査人を選任する必要があります。

Q5
4月24日の質問コーナーのA2の招集通知発出後の計算書類等の修正方法の通知に関連して質問させてください。Q2の質問は、委員会等設置会社でない会社を前提にされていると思われますが、委員会等設置会社が会社法施行前に総会の招集決議をした場合も同様に、会社法施行規則及び会社計算規則が適用されないので、会社計算規則附則3条5、6、7項の適用はないという考え方になるのでしょうか。
これを前提とした場合、会社法施行前に総会招集決議をした委員会等設置会社が旧商法施行規則、旧商法特例法に基づき計算書類及び利益処分案を作成する根拠は、会社計算規則附則3条ではないということになるように思うのですが、その場合、旧法の規定に基づいて計算書類等を作成する根拠規定は何でしょうか。
Posted by 権兵衛 at 2006年05月09日 17:29
A5
委員会設置会社は、整備法99条が適用されないため、計算書類等の作成・監査等については、会社法・計算規則の規定が適用されますが、それでは、まずいので、計算規則附則3条で、旧法の規定に基づいて作成することになります。

Q6
株式交換(2条31号、767条以下)で完全親会社となる事が出来るのは株式会社、合同会社に限るとした理由を教えてください。吸収分割と新設分割について承継会社・新設会社についてはすべての会社がなることが出来るとしながら、事業の承継と株式の取得という違いこそあれ、すべての会社に認めるのではなく、株式会社・合同会社に限るとした理由が分かりません。単に政策的な理由でしょうか?
Posted by 司法書士受験生 at 2006年05月09日 18:35
A6
そうですねえ。これは、故意に限定しているのですが、一言で言えば、大人の事情ですね。

Q7
利益供与の取締役の責任(120条4項)を120条5項で免除する場合,「分配可能額」を限度としてしか免除できないのでしょうか。限度とするのは462条3項後段の業務執行者の責任を免除する場合の話だけなのでしょうか。
Posted by 短答式が近くて夜も眠れずにいる47歳 at 2006年05月09日 19:13
A7
120条4項は、分配可能額と何の関係もない話なので、全額免除することができます。462条3項等の免除に関する各規定について条文の文言どおりに解釈すればよいです。
ただ、分配可能額を超えて、利益供与していたとすると、それはそれで、違法配当にならないかという問題は生じると思いますが・・。

Q8
株式買取請求権についてなのですが、請求権が認められる場合が多すぎて・・・。なにか認められる場合のルールないしは一貫性があるのか教えてください。逆に認められない場合にもなにか一貫性があるのか教えてください!
Posted by かりんとう at 2006年05月09日 21:24
A8
ルールは、それなりにありますが、伝統もあるので、一言では言えません。
そのうち説明します。

Q9
葉玉先生が、検事にもし疲れたら、ロー教授になって頂きたい気もします。
ちなみに先の教授曰く、葉玉先生をスカウトできるなら美人秘書をつける位大したことではないそうです(笑)
Posted by 中高大全部後輩 at 2006年05月09日 06:21
A9
教授かどうかはともかく、ロースクールで一度教えてみたいですね。
私は、予備校時代、法律知識0の人を2年間で合格させる方法を必死に考え、実験と実践を繰り返してきたので、そのノウハウをロースクールで使ってみたいですね。
予備校というと、「試験に合格するためのテクニック」みたいに批判されることもありますが、たかが司法試験にすら合格できないような知識では、実務に出ても人を救うことはできないでしょう。
 司法試験は、実務家を選抜する試験ですから、実務家としての能力(法律で人助けをする能力)を試す試験です。
 したがって、
 「司法試験の合格のノウハウ」=「実務家として法律を使いこなすノウハウ」=「法律で人を助けるノウハウ」
なのです。
 そういう発想で、2年間、学生と一緒に、教材作りをしながら、授業に没頭できたら楽しいだろうなあ。
 某教授に、美人秘書の件を含め、よろしくお願いしてください(笑)。

2006年5月 9日 (火)

後輩いろいろ

 私の高校の後輩から
「仕事柄よくこのブログにお世話になっていましたが葉玉先生が高校の先輩とは・・。先輩の代は法律作ったりドラマ作ったりとすごい方が多いですね。負けてはいられません。捕まらない程度に頑張ります(笑)。確か今ぐらい男く祭の時期でしたよね?共学になったらしいですが名前そのままなんですかね。」
というコメントをいただきました。
 私は、久留米大学付設中学・高校の卒業生ですが、この学校は、福岡県の久留米市という人口20万くらいの小都市の山中にあります。悶悶とした思春期の男子学生のみを山中に閉じこめるため、学生のリビドーと妄想は最高度に高まり、パワフルな変わり者をよく排出、もとい、輩出します。
 このブログの大家さんだった方も後輩ですし、携帯電話の会社を買った方は先輩です。ドラマを作っている人は、多分、フジテレビの某君でしょうし、鳥越俊太郎さんは、大先輩。
 そして、私と一緒に会社法の立案担当者だった山本憲光さんも一つ下の後輩です。

 山本さんは、今年検事を辞めて、西村ときわ法律事務所に入って弁護士として活躍中なのですが、たまたま、今日は、山本 & Partners & 美女軍団 と久しぶりに飲んできました。
 山本さんは、未だ金持ちオーラは出ていないものの(笑)、新しい仕事に意欲的に取り組んでいて輝いて見え、商法・会社法をやっていたころのヤツレ気味の山本さんとは、大違いでした。

 そういえば、山本さんから、
 「葉玉さんは、某事務所に就職が決まったそうですね」
という貴重な情報も教えてもらいました。
 私の知らない間に、就職まで決めてくれるとは、いい後輩ではあるのですが、「家庭が仕事、検事は趣味」というモットーの私としては、仕事が面白いうちは検事を続ける予定でございますので、しばらくお待ちください(笑)。

 与太話は、この程度で、質問コーナーに移りましょう。
 
Q1 
現行商法では、既発行の普通株式を種類株式に変更する場合(転換予約権に基づく転換ではなく、あくまでも変更です)、全株主の同意を得れば可能と、実務相談株式会社法では解説されていました。新会社法の施行後も同様の手続きで、普通株式を種類株式に変更することが可能なのでしょうか?
A1
 既出だと思いますが、110条、111条の特則に該当しない場合は、通常の定款変更の手続きで普通株式を種類株式に変更することができます。

Q2
5月5日掲載のQ4に関しまして、「権利を行使する条件に該当しなくなった場合」は、会社法第287条の「新株予約権者がその有する新株予約権を行使することができなくなったとき」に該当するので当該新株予約権は「消滅」し、「取得」または「消却」という行為は要しない(ただし同法第909条にもとづく消滅の登記は要する)と考えておりましたが、間違っていますでしょうか。ご指導お願い申しあげます。
Posted by 勉強不足なサラリーマン at 2006年05月05日 11:15
A2
5月5日のQ4というのは、「新株予約権の消却登記時、行使資格を失った者からの「権利を放棄する旨の書面」と代取からの登記委任状のみを添付し、消却登記申請をしています・・・」というものですが、まず、答え残していた質問をお答えします。
 本日、担当部署に確認したところ、会社法施行後は、新株予約権の消却の登記については、添付書面不要であると教えてもらいました(法令上も要求されていません)。
 つまり、「会社法施行により、このラクチンな手が使えなくなる」という心配は杞憂であり、「余計、ラクチンになった」というのが正解です。
 消却事由として「...権利を行使する条件に該当しなくなった場合は、その新株予約権を無償で消却することが出来る」という言葉が、「一時的に、権利を行使する条件に該当しなくなった」場合を含まず、「一切、行使できなくなった」という意味であるならば、ご質問にあるように、新株予約権は、当然に消滅しますので、取得は不要です。

Q3
会社法356条1項2号の取締役の自己取引について御教示下さい。取締役会の承認を要する自己取引に該当するか否かの判断の方法なのですが、組織の大きな会社では代表取締役が各取締役や組織の長に対して権限を委譲していることが多いと思われます。この場合に、取締役の自己取引とは当該取締役が自分の名義で取引行為をする場合だけでなく、当該取引行為を行うにあたっての社内の決裁手続に関与していた場合も含むことになると理解すればよいのでしょうか。
Posted by Ryo at 2006年05月05日 18:54
A3
ご質問の例が、「自己のために」の話か、「第三者のために」の話か、よく分からないので、事例を分けて説明します。
1 X社の取締役Aが、X社の代理人である部長と取引し、その決裁にAが関与していた。
356条1項2号は、X社の取引の相手方が、取締役Aである場合ですから、X社側の行為者が代表者であれ、代理人であれ(Aが決裁に関与していたかどうかに関わらず)、相手方である取締役Aには、356条1項2号が適用されます。

2 AがX社とY社の取締役を兼任している場合において、X社の代理人BとY社の代表取締役Cが取引をしたが、X社のBを代理人とする取引については、Aが決裁をしていた。
 代理人が文字通り代理人であれば、何の問題もありません。
 しかし、Aの決裁の性質に注意する必要があり、Aが、取引の内容を実質的に決定しているとすると、Bは、X社の代理人ではなく、使者となることがあります。Bが使者となった場合、意思表示をしている者がAだと認定されれば、Aが、X社の代理人として取引をしているので、名義説でも、「第三者のために株式会社と取引をした」ことになり、356条1項2号が適用されるでしょう。

Q4
四半期配当をする場合、その四半期に上げた収益を配当する場合は、臨時決算をする必要がある場合、その臨時計算書に無限定適正意見であれば、総会の承認は省略できると理解しいますが、総会の報告はする必要はあるのでしょうか。
Posted by すねお at 2006年05月05日 21:29
A4
総会への報告は不要です。

Q5
株式の分割と株式の無償割当ては,従来は株式分割と整理されていたものだと思いますが,会社法では効果や手続に微妙な差があります。これはどういう理由からでしょうか。例えば,決定機関について,無償割当ての場合についてだけは定款で別段の定めが出来るとなっていますが,これはどういうポリシーからきたものでしょうか。
Posted by HI at 2006年05月06日 13:28
A6
 株式の無償割当は、新規の制度なので、募集株式の割当てと類似させて作られ、株式分割は現行法の規律をできるだけ残したということでしょう。

Q6
 会社法第167条第1項が、「請求日」=「取得日」と定めており、しかも「株式の取得と引換えに金銭を交付する」(整備法第87条)とあったので、請求日=取得日に、直ちに支払わなければならないことが要求されているように思えました。
 しかし、今は、「引換えに」とは、「対価として」というような意味に捉えればよいのではないかと思っております。従って、株主が、取得の請求によって金銭債権を取得する場合も当然に含むと考えられる。
このような理解で、宜しいでしょうか。
Posted by moremi at 2006年05月06日 19:07
A6
 よろしいと思います。

Q7
 合併契約(書)において、「会社計算規則第59条の規定に従い、(効力発生日の前日までに、)甲が定め計算した金額とする。」と定めることの可否
Posted by moremi at 2006年05月06日 20:23
A7
 今日、調整してきた結果を申しますと、そのような定めも有効であろうということになりました。
 会社法は、合併契約で、資本金の額について確定額で定めなければならないこととしておらず、計算規則もそれを前提に規定していること、新株発行でも取締役会ないし委任を受けた取締役が資本金の額を決定するので、合併時の存続会社でも、同じにしても不都合はないという理由によるものです。
 なお、「甲が定め」というのは、甲の業務執行の意思決定機関である取締役会(ないし委任を受けた取締役)のことをいいます。

Q8
非公開会社において
①第3者割当は、商法でも新会社法でも総会決議。
②株主割当は、商法では取締役会決議、新会社法では総会決議(但し、定款による役会授権可能)と理解していますが、
正しいでしょうか。
特に①については商法、新会社法でも役会授権はできないと理解しておりますがよろしいでしょうか。
Posted by 新庄 at 2006年05月07日 12:08
A8
① 会社法では、200条による委任は可能です。
② 会社法では、202条3項2号の場合があります。
募集手続は、以前、記事にしたので、詳しくは、それを読んでください。

Q9
自己株式の取得について、ご教示下さい。
会社法156条1項では、株式を取得することができる期間について1年以内と定めることとなっております。
この場合、例えば18年6月末総会において自己株式の取得を決議し、取得期間を18年8月1日から19年7月31日までとする決議は可能でしょうか?条文どおりに読みますと、株主の信を得た以上、このような定めも可能なのだというようにも読めるのですが、商法上取得期間は決議から次期総会終結のときまででしたので、会社法でも同様に、取得期間については決議をした日から1年以内すなわち総会前日までとの趣旨のように思えます。
Posted by 空海 at 2006年05月07日 12:35
A9
調整マターですが、設問の定めは可能であると思われます。

Q10
今回、「総額の上限で定めた場合には、監査役の協議で内訳を決定します。」との回答いただきましたが、243条2項で非公開会社では割当先を取締役会又は株主総会で決定しなければならないとされていることとの整合性についてどのように処理すれば宜しいのでしょうか。監査役の独立性を担保するため、取締役会が監査役の報酬に関与しないという建前からすれば、取締役会が監査役の報酬に関与しないようにするためには、243条第2項但書に則り、定款に定める必要があるのでしょうか。
Posted by S at 2006年05月07日 17:44
A10
 監査役の現金報酬のことを考えてみてください。監査役の協議がまとまっても、当然に、会社に対する債権が生ずるのではなく、代表取締役が、その監査役の協議に従って、報酬特約を締結するという法律行為を行い、さらにその報酬特約に従って、代表取締役等が金銭の支払いをして、金銭という対価が交付されます。
 新株予約権も同じです。監査役が協議で、個々の監査役が交付を受けることができる新株予約権の価額等を定めれば、代表取締役は、その内容で報酬特約を締結しなければならず、その報酬特約に基づく債務の履行として、取締役会は、監査役の協議に従った新株予約権の発行及び割当を行わなければならないということです。
 したがって、定款に定める必要はありません。

Q11
 会社法第425条の取締役の責任の一部免除の件ですが、株式移転により持株会社を設立する際の最初の定款にその規定を盛り込む場合、監査役候補者の同意は必要でしょうか?そして、その旨を株式移転計画承認議案に記載する必要はあるのでしょうか?
Posted by S&F at 2006年05月07日 20:14

A11
 監査役候補者であって監査役ではないので、その同意は不要です。
 株式移転計画には、株式移転設立完全親会社の定款で定める事項を定めなければなりません(773条2号)。そして、招集通知には議案の概要、株主総会参考書類には移転計画の内容の概要を記載する必要があるので、概要として、425条の定款の定めを記載するかどうかは、それが「概要」として書くべきかという難しい問題に帰着します。まあ、書いた方が安心ですねえという話でしょう。

Q12
内部統制の基本方針に関する取締役会決議について教えてください。
会社法施行時点では大会社でなかった取締役会設置会社が、施行後に増資等を実施した結果大会社となった場合、大会社となってから最初に開催される取締役会で内部統制の基本方針を決議する義務が生じるという理解でよろしいでしょうか?
また、何らかの事情により、当該決議が2回目以降の取締役会にずれこんだ場合、どのような法的問題が発生しうるでしょうか?
Posted by 内部統制難民 at 2006年05月08日 18:22
A12
 会社法では、増資をしてもすぐに大会社になることはなく、次の定時総会時に大会社になります。そして、大会社になったとたんに、内部統制の決定義務が生じていますから、その時点で決めていないということは、すでに違法状態にあるということになります。
 したがって、違法状態を完全に避けたいのならば、大会社になる前の取締役会で内部統制を定めるべきです。
 その義務に違反した場合は、何か不祥事が起こって会社に損害が生じたときに、内部統制の決定義務違反に基づく損害賠償責任を追及されるおそれはあるでしょう。

2006年5月 5日 (金)

黄金週間は会社法以外で遊びたい

法務担当者や、受験生は、ゴールデンウィークをものともせず、勉強で大変なようですね(Tatoo3さん、3度目の司法試験生さんも、頑張ってください。すけさんも、会社法の勉強を楽しんでください)。

日頃会社法で遊んでいる方も、会社法に遊ばれている方も、本当は、今くらい、会社法を忘れて、ぱーっと遊んでもらいたいところです。


私は、昨日から1泊で、家族をつれて、宮崎のシーガイアに行ってきました。シーガイアというと、会社更生法の適用・リップルウッドの経営支援等が思い出されますが、10年ぶりくらいに訪れた一観光客としては、シェラトン・リゾート・ホテルの充実ぶりには、ややびっくり。
 奥様・子供様のおともで、あちこちのリゾート・ホテルに泊まっている私の目からしても、このホテルは客室・レストラン・サービスとも上級の部類であり、コスト・パフォーマンスもよいように思います。純和風の温泉もよかったし。
 売上・利益がどうなのかは知りませんが、提供されているものは確実に支援の効果が現れていますね。
 ゴルフをされる方や車で宮崎までびゅーんといけるような家族には、結構、おすすめかも。
 もっとも、オーシャン・ドーム(隣にある大規模造波プール)には、やつれた影が見えますし、宮崎そのものに目玉となる観光資源が不足しているのは否めないものの、九州人の一人として、これからも宮崎の健闘を祈っております。

 さて、家族は、それなりに満足し、今は、グースカ寝ていますが、私は、質問がたまってきているようなので、寝ずに質問をやっつけます。

最初に、会社法と関係のなさそうな質問をいくつか。

キャン タマボーイズさんから、「T&Aマスターなるものは、いつ発刊されますでしょうか。」という質問を受けました。これは、ロータス21という会社から出版されている年間購読の雑誌です。詳しくは、ググってください。

美輪凛さんから「葉玉先生は会社法について、講義とかセミナーとかはされるのですか?もしそのようなご予定がありましたら教えていただけませんか?」との質問を頂きましたが、今のところ具体的な予定はございません。個人的には、やれと言われれば、やってもいいのですが、連続した講義をやると兼業許可が必要になるのかなあ、などと思うと、面倒くさいというのが、先に立ちます。以前、ゼミをやったときみたいに、無償だったらいいのかなあ?

さらに、研究者の卵さんの「企業秘密」に抵触しない範囲で,今回の立法経緯について,ご紹介頂けると非常に助かります。』というリクエストにつきましては、そのうち捨て身の暴露話をしたいと思います(笑)。
以上で余談終了。以下、質問コーナーです。

Q1
①361条と387条の規定の仕方の違いからすると監査役の報酬には新株予約権は予定されていないのでしょうか。
【以下監査役の報酬として新株予約権が予定ことを前提】
②監査役が2名以上いる場合、株主総会で枠を取って取締役会で決定するということはできず、株主総会で個々の監査役についての付与個数又は上限を決定しなければならないのでしょうか。
③株主総会で個々の監査役についての付与上限を決定した場合に、報酬のように具体的な個数を監査役が決定できるのでしょうか。
④監査役複数人の場合で、監査役全体の上限しか決定しなかった場合の個々の監査役への付与数の決定方法はどのようなものでしょうか。
Posted by S at 2006年05月02日 11:09
A1
100問に書きましたが、監査役にもストックオプションを付与することはできます。
株主総会では、新株予約権の価額の総額の上限を定めなければいけませんが、個々の監査役んじついての上限は不要です。
総額の上限で定めた場合には、監査役の協議で内訳を決定します。

Q2
 商法第280条ノ5ノ2第1項但書の授権決議については、整備法第91条の適用はなく、施行日以後は効力を有しないと解されます。従って、ベンチャー企業等でこの授権決議に基づく取締役会決議により頻繁に新株発行を行っていた会社は、新たに会社法第200条第1項に基づく委任のための株主総会決議が必要となる、ということですね。実務上非常に影響が大きいと思われます。
 また、公開会社でない株式会社においては、株主への通知・公告が不要(第201条第3項)であるので、この委任を受けると、その後1年以内の募集株式の発行等においては、株主がまったく関知しないところで個々の発行等が行われることになる、ということですね。
Posted by 内藤卓 at 2006年05月02日 12:37
A2
 質問前段は、整備法98条1項との関係をどう考えるかを担当者と調整する必要がありますので、連休明けに聞いてみます。
 質問後段は、株主総会で株式数と払込価額の下限を定めなければならないので、株主が全く関知しないというのは、ちょっと言い過ぎでしょう。委任をしたとしても、公開会社の株式引受人の募集ほどの裁量を取締役会に与えることはできません。
 
Q3
①本文の「次に掲げる額の合計額」とは、1号の額と2号の額の合計額との理解で宜しいでしょうか?
②1号の「…又は受けるべき財産上の利益(次号に定めるものを除く。)…」の趣旨は、会社が支払う取締役への報酬等のうち、退職慰労金にかかる部分は、次号で定めるから除く、という趣旨なのか、まさに文言通り、2号の「イに掲げる額をロに掲げる数で除して得た額」を除く、と読むのか、どちらでしょうか?
③1事業年度で1000万の報酬を支給し、そのうち200万が退職慰労金とした取締役が2年間(同一条件で)、その任についていた場合、113条の報酬は、(1000万−200万)+(200万×2÷4)=900万か、それとも1000万−(200÷4)=950万か、どちらでしょうか?
Posted by 日本語難民 at 2006年05月02日 15:19
A3
①そのとおりです。
②2号イ(1)から(3)に定められたものを除くという意味です。
③設例をよく理解できないのですが、一年あたりの報酬800万円で2年間と、退職慰労金が400万円という意味でしょうか?
 そうすると800万円+(400万円÷4)=900万円ですね。

Q4
新株予約権(従業員ストックオプション)の消却登記時、行使資格を失った者からの「権利を放棄する旨の書面」と代取からの登記委任状のみを添付し、消却登記申請をしていますが、会社法施行(自己新株予約権の消却の概念)により、このラクチンな手が使えなくなる(取得→役員会の決議→本人への通知が必要)のではと困っています。従来どおり放棄書による登記手続きは可能でしょうか。(というか、そうしたいのですが ^^;)
ちなみに、従来消却事由として「...権利を行使する条件に該当しなくなった場合は、その新株予約権を無償で消却することが出来る」としていましたが、会社法施行に伴い今後発行するものについて「...その新株予約権を無償で取得・消却することが出来る」とすればいいのか、この点も迷っております。
Posted by キャン タマボーイズ at 2006年05月02日 18:13
A4
質問前半は、管轄外なので、連休明けに聞いてみます。
質問後半は、「取得・消却」ではなく、「取得」でしょうね。

Q5
 整備法第113条第5項は、同法第87条第1項1号・2号でみなされた既発行の種類株式については、「取得請求権付株式」等として、構成し直して、変更登記を申請しなければならないとしております。この点につき、ご質問させて頂きます。
1.この規定は、整備法第76条などとは異なり、定款に記載があるものとみなされていないので、単に、「登記事項の変更」を行えばよく、定款(さらには要項・契約)等の変更をする必要はないと考えて宜しいでしょうか。
2.この場合、例えば、償還条項に「請求後30日以内」に会社が支払うとあるような場合、取得請求権付株式の条文は、かなりかっちりとできていて、「請求の日」=「取得日」(167Ⅰ)となり、しかも「引換え」となると、構成しなおす場合上記3つのうちどこかを緩めなくてはなりません。
 これは、そもそも、旧法下で有効に定めまたは発行した種類株式については、会社法の規定にきちんと当てはまらなくとも、その効力を認めようという経過規定にも見えてくるのですが、むしろ、上記のような取得請求権付株式をも会社法はそもそも許容していると考えたいと思うのですがいかがでしょうか
3 なお、4月26日に、合併契約(書)において、「会社計算規則第59条の規定に従い、(効力発生日の前日までに、)甲が定め計算した金額とする。」と定めることの可否に付ご質問いたしましたが、お考えがまとまっていれば、あわせて、ご教示いただければ、ありがたいと思います。
Posted by moremi at 2006年05月02日 19:48
A5
1 定款等の変更手続は不要です。
2 ちょっと、質問の意味がよく分かりません(請求後30日以内に会社が取得対価を支払うこととするような設計は可能だと思いますが・・・)。
3 「甲が定め」というのは、どんな機関が決定するのでしょうか?微妙な問題を含みそうなところです。

Q6
「完全親会社となる会社が、完全子会社の新株予約権を有する者に対し、完全親会社の新株予約権を引換えに交付することを株式交換契約又は株式移転計画に定めた場合に限り、当該完全子会社の新株予約権は、株式交換又株式移転の効力発生日に消滅する、言い換えれば引換え交付を定めなかった場合には、当該新株予約権は当然には消滅しない」というご回答でしたが、本来、完全親子会社関係を設けることが目的なのに、完全子会社が自己新株予約権を取得してしまうというのはいかがなものでしょうか?
この場合、完全子会社が取得した後、即時に自己新株予約権を消却する方法しかありえないのでしょうか?
他に、完全子会社に保有させない方法があれば教えてください。
Posted by ばば at 2006年05月02日 19:50
A6
 完全子会社が株式交換等に取得条項が働いて、自己新株予約権を取得してしまうというのが、まずいこととは思えませんが・・・。
 何か不都合があるのでしょうか?

Q7
相互保有株式の議決権制限についてご教示ください。
A社がB社の総株主の議決権の4分の1以上を有する場合、B社は、その保有するA社の株式について議決権を行使できません。ここまでは理解しております。問題は、B社に子会社C社があり、C社がA社の株式を保有していた場合、その議決権を行使できるのか?ということです。
旧法(商法)でも現行法(会社法)でも、「文理上」は、議決権を行使できるように読めると感じます(「A社とA社の子会社とを合わせて4分の1」という表現に対して「B社又はその子会社は議決権を行使できない」という表現にはなっていない点から)。
しかし、特にC社が完全子会社の場合には、行使できるというのも問題があるように感じます。
Posted by 三丸子 at 2006年05月02日 22:48
A7
C社に議決権制限をかけてしまうと、A社側がC社がB社の子会社であるということを把握できないため、議決権のないC社に議決権を行使させてしまうおそれがあり、その場合、決議取消事由が生じてしまいます。A社側の法的安定性の確保も考慮すると、現行法のような制度になります。

Q8
「最終事業年度」の考え方について教えてください。
会社法2条24号によれば、会計監査人設置会社の場合、計算書類につき、監査を受けた上で、会社法436条3項の取締役会の承認を受ければ、その時点以降、当該事業年度が「最終事業年度」になると思います。他方、H17年度(H18年3月期)の計算書類については、整備法99条により、従前の例によって承認・監査を行うので、取締役会承認(旧商法281条1項)→監査という順序になります。この場合、いつの時点からH17年度が「最終事業年度」になるのでしょうか。計算書類が確定した時点、すなわち、適法意見が記載された監査報告書を監査役会が取締役に提出した時点、と考えてよいのでしょうか。
Posted by 連休中も会社法 at 2006年05月03日 12:47
A8
整備法の「最終事業年度」は、一般用語として使われていますので(会社法2条24号の定義は会社法が適用されてはじめて意味を持ちます)、平成18年3月期は、整備法を適用する上では、最終事業年度になります。

Q9
会社法上の規定で、① 公告のみ必要な場合(124条3項本文、440条1項等)、② 通知又は公告が必要な場合(181条1・2項、195条2項3項、273条2項3項、776条2項3項等)、③ 通知のみ必要な場合(187条2項、203条1項、242条1項各号、677条1項各号等)、④ 通知(催告)かつ公告が必要な場合(198条1項本文、218条1項各号、219条1項各号等)、⑤ 官報公告かつ通知が必要な場合(債権者保護手続き等)とそれぞれ規定されています。この微妙な規定の仕方の法則性があれば教えてください。
 蛇足ですが個人的にはIT技術を駆使しながら官報公告の利便性を向上させたうえで通知等を官報に一本化したほうがすっきりすると思いますが・・・
会社法上、定款で別段の定めを認めている場合と認めていない場合が明確に書き分けられていると思います。定款自治を認めるか認めないかの決定では法則性や立法上の指針みたいなものはあったのでしょうか?もしあれば教えてください。
また、過半数以上と半数以上も使い分けられています(335条3項等)、この場合の法則性や指針があれば教えてください。
Posted by 司法書士受験生 at 2006年05月03日 22:26
A9
法則性ですか・・・。ないわけではないですが、めんどうくさいので、そのうち気が向いたら、説明します。
ちなみに、官報公告一本化は、民間業者でも官報を出せるように法制度を整備しないかぎり、ありえないでしょう。

2006年5月 2日 (火)

残り10日間の過ごし方

「施行日のトンネルを抜けたら,そこはもう試験日だった。」
というくらい,択一試験・新司法試験の日が迫っています。

 最近は,実務家専用でキチキチ感のある「会社法であそぼ」でございますが,今日は,久しぶりに受験生向けに「残り10日」の話をしたいと思います。

 私は,長年の受験指導経験により
 「残り10日」で,実力が飛躍的に伸びることはないが,試験の成績は飛躍的に伸びる
というのが持論を持っています。

 最後の10日間というのは,ボーッとしているときに比べれば,真剣に勉強するので,それなりに実力も伸びるのは事実ですが,たった10日間で,何ヶ月も真面目に勉強をしてきた人と同じだけの知識が身につくと思うのは,ムシが良すぎます。

 新しい知識を身につけるためには,良い講義を聴き,良い本を読んで,十分なOUTPUTをするという3種の神器が必要であり,最後の10日でこれをやるのは,時間的に無理。

 「俺は親族・相続が弱い」「私は往来危険罪がよく分かっていない」などと,それぞれ悩みはあるでしょう。ただ,新しい知識を頭に入れるために時間を割けば,その分,他の勉強時間が削られてしまうので,トータルとしてはマイナスが多いのです。

 そもそも知識というのは,頭に入れてから最低1か月は熟成しないと試験で使えるものになりません。特に,最後の10日間は,どんな受験生でも「焦り」があるので,覚悟もないのに新しいことに手を出すと,「知らないこと」「分からないこと」におろおろするだけです。

 今のあなたの実力は,あなたが過去に構築した戦略とその後の活動によって形作られたものであって,今さら知識不足を嘆いても,それは,過去の戦略上の失敗によってもたらされたものに過ぎず,局地的な戦術で回復することはできません。

 今,あなたにできることは,
「本番で,自分の実力を出し切って勝負すること」
だけです。

 逆に言えば,
「本番で自分の実力が出し切るために,この10日間で何をなすべきか」
を考えましょう。

 模擬試験はいいのに,本番に弱いタイプの人がいます。その逆の人もいます。その二人の何が違うかというと,本番で
 「平常心」
があるかどうかです。もう少し具体的に言えば
1 自分の身につけた知識を素直に出して問題を解く。
2 本番で分からない問題が出ても,びびらず考える。
3 自分の意識の1%を時間の管理に向ける。
ということができるかどうかという点です。

1 自分の身につけた知識を素直に出して問題を解く。
 試験を受けているときに問題が一応解けたにもかかわらず,「何かヒッカケがあるのではないか」「どうも間違っているような気がする」という気持ちになって,踏ん切りがつかずに,答えを書き直し,結局,最初の答えが正解だったという経験はありませんか?

 本番では,模擬試験より,「間違うことができない」という気持ちが強くなりますので,自分の答えのどこが間違っているか分からないのに,いたずらに不安になり,その不安から逃げるために,根拠があいまいなまま,別の答を選んでしまうことがあります。

 そんな「逃げ」の答えを選んでいては,自分の今の実力を出し切ることなどできません。

 正解は,試験の後にしか確認することはできません。
 どんな実力者も,どんな簡単な問題でも,不安を残したまま,次の問題に進んでいるのです。

「自分の知識を信じ,問題を理解し,素直に答えを出すこと」

が重要であり,これを本番で実行するためには,この10日間
 自分の作ったノート等を繰り返しチェックし,自分のやってきたことを確実に身につける
こと以外にやることはありません。

新しいものに手を出さない。何かを調べるようなことはしない。
これまでに自分が作ってきたものについて,定義を要素に分解して噛みしめ,各論点における対立点と判例の要旨を諳んじてみる等工夫しながら読むことに専念しましょう。

 そして,どんな科目であろうとも,通常2時間以内,どんなに長くても,3時間以内に,一科目をやり終えるべきです。
 毎日,毎日,3科目に触れ,同じ知識に触れることが,知識の確実な習得と自信につながります。

2 本番で分からない問題が出ても,びびらず考える。

 本番では,少なくとも3割の問題には,自分の知らないことが書いてあります。
 要求されているのは,その知らない問題を「知っている知識・論理的思考力」を用いて考えることです。

 あなたが,模試で1回くらい合格推定点を取ったことがあるのならば,あなたの知識の量は,他の受験生とそんなに変わりません。
 あなたにとって未知の問題は,みんなにとっても未知の問題です。
 訳の分からない問題に出会ったら,

「この問題は,みんなにとって未知。考えろ。」

と心の中でつぶやきましょう。

 この場合に大事なことは,「問題をよく読む」ことです。
1回目はキーワードチェックしながら全体を見渡し,2回目は肢を切りながら熟読し,3回目は,迷っている肢に関係するところを局地的に読む。問題の中に含まれるヒントを読み取ったら,自分の知識の中に「その問題で聞かれていることと,似たようなことを取り扱った判例・論点はなかったか」を想像し,類似した判例・論点で考えたことを基礎に,問題を解きましょう。
 こんな問題では,唯一の正解を選ぶのはなく,正答率をあげるという視点を忘れないように。

 こうしたプロセスは,問題演習をする以外に身につけることはできません。
 ですから,最後の10日間は,毎日,最低1時間30分は,問題演習に当てます。自分が過去に受けた模試でもいいので,
「新鮮な気持ちで,一から問題を読んで,考えて,解く」
ことを繰り返しましょう。一度,やった問題は,知識で解きがちですが,問題文をよく読む訓練であるということを意識して解いてください。

3 自分の意識の1%を時間の管理に向けることができる。
 本番でよく失敗談として語られる「時間不足」。

 時間不足を避けるためには,
「本番でも,模試と同じような順番で,同じペースで解くこと」
が必要不可欠です。

 本番で,難しい問題にあたったからといって,いつもと違うことをやると,自分のペースが乱れ,いつもなら,やれることもやれなくなります。
 自分のパターンを確立していると,時間配分,解答する順番など試験の問題とは直接関係のないことに,頭の中のCPUを使わずにすみ,解答に対するCPU占有率を上げることができます。

 なお,私の経験則では,本番における時間配分は,15分単位で解答ペースを確認するのが一番よいように思います(テレビでも15分ごとにコマーシャルが入るのは,それくらいで人間の集中力が切れるからではないでしょうか?)

 ということで,3の命題をクリアするために,この10日間は,15分単位の時間管理を厳格に行い,解答パターンを確立することを意識しましょう。

 演習をするときは,5問15分のペースを絶対に崩さない。どんな難しい問題が混ざっていても,5問15分で答えを出す。
 普通にノート等を復習するときも,15分ごとにアラームをかけ,15分単位でどのくらい進んだかを意識しながら勉強する。
 食事も,お風呂も,トイレも,15分単位でスケジュールを立てる(トイレ15分は長すぎるかもしれませんが・・・)。
 この15分の感覚が身に付けば,本番のときに時間配分で苦労することがなくなります。

 以上,「平常心」について語ってきました。よく試験日に
   「平常心で,がんばりなさい」
と言って励ましてくれる人がいますが,いきなり本番で平常心を実現するのは,無理です。

 「平常心」は,心の持ちようではなく,「技術」です。

 最後の10日間は,平常心を身につけるために費やすというのが,私の秘策です。

(質問コーナー)
Q1
株主総会に向けて2点教えてください。
新会社法で総会を開催しますが、①「議決権行使書面に記載すべき事項は招集通知に記載でき、招集通知に記載すべき事項は参考書類に記載できる」と施行規則に記載されていますが、この内、行使期限は、参考書類に記載することができますか。②できるのであれば、修正事項をあらかじめ通知さえしとけば、行使期限を決めていても、HPに修正の時刻を掲載すればいいですか。
行使期限で、「会社の営業時間は、会社で定めるもである」とのお答えでしたが、当社には、営業時間の定めはありませんが、当社の就業規則は、6時(この時間以降は残業となりる)となっております。この場合でも、会社で営業時間(例えば5時)と定めてもかまわないのでしょうか。
A1
1 行使期限は,招集通知に記載すべき事項ではないので,参考書類に書いても,議決権行使書面への記載を省略する効果は得られないと思います。
(初出後、ちょっと問題点に気がついたので、この答えは留保します)。

2 就業時間と営業時間は別ですので,別の時刻を定めてもいいです。

Q2
 旧法(商法・商法特例法)がらみの扱いについてご質問します。
前提:
平成18年3月期決算
株主総会の招集に関する取締役会決議日:4月27日(会社法施行前の日です)
上記決議での株主総会開催日(予定)は6月30日
 会計監査人の監査報告書は整備法99条により従前どおりの扱いとなります。
 従来より、会計監査人は監査報告書に次のような記載のある表紙を付けて監査役会へ報告しております。
「私は、「株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律」第13条第1項の規定に基づき、別紙のとおり監査報告書を提出いたします。」
 会社法施行後はこの記載文言の変更が必要ですか?次のような案を考えてみたのですが、いずれが適切でしょうか、アドバイスをお願いいたします。
第1案
「会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」第99条に基づき、別紙のとおり監査報告書を提出いたします。
第2案
廃止前の「株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律」第13条第1項の規定に基づき、別紙のとおり監査報告書を提出いたします。
第3案
「会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」第99条の規定による「株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律」第13条第1項の規定に基づき、別紙のとおり監査報告書を提出いたします。
第4案
従来どおり。
Posted by ADREPORT at 2006年05月01日 13:47
A2
どれも嘘ではないので,どれでもいいように思います。

Q3
372条の効果として、定められた通知を行った場合、取締役会への報告は、必ず不要になりますか?
具体的には、通知を受けた取締役または監査役が、「通知を受けた事項について疑義があるのだが・・・」、「この通知では報告として不十分だ」等の見解を表明した場合で、例えば取締役会の招集権者が「やっぱり取締役会を開催して、しっかり報告すべきだ」と判断し、通知を行った取締役に取締役会への報告を求めた場合、通知を行った取締役は、取締役会への報告を行う義務がありますか? 「自分は第370条に基づきちゃんと通知したから、改めて取締役会で報告する義務はない」と反論して法令上問題ありますか?
Posted by 外資系企業法務担当者 at 2006年05月01日 13:49
A3
 372条の問題ではないように思います。取締役会を開催して,そこで報告した場合でも,その報告が不十分ならば,同じ問題が起きますね。
 監査役・他の取締役が報告を不十分であると感じるならば,取締役会を開催し,報告義務を負う取締役に質問をして,更に詳しい報告を求めることはできます。

Q4
弊社は、3月決算6月総会の株式会社ですが、4月3日に会社分割(吸収分割)によって資本金が18億円から4億円に減少しています。この場合に、経過措置政令8条1項により、監査役会及び会計監査人を置く旨の定めがあるとみなされ、6月総会後に経過措置政令8条3項によって監査役会及び会計監査人の廃止ができると考えて良いのでしょうか。
また、今年6月の総会で定款変更(監査役会及び会計監査人の廃止)の決議ができるのでしょうか。
Posted by 一法務部職員 at 2006年05月01日 15:50
A4
経過措置本77ページ以下で詳しく述べていますが,今年の6月の総会で監査役会・会計監査人の定めの効力が失われるので,その見なされた定めの廃止の決議は不要です。
 ただし,その会社は,最終事業年度の資本金が5億円以上で大会社に該当しますから,新たに監査役会・会計監査人の定めを設けなければいけません。もちろん,その定めを次の定時総会までは,廃止することはできません。

Q5
会社法440条では貸借対照表の公告について、官報または日刊新聞紙を公告方法とする会社は、電磁的方法により公告に代わる措置を採る事ができることとなっております。
この措置について旧商法では取締役会の決議が必要となっておりましたが、会社法では取締役会の決議が必要なくなったと認識しております。
この場合、電磁的方法による公告に代わる措置を行うホームページのURLは会社内でどのような機関決定をすべきなのでしょうか?
会社内での適切な意思決定(例えば決算公告担当部署の部長が決定を行うなど)が行われておれば問題ないのでしょうか?
商業登記の際の添付資料はどのようにすればよいかも気になるところです。
Posted by 最近法務担当になりてんやわんやの者 at 2006年05月01日 17:15
A5
決算公告は,業務執行の一環であり,業務執行の決定は,取締役会で行うのが原則です。ただし,取締役に委任することはできます。
登記の添付資料については,今日も有給休暇を頂いていて確認できないので,法務局に問い合わせ下さい。

Q6
株主総会において損失処理案を付議し、資本の欠損填補に充てるために、資本準備金の一部を取り崩すことがよくありますが、会社法においては準備金の減少の効力発生日も決議事項になると認識しております。
 これまでは、わざわざ減少の効力発生日まで損失処理案部分や議案部分(参考書類)に記載等して承認を得るということはしていないのが普通ですが(総会での承認日に減少の会計処理をするのが通常と思われます)、旧商法に基づいて今年の6月総会を開催する場合、特に減少の効力発生日に触れることなく、これまでの慣行どおり例年記載しているように書いて承認を得ることは、手続として問題ないでしょうか?
Posted by 会社法迷い人 at 2006年05月01日 11:51
A6
旧法でやるなら,旧法どおりで結構です。

Q7
株式交換又株式移転により完全子会社となる会社の新株予約権についても、それぞれ類似の規定があります(769条4項、774条4項)
規定の文言(株式交換の場合は「前条第1項第4号に規定する場合には」とある)からすると、完全親会社となる会社が、完全子会社の新株予約権を有する者に対し、完全親会社の新株予約権を引換えに交付することを株式交換契約又は株式移転計画に定めた場合(768条1項4号、773条1項9号)に限り、当該完全子会社の新株予約権は、株式交換又株式移転の効力発生日に消滅する、言い換えれば引換え交付を定めなかった場合には、当該新株予約権は当然には消滅しないという理解でよろしいでしょうか。
実は、具体的に問題となっていますのは、当社の新株予約権には「株式交換又は株式移転により他の会社の完全子会社となることの株主総会承認決議があったときには有償(確定額が定められています)で全部を消却する」旨の条項があります。
経過措置政令13条1項により、当該新株予約権は取得条項付新株予約権とみなされ、同条2項により変更登記をする必要があるのは(当社のケースの場合)間違いないと思うのですが・・・
A7
この問題は既出ですが,株式交換・株式移転の場合には,当然には消滅しません。
したがって,質問の条項については,株式交換・株式移転について,変更登記する必要があると思います。

2006年5月 1日 (月)

会社法が施行されました。

会社法が本日施行されました。

みいなさんから
「5月1日になりました〜♪
葉玉先生、会社法施行、おめでとーございまーす (^_^)∠※ ぱんっ!」
という,お祝いのコメントを,
mmさんから,
「2000年問題が発生するかと固唾を呑んでいたあの年の大晦日以来の緊張感」
という,担当者からすると若干ゾッとする(笑)コメントをいただきました(2000年問題が杞憂に終わったのと同じように,会社法施行への不安も杞憂に終わって欲しいところです。移行をスムーズに行いたいという一心で,このブログを始め数々の情報提供を行ったり,また,フィードバックされた意見をもとに省令を施行前に改正したり,普通はやらないようなことを多数やってきましたから・・・。)

 テレビ・新聞でも,会社法施行のニュースが盛りだくさんですね。
 金曜日には,知り合いの記者さんから「すいません。間違いがないかチェックしてもらえませんか。」とチェックを頼まれること多数。今回は,改正点が多いため,記事にする分野が記者さんごとに違っていて,それが,またそれぞれの新聞・雑誌の個性にマッチしていて,興味深かったです。

 私達は施行になったからといって,劇的に仕事の内容が変わるわけではないんですが,法務局は「会社法施行初日に会社を設立したい。」という方等が多数押し寄せるでしょうし,また,登記の内容を職権で変更しなければならないところもあり,てんやわんやしているでしょう。本当にご苦労様です。
 公証人さんも,司法書士さんも,ご苦労されていると思います。

 2年前の夏の日,商法グループで炭火焼きを食っているときに,かかってきた1本の電話。それから,目まぐるしい立案作業が始まりました。
 「単なるひらがな化はダメ。現代の立案ルールに則した条文にしなければならない。」という簡単そうで難しい命令をつきつけられ,悩むこと多数。
 とりわけ苦労したのは
1 現代的ルールで書こうとすると,あいまいな文言は許されないので,旧商法であまり論じられていないようなあいまいな部分も,明確にしなければならない。
2 平仄があわないところを全部「並び」であわせなければならない。
3 法制審議会で結論づけられた内容を盛り込むと,論理的に不要になったり,合理性がなくなったりするルールが出てくる。
4 登記実務・会社実務では通説になっているが,商法の解釈として便宜的すぎたり,逆に,不合理な規制になっていたりする「見えないルール」が多数存在するので,それと折り合いをつけなければならない。
5 日本語の限界・用例の限界があり,ある人は「これ以外ありえない」という表現が,他の人には「えーっ,それで読めるの?」ということも,しばしば。
という点です。

 こうした苦悩の結果が,旧商法とは似ても似つかない条文として,会社法の中に結実しています。

 会社法については「変わったこと自体」を批判されることもあり,私自身も,自分の担当以外の部分については,「おっ,ここ微妙に変わっているぞ。」と発見することもあります(笑)。
 他方,最近,細かいところまで分かってくると
「作っているときは,沢山の人が右往左往して作っていたけど,会社法って,案外,隅々まで論理的な一貫性があるなあ。」
と妙に感心したりします。
 「役に立つ規制は残し,役に立たない規制は廃止する。経営者,株主,債権者の自己責任の部分を明確化する」という思想で,旧制度の整理をしていった結果,会社法の体系がすっきりと見えてきたような気がします。

 会社法100問を出したときは,「これって独自説じゃ〜ん。」とか,「本当にここ実務を変えていいの?」とか思った方もいっらしゃったでしょうが,商事法務等の解説やその他の解説本等でも,終始,考え方は一貫していますし,それが企業法務・登記を含め実務の中に浸透していっているのではないかと思います。

 今月出る予定の千問も,施行間際の断末魔的な質問の嵐をことごとく取り入れて,答えを書き足しつつも,論理的な一貫性を失わないように心がけています(当初予定から大幅にずれ込みましたが,最終稿も校了し,商事法務さんにバトンを渡したところです。書名等は,商事法務さんがゴーサインを出してくれた時点で,発表いたします。)。

 今後,実務に揉まれる中で疑問が巻き起こり,また,学説による批判的検討も多数出てくるでしょうが,私は,私なりにそれらの疑問に誠実に答えていきたいと思いますので,今後ともよろしく御願いします。
 
 総会の集中する6月までは気を抜けませんが,電子債権の法制審議会もハイペースで検討が進んでいますし,書かなければならない会社法の論文の予定も山積み。
 過酷なスケジュールを乗り切るためには,ゴールデン・ウィークで,どれだけ疲れずに,家族を満足させることができるかが勝負となりますので,本日は,忙しい皆さんに申し訳ないことながら,有給休暇を頂いて,明るい家族計画(笑)をねっております。

Q1
第370条(取締役会の決議の省略)について教えていただけないでしょうか。「監査役が当該提案について異議を述べたときを除く」とありますが、これは、監査役が異議を述べることによって決議があったものとみなすことができなくなり、あらためて実際に取締役会において決議し直さなくてはならない(決議し直せばよい)ということなのでしょうか。第383条で監査役は取締役会では必要があるときは意見を述べなければならないことになっていますが、ここでの意見では決議の効力をなくしてしまうことができるほどのものではない(できない)ものと解せます。第370条では第383条で想定されていないほどの「威力」を発揮することができることになっているように読めてしまうのですが。
Posted by ナゾラー vs. リドラー at 2006年04月30日 01:12
A1
370条の監査役の異議があれば,決議の省略はできませんから,取締役会を開催して,決議をしなければならない(「し直す」というより,決議を「しなければならない」という方が正確)ことになります。370条の異議は,取締役会を開催した場合における監査役の意見とは,全く性質が異なります。この異議は,「どういう内容の決議をするか」ということではなく「取締役間の議論の上で決議するというプロセス」を重視した制度なのです。
 ですから,きちんとしたプロセスさえ踏めば,取締役会において,370条の提案と同じ内容のことを決議してもかまいません。

Q2
日刊新聞紙への決算公告を怠ったままでも分割の公告が有効になるということは、分割の公告をする際、最終の決算期にかかる貸借対照表も会社法810条2項の各事項と一緒に公告すればよいということでしょうか。つまり、この会社のようなケースは、施行規則208条7号の「前各号に掲げる場合以外の場合」に該当するという解釈でよろしいのでしょうか。
分割の公告の内容として官報で貸借対照表を公告しても、決算公告をしたことにはならないので、この会社が決算公告を怠っているという状態は解消されず、100万円以下の罰金を課されることになると考えられますがいかがでしょうか。
Posted by 頭がウニ at 2006年04月30日 02:33
A2
分割の公告の内容として,官報で,貸借対照表の要旨を公告しなければならないということです。これは,決算公告とは何の関係もありません。
したがって,分割の公告をしても,440条の決算公告をしたことにはなりませんので,決算公告を怠っていれば,「過料」(罰金ではありません)の対象にはなります。


Q3
219条1項1号カッコ書において想定されているのは、
A種類株式として取得条項付株式(108条1項6号)、
B種類株式として取得条項付株式(108条1項6号)+譲渡制限株式(108条1項4号)、
を発行している種類株式発行会社が、A種類株式に『新たに』譲渡制限の定めを設ける(この決議により「発行する『全部』の株式の内容として」譲渡制限の定めが設けられることになり、B種類株式の譲渡制限も108条1項4号から107条1項1号に変化する)場面だと解釈しております。私の4月28日の質問は、上記内容のA株式のみを定款に定めている会社(この時点では種類株式発行会社ではない)が、A株式の一部を変更してB種類株式の定めを設ける場面では、株券提出公告を要求していないように読めますが、いかがでしょうか?
Posted by 必勝 at 2006年04月30日 22:20
A3
条文の書きぶりからして,そういう解釈を一切否定するものではありませんが,株券提供公告の趣旨は,譲渡制限文言を株券に書き込むためのものなので,108条1項4号を定める場合も含むと解するのが妥当であると思います。

Q4
取締役の責任一部免除に関する規定を定款に追加する際に必要となる(定款変更議案の総会提出についての)監査役同意について質問させてください。会社法§425では「事前に」という限定はない以上、総会に提出する定款変更議案を取締役会で決議した後に当該同意を求めてもよい筈ですが、実務的には決議後に監査役からNOをもらう危険を冒すわけには行きませんので、取締役会決議前に予め同意を取り付けておく必要があります。そのためには「取締役会決議前」の(つまり会社の機関で正式決定したものではない)総会議案(の案)を監査役に示して同意を求めることになるわけですが、このような状況下の同意でも有効と考えて良いでしょうか。
 そして、このような「取締役会決議前」の監査役同意取得が許されるとして、監査役への総会議案(の案)の提示は誰の名の下に行なうべきでしょうか。考え方としては①その議案(案)を取締役会に提出しようとしている取締役、②議案(案)を示して取締役会を招集しようとする取締役、③取締役会そのもの、④業務執行取締役を代表して代表取締役、⑤(非常に現実的に)議案(案)を実際に作成した事務方、といったところが思いつくのですが。
Posted by mm at 2006年04月30日 23:42
A4
監査役の同意の対象は,議案の提出に関するものです。議案の案に対するものではありません。実務上,ご質問の手順を取ることを否定するものではありませんが,「取締役会が決定した議案を取締役が提出することについて監査役が同意した」という形を取る必要があります。
 監査役の同意は,取締役の提出についての同意ですから,通常,提出をする取締役に対し,同意を行うことになるものと思われます。誰が提示するかは,法律とは関係のないことです。

Q5
法963条5項1号の自己株式の不正取得ですが,分配可能額規制との関係でどこまでを対象としているのですか。
分配可能額規制は,①461条1項列挙事由のグループ,②取得条項・取得請求権付株式のグループ,③116条5項の株式買取請求権のグループ,④規制なしのグループに分類できると思われます。分配可能額を超えて取得したとき,①が処罰され,④は処罰されないのはわかりますが,ほかは?②は私法上無効であることにより「取得」してないことが構成要件上若干ひっかかります(未遂犯処罰規定はないように見受けられます。)。ここは取得したのだと刑事裁判官がいうことはありそうですが。③になると債権者は特に害されないという判断が立法の背景にあるようですから,可罰性があるのか,という疑問も生じます。
Posted by ik at 2006年05月01日 05:09
A5
私法上無効であるかどうかということ,963条5項1号の構成要件該当性は別次元の問題です。同号の「取得」とは事実概念であり,株券の交付を受ける,株主名簿を書き換えること等をした場合には,私法上の効力にかかわらず,「取得」に該当すると解すべきだと思います。
 旧商法でも,行為の私法上効力にかかわらず,罰則を適用しています。
 そして,963条5項1号の文言を見る限り,構成要件としては,②は含まれるでしょう。
 ③は,取得そのものには,分配可能額の規制はかかっていません。単に取締役が責任を負うだけです。したがって,116条の要件を満たさないにもかかわらず,故意に株式を買い取った場合は格別,分配可能額がないというだけでは,963条5項1号の罪は成立しません。

Q6
兼任禁止の図では、子会社の会計監査人が親会社の役員等を兼任することは可能とのことですが、兼任できるとすると、連結計算書類を作成している会社の監査では自己監査ということになるのではないでしょうか?
A6
すいません。おっしゃるとおり,私が表を作るときに,調子にのって○をコピーしすぎました。親会社の取締役等は,子会社の会計監査人にはなれません(欠格事由になります)。訂正文をいれておきます。

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